第129話 前哨戦
アレインがルッチと合流してから数日後。
リオ達はベルトラム王国とガルアーク王国の国境付近にそびえる峠に位置する交易都市にまで足を運んでいた。
都市に着くや否や、リオを先頭に城壁外部に存在する宿屋街へ向かう。毎日休むことなく一日当たり平均数十キロという距離を歩き続けてきたので、夜は完全に休息の時間に充てたいのだ。
リオの隣にはセリアが寄り添うように歩いており、その後ろにヴァネッサとクリスティーナが、さらに後ろには浩太と怜が歩いている。無暗に人前で顔を出さないようにと、皆がフードを被っていた。
まだ日は暮れていないので、都市内部には多くの人が出歩いており、人波を縫うように進んでいく。
「随分と人が多いわね」
お姫様育ちのクリスティーナが物珍しそうに周囲を見回す。
旅の間に各地を転々としてきたが、回ってきたのはいずれも宿場町や小都市だけだった。また、王都で暮らしていた頃は学院と王城の間を行き来するくらいで、滅多に城下町に繰り出すこともなかったから、人ごみが物珍しいのだろう。
「ここはガルアーク王国との貿易で栄える交易都市の一つですからね。離れ離れにならないよう、気をつけて――」
と、隣を歩くヴァネッサが、注意がてらクリスティーナに説明していると――、
「きゃ」
クリスティーナが人ごみに紛れて現れた大柄の男性と衝突した。
というより、男性の方からぶつかってきたと言った方が正しい。クリスティーナの死角から足早に迫ってきたので、回避し損ねてしまったのだ。
ほぼ同時に、男が抱えていた木箱が転げ落ち、その中からガシャンと、陶器が割れるような音が響く。
「ひっ、だ、大丈夫ですか? お嬢様!?」
一瞬、「姫様」と呼びそうになったヴァネッサだったが、慌てて「お嬢様」と呼び直し、クリスティーナの安否を確かめる。
「……ええ、大丈夫よ」
クリスティーナはよろめきながらも、自らの無事を告げた。
だが、一方――、
「大丈夫ですか、兄貴?」
「おうおう、痛えな。こりゃ駄目だ。取引用の商品が駄目になっちまった。どうしてくれんだ、てめえ」
舎弟と思しき青年二人に気遣われながら、ぶつかった男性がわざとらしくクリスティーナに因縁をつけだす。
すると、異変を察した通行人達が、波紋のように素早く綺麗に距離を置き始めた。一帯に小さな空白地帯ができあがり、何事かと注目が集まる。
絡んだ男達は腰に帯剣し、荒事に慣れた冒険者か傭兵崩れのゴロツキといった恰好をしていた。
「何よ、そっちがぶつかってきたんじゃない」
クリスティーナがムッとした口調で反論した。もしぶつかっていたのが妹のフローラだったら、反射的に謝っていたかもしれない。
「ああん? てめぇ、女か?」
ぶつかった大柄の男がスッと目を細め、フードを被ったクリスティーナを凝視する。
「貴様」
ヴァネッサは反射的に腰に差したナイフに手を添えて、クリスティーナと男達の間隙に潜りこんだ。
「おうおう、物騒だな」
ぶつかった男が嬉々と笑みを刻む。だが、その目は油断なくヴァネッサと背後にいるクリスティーナを見つめている。
他方、リオもセリアを背に、一連のやりとりを冷静に観察していた。
(きたか)
一見すると男達は典型的な当たり屋だが、リオは彼らの素性について確信に近い心当たりがある。
レイスの命令を受けてリオ達を尾行しているアレインとルッチだ。二人の行動はアイシアに監視させているため、基本的に情報は筒抜けである。
いわく、アイシアからの情報によれば、彼ら二人はこの都市でリオ達と接触を図ろうとしていたという。また、そのために二人は一時的に別行動を開始し、ルッチがこの都市に先回りしているとも報告を受けていた。
