第174話 事情説明
「しばらくはこのまま、ご姉妹水入らずの再会ということで」
リオは執務室の扉を完全に閉めると、ヴァネッサに提案した。
「ああ、そうだな」
と、ヴァネッサは口許をほころばせて頷く。一方、セリアは柔らかな笑みをたたえていた。他の女性騎士達もうんうんと頷いている。とはいえ――、
「しかし、これはいったいどういうことなのだ、アマカワ卿?」
ヴァネッサは困惑した面持ちで、事の
「話すと長くなるんですが、旅先で偶然に遭難されていたフローラ様にお会いしました。おそらくはクリスティーナ様にも詳細をご報告することになると思いますので、詳しい話はその時に。セリアにもまだ詳細はお伝えしておりませんので」
リオは二度手間を避けるべく、だいぶ中身を省き、概要だけを語った。
「む、そうだな。ところでアマカワ卿……」
ヴァネッサは得心すると、少し距離を置いたところへリオを誘い出す。
「はい」
リオは頷き、ヴァネッサに付いていく。
「よかったのか、髪の色を変える魔道具を部下の前で使ってしまって?」
と、ヴァネッサは声を潜めて確認した。以前、リオから髪の色を変える魔道具を借りた際、クリスティーナ達はむやみやたらとその存在を第三者に口外してはならないという契約をリオと結んでいる。ただし、リオが許可した場合はその限りでない。
先ほどはリオの指示で魔道具を外したので例外に当たるのだろうが、ヴァネッサは一応、確かめておくことにした。
「ええ、構いませんよ。親衛隊の方々なのでしょう?」
「うむ。馬鹿だが裏表はない連中だ。口が堅いことは保証する。厳命すれば口外はしないだろう」
ヴァネッサは然りと首肯する。余談だが、この者達はクリスティーナとヴァネッサの後を追って独断で王都を出奔し、ロダニアまで駆けつけた猛者達だ。
「でしたら、一応そのようにお願いいたします。契約時にもお伝えしましたが、積極的に拡散しないのであれば、必要な範囲で情報を共有していただいても大丈夫です。ただし、約定通り製造法はお教えできませんので、あしからず」
と、リオは必要事項を再確認した。
「承知した。感謝する」
ヴァネッサは深々とリオに頭を下げる。
「いえ」
リオは微笑してかぶりを振った。
「では早速、部下達に……、ん、どうした、お前ら?」
と、ヴァネッサは部下達に指示を下そうと後ろを振り返る。だが、部下の女性騎士達からまじまじと見つめられていることに気づくと、訝しそうに首を傾げた。
「ヴァ、ヴァ……」
と、女性騎士達はぱくぱくと口を動かした。
「ヴァ?」
ヴァネッサは頭上に疑問符を浮かべる。すると――、
「ヴァネッサ隊長に春が来た!!」
女性騎士達は声を揃えて叫んだ。
「なっ……!」
ヴァネッサは呆気に取られ、言葉を失ってしまう。
「そりゃまあ女性騎士の中には生涯独身を貫く方もいますし? お堅いヴァネッサ隊長は貴族として結婚適齢期を過ぎていらっしゃいますから、そういったつもりはないのかなと思いましたけど」
「ねえ、男っ気もないし、結婚は諦めているのかと思いましたけど」
「こんなに若くて凛々しい殿方と親しい間柄だったとは、お見それしました!」
「これはめでたいですね! フローラ様のご帰還に次ぐくらいにはめでたいですね! 今宵はお祝いの席が設けられるでしょうし、盛大にお祝いしましょう」
などと、女性騎士達はわいわいと勝手に盛り上がった。ヴァネッサの顔は急速に赤く染まっていく。
「はは」
リオは下手に墓穴を掘らぬよう、さりげなくヴァネッサから距離を置いて、セリアに近づいた。セリアはくすくすと笑って、リオを隣に迎え入れる。
「え、ええい! やかましい! 乙女か、貴様ら!? 私とアマカワ卿は十歳以上、年が離れているんだぞ!」
ヴァネッサは一喝して、女性騎士達を黙らせようとした。しかし、顔が真っ赤なので、まったく威厳がない。
「そもそも、騎士である私は女であることを捨てているのだ! この歳で恋に
