IS-Black Gunman-   作:reizen

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昨日投稿した短編は、11月入ったら消します


第12話 順調に進むクラス対抗戦

 戦闘が行われている下で一夏は鈴音と戦っていた。当初一夏は中国の第三世代IS『甲龍(シェンロン)』のパワーと衝撃砲に圧倒されたが、それもすぐに収まる。

 

「このっ!」

 

 衝撃砲が放たれるが、一夏は回避して無茶苦茶な機動を取り始めた。

 

「そんな機動でアタシを惑わせられると思ってんの!?」

「思っているさ!」

 

 そう言って一夏は自身の唯一の武装である《雪片弐型》をぶん投げる。

 

「馬鹿ね! そんなことしたって―――」

 

 ―――瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 

 エネルギーを一度放出し、放出したエネルギーを吸収して加速を行うISの操縦技術の一つだ。それで一気に鈴音に近づいた一夏だが、鈴音は内心馬鹿にする。

 

(そんなタイミングで一体どうやって攻撃を―――)

 

 鈴音はハッと思い立って後ろを振り向く。だがそこには《雪片弐型》がなかった。

 

(え!? じゃあ―――)

 

 その時鈴音は、思いっきり切られた。そう思った瞬間一夏はさらに鈴音を切っており、それが一気に続く。

 

「俺は負けられない……負けられないんだ!!」

 

 攻撃を防ぐために鈴音は衝撃砲を放つ。だが一夏は―――零落白夜と瞬時加速を同時に発動した。ここぞと決める時の必殺技である。当然自分のシールドエネルギーを大幅に消費させるが、それでも武が調整したためである。その結果―――衝撃砲から逃れて鈴音に一撃を入れた。

 

【甲龍、シールドエネルギー0。勝者、一年一組、織斑一夏】

 

 そのアナウンスがアリーナ内に響き渡る。一夏はガッツポーズをして素直に勝ちを喜んだ。

 

「……そんな……アタシが……」

 

 ショックを受ける鈴音。彼女に待っているのは「素人の男性IS操縦者に負けた」という称号だろう。この試合で明らかに国からの評価は下がったことは間違いない。

 信じられない目で一夏を見る鈴音。その視線を感じた一夏は鈴音に近づく。

 

「嘘でしょ……何で……何でアンタがそんなに―――」

「そりゃあ、ずっと武に鍛えてもらってたからさ。ってか本当にこの間はずっと怖かったんだからな」

 

 と、武との特訓を語ろうとする一夏だが、鈴音は呆然としたままピットに戻っていった。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 機体を破壊した俺は、久々に見るメールアドレス宛てにメッセージを入れながら歩いていると、前の方で引っ叩かれている凰の姿を見つけた。随分と物々しい雰囲気である。

 

「何が専用機持ちよ。あんな雑魚に負けて世話ないじゃない」

「アンタ、まさか自分の思い人が相手だからって手を抜いたんじゃないでしょうね?」

「そんなわけないわ!」

「じゃあ普通に実力で負けたってことなんだ。ダッサ」

 

 あんまり揉め事に関わる主義ではないが、目の前のやり取りは見てられないな。ハッキリ言って無様すぎる………が、俺は別に「女の子は俺が守る!!」なんて言うような正義感があるわけじゃないのでスルーする。

 関わらないように無視して歩いていると、女の一人が俺に気付いて気持ち悪い笑みを浮かべて近づいて来た。

 

「あなたは二人目ね。ちょうどいいわ。この女を犯しなさい?」

「………は?」

 

 突然言われたことに驚いた俺は真顔になっているだろう。

 

「あら、嫌かしら?」

「……すまん。今なんて言ったのかもう一度言ってもらえないか?」

 

 聞き間違いだろうと思った俺は問い直すと、その女は俺を馬鹿にしたような笑みでもう一度言った。

 

「この女を犯せって言ったのよ。もっとわかりやすく言うなら、この女と交尾をしろってこと」

「………OK、なるほど、そういうことね」

 

 まさかそんなことを言ってくるとは。この15年と少し生きてきて初めての経験だったので思考が追い付かなかった。

 

「わかったら早くしなさい」

「興味ないな。女尊男卑の女なんか、気持ち悪くて手が出せるか」

「……あら、言うじゃない」

 