ちなみに、アレインはリオ達が都市に着くと同時に独自に行動を開始したため、今、アイシアにそちらを優先して尾行させている。
ゆえに、仮に目の前にいる男がアレインならば、アイシアから何かしらの連絡があるはずだった。
にもかかわらず、アイシアから何の連絡もない時点で、今クリスティーナに強引に絡んできている大柄な男がルッチだと、リオは断定した。
無論、本当に単なる当たり屋の可能性もゼロではないが……。
「セシリア、ティナお嬢様の横に」
リオはセリアに危害が及ばないよう、クリスティーナの隣に行くよう小声で指示を出した。
「う、うん」
セリアがおずおずと頷き、小走りでクリスティーナの横に並ぶ。
他方、浩太と怜は完全に置いてけぼりで、立ち尽くしたまま身動きがとれずにいる。だが、下手に動かれても面倒なため、
リオはおもむろに歩きだし、ヴァネッサの隣に並ぶと、
「落ち着いてください」
と、冷静な声で言いながら、一触即発なヴァネッサを宥めた。
「ハルト殿、しかし……」
ヴァネッサが絡んできている男達を油断なく睨みながら、殺気立った様子で難色を示す。
おそらく事前に今の事態を防止できなかったことに苛立っているのだろう。
とはいえ、ルッチの足の運び方や気配の消し方は相当に上手かった。
リオですら衝突する直前まで存在を察知できなかったのだから、ヴァネッサが事前にルッチの当たり行為を防げなかったのはやむをえないだろう。
「
リオが忠告するように語った。
本当ならば王族であるクリスティーナに当たり屋まがいの真似をしかけている以上、男達はこの場で殺されても文句は言えない。自殺行為だ。
だが、あいにく今の彼女は身分を隠しているから、権力者として振る舞うわけにはいかない。
リオに諭され、そのことを悟ったのだろう。ヴァネッサは渋面を浮かべつつも準戦闘態勢を緩めた。
「すまない。頭が冷えたよ」
「いえ」
などと、ヴァネッサとリオが小声でやりとりをする。
「おうおう、なんだ、ぞろぞろと。俺はそこの姉ちゃんに用があるんだ。どいてもらおうか」
リオ達のやりとりを眺めながら、大柄な男が威嚇するように言った。
「ぶつかってきたのはそっちだろう」
リオが冷たい声で返す。
「ああん? こっちは懐に抱えていた大事な商品が割れちまったんだ。弁償してもらわねえと気が済まねえな」
と、大柄な男は典型的な当たり屋のようなことを言う。
もしかしたら演技などではなく、本当にただの当たり屋なのではないかと疑ってしまうほどに慣れた口上だ。
「なるほど。ちなみに、その商品とやらは、その木箱に入っているのか?」
尋ねながら、リオが地面に転がっている木箱を見やった。
「おう、陶器製の茶器よ。金貨五枚で転売する予定が入っていたんだ。どうしてくれる?」
男が木箱を拾い上げ、蓋を開けて中身をリオ達に見せつける。確かに中には割れた茶器一式が入っていた。
「……あれが、金貨五枚? 嘘よ、安物じゃない」
原形を留めている部分のデザイン等をまじまじと凝視して、茶器の鑑定眼に長けたセリアが不快気に呟く。それは見る者が見れば一目で安物だとわかる代物だった。
「なるほど。じゃあ、あんたの主張は金貨五枚を弁償しろってことか? その額さえ払えば、一切の異論はないと?」
と、リオが相手が求める要求を決め打ちで淡々と尋ねる。
「……まあ、そうなるな」
事務処理的なリオの対応に、大柄な男は少し警戒した様子で答えた。一方、舎弟の青年二人は不気味なほどに黙って状況を傍観している。
「言質は取ったぞ」
言いながら、リオが懐から金貨五枚を出す。
「ちょ、ハ、ハルト!? 払う必要ないわよ、あんな粗悪品に、金貨五枚だなんて!」
