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ココ

筆文字アート作家として
歩み始めました。

感性を育みながら
言葉を必要とする方と
寄り添っていきたい。


テーマ:


タカヒロは土日も仕事があり、

車で行くからアタシが泊まりに行く。


2泊3日分の荷物をまとめてたら

お茶を飲んでいるタカヒロが

ふと思い出したように声を上げた。


「あんな!由美子」


「なに?」


「大事なことやねん!

早めに聞いときたい、結婚願望ある?」


「うーん……あるといえばあるし、

ないといえばない、かな」


「つまり?」


「なんとなくやけど、

結婚するんやったら20代のうちが

ええなって思ってんねんけど

30までに絶対結婚したいっても

思えへんし、絶対結婚しようっても

思ってないかな。けど結婚して

幸せそうな友達見ると羨ましいのは

ホンマやし……微妙やなぁ」


大企業とは違うけど業績右肩上がりの

結構安定しているITベンチャー企業

勤めで安定の正社員。


中堅ポジションで、20代半ばにしては

それなりに給料ももらってるし

今後1人で生きていくことにも

特に支障はないもんなぁ。


どっちかって言うたら結婚願望は

薄めなタイプな気はすんねんけど

結婚願望への漠然とし

た憧れみたいなものはある。


本当に、微妙なところかな!



タカヒロみたいな人とやったら

もちろん結婚したいって正直

思ってんねんけど、付き合い始めて

早々に言うには重いので、

そこらへんは黙っておくことにした。


「なるほどな」


「タカヒロは?」


「俺も似たようなもんやねん。

無理にするもんちゃうし、

してもええかなってくらいに思ってた」


「……思ってた?」


って事は、今は思ってへんのかな。


過去形が気になって問い返すと、

タカヒロはゆるりと口角を上げる。


「最近、“したい”の方に結構傾いてる」


「…………」


結婚願望の話を切り出して、

アタシに向かって言うって事は

…そういうことなんやろか?


戸惑いつつ、じっと

タカヒロを見つめてみる。


「……つまり?」


「今はとりあえず、

覚えといてくれたら!」


小さく頷いて、アタシは

荷造りを再開した。


……タカヒロも、アタシと同じように

考えてくれてんのか。


まだまだお互いが知らん事多いし

これから先どうなるんかは未知数。

「この人となら結婚もありかも」

と思い、思われているというのは

正直言うて率直に嬉しい。


代わり映えのしない日常で起こった、

ちょっとしたイレギュラー。


ワンナイトで終わると思っていた関係。


あれから約1ヶ月で、アタシ達の

関係は思いがけへん方向に進み、

すれ違い、今再び交わって、

新たな局面を迎えようとしている。


今後のことは――……神のみぞ知る、

というやつかなぁ。


「お待たせ」


「ん、荷物頂戴!」


重いバッグをさっと持ってくれた。


部屋を出ると、手を繋いで

エントランスへと向かう。



「由美子」


「……っ!」


名前を呼ばれて顔を上げた途端、

素早く自然に軽いキス。


驚いて少し目を見開くと、

タカヒロが柔らかく笑う。


二人で笑って、繋いでいる手に

きゅっと力を込めた。






次回からは side Takahiro

タカヒロ側からの記事




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