ヴァネッサは顔を赤くして訴え、リオに同意を求める。ここでリオに話を振るのは完全に悪手だ。
「別に私は失礼だとは感じておりませんよ」
リオは気まずく思いながらも笑みを貼りつけ、無難に答えておくことにした。まさか同意するわけにもいかない。
「っ……」
ヴァネッサは不意を打たれ、頬を紅潮させた。女性騎士達はにやりと笑みを浮かべる。
「皆さん、あまり上司をからかうものではありませんよ」
セリアはおかしさを堪えてやれやれと息をつくと、ヴァネッサをフォローしてやった。別に彼女達も本気ではないのだろうが、ヴァネッサが想定以上にこういったことに免疫がなさそうだったから(とはいえ、立場が入れ替わっていたら、セリアも似たような反応を見せたはずである)。それに、このままだとリオにも飛び火しかねない。
「失礼いたしました。アマカワ卿も申し訳ございません!」
女性騎士達は姿勢を正し、胸元に手を当て恭しく謝罪した。すると、執務室の扉がガチャリと開く。現れたのはもちろんクリスティーナだ。
「アマカワ卿、それとセリア先生も、中にお入りいただいてもよろしいでしょうか? どうもフローラの話は要領を得なくて……」
と、クリスティーナはリオとセリアに呼びかける。
「承知しました」
リオとセリアは微笑して頷いた。
「ありがとうございます。……ヴァネッサ、貴方も入りなさい。それと誰か、ロアナにフローラが帰ってきたことを伝えてきて頂戴。あの子も心配しているでしょうから。勇者様が一緒にいらしたら伝えてもいいけど、他の人間にはまだ伝えないように」
クリスティーナはヴァネッサや女性騎士達にも指示を出す。
「畏まりました!」
ヴァネッサ達は即座に頷いた。
◇ ◇ ◇
それから、リオとセリアはすぐに執務室に入った。ヴァネッサも女性騎士達に必要な指示を出すと、その後を追う。
「どうぞおかけください」
と、クリスティーナはリオとセリアに席を勧める。
「失礼いたします」
リオとセリアは室内に設置された応接椅子に、並んで腰を下ろした。向かいの席にはフローラが座っていて、その隣にクリスティーナも座る。ヴァネッサは立ったまま傍に控えるようだ。
「それで、アマカワ卿。早速ですが、事の経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか? どうしてフローラが貴方と……」
クリスティーナは早速、リオに事のあらましを尋ねた。
「そもそも私がフローラ様とお会いしたのは偶然です。なので、それまでにフローラ様がご体験になった事実はご本人から伺ったお話になりますが……」
「お聞かせいただけないでしょうか? フローラはご覧の通りですので」
と、クリスティーナはフローラを見やって言う。フローラは一応は泣き止んではいるようだが、クリスティーナにもたれかかりながら小さく身体を震わせている。目は涙で腫れているし、まだ整然と話をすることはできないだろう。
「承知しました。では最初に、フローラ様が魔道船でロダニアへ向かっていたことはご存じですよね?」
リオは順を追って説明することにした。
「ええ、私が呼びだしましたので……」
「道中、魔道船を襲った男達がいます。フローラ様はその男達の手により、パラディア王国へ飛ばされたそうです」
「……お、お待ちください。魔道船は竜らしき生命体に襲われて墜落したと報告がありました。人為的な襲撃も並行してあったというのですか?」
クリスティーナは想定外の話に驚き、事実の食い違いを指摘する。
「竜らしき生命体、そういったお話は伺っておりませんが……」
リオは首を傾げて、フローラを見やった。
「……わ、私も存じません」
フローラはおずおずと語る。
「となると、その竜らしき生命体が現れたのは、フローラ様がパラディア王国へ飛ばされた後ということになりそうですね」
リオは出てきた情報から、時系列を推測した。