セリアが泡を食って叫んだ。だが、驚いたのは彼女だけではない。
クリスティーナ達や野次馬はもちろん、仕掛けた側にいる舎弟の青年二人もギョッと目を丸くしている。
一見して冷静さを保っているのは、リオと仕掛けた張本人である大柄な男だけだ。
「どうした? 受け取らないのか?」
と、リオが不敵な声色で尋ねる。ローブのフードに隠れて、男達から表情は窺えないが、ひょっとしたら嘲笑でも浮かべているのではないだろうか。
「………………おい、オリン。受け取ってこい」
しばしの間を置いて、大柄な男が不機嫌そうに舎弟の一人に指図した。
「は、はい!」
オリンと呼ばれた青年が我に返り、慌ててリオに歩み寄る。震えた手で金貨五枚を受け取ると、大柄な男の下におずおずと戻った。
「ちっ、行くぞ」
小さく舌打ちをして、大柄な男が踵を返す。自分から額を提示して貰う物を貰ってしまった以上、流石にこれ以上の難癖はつけられないのだろう。
舎弟の青年二人があたふたと大柄な男の後を追いかける。
「我々も行きましょう」
リオも身を翻し、宿屋へと向かい歩き出した。クリスティーナ達がそそくさとその後を追いかける。
リオがフードの下から進行方向にいる野次馬達を一瞥すると、恐れおののいて綺麗に道が開いた。
「あの、アマカワ卿、ごめんなさい。その、私のせいで……」
しばらく歩くと、クリスティーナが申し訳なさそうに謝罪し始める。
「いえ、城門の近くとはいえ、城壁の外ですし、これだけ人が多い場所ですから、治安が悪いのは当然です。さっきは偶々運が悪かっただけだと思って、綺麗に気持ちを入れ替えましょう」
リオがどこかバツが悪そうに応じた。連中を呼び寄せた契機に自分が関係していることから、後ろめたい気持ちがあるのだ。
「……ええ。えっと、ありがとう」
クリスティーナが少し照れ臭そうに礼を述べる。
「いえ」
リオは微苦笑し、少しそっけなくかぶりを振ると、おもむろに周囲に視線を巡らせ始めた。さっきのやりとりを見て、他に似たような真似をしだす愚か者が出てこないように、と。
そんなリオの姿を見て、クリスティーナはさらに話しかけづらくなってしまう。
すると、今度は遠慮がちにセリアがリオに声をかけた。
「ねえ、ハルト、別にさっきの連中にお金を払う必要はなかったんじゃない?」
「……あの場で騒ぎが大きくなって、官憲に出てこられても面倒でした。今の状況下ではできる限りこの国の権力者と関わり合いになりたくはないでしょう?」
と、リオが困り顔で表向きの理由を説明する。
「むう、そうだけど……」
セリアは納得がいかなそうで、唇を尖らせていた。
「えっと、だから手っ取り早く相手の要求を呑んで、あの場を収めたってこと?」
浩太が脇からおそるおそる尋ねる。
「そうなります」
リオはこくりと頷いた。
先の連中がルッチ達であることはほぼ間違いない。オリンという名前はアレインが雇った冒険者だとアイシアからも報告を受けている。
おそらく先ほどの接触は威力偵察のつもりだったのだろう。
目立つリスクは承知で、こちらのメンバー構成や人間関係を大まかに探り、素性を見定める。その上で当たりの可能性が高いと判断したら、もしかするとさらにその先まで踏み込んできたかもしれない。
しかし、相手のペースに乗せないため、早々に流れを断ち切ったので、相手の思惑を空振りにすることができた――はずだ。
となれば、前哨戦はリオの勝ち。二度目に姿を現すとしたら、次はさらに直接的な示威行為に出てくる可能性が高い。
少なくとも人前で仕掛けてくることはないだろう。次に何か仕出かすとしたら、おそらく都市の外になるはずだ。
