男の子育児で「やめたほうがいい」と思うこと

 男の子を育てていると、ふるまいが乱暴だったり落ち着かない、大人が言うことをまったく聞かない、注意力散漫でしょっちゅう忘れ物をする、とにかく騒々しい......といった悩みを多くの親が口にします。いわゆる「男の子あるある」ですね。

「#アホ男子母死亡かるた」というハッシュタグでネット検索すると、男子の子育てに苦労する母親たちの叫びや嘆きがコミカルに投稿されています。たとえば「【し】宿題は毎朝起きてやるもの」「【べ】弁当箱を持って帰らない」「【ほ】ポケットにいつもどんぐり」など。 

読むと、あまりの「あるある!」ぶりに笑ってしまいますし、うんうんと頷き「こんなこと恥ずかしすぎて誰にも言えないと思っていたけど、よその家でもそうなんだ」と、ささやかな安心感を得ることはあります。一種の自虐ネタのようなノリで、子育てのほほえましい話題で盛り上がれるテーマであることは否定しません。ただ、気になることがふたつあります。

ひとつめは、ほんとうに「男子あるある」なのかということ。実は性別関係なく、「子どもあるある」なのではないか? という疑問です。私自身、子ども時代はよく弁当箱を学校に忘 れていましたし、学校の準備をきちんと前日にやるような子どもでもありませんでした。

「男の子」「女の子」違いは大人の思い込みの可能性も。photo by iStock

「女の子のほうが精神的成長が早くて、同年齢の男の子よりも大人びている」というのは子育てでよく聞く言説です。大きな傾向としては、そういうこともあるのかもしません。

ですが、そういう言説が世間一般にあるから、女の子のおしゃまな行動を見ると「やっぱり女の子は大人びてるね」と、もともと知っている言説の実例として捉え、その思い込みが強化される、という、逆の因果関係もありえそうな気がします。

女の子を育てているママ友からは、「女の子だって乱暴だしバカなこともいろいろするよ。 毎日叱ってばかりだよ......」とも聞きます。同じような行動でも、男の子がすると「ほんっとに男子はバカだよねー」と笑われるのに、女の子だと「女の子でもこういうことするんただね、おもしろいねー」と大人が反応してしまっている、ということはないでしょうか。

幼くて笑ってしまうような子どもの行動に対して、性別によって周囲の受けとめ方が違うというのは果たして好ましいのかということに、大人は注意したほうがいい気がします。言葉ではっきり「女の子がそんなことするなんて行儀が悪いよ!」とまで言わなくても、無自覚のうちに一定方向に誘導するような言動を大人自身がしているかもしれません。

大人のそういう受けとめをわかっているから、女の子のほうが早く大人びた態度をとりはじめる、ということもあるのではないかという気もします。「男子あるある」的な行動も同じように、大人の態度と男子の行動のどちらが先か、ニワトリと卵問題のようなものでもある可能性はないでしょうか。