新型コロナウイルスの感染者数の増加が続く中、北海道が「警戒ステージ」の引き上げに踏み切った。目安となる指標がすべて基準を上回ったわけではないが、早期の警戒強化で感染拡大を食い止めることを狙う。ただ、観光や飲食事業者は「Go To」キャンペーンで客足が戻り始めた矢先だった。道は経済活動と感染防止の両立という難しいかじ取りを迫られる。(斎藤徹、芳垣文子、松尾一郎、武田啓亮、山本知弘)
拡大する新型コロナウイルス感染防止対策に取り組む2週間の集中対策期間について説明する北海道の鈴木直道知事=2020年10月28日午前、札幌市中央区の北海道庁、松尾一郎撮影
道は独自に5段階の警戒ステージを定めており、最も低い「1」だったが、これを「2」へ引き上げた。8月に定めてからは初めての引き上げとなる。11月10日までの2週間を集中対策期間とし、体調不良時の外出自粛やマスク着用の徹底、テレワーク(在宅勤務)の推進などを求める。
28日午前に道庁で開かれた対策本部会議後、鈴木直道知事は会見で、飲食時の感染防止について強調した。過去の感染例では職場内での接触に加え「飲酒を伴う会食・会合」が多く確認されている。鈴木知事は「飲食の前後はマスクを」とし、「お店側としてもお客にお願いしにくいところもある。私から皆さんにお願いしたい」と求めた。
ステージ引き上げの目安となるのは入院患者数や検査陽性率、新規感染者数など7項目で、基準を上回ったのは入院患者数など5項目。すべて上回る前にステージを引き上げたのは、患者が入院する医療機関の負担増を防ぐ意味合いが大きい。足もとの入院患者数は1カ月前から倍増の158人で、道内で今利用できる622床の4分の1を超える。感染拡大を早期に防がなければ、追加の病床確保が不可欠になる。
札幌市は道の決定を受け、PCR検査体制の拡充や発熱患者への対応を強化。ピーク時で1日当たり3500人の発熱患者に対応できるよう準備を進めているという。
道は早期の感染拡大防止を図るが、最近はクラスター(感染者集団)も多く確認されている。これまで計65例が確認され、9月19日以降では、札幌市ススキノ地区などの「接待を伴う飲食店等」で18件(182人)あったほか、日高地方の道立高校など「学校」で2件(35人)、「事業所等」で5件(37人)、特別養護老人ホームなど「福祉施設」で5件(41人)と幅が広がってきている。
年初の国内での感染拡大の初期段階には、道内は他地域より早く感染が広がり、2月末に政府に先駆けて独自の緊急事態宣言に踏み切った。道内の状況を政府も注視しており、西村康稔経済再生相は28日の会見で、「寒くなり換気が悪くなるという北海道特有の寒冷地の課題もある」とし、「専門家の派遣も検討している」と述べた。過疎地の看護師などの確保でも対策を検討するという。
拡大する北海道の鈴木直道知事や道幹部らが出席して開かれた新型コロナウイルスの対策本部会議=2020年10月28日午前、札幌市中央区の北海道庁
■「Go To」で回復の…
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