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（ユリカ）兄さん　厳しかこと言ったんでしょう。古山さん３日間　ず～っと籠もりっ放しです。
（永田）自分を見つめても見つからんのだがな…。
あそこに。
（ユリカ）分かりました。　お連れしますけん。
（裕一）ここは？
原爆投下直後　兄が治療をした場所です。
抜きます…　抜きますよ！　抜きますよ！
ああ～！　ハァハァ…。
消毒とガーゼ　もっと持ってきてくれ！
はい！
どこへ寝かせればよかですか！？そこ…　そこへ！
押さえとってくれ！
大丈夫ですからね！我慢しとってよ。
あ～　いてえ！　ああ～！
我慢しとってよ…。ああ～！
母が亡くなった悲しみなどみじんも見せんで…。
あの時の兄の気迫は　すさまじかったです。
その壁の裏をご覧下さい。
♪～
　回想　（永田）私は…　こう　答えました。落ちろ…　落ちろ…　どん底まで落ちろ。
（ケン）かてえよ。　煮過ぎだ。
（智彦）フフッ…　最初だから許せよ。
まあ…　味はいい。
もう少しで　ラーメン作らせてもらえるかもしれねえぞ。
どうした？
俺…ラーメン屋　辞める。
フフッ…　たまには顔出すから。
（吟）お帰りなさい。
ただいま。
あなた　話が…。就職が決まった。
同期の松川の家が大きな貿易会社なんだ。
新しい部署を作るからお前に任せたいって。
誘ってくれた。えっ？
心配かけたな。
（鐘の音）
ふわっと…。
何色？赤！はい　赤。
鐘の音に釣られて　来てしまいました。あっ…　もう面倒な兄で　すみません。
いえいえ…。さっさと答え　教えてくれればよかとに。
あの…　鐘は２つあったんですよね？
はい。
小さい鐘は粉々でしたけんがれきの中から大きな鐘が…しかも　無傷で見つかった時は信じられませんでした。
いくぞ～！　せ～の　引っ張れ～！
（ユリカ）家も　愛する人も何もかも失った人たちが何かにすがるように必死に鐘を掘り起こしました。
引っ張れ～！
そして…その年のクリスマスに初めて鐘を鳴らしました。
（鐘の音）
（ユリカ）焦土と化した長崎の町に鐘の音が　再び響き渡ったとです。
（鐘の音）
あの時の感動は…　一生忘れません。
鐘の音が…私たちに　生きる勇気を与えてくれました。
はいよ。　頑張れ　頑張れ…。
こっち…　赤も…。ピンク。
青　ある？　はい　ピンク　ピンク。
あっ　ピンク　ピンク。きれい…。
少々お待ち　少々お待ち…　はいはい。
うわ～　きれい。　花びら　きれい。
そっか…。
そっか…。
ようやく気付きました。
ありがとうございます。
早く兄のところへ。長崎の人たちは先生の曲を待っとります。
はい！
♪～
希望ですか？
神の存在を問うた若者のように「なぜ？」「どうして？」と自分の身を振り返っとるうちは希望は持てません。
どん底まで落ちて　大地を踏み締め共に頑張れる仲間がいて初めて　真の希望は生まれるとです。
その希望こそ…この国の未来をつくると私は　信じています。
僕も…　僕も　その若者のように自分のことになっていました。
あなたは　戦争中…人々を応援しとった。
戦争が終わった今あなたにできることは…　何ですか？
変わりません。応援する歌を作り続けます。
希望を持って　頑張る人にエールを送ってくれんですか。
はい！
永田さん…　本当にありがとうございました！
♪～
（汽笛）
裕一は　一気に曲を書き上げました。
捕虜の経験もあるあなたにこの歌を歌ってほしいです。
山藤は　歌手で唯一南方の最前線まで慰問した男でした。
♪～
（山藤）♪「こよなく晴れた　青空を」
♪「悲しと思う　せつなさよ」
♪「うねりの波の　人の世に」
♪「はかなく生きる　野の花よ」
♪「なぐさめ　はげまし　長崎の」
♪「あゝ　長崎の鐘が鳴る」
♪～
「長崎の鐘」は　人々の心を打ち裕一の代表曲となりました。
（レコード）♪「あゝ　長崎の鐘が鳴る」
♪～
（音）裕一さんの思い　伝わりましたね。
本当に…　長い間　心配かけたね。
智彦さんも就職決まったし豊橋も復興のめどが立ったし…。
えっ？　グローブ作り　始められるの？
お母さん　銀行で　かましたみたいで…。
（光子）これからは野球。野球が　戦後の日本を元気にします！
融資してくれますよね？
フフフ…　目に浮かぶ。
でしょう？ハハハハハ…。
行ってらっしゃい。
行ってきます。
（松川）びっくりしたか？ああ…。
反対もあったんだけどな将校には将校にふさわしい待遇がある。
座ってくれ。
戦争では負けたが今度は経済で　世界を見返してやるんだ。
頼むぞ！