11.今後の計画
大変お待たせいたしました。
後書きに書籍に関するお知らせを載せています。
モグリッジ次期伯爵がチェルシーに対してどのようにズタボロにするか語ったあと、市場で周囲をキョロキョロと見回しているジェラルドに出会った。
「これはこれは超有能と名高きジェラルド様ではありませんか。いかがなさいましたか?」
モグリッジ次期伯爵は以前と同じようにジェラルドへと声を掛けた。
ただし以前とは違って、モグリッジ次期伯爵は商人風の服装ではなく、襟元に飾りのついた貴族らしい服装をしていた。
冷静であれば、服装の違いからモグリッジ次期伯爵に対して違和感を覚えたかもしれないが、この時のジェラルドは焦っていたため、何も気づかなかった。
「お前の婚約者はまったく、こちらの言うことを聞かないぞ!」
「どういうことでございますか?」
ジェラルドが考えた周囲に迷惑をかける種……魔物を大量におびき寄せる種を、チェルシーが作ろうとしないという話をモグリッジ次期伯爵に伝えた。
「普通の種も生み出さないのですか?」
モグリッジ次期伯爵がそう問えば、ジェラルドは首を横に振った。
「普通の種を生み出させたことないから、それはわからないな……」
「そうであれば、簡単です。『本当は種なぞ生み出せないのだろう』と焚きつけて、普通の種を生み出させればいいのです」
「……普通の種を生み出させてどうしろと?」
ジェラルドが首を傾げれば、モグリッジ次期伯爵はニタァという笑みを浮かべた。
「それと別の種を差し替えればいいのです。そして、別の種を畑に植えれば……」
「なるほど……! 別の種を植えることで騒動を起こせばいいと……!」
「超有能と名高いジェラルド様であれば、簡単な話でございましょう?」
モグリッジ次期伯爵の言葉にジェラルドはニヤッとした笑みを浮かべ、軽く頷いた。
「ボクは早く愛しい婚約者と結婚したいのです。あなた様しか頼れません。どうかよろしくお願いします」
「ああ、大船に乗ったつもりで任せるがいい」
そう言うとジェラルドは王立研究所へ向かって歩き出した。
そんな二人の会話をグレンが放った隠密が近くで聞いていたけれど、全く気付かれることはなかった……。
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休み明けの午前中、わたしはグレン様と一緒にいつもの魔力の総量を増やすためのお茶会をしていた。
グレン様と過ごすこの時間は、国王陛下の許しにより行われているため、誰にも邪魔されない。
つまり、ジェラルド様はやってこない。
「どうやら、ジェラルドの背後には、モグリッジ伯爵の令息がいるみたいなんだ」
グレン様の言葉に、わたしはビクッと身をすくませた。
あの気持ち悪い発言をする人が背後にいて、ジェラルド様がわたしに種を生み出させようとしている……。
つまり、ジェラルド様はわたしを陥れて、研究所から追い出そうとしているってこと。
そして、追い出されたあとは、モグリッジ次期伯爵様が……うぅ、気持ち悪いから考えないでおこう……。
「今のうちにジェラルドを止めたとしても、モグリッジ伯爵の令息が捕まらなければ、第二第三のジェラルドが送り込まれるだろう。だから、泳がせてきっちり背後まで捕まえようと思うんだ」
わたしはグレン様の言葉にコクリと頷いた。
王立研究所へ戻ってくるまでの間は耐えられたけど、さすがにそろそろ限界を感じている。
特にこの間の発言は、思い出すだけでブルブルと震えそうになる……。
「というわけで、チェルシーには一つ、協力をお願いしたいんだけど、どうかな?」
「わたしにできることであれば、やります。でも、その……モグリッジ次期伯爵様と会うのはできれば、避けたいです……」
「そこは大丈夫だよ。先日、モグリッジ伯爵の令息が来て、何をして、何を発言したかは詳細な記録を残してあるから……。絶対に、チェルシーには近づけないよ」
「それならば、がんばります!」
わたしはホッとしつつ、両手の拳をぐっと握って見せた。
「これはすでに陛下にも話を通してあることなんだけどね……」
グレン様はそう前置きすると、今後の計画について話してくれた。
翌日、王弟殿下がしばらく王都から離れるというウワサが流れた。
いつもお読みいただきありがとうございます!
4/25にオーバーラップノベルスfという新しいレーベルから、
「二度と家には帰りません!」とタイトル短くなって発売されます!
新型コロナの影響であちこちの書店が休業していますが
e-honさんなどを利用して、ご購入していただけるとモチベにつながるので
ぜひ、よろしくお願いします!
また、小説版よりも先行してコミックガルドでコミック版が連載しています。
こちらは無料で読めます。
他に特設サイトがあったり、特典情報があるみたいです。
詳しいことは、活動報告にまとめておきますので、そちらをご覧くださいませ。
たぶん明日か明後日、続きを更新すると思います。
ひきつづき、よろしくお願いします!