種苗法の一部を改正する法律案について
種苗法改正案について江藤農林水産大臣記者会見(令和2年5月19日)
種苗法の一部を改正する法律案
関連資料
● 種苗制度をめぐる現状と課題~種苗法改正法案の趣旨とその背景~(PDF : 1,263KB)
各都道府県において、主に栽培されている品種をまとめましたので、上記からご覧下さい。
登録品種を調べるときはこちらをご覧下さい。⇒ 農林水産省品種登録ホームページ[外部リンク]
●一般品種と登録品種について
種苗法において保護される品種は、新たに開発され、種苗法で登録された品種に限られ、それ以外の一般品種の利用は何ら制限されません。
*一般品種とは、在来種、品種登録されたことがない品種、品種登録期間が切れた品種です。
よくある質問
なぜ種苗法を改正するのですか。
農業者の皆様に、優良な品種を持続的に利用してもらうためです。
日本で開発されたブドウやイチゴなどの優良品種が海外に流出し、第三国に輸出・産地化される事例があります。また、農業者が増殖したサクランボ品種が無断でオーストラリアの農家に譲渡され、産地化された事例もあります。このようなことにより、国内で品種開発が滞ることも懸念されるので、より実効的に新品種を保護する法改正が必要と考えています。
種苗法の改正は種苗会社のために行うのですか。
我が国の新品種は、種苗会社のみならず、都道府県の公設試験場、農研機構、また個人の品種開発者等によって開発されています。
種苗法の改正によって優良な新品種の流出を抑止することは、産地づくりを進める都道府県や高付加価値の農作物を出荷する産地の農業者におおきなメリットとなります。
また、品種の保護が強化されることで、品種開発が進むので、従来から利用してきた一般品種に加え、登録品種が選択肢として加わることとなりますので、農業者の品種の選択の幅が広がります。
自家増殖は一律禁止になりますか。
自家増殖は一律禁止になりません。
現在利用されているほとんどの品種は一般品種であり、今後も自由に自家増殖ができます。
改正法案で、自家増殖に許諾が必要となるのは、国や県の試験場などが年月と費用をかけて開発し、登録された登録品種のみです。そのような登録品種でも許諾を受ければ自家増殖ができます。
なぜ登録品種の自家増殖を許諾制にするのですか。
過去に自家増殖を行っていた農業者から登録品種が流出した事例が発生しています。
これを防ぐには、育成者権者が登録品種の増殖実態を把握し、種苗の適切な流通管理をできるようにする必要があります。
このため、登録品種の海外持出を制限する規定を設ける改正とあわせて、登録品種の自家増殖について育成者権者の許諾に基づいて行うこととしています。
農業者が今まで使っていた品種が品種登録され、許諾料を払うことになりませんか。
在来種(地域の伝統品種)を含め、農業者が今まで利用していた一般品種は今後とも許諾も許諾料も必要ありません。
一般品種を新たに登録することはできません。仮に一般品種と知りながら、品種登録した場合には、種苗法第68条(詐欺の行為の罪)により罰せられる可能性があります。
自家増殖に許諾が必要となると、農家の生産コストや事務負担が増えて営農に支障が出ませんか。
現在利用されているほとんどの品種は一般品種であり、許諾も許諾料も必要ありません。
自家増殖に許諾が必要となるのは、国や県の試験場などが年月と費用をかけて開発し登録された登録品種のみです。新品種は農業者に利用してもらわなければ意味がないので、農業者の利用が進まない許諾料となることは考えられません。なお、登録品種の自家増殖の許諾手続きは、農業者の事務負担が増えないように、団体がまとめて受けることもできます。
利用できる品種が限定されてしまうのではないですか。
種苗法及び種苗法改正法案は、新しい品種を開発し、農林水産省に登録した新品種を知的財産として保護する法律であり、農業者に特定の品種の利用を強いたり、品種の選択を制限するようなことはありません。
今回の法改正で、家庭菜園(販売、譲渡を行わない場合)での利用に影響はありますか。
今回の法改正は、自家消費を目的とする家庭菜園や趣味としての利用に影響はありません。
優良品種の海外流出を防止するには、海外で品種登録するしか方法がないのではないですか。
農林水産省では品種流出のリスクが高い国における品種登録を支援し、海外での無断栽培の防止等を図ってきました。
一方で、現在の種苗法では、登録品種であっても正規に購入した種苗であれば、購入者が海外に持ち出すことは合法で、止めることはできません。
このため、海外での品種登録に加え、国内法でも登録品種の海外への持ち出しについてきちんと対応できるようにする必要があります。
(参考1)海外への品種登録出願や育成者権侵害対策の支援(リンク)(PDF : 901KB)
海外の多国籍企業による種子の支配が進むのではないですか。
我が国では公的機関や国内の種苗会社が、海外の多国籍企業が開発できない日本の風土に適合した優良な品種を開発していて、競争力が圧倒的に高いため、種苗法が改正されたとしても海外企業による種子の支配を心配する必要はありません。
むしろ、今後も国内での品種開発がしっかり進められるように、新品種の権利を守る制度の整備が必要です。
遺伝子組換え作物の栽培が拡大したり、安全性に問題のある農薬の利用が広がるのではありませんか。
種苗法及び種苗法改正法案は、新しい品種を開発し、農林水産省に登録した新品種を知的財産として保護する法律であり、遺伝子組換え作物の品種の利用を促進することはありません。
遺伝子組換えについては、「カルタヘナ法」、「食品表示法」及び「食品衛生法」に基づいて、農薬については「農薬取締法」に基づいて、適切な規制が別途行われており、種苗法の改正とは関係ありません。
在来種を自家増殖している農業者が近隣の登録品種の花粉が交雑した種を採った場合でも、登録品種の権利者から訴えられるようになるのですか。
種苗法及び種苗法改正法案で登録品種に権利が及ぶのは、登録品種とすべての特性が同じ場合です。農業者が栽培している在来種に登録品種の花粉が交雑して採れる種は、一般に登録品種と全ての特性が同じにはならないため、登録品種の権利は及びません。
いちごの苗を自らで増殖することができなくなるのですか。
いちごは、農業者が増殖用の親株を購入し、それをさらに増殖(自家増殖ではない)した上で栽培される場合があります。登録品種であれば、このような増殖は現在も許諾に基づいて行われており、現行法でも種苗法の改正法案でも考え方は変わりません。
*通常、登録品種の増殖用の親株は、農業者が自分で栽培するための増殖が許諾された種苗として販売されています。
(参考2)いちごの増殖と自家増殖の考え方(PDF : 374KB)
知り合いの農業者が増殖したさつまいもの苗を譲ってもらうことはできなくなるのですか。
さつまいもは、農業者が増殖用の種いもを購入し、種いもから「つる苗」を採って増殖(自家増殖ではない)した上で栽培される場合があります。
登録品種であれば、このような増殖は現在も許諾を受けて行われています。また、農業者が自分で増殖した登録品種のつる苗を譲渡することは、現行法でも許諾が必要な行為ですのでご注意ください。このことは、現行法でも種苗法の改正法案でも考え方は変わりません。
*通常、登録品種の増殖用の種いもは、農業者が自分で栽培するための増殖が許諾された種苗として販売されています。
(参考3)さつまいもの増殖と自家増殖の考え方(PDF : 411KB)
質問と回答の印刷はこちら⇒ 種苗法に関するよくある質問(印刷版)(PDF : 906KB)
お問合せ先
食料産業局知的財産課
担当者:種苗室種苗企画班
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