IS-Black Gunman-   作:reizen

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2020/10/23

文章一新しました


第6話 クラス代表決定戦、終幕

「ありえない。ありえませんわ…! ISは―――」

「一人で作れないって? 断言するけど、IS程度のサイズは慣れれば簡単に作れるんだよ」

 

 そう言って俺はオルコットを撃つ。ハイパーセンサーにブルー・ティアーズのシールドエネルギー……ISで言うところのライフポイントがが0になったことが表示された。

 

「この野郎!!」

 

 織斑が斬りかかるが、俺は近接妖刀ブレード《村正》を展開して防ぐ。

 

「何でオルコットを撃った! もう彼女には戦意なんてなかったはずだ!!」

「殺さなかっただけありがたいと思ってもらいたいくらいなんだがな」

「何を!!」

 

 俺は《村正》に力を入れて織斑を弾き飛ばす。

 

「くっ!?」

「当然だろう。アイツは根っからの女性至上主義。そんな奴を生かしておいても意味はない」

「それはお前のエゴだろう!!」

「そうだ。俺のエゴだ。だが、ハッキリ言って奴には失望した。あの程度の実力しかない癖に粋がるとは。本来なら慈悲で首を落としてやるつもりだったがな」

「お前、それは―――人としてやってはいけないことだろ!!」

「知ったことか。そしてそれは―――ISを纏って言うセリフではないな」

 

 馬鹿だとは思っていたが、ここまで馬鹿だったとは。

 

「何を―――」

「元々も半分そうだったが、今のISは完全な兵器と言っていいほどだ。十年前時点で世界が諦めるほどの高スペックを持つISは兵器として運用されるのは時間の問題だった。そして兵器は人を殺す為に使われる」

「だからって、オルコットを殺す理由にはならないだろう!」

「慈悲だからな。もっとも、個人的に絶望して存在することを拒絶するが故の行為でもあることは否定しない」

 

 何せアレだけ言っておいての常識中の常識である自分とビットの同時運用ができないなんて欠点なんてレベルじゃない。もはや恥だ。

 

「何でだよ、武。確かに前までも少し変わっているなって思ってたけど、だからってそこまでじゃなかったはずだろ!?」

「………むしろ俺も気になっていた。何故お前は織斑千冬の弟でありながらそこまで無邪気に生きられる?」

「何?」

「おかしいだろう? 有名人の弟妹であるならば比較され、求められる結果を出さなければ酷い中傷に晒されるのが世の常だ。お前もそうだったんじゃないのか?」

 

 だからこそ、鬱陶しかったことは否定しなかったが途中まではそれなりに付き合っていたわけだが、

 

「……確かに辛いこともあった。でも、それでも俺には友達がいた! お前にだってそういうの、いただろ!」

 

 ……ああ、やっぱりか。おかしいと思ったさ。

 こいつは何もわかっちゃいない。他人の感情に全くの無頓着だからこそ成せる技ということか。

 

「………流石は告白にすらも気付かないゴミ野郎だな。幸せ者と言うべきか。そして俺にはそう言う存在などいなかった」

 

 いたとしても悠夜や零司のような者じゃなかっただろう。それに結局は離れていく運命だったはずだ。

 

「しかも面白いことに、画像は常にアップされて俺が篠ノ之束の弟だと知れ渡る。常にだ。その結果、どんな奴が群がってきたと思う? 全員コア狙いさ。それも拒否すれば自分の子飼いの奴らに暴力を振るわせる。挙句には俺から遺伝子を採取して第二の篠ノ之束を生み出そうとする始末だ。そいつが勝手に死ねば俺がその殺人者に仕立て上げられる。いやぁ、酷い世の中になったものだ」

「………そうだったのか。ごめん……」

「同情はいらん。全員報復は済ませている」

「………え?」

 

 何を驚いているんだか。俺も結局は篠ノ之なんだ。しないわけがない。

 

「報復って……まさか武、お前は―――」

「全員潰したさ。性別、組織、そして年齢関係なく、な。つまり俺は時代によって生み出された怪物でしかない。恨むならば愚かな政策を打ち出した政府を、生身で満足に戦えない雑魚の分際で政策に乗っかった愚かな自分たちを、そして男を見下し続けた結果の低い技術力を恨め、ゴミ共が!!」

 

 そう言って俺は瞬時にエネルギーライフル《リヒトブリッツ》を両手に展開して無防備になった織斑に撃った。さらに追撃のためにスカートアーマーから小型独立兵装《サーヴァントシューター》をすべて飛ばした。

 まともに回避できなかった織斑は攻撃を受けるが、煙が晴れて現れた姿が変わったところを見るに第一形態にでも移行したのだろう。

 

「これは……そうか、白式が……」

 

 織斑も驚くってどうなんだろうな。……まぁ、いいか。

 

「これで俺も、みんなを守ることができ―――」

「そいつは無理だな」

 

 今、銃姫が白式の性能を確認したが、機体性能は申し分ないほどだろう。世界規模で見ればかなりの完成度の高い機体となっている。だが、武装が異常だ。守らせる前に攻めさせた方がよほど効率的だろう。

 