「フローラが飛ばされた……?」
クリスティーナはリオの発言に違和感を抱く。すると――、
「あの、お姉様、乗組員の方達は……?」
クリスティーナが疑問を口にするより先に、フローラが恐る恐る尋ねた。
「……一隻を残して、壊滅したわ」
クリスティーナはバツが悪そうに答える。ここで伏せても隠しきれない事実だ。教えるしかない。
「っ、そ、んな……」
フローラはショックを受けたのか、びくりと身体を震わせた。自分が抵抗しないという条件で乗組員の安全を保障してもらったというのに、一隻しか助からなかったとは……。あの交渉には何の意味もなかったというのか。
いや、薄々と予想はしていた。あの男は自分との約束を守ってくれないのかもしれないと。だが、そうだと思いたくなかったのだ。
フローラは忸怩たる思いに駆られる。しかし、竜らしき生命体に襲われたという話が引っかかってもいた。竜にしろ、亜竜にしろ、下位の亜竜を除いて、人間が使役できる存在ではないから。
となると、竜らしき生命体が魔道船を襲ったのは偶然なのだろうか。あの男達は嘘を吐かなかったのだろうか。フローラは頭がぐるぐるして、よくわからなくなってしまう。すると――、
「ところで、フローラがパラディア王国へ飛ばされたというのは?」
クリスティーナが歯がゆそうに尋ねた。フローラが放心している理由に見当はつくが、今は慰めるよりも事実を確認する方が先だ。
「話を伺った限り、転移魔術が込められた魔道具が使用されたようです」
リオは
「……転移魔術が込められた魔道具、ですか?」
クリスティーナが瞠目して
そんな古代魔術が込められた古代魔道具など、クリスティーナですら見たことがない。驚くのも無理はないだろう。
「はい。一瞬で景色が切り替わったそうですし、事実としてフローラ様はパラディア王国にいらっしゃいましたから、間違いはないかと。詳しくは後述しますが、転移結晶を使用したのはルシウスという名の傭兵、そしてプロキシア帝国に所属するレイスという名の外交官も一緒にいたようです」
リオはさらに驚愕の事実を口にする。
「…………レイス。確かシャルルと繋がっている男の名前でしたね……。人に大型の亜竜を使役できるとは思えませんが、その二人の襲撃と完全に無関係とは思えませんね。亜竜騎士団が存在するプロキシア帝国の外交官が絡んでいるというのならば、尚更に」
と、クリスティーナは後で捕虜のシャルルを呼び出して話を聞くことを内心で決めながら、険しい顔を浮かべて語った。
「……ええ」
リオは微かに間を開けて頷く。一瞬、逡巡したのは、「精霊に似て非なる存在」とアイシアに自供したレイスの言を伝えるべきか悩んだからだ。
とはいえ、そのことを伝えれば必然的に精霊の存在を明かす必要が出てくる。なので、この場では見送ることにした。
「しかし、次々と驚きの情報が出てきて、流石に混乱しそうです」
クリスティーナは頭を押さえ、苦笑いを浮かべた。いずれも俄かには信じがたい話だが、報告者はハルトだし、フローラが体験した事実だというのならば、疑うことなどできない。
「そもそもその男達はフローラ様を殺しに現れたそうです。にもかかわらず、男達はフローラ様をパラディア王国へ飛ばした。……その理由はわかりませんが、私の憶測であれば、申し上げることはできます」
と、リオは事実と評価を分けて報告する。
「お聞かせください」
クリスティーナはリオに説明を促した。
「おそらくはルシウスという男の気まぐれではないかと。刹那の快楽を追い求めるふざけた男ですので。実際、フローラ様が仰るには、転移結晶を使うにあたって一悶着あったようです」
リオはどこか冷めた面持ちで語る。身もふたもない話だが、それがすべてだ。
「……あの、ルシウスというのは、以前に我々がロダニアへ向かう際にも名前が出てきた男ですよね? 『天上の獅子団』という傭兵団の団長の……」
「はい」
