木下賢吾なる人物が、バイオバンクジャパン批判の文章を書いて配布している。
東京大学医科学研究所にバイオバンクジャパンのデータアクセスを批判する文章が私に手元に届いた。2020年の基準で、2002年に計画したバイオバンクのデータアクセス権を批判するなど、アホ以外の何物でもない。2002年、バイオバンクジャパン計画を作成したのは私だ。当時、ゲノムそのものに対する理解も今と比べればはるかに低く、「ゲノム=究極のプライバシー」といった感じで、ゲノム研究のための大型研究を進めようとする私には、暴風雨が吹き付けていた。絶対にプライバシーを守るのだという刃がのど元に突き付けられていた。
データの第3者利用とでもいえば、プロジェクトそのものが立ち行かないくらいだった。そこで、データを保存するコンピューターはスタンドアロンと呼ばれる外部との接続をできない形で始めた。第3者に利用できるようにするなどと言えば、患者さんの協力を得ることが難しい状況だった。
しかし、プロジェクト内容の紹介ビデオを病院の待合室で見ていただき、その後にご理解いただけそうな患者さんに、メディカルコーディネーターから説明と同意をしていただくシステムを立ち上げた。私を中心にゲノムコーディネーターを育成しつつ、プロジェクトを始めたのだ。私の多くの弟子たちがロールプレーと呼んでいる訓練をして育ててきた。それを資格化したのが日本人類遺伝学会であり、理事長であった私が、患者さんからインフォームドコンセントを取る人たちの教育プログラムと資格認定を進めたのだ。
毎年50回以上講演会に飛び回り、教育とアップデートな情報を伝えた。そして、医科学研究所バイオバンクに集められたのが、人数で26万人、総症例数44万という価値のあるDNAと血清だ。さらに全国行脚して、ゲノム研究の重要性を伝えた。
そんな時代的な文化的・社会的背景も知らない奴が、バイオバンクジャパンをまるで使い勝手が悪い不良品であるかようなブラックメールを配布している。
木下君、ユーチューブの前で対談をセットするのではっきりと何が問題なのか、公開で議論をしようではないか!その時に私は合わせて約100報のNature, Nature Genetics, Nature Communication論文を含めた約300論文を持参していく。その実績も含めジックリと東北メディカルメガバンクの実績と展望、東大のバイオバンクジャパンの実績と展望を話ししたい。発表した300の論文を利用すれば、その気になれば、産業応用はいくらでもできる。東北メディアカルメガバンクには、相関解析ができるほどの症例数が揃っているのかどうかも明確にしてほしい。また、東北大学バンクに参加している人たちから何の審査もなく、自由に利用してもらっていいというインフォームドコンセントを取っているのかどうかも確認したいものだ。
事実に基づかない陰口でなく、事実を示したうえで、バイオバンクジャパンのどこに問題があるのか、どこか東北で優れているのか、公開で議論しよう。文章の責任者として自分の名前を書いているならば、その内容にしっかりと責任を取ってもらいたい。