 それが合図だったのか、取り巻きが武器をこちらに向ける。俺の真後ろに陣取った女が何かを振り下ろそうとしたのですぐにその場で回転しながら武器を展開して武器を切り飛ばす。どうやら鉄パイプみたいだ。

 

「え? 嘘?」

「アンタ……その武器……一体……」

「どうやら立場を理解していないようだな。例えお前らがISを持とうが持つまいが―――お前らは俺に狩られる側だ」

 

 俺が黒寄りの灰色の鍵とも言えそうな剣を展開したことに驚いている女たち。この武器作れた時の俺のテンションの上り具合はおそらく俺史上滅多にないほど興奮していたと言っても過言ではない。これでいつアイツらが現れても狩れ―――ねぇな。大体これ心を解放することできないし。

 

「に、逃げるわよ!!」

 

 金髪のボスの号令で奴らは逃げていった。形勢不利と判断したのだろう。奴らはすぐにどこかへと消えた。脅威は去ったし、俺も織斑の様子を見に行こうとすると凰が声をかけてきた。

 

「無様よね。こんな醜態をアンタの前で晒すなんて」

「自覚があるなら良い方だろう。アイツらは女尊男卑思考を持っている時点で無様だという事に気付いていない。それよりもマシだろうな」

「……アンタ、本当に女尊男卑嫌いよね」

「むしろ好きな男がいるかよ」

 

 よほどのドMか何か……ならば可能性は高いな。

 

「それにしても、一体どうしたんだ? お得意のIS使っての脅しをすればそれで終わりだろ」

「………あの後、凄く怒られた」

「そりゃあ、いくら貧乳呼ばわりされたからってISを使って脅すのは禁止行為だからな。それに織斑を諦めれば胸が小さくても良い男が拾ってくれるかもしれないぞ?」

 

 中にはそういうのが好みって言う奴もいるんだ。決して胸が小さいからと悲観することはないだろうに。

 

「………ねぇ、聞いていい?」

「何だ?」

「あの時、どうしてアタシを蹴ったの?」

「ムカついたから」

 

 むしゃくしゃしてやった。反省はしないがな。

 

「そもそもISは本来宇宙開発のためだぞ? 同族を殺すための兵器じゃない。強いて言うならば対宇宙からの侵略者用の兵器としての運用までは考えていたかもしれないけどな。それでもあんな理由で人を殺すかもしれないことをされて黙って見過ごせなかった」

 

 まぁ、正直これに関しては完全に手遅れなんだがな。それでも目の前で起ころうとする悲劇を回避したくなったわけだ。

 

「それにお前にムカついた。恋愛のセオリーもわからずにあんな態度を取るなど、女尊男卑―――粋がる弱者そのものだ」

 

 そう言うと凰は俺を見て立とうとしていた体勢からそのまま座り込んでしまう。

 

「……アンタ、何者よ。その殺気、いくら何でも異常すぎるわよ」

「……ただ天災の弟というだけだ」

 

 それだけ言って俺はその場から離れた。久々にやっちまった感じかなぁ。

 

「あ、武!」

 

 織斑が俺の姿を見つけたからか、手を振ってこちらに近づいてくる。

 

「鈴に勝った!」

「そうか。それは良かったな」

「だろ? それで今鈴を探しているんだけど、どこにいるか知らないか?」

「………まさかあの時の理由を聞くつもりか?」

「ああ。そうだけど」

 

 その答えを聞いた俺は織斑を殴ろうと思ったが冷静になってから織斑に言った。

 

「つまりお前は強姦しに行くのか。欲求不満だからと言ってそんなことをしに行くとは意外だな」

「な、何でそんな話になるんだよ?!」

「お前がその質問をするというのはそういうことだ。凰にその質問をする前に少しは考えろよ」

「え? 何を?」

「凰が言った言葉の意味だ。その答えを俺に伝えない限りその質問は禁止。破った場合―――白式を修復不能にまで破壊する」

「それはいくら何でも―――」

 

 俺の顔を見た織斑は俺が本気だと思ったのか黙った。

 

「では俺は試合の観戦を続ける。他の二戦、気を抜くなよ」

 