「今すぐその機体から降りてちゃんとしたものを受領するべきだろう。全く。どこの馬鹿だ」

「何でだよ!?」

「その機体、そのブレード一本しかないだろ?」

 

 織斑は慌てて確認すると、顔を青くする。

 

「……何で」

「製作者がどこかの馬鹿姉かそれに類する馬鹿なのか。どちらにしろ、素人に持たせるものではないな」

 

 何せ俺の予想が正しければ、箒に展開装甲を持つISを渡そうとしているからな。あれ凄く燃費が悪いからむしろ持たせない方が良いんだけど。

 

「どうする? その機体じゃお前の勝ち目は皆無だ。降参するならしても良いが?」

「するわけないだろ!」

「……OK。了解した」

 

 そう言って俺は再度《村正》を展開して織斑に接近した。織斑もこっちに接近して俺に斬りかかった瞬間に驚いた顔をする。その後すぐに俺の攻撃をそのまま食らっていた。

 

「な、何で―――」

「悪いが俺は雑魚と言えど容赦は―――しない」

 

 織斑の背後に周り、今度は右手で織斑を吹き飛ばした。

 

「ガハッ!?」

 

 アリーナの透明な壁に叩きつけられて変な声を出す織斑。俺は瞬時に後ろから来た箒の攻撃を回避する。

 

「貴様!!」

【白式、シールドエネルギー0】

「後はお前だ、箒」

 

 銃姫を高速飛行形態に変形させ、アリーナの限界高度に瞬時に移動して人型携帯に戻る。

 

「か、可変だと!?」

「コード、オーバードライブ」

 

 エネルギーライフル《リヒトブリッツ》を両手に一丁ずつ展開した俺はその銃口にビットを四基ずつ装着させる。

 

「止まっていれば、ただの的だ!!」

「本当は大気圏に突入しながらなんだよ。まぁ、それは良い」

 

 残りのビットで箒の移動範囲を制限しつつロックオンした。

 

「やらせん!」

「これが先の人生を見据えた者と見据えず逃げた者の違いだ、箒。この威力、受けるが良い」

 

 引き金を引くと強化されたエネルギー収束帯が打鉄の非固定浮遊部位のシールド諸共両肩を貫いた。その際に絶対防御が発動して一瞬で打鉄のシールドエネルギーを溶かす。

 

【打鉄、シールドエネルギー0】

 

 その情報を確認した俺は下に降りてピットに着地する。

 

「武!」

「…………」

 

 俺は無視して銃姫を解除し、ピットに戻ると敵意を向けた織斑千冬が立っていた。

 

「武、お前は―――」

「イギリスが五月蠅いなら俺に言え。消して来る」

「いくらISでも、一国を相手に戦えると思っているのか!?」

「俺の銃姫ならば大地を消すことは可能だが?」

 

 そう言うと織斑千冬は俺に手を伸ばそうとしていたので先に掴んだ。

 

「………それで我慢して耐え忍べ、と? それで大人しく女の毒牙にでもかかれとでも言うつもりか、アンタは?」

「違う、私は―――」

「俺はアンタと話すことなんてない。むしろ弟の方を気にかけた方が良いだろう? アレでは早死にするだけだ」

 

 そう言って俺はピットを出る。……とりあえず、楓の反応はVIP席か。

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 ピットに戻った一夏と箒。そこには千冬が立っており、何か言いたそうな顔をしていたが一夏たちに気付くと元に戻る。

 

「そうだ千冬姉、オルコットは―――」

「彼女なら既に運んでいる。命に別状はない」

 

 それを聞いて一夏は安堵した。

 

「……良かった。あの時は本当に―――」

「殺したと思ったか?」

「……ああ。戦っている武から、それを可能とするんじゃないかってくらいの気迫を感じた」

 

 それを聞いた千冬は「そうか……」と呟くように言った。

 

「千冬さん、教えてください。武に一体何があったんですか!? 確かに離れる前から色々とおかしいと感じる部分はありましたが、それでもやり過ぎです」

「………すまないが、それは言えない……が、確かに武が女に対して恨むほどの事はされている」

「……そうですか。あと、すみません。勝手に打鉄を使ってしまって」

「……気持ちはわかるからな。ただ反省文は書いて来い。5枚で勘弁しておいてやる」

「わかりました」

 

 箒はピットに出て行く。一夏はその後を追おうとしたところで千冬を呼び止めた。

 

「待て、一夏」

「ごめん、千冬姉。俺は箒を―――」

「学校では織斑先生だ。それとこれを読んでおけ」

 

 そう言って千冬は一夏に投げ渡した。

 

「これって……」

「後で良いので規則はきちんと覚えておけ」

「わ、わかった」

「あと、他人の心配をするなとは言わんが、帰って休んでおけよ」

「わ…わかりました」

 

 言い直した一夏は去っていき、千冬は一人残された状態でどこかに電話を掛けたが、繋がらない。

 

「……チッ」

 

 そして舌打ちをして彼女もまたピットを後にした。

 

 

 

 

 

