テレワーク時代のリーダーとしての行動について、アデコさんから取材を受けました。
よろしければご覧ください。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
ジョブ型人事制度構築へのご相談が増えています。
ただ、メンバーシップ型とジョブ型の違いが今一つ理解されていないので、簡単な説明としてドラゴンボールとワンピースを例に挙げて説明するようにしています。
その一部を今回ご紹介してみます。
ポイントはいくつかありますが、「新しい困難に立ち向かう」ことになったときの対応がその一つです。
それぞれの漫画ではどんな選択をするのかを振り返ってみましょう。
たとえばドラゴンボールでは、今の仲間たちが訓練をして強くなろうとします。
精神と時の部屋で長時間修行するなどですね。あるいは個々の個性を残した状態で新しい力を得ようとする、ピッコロ大魔王と神の融合や、フュージョンなどもその一環です。
一方でワンピースでは、新しい仲間を集めます。
剣士としてゾロ。調理師としてサンジ。航海士としてナミ、などなど。
また、自組織内だけでなく、組織外にも仲間を増やしていきます。最悪の世代と言われる面々がその代表でしょうか。
新しい困難に立ち向かうとき、今いる人たちでなんとかしようとするのがメンバーシップ型であり、不足を新しい仲間で補おうとするのがジョブ型といえます。
このような違いはなぜ生まれるのでしょう。
2つ理由を考えてみます。
第一の違いは、求める人材のタイプです。
強さを数値化してみることができる、ARグラスのような道具です。
ここで測られる数値は戦闘力=「能力」に他なりません。
シンプルに高い能力を持つ人材が求められるため、今いる人を育てることが望ましいという結論になりやすい。
一方でワンピースでは懸賞金という物差しがあります。
より大きな事件を起こすことで懸賞金額が上がっていきますが、それは能力とは必ずしも関係しません。すなわち影響度=「結果」をを図る数値なわけです。
大きな結果を出すためには、組織力やその中での役割が重要になります。
だからどんな役割が求められるかがまず定められ、それに適した人材を探すようになります。
第二の違いはゴールとプロセスの違いです。
ドラゴンボールのゴールは敵を打ち倒すことで得られる平和です。
その一方でワンピースは、タイトルのとおり「ワンピース(ひとつなぎの財宝)」を得ることです。
しかしその「ワンピース」がなんなのかはよくわかっていません。
ドラゴンボールがめざすゴールに至るプロセスは、単純に敵を倒すことです。
しかしワンピースが目指すゴールに至るには、どんなプロセスを経るのかがわかりません。
どちらの漫画も傑作であり名作ですが、この2つの視点で見る限り以下のことがわかります。
シンプルなプロセスを経てゴールにたどり着くためにはメンバーシップ型が適している。
ゴールはあるがプロセスがあいまいな場合には多様な仲間を集めるジョブ型が適している。
さて、会社に置き換えてみると、面白い示唆がありそうです。
皆さんの会社でメンバーシップ型、ジョブ型を論じる前に、まずゴールとプロセスがどうなっているのかを考えてみてはいかがでしょうか。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)