 そう伝えた俺は離れながらふと思った。身長的にどうしてもクロエがダブってしまうな、と。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 一組対四組の試合が行われた結果、一組が―――一夏が勝利した。四組のクラス代表である更識(さらしき)(かんざし)は打鉄で試合に臨んだったが、接戦まで持ち込んだが負けてしまったのである。その事に彼女の従者である布仏(のほとけ)本音(ほんね)は慰めようとしたが、彼女から発するプレッシャーによって引き下がるしかなかった。

 

「……らしくないわね、簪」

「…………うるさい」

 

 声をかけてきた生徒を見た瞬間、簪はその人物を睨む。

 

「彼を格下と侮った結果よ。訓練機でも勝てると。私前に言ったわよね? 織斑一夏は今まで以上に強くなってるって」

「………でも、彼は―――」

「じゃああなたは「操縦時間が短い男に負けた」という事になるわね」

 

 ハッキリと言われたことで簪はその相手に苛立ちを感じた。

 

「………あなたに何がわかるの?」

「さぁ? でも私、なんだかんだで負けたことないから」

 

 その発言が簪の神経を逆なでさせ、ピットから無理矢理追い出した。

 

「………ダメだったみたいだねー」

「そうね。少しは素直になってくれると嬉しいんだけど」

 

 外で待機していた本音は相手の容姿を見て思わず黙り込んでしまう。何故なら目の前にいるのは知らない人間が見れば絶世の美女そのもの。しかし男なのだ。しかも変声機を用いていると思われるが、それがどこかわからないからこそ普通の生徒にしか見えない。

 

「そもそも、あの話が本当なの?」

「何が~?」

「あの楯無が一人でISを完成させたって話。私の記憶間違いじゃなければそういうのは簪の方ができていると思っていたけど」

 

 だが本音が出した答えは首を可愛く傾げることだった。可愛さのあまりその女装男は抱き着いて撫でまわすが我に返って持っていた櫛でボロボロになった本音の髪を梳く。

 

「でも~。もしかしたらゆうちゃんが離れてから覚醒しちゃったとか~」

「……この前会った時に見た感じ、そこまで強くなっているとは思えなかったけど?」

「あ、うん」

「むしろ強いと感じさせなくなる方が上手くなったのか。どちらにしてもいい具合に成長しているようで何よりだわ」

 

 と言ってから優子は本音のある部分を凝視してから視線を逸らすと、本音に足を踏みつけられた。

 

「なにかな~」

「なんでもないわよ。それよりも本音、お腹すいちゃったからどこかで食べない?」

「いいね~。どこで食べる~?」

「どこでも良いわよ」

 

 そう言って二人は簪がいるピットから離れる。それを確認した別の姿がピットに足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 クラス対抗戦の一組の戦績は上々だった。織斑は既に二組と四組相手に勝利を納め、残りは三組のみとなる。今の戦績は大体こんな感じだ。

 

 一組……二勝。残り対戦相手…三組

 二組……一勝一敗。残り対戦相手…四組

 三組……二敗。残り対戦相手…一組

 四組……一勝一敗。残り対戦相手…二組

 

 三組は代表候補生と聞くが、おそらくは四組の代表候補生よりも実力としては弱い。驚きなのは四組の代表で凰に対応できなかった戦法を初撃で見切ったようで対応し始めたのだから冷や汗ものだった。やはり織斑に教えさせた戦法は付け焼刃が過ぎるということか。ただ気になったのは「二刀流じゃない」とか「どうして逆手持ちしていないの?」とか言っていたから、もしかしてアイツも同類なのではないのかと少しばかりに気になっている。ま、あんまり関わり過ぎると悠夜がキレるから自重はするが。

 

「―――ちょっと良いかしら?」

「………………何か用か?」

 

 そいつの顔を見た瞬間、俺は逃げ出したくなった。誰だって溶岩地帯に入りたくないだろう。つまりそういうことだ。

 

「あら、お姉さんの相手をするのは嫌?」

「こっちとしても、友人が暴走する姿は見たくないのでね」

 

 しかも相手を破壊するまで止まらないからな、アイツ。容赦なく魔剣に呑み込まれようとするから恐ろしい。思えば、女装も自分の暴走癖を抑えるための手段だったりして………いや、どこの主人公の兄貴だよ。

