CDが売れている
日本市場に大流入

 とはいえ、彼らが日本を目指すのはそうした音楽の側面だけではなく、ビジネスとして見た際の日本市場の特殊性も大きい。

 日本の音楽市場は世界で2位だが、実はCDセールスではトップにあることで知られている。CDはデジタル音源と比べると、利益率が高く、「作曲家への権利料もきちんと払われる」(関係者)のだ。

 このため、スウェーデン国内と比べて遥かに大きな市場を求めて、スウェーデン人作曲家たちが日本に“出稼ぎ”しに来ている。

日本の人気ミュージシャンに、楽曲を提供するMoonChildことジョナス・ゼッカリ氏
Photo by Jun Morikawa

 そのうちの一人、スウェーデン人の作曲家「MoonChild」(本名・ジョナス・ゼッカリ)にストックホルムで話を聴いた。

 ゼッカリ氏は安室奈美恵やEXILEなどに曲を提供する音楽プロデューサー集団の「Future Unison」に所属。

 1月、作曲に名を連ねた三代目 J Soul Brothers、とGenerationsのアルバムを、ともにチャートで1位を上り詰めさせた新進気鋭の作曲家だ。

――日本人に曲を提供することはスウェーデン人作曲家にとってはやはり嬉しいことなのですか?

「もちろん。今、日本のスターに音楽を提供できるということはすごく名誉なことなんですよ。ジャニーズやEXILEの名前は、スウェーデンの作曲家コミュニティーなら誰もが知っています」

――とはいえ、やはりアメリカに曲を出すのが、一番目立つのではないですか?

「もちろんアメリカの市場は大きいですが、今、音楽の世界は急速にグローバル化しています。そうした中で、アジアの存在感はどんどん高まっています」

――スウェーデンは、作曲家大国ですが、実際に歌ったり、演奏する方に興味はないのですか?

「今スウェーデンで、一番有名なのは、マックス・マーティンですが、彼は今の立ち位置に満足していると思います。自分が前面に出なくても、影響力のある歌手を影から支えるのが、スウェーデンらしいやり方ともいえます。私も元々シンガーでしたが、今の役割を大変気に入っています」