クリスティーナが確認すると、リオはこくりと頷いた。
「確か、ヴァネッサもその男のことを知っていると言っていたわね。その時は聞きそびれたけど、どのような男なのかしら?」
クリスティーナはその時のことを思い出し、ヴァネッサに尋ねる。
「私が知っているのは、その男がかつて我が国の『王の剣』の候補だったということだけです。その関係で兄上とは交流があったそうですが、家が没落したとかで、その……、詳しいことは存じません」
ヴァネッサは申し訳なさそうにかぶりを振った。
「『王の剣の候補』だった? アマカワ卿はその男について、何かご存じなのですか?」
クリスティーナは目を見はり、リオにも水を向ける。
「ええ、私はその男のことをずっと追っていたので。だからこそ、パラディア王国でフローラ様をお救いすることができました」
と、リオは深く息をついて語った。
「……なるほど。奇しくもその男が橋渡し役となって、フローラはアマカワ卿と遭遇することができた、と。おおよその経緯は把握しました。ありがとうございます」
クリスティーナは一通りの大きな流れに得心したのか、ここでいったん礼を言う。パラディア王国に飛んだフローラがどんな目に遭ったのか、どうしてハルトはその男のことを追っていたのか、その後の顛末がどうなったのかはまだまだ尋ねる必要があるが、詳細を聞く前に前提となる情報は整理できた。
「いえ、色々と複雑に事情が絡み合っておりまして、上手くご説明できたのなら幸いです。まだまだご報告するべき事実はたくさんございますので」
リオは微苦笑してかぶりを振る。
「そのようですね」
クリスティーナは同調して笑みを覗かせた。
「まずはパラディア王国へ飛ばされたフローラ様がどのような目に遭われたのか、私がどのような経緯でフローラ様をお助けしたのか、とりあえずは時系列順にご説明するということでよろしいでしょうか?」
と、リオは語る順番を前置きする。
「……はい。そのようにお願いいたします」
クリスティーナはこくりと頷いた。
「承知しました」
リオも深々と頷くと、時系列順に話を始める。フローラがパラディア王国の森をさまよったこと、野宿をして毒蜘蛛に噛まれたこと、その後、なんとか近くの村にたどり着いたが、高熱を出して死にそうになったこと。時にはフローラ自身も説明に加わり、報告を行っていく。
そうして、報告を進めていくと――、
「フローラ様……」
フローラがあまりにも悲惨な目にあっていたものだから、セリアは沈痛な面持ちを浮かべる。
「なんとおいたわしい……」
ヴァネッサもいたたまれない面持ちで拳を握りしめていた。
「アマカワ卿がフローラを保護してくださったのが不幸中の幸いでした。もしも少しでも遅れていたらと思うと、ゾッとします。……しかし、アマカワ卿はどういった状況でフローラを発見したのでしょうか?」
クリスティーナはそう言って、隣に座るフローラの手をギュッと握りしめる。そして、リオがフローラを発見した時の状況を尋ねた。
「どうやら滞在なさっていた村を出られたらしく、ご意識を失っているところを発見したといいますか、その場に
と、リオはやや歯切れの悪い物言いで答える。そもそもリオはルシウスとの戦闘が終わるまで、フローラの存在に気づいてすらいなかった――とは少し言いづらい。
「どうして村を出たのよ、フローラ?」
クリスティーナは面食らってフローラに尋ねた。高熱でうなされている状態で外を出歩くなど、自殺行為に等しい。
「……あ、あの、滞在させていただいた村の村長さんが領主の方を頼ろうとしていたらしくて、パラディア王国はプロキシア帝国寄りの小国だと聞いていましたし、捕らえられたらお姉様にもご迷惑がかかると思って……」
フローラはひどくバツが悪そうに語った。
「……そういう時は、自分の身の安全を優先なさい。迷惑だとか、そんなことは考えなくていいの」