 

「大丈夫よ。彼はそんなことで怒ったりしないわ」

「それで、一体何の用だ? 言動を直せと言うなら無理な相談だ。強い女もいることは認めるが、だからと言って弱者が粋がっていい理由にならないだろう」

「………ま、私も今の社会は酷いと思っている人間だから、それに関してはどうでも良いわ。それよりも聞かせてもらいたいのは、あなたたちの目的ね。この学園で一体何をしようとしているの?」

 

 ああ、その事か。って言うか悠夜の奴、何も言っていないんだな。意外だ。

 

「知りたければ自分で調べたらどうだ? 対暗部組織更識(さらしき)の十七代目楯無(たてなし)さん?」

「その事は知っていたのね」

「君の家には少しばかりに世話になっていたからね。日本からの圧力で俺を嵌めるために小学生までは頑張ってくれていたんだ。その事に関しては感謝しているさ」

「………そうね。あの事は申し訳ないと思ったわ。その後にまさか我が家の配下の組まで壊されるとは思わなかったけど」

「……そうか。それは悪い事をしたな。すまなかった」

 

 そのつもりはなかったが、まさか壊滅させていたとは驚きだったな。

 

「それに関しては問題ないわ。ただ、一般人であるあなたが壊滅させたことで周りからの評価はがた落ちだけどね」

「……そもそもの原因を知らず、攻めたのはそっちだと記憶しているが?」

「………その、ごめんなさい」

 

 向こうは軽口のつもりだったのか、素直に謝ってきた。

 

「わかっているわ。そもそものあなたがあそこまでの事をした原因は私たち女にあると思っている」

「……どれだけしおらしくしたところで俺はアンタたち女を疑う事を止めるつもりはないがな」

 

 そう言うとその女は「ちぇー」と口をとがらせてきた。たぶん思っていることは本当なんだろうが、俺たちを利用したいという腹だろう。

 

「もう行っていいか?」

「あら、お姉さんの相手をするのがそんなに嫌?」

「言ったろう? 友人の暴走は見たくないんだよ。止める方法はアンタらの内の誰かが犠牲になる、だしなぁ」

「…………否定できないわね」

 

 前までなら説得させるとか発散させるとかがあったけど、今なら生贄がいるから暴走停止は楽だ。

 

「安心してくれ、会長。俺はアンタが妊娠したらちゃんと祝ってやるし、余計なことを言う奴らは気が付いたら死体に代わるか洗脳しておくから」

「満面の笑みでシャレにならないことを言わないでよ!!」

 

 現状、悠夜が暴走したら間違いなく被害に遭うからなぁ。でも決して悠夜は悪魔と言うわけじゃないから結ばれたとしても問題はないだろうに。あ、もしかして既に好きな人がいるとか?

 

「……悪い事は言わないから悠夜を選んでおけ。生まれは一般人とはいえ、友達を助けるために単身悪魔の住処に特攻するような奴だ」

「それはわかっているけど……」

「だったら何が不安なんだよ」

「………だって本音ちゃんも悠夜君の事が好きだし」

 

 もしかして、危惧しているのは別の事なのか? 彼女の様子からしてそうだと判断せざる得ないが。

 

「わかってるわよ。悠夜君がどれだけ異質なのかってことくらい。両親が事故で亡くなったことで平坂家に拾われてほとんど兄弟同然で零司君と仲が良いし、零司君が作った魔剣にも適応して何度も私や簪ちゃん……妹なんだけどね。助けてもらっているし、信頼できるわ」

「………じゃあ何で」

「異質な力を持っているからこそ、政府に知られればその力を悪用するかもしれない。そして更識は政府が主人である以上、命令に抵抗することは難しい」

 

 ………なるほど。そういうことか。

 

「……ちょっと安心したわ」

「……そう」

「ああ。そろそろ一組の試合が始まるし、これで去らせてもらおう」

 

 俺はすぐさま更識会長と距離を取って誰にも来れないところに移動する。にしてもあの生徒会長がそこまで悠夜に対して思っていたとはねぇ………まぁ、日本は俺が直接手を下すまでもなく消えるな。悠夜を怒らせたらどこぞの黒い騎士王が宝具ぶっ放すようなことを平然とするから。


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