IS-Black Gunman-   作:reizen

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2020/10/23

文章一新しました


第7話 成長するワンサマー

「では、一年一組のクラス代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりで良い感じですね!」

 

 翌日。クラス代表が発表された俺は素直に驚いていた。

 

「先生、質問です」

「はい、織斑君」

「俺は昨日の試合に負けたんですが、何でクラス代表になっているんでしょうか?」

 

 ああ、それはとても不思議だな。てっきり俺になると思ったが。

 

「それは―――」

「昨日、緊急の職員会議が行われた結果だ。篠ノ之武がクラス代表になった場合、平等ではないという話が上がってな」

「………は?」

 

 まぁ確かに平等ではないだろうが、そんな理由でクラス代表外すか、普通。

 

「ちょ、いくらなんでもそれはねぇだろ……」

「そうですよ! 篠ノ之君なら私たちに必ず優勝をもたらせてくれます!」

「篠ノ之君はクラス代表になるべき器なんです!」

 

 正直気持ち悪いと思うんだが。いやまぁ、俺の目的も確かにデザートパスなんだが。

 

「確かに篠ノ之兄をクラス代表にするのは簡単だが、そうなると不都合が起こるため、織斑一夏にした」

「不都合って何だ?」

「……不利な条件を付きつけられる。そういえばわかるか?」

「わからんな。もしや俺以外のクラスメイトが狙われるとか、か?」

「………それはないだろう。だが、お前がクラス代表になった場合は一組と他のクラス代表になる可能性も否定しきれん」

「……は? それくらい別に良いだろ」

 

 そう言うと織斑千冬はポカンとしていた。

 

「何を驚いている? むしろ俺は対集団の方が慣れているからな。それに相手は所詮は国如きが開発しただけのISだろう? なら問題ない」

「………おい篠ノ之兄。本気で言っているのか? 確かにお前のISはブルー・ティアーズ同様一対他向きだという事は理解しているが、いくら何でもそれは―――」

「馬鹿にするのも大概にしろよ。ティアーズタイプは精々四砲門程度しかないだろう? こっちはそれ以上あるし同時に動ける。何ら問題はない。もしくは今すぐ―――女権団やIS施設を強襲してその能力を披露してこようか? お前らは俺の実力を見れる。俺は世の中の膿を掃除できる。利害は一致しているだろう?」

 

 織斑千冬は本気で顔を引き攣らせていたが、それくらいの事でそんな顔をされても困るんだがな。

 

「ともかく、クラス代表は織斑だ。篠ノ之兄。お前は織斑を鍛える事に専念しろ」

「………まぁいいが」

「待ってください!」

 

 箒が立ち上がった。どうやら織斑千冬に対して抗議するらしい。

 

「私が一夏を教えますから―――」

「その事なんだがな、篠ノ之。お前には剣道部からクレームが来ている。ちゃんと顔を出さないと強制退部もあり得るとな」

「そ、それは……」

「………まぁ、基本的に単細胞で擬音でしか教えられない奴は邪魔だしな。ちょうどいいだろう」

「い、いや、私は―――」

 

 俺は席を立ち上がり、箒の席の前にまで移動して両肩に手を置いた。

 

「な、何をするんだ」

「まるであのクソ姉みたいに駄々こねるな、お前。ほんっと何も変わっちゃいない。小学生……いや、小学生の方が聞き分けがあるな。うん。強いて言うなら幼稚園児だな。はいはい箒ちゃん。今は大人しくしておきましょうね」

「こ……この―――」

 

 今度は右手で箒の顔を掴んで思いっきり力を入れた。

 

「……篠ノ之兄、そこまでにしておけ」

「へいへーい」

 

 顔から手を外した俺は大人しく自分の席に戻った。

 

「そういうこともあるので篠ノ之兄は織斑の強化を頼む。必要であればクラスメイトを使うが良い」

「……クラスメイトはいつからアンタの手ごまになったんだか。まぁ、いざとなれば使うけどな」

 

 さてと、早速アリーナの空きを予約しますか、と。あ、なんとかできそう。てっきり無理かと思ったが。

 

「んじゃあ、先着二名に限り、早速手伝いを募集する。手伝いたいって人は箒以外で俺の所に来るように。ああ、安心してくれ。確かに俺は現行のIS技術は基本的に見下しているが、別に取って食うつもりは全くないから」

 

 と付け加えた後に織斑先生が締めてSHRはお開きとなった。

 

 

 

 

 

 放課後、たまたま空いた第三アリーナを貸し切った。そこで俺は二基の球体コックピットと二基の人型ロボットを展開する。

 

「……凄いね、篠ノ之君。いつもISにこんなもの入れてるの?」

「量子変換技術は様々なもので使用可能なんだ。だから銃姫の中にこいつらは入れてねえよ」

「そうなの!?」

 

 クラスメイトの……確かかなりんと呼ばれていた奴が驚いた。

 

