自然災害被災者の債務整理に関する金融業界団体と弁護士らによる研究会は30日、新型コロナウイルスの感染拡大で収入が激減した家庭や個人事業主を、債務整理の対象に加えると発表した。破産手続きをした場合と同じ債務の減免・猶予措置を受けても、破産者リストに載らないようにして、コロナ禍からの生活再建を進めやすくする。12月1日から適用を開始する。
これは、震災や大雨などの大規模災害で住宅や工場を失って借金を返済できなくなった家庭や事業主が、破産などの法的手続きを経ずに、銀行など債権者との合意があれば債務整理できる制度。コロナの影響で、住宅ローンやカードローン、金融機関から借りた実質無利子・無担保融資の返済が不能になった場合を対象に追加した。
制度の対象となることで、住宅を手放さずに住宅ローンの返済を続け、他の借金は減額した上で原則5年以内に返済するといった選択をしやすくなる。ただ、債権者全員の同意が必要。また破産時と同様、債務者が手元に残せるお金は99万円と国からの給付金、生活必需品に限定される。