1章 18話 刺客
森での生活は楽しかった。
シリルが聖女の力の使い方を教えてくれて。
リベルが狩りの仕方を教えてくれた。
精霊さんたちにも名前をつけた。一番大きな精霊さんが、ダイ。
真ん中の精霊さんが、レム。
一番小さい子が、コロン。
名前をつけたら3人とも喜んでくれた。
3人にはファルネ様を見守ってもらっている。
敵が来たら困るから。
聖女の力を解放するためにシリルがエルディアの聖樹様を紹介してくれた。
私はお話しできないけれどシリルはできるんだって。
エルディアの聖樹様に門?を開いてもらって私は聖女の力を使えるようになったの。
だから一杯練習頑張ったよ。
ファルネ様を守るために。
はやくファルネ様戻ってこないかな。
□■□
『リーゼ!リーゼ!見て見て!おっきい魚とれた!』
リベルが嬉しそうにお魚をもってきてくれる。
すごいすごい本当におっきい!!
『食べよう食べよう!あ、ちゃんと焼く。
またシリルに怒られる』
この間リベルがとってきてくれたお魚をそのまま食べてたらシリルに物凄く怒られた。
人間にはきせーちゅうが多すぎて生魚はダメだって。
『生きたまま焼く!これも美味しい!』
リベルが言って枝を口からさして火を用意する。
リベルは本当に詳しい。
美味しい料理の仕方をいっぱい知ってるの。
動物の皮をむいて綺麗に肉を取る方法。
食べられない部分をだしたり一杯教わった。
シリルが言うにはリベルはグルメさんなんだって。
ここまで料理をする聖獣は見たことないといっていた。
ほかの動物さんは生のまま食べるのが普通みたい。
きっとファルネ様が起きたらリベルは喜ぶと思う。
ファルネ様も料理が上手だから。
私もエルディアの聖樹様のおかげで身体を動かしても全然疲れなくなったから教わりたいな。
ファルネ様に喋り方も教わりたい。
身体の傷はシリルが治してくれた。
だから喉も治ったはずなのに私はしゃべれない。
シリルに喉は治したはずなのに喋れないのは、ずっと何年も喋らないから喋り方を忘れてるって言われちゃった。
夜中にこっそり練習して喋ってはいるのだけれど。
どうしてもうまくいかない。
ちゃんと喋れるようになりたいな。
そしたらファルネ様といっぱいお喋りできるのに。
『リベル。リーゼいるかい?』
シリルが慌てた様子で私達の所にきた。
どうしたの?ファルネ様起きた?
『あんたはそればっかだね。違うよ。
森の外部から侵入者がきた。
時々旅の途中でよる人間はいるけれどね。
森で何かを探している感じだ。
あの人数であの身のこなしは、恐らくあんたたちの追っ手だろう』
来た。ファルネ様殺しに来た。
悪い人悪い人。
もう嫌だ。ファルネ様が痛いことされるのも。
閉じ込められてご飯ももらえないのも。
だから倒そう。
悪い人は倒さないとまた虐められちゃう。
パトリシアみたいに殺されちゃうんだ。
だから人間は気を許したらだめ。殺さないとまた襲ってくるから。
人間はいいひとそうな顔をして近づいてきて、最後には私を虐めるって私はよく知っている。
叔母さん達や冒険者たちがそうだったように。
私が信じられるのはファルネ様だけ。
『リベルがリーゼ守る!悪人倒す!』
リベルが私を抱っこしてくれる。
モフモフしていて気持ちがいい。
うん。ありがとうリベル。
私も強くなったから大丈夫だよ。
シリルに木々を操る方法を教わって大分上手になったんだ。
私はファルネ様が大事にもってきた荷物のなかから植木鉢に植えてなかった聖樹の種さんをもちだした。
種さんは私のお願いを聞いてくれるから。
倒そう。ファルネ様を殺しにくる人間を。絶対に。