美味しいねぎを求めてやってきたのは、長野県の松代。
武田信玄と上杉謙信の「川長島の戦い」の舞台となり、その後真田家の居城として発展をしてきた武家の町。いまだに数多くの武家屋敷が残っている歴史情緒あふれる土地です。
そんな地域の中にあって、古くからの伝統を受け継ぐ一人の作り手がいました。
児沢 融(こざわ とおる)さん。
児沢さんの作るネギは地域の独自品種「松代一本ねぎ」。県の伝統野菜認定を受けるこの品こそ、今回ご紹介したい絶品ネギなのです。
このネギは熱をかけることでその真価を発揮します。特に松代一本ねぎを加えた鍋は絶品!大きめに斜め切りにすることで、トロトロとしたエキスと絶妙な食感が生きます。
ネギから出る味わいが鍋の味を調え、メイン食材と言えるほどの存在感を醸し出し、クタクタになるまで茹で上げても、適度な歯ごたえが残るので噛むたびに濃厚な風味が楽しめます。
これぞ今年絶対に食べていただきたい逸品です!
そもそも松代は大きなネギ産地ではありません。この地においてネギは、農家さんの自家で食べられているだけで、これまで日の目を見ることが無かったのです。
しかし、松代のネギは旨い!
昼夜の寒暖の差が激しいこの地で、ネギの味わいはひときわ高まり、さらに早朝には霜も降りることによりネギの生命力が引き出され、ギュッと引き締まった旨味を生みます。
それだけではありません。昔からの農家である児沢さんのお宅では、なんと明治時代から「原種」を受け継いできていたのです。この原種は長野県のネギ栽培のルーツとも言われています。
生産性や流通性を考え、品種改良が進められる中、本物の味にこだわり長い時間をかけて純粋な「松代一本ねぎ」の種を保存し続けてきました。
そんな児沢さんの地道な努力がついに実を結び、2012年児沢さんの松代一本ねぎは県の伝統野菜の認定を受けたのです。
地元松代のおいしさが広まるよう児沢さんは地域の様々な協力を得て、今このネギを全国に向けて知ってもらおうと地道な活動を行っています。
店頭で見かけることがありましたらぜひ一度、この受け継がれてきた本当の美味しさに触れてみてください。
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