障害基礎年金は、障害等級(1・2級)に該当する程度の障害の状態に該当するときに支給されます。
では、障害が軽くなって1・2級に該当しない程度になった場合、障害基礎年金の受給権はどうなるのでしょうか?
ここでは、「支給停止」と「失権」という用語の違いを意識してください。
支給停止とは → 受給権はあるが事情によって支給が止まっている状態。支給停止事由がなくなれば再開される。
失権とは → 受給権が消滅すること。再開されることはない。
具体的に過去問でチェックしてみましょう。
「2級以上に該当しなくなった場合」
①H18年出題
障害基礎年金は、受給権者が2級以上の状態に該当しない程度の障害に軽快したときは、その間、支給が停止される。
「受給権が消滅する時期について」
②H20年出題
障害基礎年金の受給権者が63歳の時点で、厚生年金保険法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年を経過していたときは、その時点で当該障害基礎年金の受給権が消滅する。
【解答】
ポイント! 2級以上に該当しなくなってもいきなり失権はしない。
①H18年出題 ○
2級以上の状態に該当しない程度の障害に軽快したときは、その間、支給が停止されます。「失権(受給権が消滅)する」ではありません。「支給停止」されているだけですので、また2級以上の状態に該当すれば障害基礎年金の支給が再開します。
ポイント! 受給権は少なくとも65歳までは失権しない。
②H20年出題 ×
※問題文の中の「厚生年金保険法に規定する障害等級」とは1級・2級・3級のことです。国民年金の障害等級は1・2級、厚生年金保険の障害等級は1・2・3級ですので注意してくださいね。
障害基礎年金の受給権は、①3級に該当しない状態のまま3年経過した又は②3級に該当しない状態のまま65歳になった、①か②のどちらか遅い方で失権します。少なくとも65歳までは失権しません。
問題文では、「63歳の時点で、3級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3年を経過」となっています。3級に該当しなくなってから3年経過していますが、65歳前ですので、この時点では受給権は消滅しません。
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