「バルトの庭」で市民ガイド(写真手前)の解説に耳を傾ける観光客=鳴門市大麻町桧

 鳴門市大麻町桧にある映画「バルトの楽園」のロケ村「阿波大正浪漫バルトの庭」がゴールデンウイーク最終日の6日、幕を下ろした。県内外から約100人の観光客が訪れ、閉園を惜しんだ。
 観光客は午前9時半の営業開始から続々と来場。終了時間の午後4時半が近づいても客足が途切れず、30分遅れでスタッフが静かに入場門を閉じた。東大阪市から家族4人で訪れた主婦田邉利嘉さん(38)は閉園を知り「ガイドが親切で建物の雰囲気も良かった。周囲に勧めようと思ったのに」と残念がった。

 運営団体のNPO法人「ドイツ村(BANDOロケ村)保存会」によると、閉園が明らかになって以降の3~6日の入場者は約450人と、前年同期より約50人増えた。

 「バルトの楽園」は第1次世界大戦中、鳴門市にあった板東俘虜収容所を舞台にした作品で2006年に公開された。バルトの庭は10年4月、大麻町板東にあった旧ロケ村を移転してオープンした。施設の建設や運営に中心的に携わってきた地権者が「地域活性化に一定の役割を果たした」と保存会に閉園を申し入れていた。

 施設を解体するかどうかは決まっておらず、保存会の林宏明理事長は「なんとか復活できないか、地域や行政を交えて考えたい」と話した。