「別に驚くことじゃないけどな。まぁ俺は家が家だったから昔から姉の研究室に潜って資料を読んでいたからな」

「ん~。でもそれって十分凄い事だよ~」

「ま、確かにな。つっても俺はちょっとファンタジーみたいに武器を自由に出し入れしてみたかったから研究していたし。ちなみにPICは空を自由に飛びたかっただけだ」

「……もしかして、昔からパソコンを持っていたのって……」

「そりゃあ自分の夢を実現させるために決まってるじゃん。時間は有限なんだし」

 

 ま、まさか姉も似たようなことをしていたなんて驚きだったけど。

 

「これで良し。二人とも、座ってみ」

 

 そう言って俺は二人に座るように促す。インカムを付けていたら一号機がすぐに動いた。座った後にすぐに一号機が動いたのは驚いた。

 

「おい布仏、動かすな」

『それはできない相談だよぉ!』

「お前も興奮する質かよ。まぁそれはそれで良いが。そうだかなりん、適当にレバー引いてみ」

『う、うん』

 

 インカムから指示を出すと、たどたどしい動きで二号機を動かす。

 

「とりあえず、布仏はカタパルトに移動して先に出て織斑にちょっかいかけてこい。おい織斑、そっちに敵が行く。そいつを―――」

『倒せば良いんだな!』

「は? 殺すぞ?」

 

 インカムから織斑の悲鳴が聞こえるが無視だ。

 

「冗談だ。とりあえずそいつの攻撃を回避しろ」

『わかった!』

 

 さっきまで織斑に飛行訓練をさせていたが、奴はフラフラと飛ぶ。試合の時はまだまともに飛んでいたのでおそらくは本番に強いと思って間違いない。

 

「布仏。チョコレートだ」

『ありがとー。ってどうしたの~?』

「織斑を、殺れ」

『アイアイサー!』

『え? ちょっと待って!? 今物騒な声が聞こえたんだけど!?』

 

 とりあえず二人は無視して、俺はかなりんのコックピットに向かう。

 

「やっぱりレバーの操縦は難しいか?」

『う、うん。ごめんなさい。……本音、良いな』

「あれは身内に天才がいたからだ。普通は最初からああもできない」

 

 特に零司は最初から人型の機動兵器を作ろうとしていたからな。その一環として布仏は遊んでいたのだろう。

 

「だから気にするな。それにレバーでの操作は俺の趣味で作ったものだ。いずれISに並ぶ兵器となるかもしれんが、現状では国連が開発したというEOS(エクステッド・オペレーション・シーカー)の方が優れているからな。なにせISの攻撃を受ければ一撃で破壊できるほどの代物だからな。実弾兵器も装備しているが、生身の人間に向けるならともかくISに向ける程度なら問題ない」

 

 技術としては既にゲームとして確立しているタイプだしな。ほら、一時期自分でコースを作れると評判だった国民的人気ゲーム。それを真似て作っただけに過ぎない。

 

「……もう少し、頑張る」

「その粋だ」

 

 とはいえ少し心配だな。後でこの女のアフターケア用にお守りを渡しておくか。

 

 

 

 

 

 かなりんと布仏の協力があって、クラスの団結性と共に織斑の回避能力が向上してきたある日。オルコットがイギリスに帰ってしばらくするが未だに帰ってこないことに指導面で不足を考えている。とはいえ回避すれば回避するほど織斑の練度は上がるものだ。

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、篠ノ之兄。試しに飛んでみせろ」

「はい」「へーい」

「………そろそろお前にはちゃんとした返事というものを教えてやらねばならないようだな」

 

 と拳に息を吹きかけている暴力教師の言葉は無視して銃姫を展開した俺は、織斑の展開速度を確認する。少しは早くなっているようだがもう少し伸ばせるだろう。あと0.2秒の壁だな。

 

「よし、飛べ!」

 

 その言葉と同時に急上昇をする俺ら。チラッと織斑とその姉を見るが、難なく上昇する自分の弟に驚きを隠せない感じだ。

 

「意外によく飛ぶなぁ、織斑。特訓の成果か?」

「そりゃあ、特訓と称して縦横無尽に銃弾で狙われたらそうなるわ!!」

「いやぁ、布仏が協力的でな。今度お前に恨みを持っている友達を連れてきてくれるそうだ」

「え? 俺に恨みって何!?」

 

 と惚ける織斑。いや、アレは本気だ。……というかあの男に恨みを持つ男は多いだろうが、恨みを持つ女なんて……………織斑千冬の弟というポジションと動かせることが判明したのにIS専用機を渡された、というぐらいか。

 という事で言われたのは二号機の魔改造である。どこかのマスク天帝仕様にしてほしいとのことだったのでリクエストにお答えしておくことにした。

 