「あと少しです。ガルアーク王国の領土に入ってしまえば、ベルトラム王国軍が表だって国軍を侵入させることはできない。頑張りましょう」
宿屋が密集している区画にやって来ると、リオが言った。クリスティーナ達が気を引き締め、深く頷く。
レストラシオン本拠地への旅路は、山場を迎えようとしていた。
◇ ◇ ◇
その日の夕方、ルッチはオリン達を引きつれ、都市の城壁外にある寂れた宿屋を訪れていた。
宿屋の中に入ると、カウンターの椅子に座っている老人がルッチ達をジロリと睨むが、声をかけることはしない。ルッチ達も特に気にした様子はなく、宿屋の奥へと入っていく。
迷いのない足取りで二階の角部屋に移動すると、ルッチが規則的に扉をノックする。すると、古びた木の扉がギイッと音をたてながら開いた。
そこから二十代後半の男――アレインが現れる。
「入れよ」
「おう」
アレインに招かれ、ルッチが軽快な足取りで室内に入る。その後をオリン達が続く。室内にはアレインの他に、オリンと一緒に冒険者パーティを組んでいる青年が二人いた。
「で、どうだったんだ、そっちの首尾は?」
ルッチがドカッと椅子に腰を下ろすと、アレインも椅子に座って尋ねた。
オリン達は立ったまま部屋の隅に移動している。
「駄目だ。当たり屋に扮して絡んだところまでは良かったんだが、あっさりと金を払って場を収められた。少しは渋ってくれればやりようはあったのによ」
舌打ちをして、ルッチが不機嫌そうに答えた。
「ほう、金を払ったのか? 少しも渋ることなく?」
「ああ、鎌かける暇も、脅迫する隙もなかった。金貨五枚の値を提示しても躊躇なくぽんと一括だぜ? 十枚にしときゃよかった」
「馬鹿野郎。額の問題じゃねえだろ。それより、他に何かわかったことはないのか?」
愉快そうに笑って、アレインが
「他にわかったことと言えば、連中の間に主従を匂わせる関係があったってあたりか。主人はたぶん年頃の女だぜ」
「そうか。……金貨五枚を躊躇なく支払ったってことは、街中でのトラブルを避けたかったからとも受け取れるが、そんだけの資力があって、腕利きの剣士や魔道士まで抱えている、か」
と、先日、ルッチが目撃したリオ達の戦闘場面の報告を思い返すアレイン。
「お目当ての可能性は、かなり高いと見ていいんじゃねえか、どうすんだよ? そろそろ頃合いなんじゃねえか?」
思案顔を浮かべるアレインに、ルッチが期待を込めて尋ねた。
「そうだな、明日、仕掛けるぞ。今のところレイス様からの連絡はないが、ここらが限界だ。必要な人員は追加で雇ってきた。そいつらと合せて、ざっと三十近くってところか」
アレインがオリン達を見やり、決断を下す。すると、ルッチがグッと拳を握りしめ、「よっしゃ!」とガッツポーズをとる。
「あの、別に危ないことはしないですよね? ……犯罪とか」
少し離れた位置で話を聞いていた雇われ冒険者のオリン達だったが、どこか物騒な話し合いに、代表のオリンがおずおずと脇から質問を投げかけた。
「あん? まあ、嫌なら抜けてもいいぜ。その分、報酬は差っ引かせてもらうがな」
当たり屋まがいの行為に加担しておいて、何を今さら――と思いながら、ルッチが薄ら笑いを浮かべる。
「……あ、明日の仕事を手伝えば、報酬に色を付けてもらえるんですか?」
「まあ、そうさな。お前らには色々と動き回ってもらったしな。手伝うなら、今までの報酬とは別に、さっきの金貨五枚をやるよ」
「ほ、本当ですか!?」
気前の良いルッチの提案に、オリン達が顔色を変えて食いつく。「やろうぜ、オリン」と、仲間の青年達が焚きつける。
アレインとルッチは顔を見合わせ、嘲笑を浮かべた。安いモラルだな、と。
