Amazonジェンダー部門ランキング上位をキープし続け、SNSでも話題になっている、男の子の性教育本をご存じだろうか。弁護士の太田啓子さんが上梓した『これからの男の子たちへ~「男らしさ」から自由になるためのレッスン』である。

太田さんは、弁護士として活躍する一方、私生活ではシングルマザーとして小学校6年生と3年生の二人の男の子を育てている。本書はその「男の子の子育て」の過程で太田さんが感じた男らしさに対する違和感を発端に執筆された。

「男の子たちへ」というタイトルながら、女の子を持つ親が読んでもためになり、子どもの将来を思うすべての親に一読してほしい作品だ。今回は刊行を記念して書籍から一部抜粋、再編成し、掲載する。

「男だから」というジェンダーバイアス

私は2人の息子を育てるなかで「男の子の育ち方」に関心をもつようになりました。 
日頃から「女らしさ」「男らしさ」をわが子に押しつけるようなことはしたくないと思っているので、息子を褒めるにしても叱るにしても、「さすが男の子だね」「男らしいね」とか「男の子なのにそんなの恥ずかしいでしょ」といった言い方をしたことは一回もありません。

何かにつけて、すぐにわんわん泣く息子に「泣くのはやめなさい」と言うことはありますが、 そのときは「泣くだけでは相手に伝わりません。何が悲しいのか、言葉にして言ってごらん」「少し落ち着いて考えてみてごらん。そんなに泣くほど大変なことかな。泣く前にできることがあるんじゃないかな」などと言っています。 

そういうことの甲斐があってなのか、現時点では、息子たちが「僕は男の子だからね」という言い方で何かを誇らしげに語ったり、友達のことを「男らしくない」と悪口を言ったりすることはありません。

周囲からの「男の子だから○○」という刷り込みも多い。photo by iStock

しかしやっぱり、男の子たちの日常は、ジェンダーバイアスのうっすらとした膜に囲まれているかのようです。