・IF設定が更に独自の進化を遂げた世界を舞台にお送りしております。
・キャラ崩壊注意です。
・原作オバロ、くがね先生の文体を完全に無視しております。【アンチ・ヘイト】のつもりで書いていませんが、そんなの無理という方はバックしてください。
以上を踏まえた上でお読み下さい。
これわこれわ、お忙しい身でございましょうに、出し抜けに現れたわたくしのお話を聞いてくださるとわ、恐悦至極。
あなた様もデミウルゴス様ほどでわありませんが、随分に慈悲深いおかたでございます。というのもですね、既に知っておいででしょうが、わたくしわ、現在、件の
この身に余る光栄を全うするためにも、是非ご意見を伺いたいとお声をかけさせていただきました。これもまたご存じと思いますが、わたくしわナザリックに属する皆全てをしあわせにすることわもちろんのこと、属さない者すべてを笑顔にしたいのです。それがわたしの願いであり存在証明なのです。
以前わたくしわ、ナザリックに属さない者……アインズ様の御威光を理解できない哀れな者が、強制されても幸せになることなど出来ない。そう考えていたのです。アインズ様に仕える以上の幸せなどこの世に存在しようはずがありませんが、価値観の違いとわあるものです。わたくしわそれを肯定します。
そうそう、価値観の違いで思い出しましたが牧場の羊たちも、飢えに苦しむと、同族だろうが平気で食べる羊と、頑なに食べない羊に分かれることが多くあります。
前に思考が極端な二匹を厩舎から出して、どちらの言い分が正しいのか、他の羊たちが見守る中、争わせた事がございます。盛大に脆弱な蹄を振るい語り合っておりましたが、生き残ったのわ食べて体力をつけた羊でありました。
勝った羊わ自分の意見が正しかったのだと幸せになったことでしょう。
力でわ負けた羊も結果的に暴力でしか相手をねじ伏せられない羊を蔑み、幸せな気持ちになったことでしょう。
おっと話が逸れました。わたくしわ、例えどれほど荒唐無稽であろうと、どのような価値観も尊重し、全ての人を幸せにしたいと考え行動しているのです。
……そんなわたしを嘲笑うように突如として現れた彼女に、わたくしわ驚いた次第です。至高なる41人の御方々に並ぶほど慈悲深きデミウルゴス様でさえ一目を置く彼女の存在。
勿体ぶる必要もありませんね、伝道師ネイア・バラハです。
とある日、欠けた羊の調達がてら、ローブル聖王国へピクニックへ行った際、彼女の演説を耳にしてわたくしわ衝撃を受けました。
広がるのわ黙示録的な幻影。
耳朶を打つ者全てが我を忘れ熱狂し、その勢いわ水が噴き出し、天空に達するが如し。
道化師と伝道師、立場わ違えど【場を沸かせ、熱狂させる】というその能力わ、御方々より創造されたるわたくしの力さえ凌駕し、羨望と嫉妬を覚える本物で御座いました!
全ての存在がアインズ様の御威光と叡智・御慈悲を理解し、そして仕え尽くす。これわ〝多くの者〟を幸せに出来るでしょう!! 素晴らしい! なんと素晴らしい光景であるか!
ですが!素晴らしいだけに、一つ。たった一つだけ、欠点があるのです!
そう!彼女わ〝多くの者〟を幸せにすることわ出来ますが、〝全ての者〟を幸せに出来ません。
彼女の説法にわ慈悲深さが足りないのです! 〝力が無い者は悪であり、弱きを脱さぬ努力をしない者は更なる悪〟。正しく道理ですが、過酷な現実だけを突きつけても生物わ幸せ……決して笑顔にわなれないのです!
彼女に足りない部分わ、わたくしが埋められます。道化師たるわたくしだからこそ埋められます。きっと彼女でしたらわたくしの皆を笑わせたいという考えも理解して、より皆が笑顔になれる素敵な世界が出来上がるのです!
彼女の〝弱者であることは悪〟である考えと、わたくしの〝弱者にも笑顔を与える〟考え。相反する様にもおもえるかもしれません。しかし、だからこそ完璧なものとなるでしょう。
いくら彼女が説こうと、弱き者わ弱いままなのです。彼女の考えわ弱者を切り捨てる。ですが、それでわ余りにもこの世わ残酷に過ぎます。
そのためにもデミウルゴス様が運営されている牧場の羊たちを、一度見ていただきましょう。そうすれば、ネイア・バラハも、デミウルゴス様の御慈悲に溢れる統治に涙を流し、弱き者であっても決して見捨てない精神を育むはずです。
アインズ様の御考えに異を唱える不敬でわないか?
いえいえいえいえ!!わたしわそうわ思いません。忠義の形も十人十色 百人百様 千差万別。わたくしわ、ナザリック内においても〝価値観の違い〟を肯定します。デミウルゴス様の御慈悲を理解されないセバス様を肯定する様に、アインズ様に背いてまで己が創造主の〝そうあれかし〟を貫いたユリ様やニグレド様を肯定するように。
そのうえで、彼女にわ、多様な価値観を持ってほしいのです。牧場の家畜とわ面白い価値観をもっておりましてですね。精神的に脆弱であるためか、変調を来すと目玉を自ら取り除いたり、耳を削いだり、
死ねば笑うことも幸せになることもできません。本当に悲しいことです。
アインズ様の偉大さを魔物にさえ説ける彼女と、それでも偉大さを理解できない哀れな下等種中の下等種さえ笑わせることのできるわたくし。二人の力があれば、こんな悲しいことわ起こらないはずなのです。
わたくしわセバス様が下等種をアインズ様に無断で助けたとデミウルゴス様から聞いた際、強い怒りを覚えましたが、今ならばセバス様の滑稽な言動さえも理解できるかもしれません。わたくしわ道化師。特定の者へ……ましてナザリックに属さない者へ〝笑わせたい〟以外の特別な感情を抱くなど間違っているのかもしれません。
しかし彼女わわたくしに本来あり得ない感情を宿させた。それが何であるかわたくしですらわからないのです。
あなたさまもそう思う!! それだけわ同意できる! それわ素晴らしいことです。
ですので是非ご協力ください。わたくしをネイア・バラハに……
え、何故手を握ってくださらないのですか?世界を笑顔にしたいという理念を捧げるわたくしの気もちが、あなたにわ、おわかりにならないのですか。
……ああ……どうしよう……ま……待って下さい。ま……まだお話しすることが……ま、待って下さいッ……。
ああッ……シズさん。ちょっと、あと少しだけお話を!
・俗にいう【独白体形式】というもので書いてみました。プルチネッラの思考を描写するってめっさ難しかったです。まだ狂った殺人鬼の思考描写の方が書きやすい……。