それから、オリン達はすぐに明日の企てに参加する意思を表示した。そして、アレインとルッチがリオ達を襲う段取りを話し始める。
(ここまで、おおよそ春人の読み通り)
室内にいた不可視の少女は、無感情な表情で室内の談合を見つめていた。
◇ ◇ ◇
翌朝、リオ達は都市を出て、ガルアーク王国の国境に続く東の街道を進みだした。
天気は快晴。都市を出て峠から
とはいえ、ここから先は真っ直ぐ街道を歩くわけにはいかない。麓にある渓谷には砦を兼ねたベルトラム王国の関所が設置されており、出入国を管理しているからだ。
砦さえ越えてしまえば丘陵地帯が広がっている。街道沿いに背の低い丘や大きな岩がちらほらとあるため、見晴らしはそれほど良くはないが、簡単に街道を抜け出すことが可能だ。無論、見つかれば犯罪になるが。
砦がある辺りから一時間も歩けば、ベルトラム王国とガルアーク王国の国境を越えることができるだろう。
リオ達は途中で休憩するフリをして街道の人通りが途切れるのを待つと、おもむろに街道を抜け出し、脇に広がる山林に潜り込んだ。
(春人。そこから少し進んだ先に川が流れている。そこにかかる橋の付近で待ち伏せるみたい)
砦を迂回して山林を抜け出すと、交信可能な範囲内に入ったのか、アイシアから念話が届く。
(了解。昨日の報告通りだね)
アレインがこの辺りを拠点としている冒険者や傭兵を雇ったことや、襲撃の計画内容は、アイシアから確認済みだ。
(どうする? かなり遠回りになるけど、空から見た感じ、迂回することもできるよ?)
(いや、このまま進んで橋に向かうよ。迂回したところでそっちにはグリフォンがいるだろう? また別の個所に先回りされるだけだ。それに――)
(それに?)
リオが少し間を置くと、アイシアが訊いてきた。
(これ以上付きまとわれるのも面倒だ。ここらで相手から情報を吸い出しておこうと思う。連中の相手は俺が引き受けるから、アイシアは入れ替わりで霊体化したまま、先生達の護衛を頼めるかな? 万が一の事態に備えてね)
(……わかった。春人、気をつけてね)
(ああ、大丈夫だよ)
どこか心配そうなアイシアに、リオが気安く答えてみせる。
そこから、十数分ほど歩くと、件の川が見えてきた。橋を渡るべく、街道に近づいていく。
そして、橋が見えてくると――、
「皆さん、余計な会話をしている暇はないので、今から俺が言うことを黙って実行してください」
と、リオがおもむろに言った。
クリスティーナ達が何事かと耳を傾ける。
「あの橋の周りに何者かが待ち伏せています。敵ではない可能性もありますが、敵である可能性もある。なので、俺が合図を出したら、身体能力を強化して、あの橋を駆け抜けてください。何があっても決して足を止めないこと。いいですね? わかったら軽く咳払いをしてください」
リオが余計な問答を許さない物言いで命じる。すると、一同はおずおずと咳払いをし始めた。
「相手が追跡してくるようなら、俺が足止めを行います。その場合は今日の目的地で合流しましょう。イレギュラーがあった場合は、可能な限りお互いに三日を限度に待つことにして」
リオがしれっと指示を付け足す。一瞬、セリアが何か言いたそうな気配を見せたが、ヴァネッサに肩を掴まれ、グッと抑えた様子が伝わってきた。
そうこう会話をしている間に、橋は目前に迫っている。
そうして、橋に足を踏み入れた瞬間――、
「今です!」
と、リオが指示を出した。
すると、クリスティーナ達が一斉に呪文を詠唱し始め――、
「《
身体能力が強化されるや否や、一斉に走り出し、長さ十数メートルほどの橋を瞬く間に駆け抜けた。