 セシリアが目を覚ましたのは、試合が終わって数時間経った頃だった。自分が気絶する前の事を思い出したセシリアは悲鳴を上げた。

 その事に気付いた医師である「月城(つきしろ)千鶴(ちづる)」はすぐに駆け込んできた。

 

「大丈夫よ、オルコットさん。もうあなたを狙う人はいないわ」

「……わ、わたくしは……わたくしは……ぶじ?」

「ええ。無事よ」

 

 その答えに安堵したセシリアは自分が生きていることを実感する。

 

「………わたくしは……負けたのですね」

「―――そうだ」

 

 突然現れた存在にセシリアは驚いた。

 

「織斑先生……」

「その、済まなかったな。篠ノ之兄があそこまで慈悲を持たないとは思わなった」

「………慈悲、ですか」

 

 少し落ち着きを見せるセシリア。そして冷静になって思い出す。

 

「―――随分持っていたと思うけどね、僕は」

「何者だ!?」

「轡木の関係者と言わせてもらうよ」

 

 そう答えたのは少年だった。背丈一夏と同じくらいか少し下回る程度で、高校生くらいの少年会だった。

 

「何故、ここに男が―――」

「僕のような人間が他の教育機関にいた場合、その教育機関が狙われるのでね。言うなればISを動かせないにしろここにいるのが最適解の人間なんだ。この事は既に世界にも周知済み。にしても随分派手にやられたね。ま、当然か。最強と言っても過言ではない銃姫を持つ武にしてみれば、君のような人間があんな振る舞いをすれば目障りに感じるだろう」

「だからと言って、それが許されるようなものか!」

「敢えて言うけど、今の女の対応なんて相当なものだよ? 道行く人を捕まえて奴隷のような仕事を命じ、拒否すれば逮捕。そんな割に遭わない社会なんて一体誰が受け入れるっていうのさ。君たちの生徒の大半はそうじゃないか。自分で作ったものじゃない癖に粋がり、動かせない男たちを見下す。一時的とはいえ姉を尊敬していた武にしてみれば女尊男卑や女性優遇制度なんてものは、人々を宇宙から遠ざける措置でしかない。君はイギリス人だから知らないだろうけどね、当時の武の荒れっぷりは正しく天災そのものだったよ」

 

 その物言いに千冬は気付く。

 

「……お前はまさか、武の―――」

「友人さ。同類でもあり、同じ境遇の仲間でもある。そして製作者サイドの人間だからこそ、君がどれだけ武に酷い事を言ったのかわかる。君が言ったのは、君の立場で言うなら「流石はオルコット家のご令嬢だ」とか「オルコットの血だから」と称賛しているだけに過ぎない」

 

 そう言い残した少年はその場から去る。

 

「すまない、オルコット。これで失礼する」

「……ええ」

 

 千冬は病室を出て行くのを見送ったセシリアは自身が持つ小型端末にアクセスする。そこには国からのメールが届いていた。

 

 

 

 

 

「待て」

「………」

 

 千冬が声をかけるが、少年は無視した。

 

「待てと言って―――」

「黙れよ」

 

 そう言って少年が向けたのは左腕だ。その左腕には既に大型の砲身が展開され、千冬の顔に向かっていつでも発射できる状態になっている。

 

「何を驚いているんだい、織斑千冬。君のような人間が僕に話しかけるな。目障りだ」

「……武の事を教えて―――」

「自分で聞けよ。ま、アンタじゃ無理だろうけど」

「ああ。だから教えて欲しい。武の身に何があったのか―――」

「言うわけないだろ。お前の存在でどれだけ僕らが迷惑を被ったと思う! 自分は仲間だと思うんだったらさっさと女権団を君の手ですべて潰せば良い」

 

 少年はまた去ろうとしたが、足を止める。

 

「ただこれだけは言わせてもらうよ。今回の試合、武はやろうと思えば君の弟も、そしてあの女も殺せた。だけどそれをしないのはまだ彼の中にある良心が完全に落ちていない証拠だよ。だけどそれが無くなった時、待っているのはこの学園をスタート地点とする全国家の消滅と人類の間引きさ。当然、僕もそれに協力する」

「………本気で言っているのか。そんなことをすれば全面戦争は避けられない」

「それで良いのさ。あと、銃姫はIS学園に入学するにあたり、いくつかの制限が設けられている。昨日の時点で出力はかなり抑えられているから、その制限が解除されたら人は悲惨な道を歩むと思う」

 

 それだけ言うと少年は姿を消した。

 

「………全く。怖くなるな。束のクラスの人間がこうも簡単に現れてのか」

 

 ため息を吐く千冬。彼女はなんとなく感じ取っていた―――近い内に戦争が起こる予感を。




今回のセシリアの立場をざっくりと。


・日本を侮辱したけど織斑一夏もイギリス侮辱したからおあいこ
・ずっと謎だった銃姫の主なデータを引き出せた
・それによって一連の襲撃事件の犯人を露見させた(世間的にてこずっていたからここの功績が大きい)
・イギリス的に同じBT兵器の系統の機体を持っているから誘いやすい(たぶんイギリスのみ)

という事で裏ではそれなりに功績立てているから無罪放免とは言わずとも厳重注意で済んでいます。納得できなかったらすみません。

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