アメリカのオハイオ州で、誘拐されて行方不明になっていた子ども45人が救出、179人が逮捕されたことを、USAトゥデイなど全米各紙が報じた。
オハイオ州とバージニア州ではここ1ヵ月間にわたって「オペレーション・オータム・ホープ」(秋の希望)作戦と呼ばれる捜索活動が強化されており、州の法執行機関をはじめ50を超える機関がこの作戦に参加協力していた。
同州司法長官事務所によると、これまでに解決されたのは児童70人(ウェストバージニア州の児童2人含む)以上の行方不明事件で、人身売買の被害者の救助件数は計109人に上る。
児童の行方不明数
アメリカは年間約46万人、日本は3万人
全米犯罪情報センター(NCIC)の調査をもとにした行方不明および搾取される子のための国際センターの報告によれば、アメリカでは毎年、推定約46万人の子が行方不明となっている。これは1日あたり1260人になる数字である。(2015年時点)
ちなみに同資料によると、アメリカの次に多いのはイギリスで、年間推定11万2853人の児童が行方不明になっているとある。1日あたり309人の計算だ。
日本では、警察庁の報告(2018年)によると、その前年に行方不明となった児童数は9歳以下が1198人、10代が1万6412人だった。20歳未満の行方不明者数の合計は3万4031人で、1日あたり93人だ。
アメリカでは他州でも同様の捜索活動強化作戦が行われており、今年の8月にはジョージア州で、行方不明になっていた3歳から17歳までの児童39人が救出され、9人が逮捕されたばかり。9月にはインディアナ州で8人の児童、オクラホマ州では5人の児童、またオハイオの別の地域では13歳から18歳までの35人の児童の救助が報告されてきた。
主な目的は性的搾取か
児童の行方不明と言えば、離婚した夫婦が親権に関わるトラブルなどで自分の子を無理やり連れ去るケースもあるが、多くは第三者である性的変質者による誘拐、または売春業者、チャイルドポルノ業者、臓器売買業者に売り渡される目的で誘拐されるケースも多い。特に今年は新型コロナウイルスのパンデミックにより、チャイルドポルノで性的搾取される子の数が増えているとの報告もある。
子の周辺に保護者やベビーシッターなどの大人がいてもちょっとした隙を狙って誘拐するケースも報告されており、アメリカでは児童の1人歩きや留守番について、州ごとに法律で最低年齢を定めている(例えば、子1人で留守番ができる年齢はイリノイ州14歳から、メリーランド州8歳から、オレゴン州10歳から)。それでもこれだけの誘拐数が報告されており、アメリカの深刻な社会問題となっている。
(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止