<ユースク> 新車ライト、まぶしすぎない?
2020年10月26日 05時00分 (10月26日 05時00分更新)
「最近の車のヘッドライトがまぶしすぎる。何台か反対車線ですれ違うが、遠くからでもまぶしすぎて目が痛い。今の新車は、すべてライトがまぶしいのですか?」(愛知県新城市、50代女性)
読者からのこんなLINEメッセージを一読したユースク取材班の50代、男性デスクは「確かに最近、対向車のヘッドライトがやたらまぶしい気がする」とつぶやきました。言われてみれば記者も思い当たることがあったような…。論より証拠。早速、実験してみました。 (石井宏樹)
※実験動画はこちら
▼日産・エクストレイル
2007年製のスポーツタイプ多目的車(SUV)。ヘッドライトはハロゲンランプを使っている。取材班、奥田哲平記者の愛車。
▼トヨタ・ハリアー
今年発売されたSUV。ライトは発光ダイオード(LED)で、ハイとローの切り替えなどを自動で調整する機能を備えている。トヨタ自動車の最新の広報車を借用した。
LED「ハイ」で明白
中日新聞名古屋本社の駐車場で2台を並べ、20メートル先の対向車の位置からライトの光を比較。ローでは違いを感じないが、ハイにするとハリアーのライトは直視できないほどまぶしく、数秒間、見続けると目に光の残像が残った。
逆にそれぞれの車内から見ると、LEDは照射範囲が広く、ハロゲンに比べ、路面に何があるのかはっきり視認できる。
対向車へ思いやりを
ハリアーの自動調整モード「アダプティブハイビーム」を体感してみた。夜間、明かりの少ない自動車道として「猿投グリーンロード」(愛知県豊田市)を制限速度で走行。前方車がいるとローだが、離れると自動でハイになり、遠くまで見渡せる。標識なども見やすく照らしてくれた。
肝心の対向車からはどう見えるのか。見晴らしの良い直線エリアを選び、他に車がいないことを確認した上で、奥田記者のエクストレイルとすれ違ってみた。「向こうに明かりが見えて、『このままじゃまぶしいかも』と思ったぐらいでパッと光が切り替わった。すれ違う際はまったくまぶしくなかった」(奥田記者)という。
ただ、反射材がついた看板やポールを車と誤認し、勝手にライトが切り替わるなど気になるところもあった。トヨタ自動車によると悪天候などで正常に作動しない場合もあり、過信せず、状況に応じて手動に切り替えることも必要だ。
光度上限2倍に
新車を中心にヘッドライトがまぶしくなっているのは確かだ。
車検に通る自動車の安全基準で、ハイビーム時の光度の上限は以前、22万5000カンデラ(1カンデラはろうそく1本の光に相当)だったが、2009年に30万カンデラ、11年に43万カンデラに引き上げられた。国土交通省の担当者は「技術の進化と視認性向上のため、だんだん明るくなっている」と説明した。
さらにハイビームを使う機会も増えている。警察庁は17年、事故防止のため、交通の教則を改正。夜間は遠くまで見通せるハイの使用を明文化した。対向車や前方車がいる場合はローへの切り替えを推奨しているが、交通事故を分析する自動車工学研究所(名古屋市)の牧野隆所長は「高齢者を中心にライトの切り替えを怠るケースが多い」と指摘。「他車の迷惑にならないよう、自車のライトの状態をしっかり把握することが事故を防ぐ第一歩だ」と話していた。
※「ヘッドライトまぶしい」問題に限らず、あおり運転被害など事故につながりかねない交通に関する体験談をお寄せください。
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