「そういえば篠ノ之兄、前の試合でその機体が変化して速度が上がっていたな。一体どういう機構だ?」

「可変機構。一般的に数年前まで放送していた有名なロボットアニメだと一部の機体に盛り込まれている機能だな。戦闘機や獣タイプ、砲台に変形したりする奴。普通にそのまま変形すると身体に致命傷を与えかねないのだが、俺の場合は一時的にコックピットを内部展開することで楽な姿勢で行動を起こせるんだ。欠点を言えば変形による隙だな。と言っても本来ISにない機構を無理矢理増設して使っているだけに過ぎないし、そもそも前の試合で使ったのは箒が相手だったからに過ぎないし」

 

 ただ急上昇とかを単機でする場合は凄い楽なんだけどな。言うなれば強襲専用。

 

「搭載している理由は?」

「趣味」

「………もっとマシな理由が欲しかったのだがな」

「前に言っただろう? 銃姫は個人的趣味と実益を兼ねて俺が一から作り上げた、唯一無二の完全オリジナルISだと。と言ってもコアはオリジナルじゃないからアレなんだがな」

『もう実質オリジナルみたいなものでしょ。気にしなくて良いんじゃない?』

 

 そりゃここまで独自路線を走るISコアなんざ聞いたことないがな。未だにISコアでも声が聞こえるのはこいつくらいだ………いや、コアすべてがこんな感じだったら色々と嫌だなぁ。

 

『あ、じゃあいっそ私たちを具現化させてハーレム作る? コアハーレムとか世界に存在しない確率大きいわよ』

『全員姪とか誰得だ?』

『あら、クロエも姪じゃない?』

『姪だな』

『その姪とは言え一時期仲良くなっていた男は一体誰かしら?』

 

 とりあえずこのコアをぶん殴ってやりたいし、そもそもそこまで仲良くなっていないと突っ込ませてもらおう。

 

『………とりあえずあなたはあまり織斑一夏に対して人の事は言えないと思う』

『それに関しては心外だな』

 

 断固として抗議する! という事はともかく、だ。

 

「織斑、篠ノ之兄、急下降と完全停止をやってみせろ。目標は地表から10㎝だ」

「先に行け、織斑」

「わかった」

 

 織斑に先に行かせる。そして途中で自身を縦方向に回転させてブレーキを利かせた。

 

「……なるほど。1mか。目標には遠く及ばないがブレーキを掛けただけ良しとしよう」

「それじゃあ俺がまるでブレーキすら掛けられないみたいじゃないか、千冬ねごヴィバ!?」

「学校では織斑先生と呼べと何度言えばわかる?」

「すみません、織斑先生」

 

 と姉からキツイお仕置きを受ける織斑。いくらそっちの呼び方の方が慣れているからと言っていくら何でも成長がないな。

 

「では篠ノ之兄。やれ」

 

 適当な場所を選んで適当場所で敢えて50㎝の所で静止すると織斑千冬から「わざとだろ」と睨まれた。

 

「まぁいい。織斑、武装の展開はできるようになった―――何!?」

「あ、やっぱり驚いた」

「そりゃそうだろう? この女は他人ができないと思ったことを普通に言ってくるからな。それにお前の武装一つだけだ。その展開に慣れて幅広い戦術を見つけてもらわないとな。そのために土日は休ませている」

「……って言うかリクセム攻略できないんだけど」

「ああ、あれは気合でどうにかしろ」

 

 むしろその後のアンセムの方が鬼門だと思う。その後? ファイナルミックス要素はあんまりしていないんだ。

 

「……思った以上に一夏が成長しているな」

「誰が鍛えていると思っている。むしろ織斑に……いや、世界的に足りないのには二次元への適合力だ。それさえ克服すれば織斑のタイプならまだ成長の余地がある。常時中二病男を舐めるなよ」

「………それ、自分で言っていて恥ずかしくないか?」

 

 ま、ここでそんな発想ができたのは素直に部屋にいる俺の可愛い天使のおかげであるのは確かだがな。好きなキャラがいるからと気になって買った統合版をクリアするとは思わなかった。………あれ? このままいくと引きこもりになってしまう? 今度零司に頼んであの施設にいてもらおうか。少しは身体を動かした方が良いしな。

 

「さてと、篠ノ之兄。お前も武装を展開しろ」

 

 言われて俺は武装を展開する。右手に近接妖刀ブレード《村正》を、左手にエネルギーライフル《リヒトブリッツ》だ。今度は《村正》を消して右手にも《リヒトブリッツ》を展開した。

 

「……もういい。お前の展開速度がわかった」

 

 ため息を吐く織斑千冬。俺を弄るつもりが普通に展開されたので悔しがっている感じだ。

 

「そろそろ時間だな。少し早いが、今日の授業はここまでだ。では、解散」

 

 そう言って締めくくられる。……今日はアリーナも取れなかったし、トレーニングはたまに箒に任せてやるか。




今回は少し篠ノ之らしさを見せてみました。え? いらない?

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