クリスティーナは肩を掴んで、フローラを諭す。王族としては理解できない行動でもないが、姉としては看過できない行いだ。自分の身を優先してほしいという気持ちの方が強かった。
「ご、ごめんなさい」
フローラは慌てて謝罪する。
「謝る必要はないのよ。怒っているわけじゃないの。心配しただけ」
クリスティーナはそう言って、フローラを抱きしめた。
「はい……」
フローラは涙ぐんで頷く。
「…………話が逸れてしまい申し訳ございません。続きをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
クリスティーナはややあってフローラに抱きつくのを止めると、リオに話の続きを促す。
「……おそらくですが、フローラ様はすぐに限界を迎えてしまったようです。村からそう離れていない場所で意識を失われた。そして、そこへパラディア王国の第一王子、デュラン殿下を引き連れたルシウスが現れた。私がその場にたどり着いたのは、そのすぐ後のことだと思います」
と、リオは淡々と続きを語る。
「パラディア王国の第一王子が、フローラを?」
クリスティーナは鋭い面持ちで訊いた。デュランは遠い小国の王族だが、噂くらいは聞いたことがある。戦士としては一流の強さを誇るが、女癖も悪い王子だと。
「どうもルシウスとは知らない仲ではなかったらしく、フローラ様の存在を知らされていたようです。それで、フローラ様の身柄を確保しようとしていたとか」
「……なるほど。ですが、どうしてルシウスという男はそこまで回りくどいことをしているのでしょうか? 転移結晶など使わず、そのままフローラをパラディア王国へ連れて行けばいいものを」
クリスティーナはデュランがフローラを狙った理由については納得がいったが、ルシウスの行動については理解しかねているようだ。
「……先ほど申し上げた通りです。すべてはあの男の気まぐれ。そういう人間なのです、ルシウスという男は。自分が楽しければ、平然と意味のない行いもします。あの男にとっては、余興みたいなものだったのでしょう。」
「……度し難くはありますが、その男がどういう人間か、ようやくイメージが固まった気がします」
随分とふざけた真似をする男だ。クリスティーナはルシウスに対する静かな怒りを胸の内で燃やした。
「ええ、あまりこういった表現は好きではありませんが、モラルなど持ち合わせていない外道だとお考えください」
と、リオは苦笑交じりに言う。復讐を果たした今、少しは冷めた目線でルシウスの存在を捉えることができるようになったが、その評価が変わることはない。
「……アマカワ卿とルシウスという男の関係を、お尋ねしてもよろしいのでしょうか? 無論、教えたくないというのであれば、無理にとはいいませんが」
クリスティーナは恐る恐る尋ねた。温厚なリオがここまで酷評するのだから、並大抵の関係ではないことは窺える。訊くべきか、訊かないべきか悩んだが、遠慮がちに訊いてみることにした。
すると、リオは一瞬、ちらりとセリアを
「…………私の両親の、
腹を括って、事実を告げた。
「っ、申し訳ございません、立ち入ったことを伺ってしまい」
クリスティーナは慌てて謝罪する。
「いえ、答えたのは私です。むしろお気を遣っていただき、申し訳ございません」
リオは落ち着いた声で謝り返した。
「っ……」
セリアはぎゅっと拳を握りしめると、隣に座るリオの顔をじっと見据えた。すると、外からドタバタと足音が響いてくる。その直後、勢いよく執務室の扉が開放された。
セリアやフローラはびくりと身体を震わせ、執務室の扉を見やる。そこには――、
「おい、クリスティーナ! フローラが帰ってきただって!?」
ロアナを引き連れた、弘明が立っていた。
3月1日の活動報告でお伝えした通り、tenkla先生の体調不良によりコミック版「精霊幻想記」の連載が第3話で打ち切りとなりました。詳しくは2017年3月1日の活動報告をご覧ください。