真夜中の五分前

『真夜中の五分前』が公開になる行定勲監督

フォトギャラリー

※ 各画像をクリックすると拡大表示されます。

本作は、上海で時計修理士のリョウと美しい双子の姉妹ルーメイとルオランの物語を、ミステリアスな展開を交えて描いている。本作の撮影は2013年に行われたが、企画は『世界の中心で、愛をさけぶ』が公開されたすぐ後から始まっていたという。「脚本を作ったんですけどプロデューサー・サイドと監督サイドの方向性が違ったりして、日本映画界の枠組みの中ではうまく着地しなかったんです。それから脚本家とことあるごとに『あれはなぜ着地しなかったんだろう？』って話をしていたんですね。一歩足りなかった。その一歩は何だったんだろう？と」。以降も企画は少しずつ形を変えながら監督の中で生き続けていた。

転機が訪れたのは3年ほど前。「今の日本映画界が求めているのは、もっと明快でわかりやすいものですよね。でも僕が求めているのはもっと曖昧なものだったりするから、アジアに視野を広げてみようと思ったんです。そこで釜山映画祭の企画マーケットに企画を出して、いろんな流れの中で上海のプロデューサーたちに出会ったんです」。行定監督は助監督時代からアジアの映画人と交流があり、『春の雪』では台湾の名撮影監督リー・ピンビンとタッグを組むなど、日本の映画界にとらわれることなく活動を続けてきた歴史がある。

しかし、監督はあくまで“自分の情緒”を崩すことなく製作にあたったという。「かつて、リー・ピンビンさんに“越境”することで自分の幅が広がるし、その中で自分のもっているものを100パーセント出せばいいんだって言われたんです。韓国で『Kamome』を撮ったときもソル・ギョングに『あなたの情緒は変えないでくれ。そうでないと特別な映画にはならない』って言われて、それが僕の礎になっているので、今回も日本人の情緒で中国の日常を描き、俳優がそれを理解した上で中国人としてのアイデンティティをもって演じてくれれば、それらが融合された映画になると思ったんです。だから中国や台湾で公開されたときには『どこからどう見ても中国映画なのに、日本映画のように感じる不思議な映画だ』って言われて、それはすごくうれしかったし、不思議な感じがしましたね」。

さらに監督は「中国で撮影することで、余計なものがそぎ落とされて、自分の根本に向き合うしかない、と思った」と振り返る。「僕はいつも“退屈な日常”が好きで、そこからほんの少しだけ寄り道したときに人生を学ぶんだと思うんです。うまいこと言ってたり、人生の真理を言い当てるような映画は偶発的にしか作れないわけで、それとは別に“永遠に続いていてほしい映画”ってあるじゃないですか。そういう映画があるといいなと思う」。『ひまわり』『贅沢な骨』『きょうのできごと』『セブンス アニバーサリー』『パレード』……何げない日常を、徹底的に演出した俳優によって描き出していく行定作品の魅力は、海外を舞台にした本作でも損なわれることがない。『真夜中の五分前』は、行定作品を観続けてきたファンを魅了し、様々な国で新たな観客と出会える作品になっている。

『真夜中の五分前』
12月27日(土) 全国ロードショー

【関連リンク】
『真夜中の五分前』作品情報

【チケット情報】
真夜中の五分前／全国券

【注目のニュース】
井ノ原快彦、息子を演じた道枝駿佑の成長に驚き「めちゃくちゃ背が伸びた」
アン・ハサウェイが魔女を演じる新境地　映画『魔女がいっぱい』公開日が12月4日に決定
ビルとテッドが29年ぶりに帰ってきた！　キヌア・リーブス主演『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え！』12月公開決定
菅田将暉×有村架純の“奇跡のような5年間”　『花束みたいな恋をした』本予告公開、Awesome City Clubの出演も
深川麻衣がカメラマン役で100人の遺影写真を撮影　映画『おもいで写眞』2021年1月29日公開決定
『バイオハザード』『ゴジラ』『テルマエ・ロマエ』……Netflix、2021年は怒涛のアニメリリース
Netflixが『Concrete Cowboy』を世界配信
NiziUのデビューまでに密着した新番組がHuluで独占配信　セルフカメラ映像など素顔満載の内容に
北村匠海×伊藤健太郎、10代以来の共演でDJ対決　『とんかつDJアゲ太郎』メイキング映像公開
『10万分の1』ムビチケ第2弾特典は白濱亜嵐の剣道着姿を収めたマスクケース