誤解 | ココ

ココ

筆文字アート作家として
歩み始めました。

感性を育みながら
言葉を必要とする方と
寄り添っていきたい。


テーマ:


この時点で「?」が

浮か所がたくさんある。


あの発言の意図が、おそらく

アタシが思っていたんとは

ゴッツ違いそうなことは

置いておいて……。



特に気になったは

『無事か確認させた』

という部分やねん。


そういえばナオさんも

『安否確認』

とか言うてたしな。


思い当たる出来事といえば、

1つだけ。




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「ちょっと待って。月曜の夜に

声かけた人ってタカヒロの知り合い?」


「俺の弟」


「お、弟……不審者でも

記者でもなかったん……」


ホッとすると同時に、

不審者扱いして逃げてもうたんが

が申し訳なくなる。


そして、彼の容姿を思い出して

いまさらながらに納得した。


すらりと高い身長。体格はタカヒロ

と違って弱っちいけど目つきがやや

鋭い整った顔立ちなんかは、

かなりタイプが似ている。


「怖がらせてごめん。夜に知らん男が

待ち構えてたら怖いわな!

弟にもそれはアカンで!」言われた。


「確かに怖かったけど……弟さんは

頼まれてやっただけやし

思いっきり怖がって逃げて

ごめんなさいって伝えといて。

だいぶ不審者扱いしたもん!」


「ああ」


あん時はめちゃくちゃ

怖かってんけど

不審者騒動がこうして

種明かしとなったら

自分の被害妄想具合が

恥ずかしくなってくる。


でも、タカヒロの言う通り、

夜に知らん男が家の前で

待ち構えてんのって恐怖やから

ああいうドッキリは今後やめて!


「……電話の話に戻るけど」


「ああ、うん」


「そのあと、由美子が無視するほど

怒った理由を考えてみて……

もしかしたら、由美子の言葉を

拒絶したみたいに受け取られたんかと

気ぃついてん!」


「……ホンマはちゃうん?」


「全然違う」


「こっち向いて」


相変わらずアタシはタカヒロの

声に弱くて、言われるがまま

視線を彼へ向けた。


真剣な眼差しをした彼は、

目を真っ直ぐに見つめてくる。


「電話せんかったら良かったって

......…あんなこと言うたんは

滅茶苦茶会いたくなったから。

大阪から東京まで瞬間移動。

あの時本気で思った」


……つまり、あの時の会話に

タカヒロの心の声を付け加えると、

こういうことになる。


『タカヒロじゃないと

あんなことしてへんかった。

……それだけは、言いたかってん」


『はぁー……。電話するんじゃなかった。

……滅茶苦茶会いたくなっちまった』


……なにこれ。相思相愛?


じわりと頬が熱を持ってくる。


どういうわけなんか、

いつからなのか分からんけど、

タカヒロは付き合っているつもりでいて。


あのとき意を決して言ってみた本心は、

彼の胸に届き、喜びをもって

迎えられていた。


そのことが、涙が滲みそうになるくらい

嬉しくて、気恥ずかしい。


「アタシ…早とちりして、連絡無視

したりしてごめんなさい」


「ん。正直ごっつい堪えた。

しゃあけど……付き合ってないと

思っててんやったら、誤解するんも

まぁわからんでもない」


これで、電話に関しての誤解は

完全に解決ーーーーーーーーー


しかし、それよりもさらに大きい

アタシたちの関係において最大の

認識違いが残っている。


「……その、付き合ってんのか?

そうじゃないんかの部分も確認

したいねんけど。アタシは付き合って

ほしいって言った覚えも、

言われた覚えもなくて」


「…………。……あ」


記憶を辿るように視線を

彷徨わせたタカヒロは「しまった」

と言いたげな表情で固まった。


「アタシが覚えてないんじゃなく

本当に言ってないし言われてない?」


「……忘れてた」


「えっ。じゃあむしろなんで、

タカヒロって付き合ってると思ってたん?」


タカヒロの思考回路が謎すぎる。


UMAを見てるようなアタシに

彼は「由美子!」と神妙な声で呼んだ。


「俺がやらかした。

由美子は俺を殴っていい」


「え、どういうこと」


ますます意味が分かれへん。


とりあえず軽く拳を握ってみると、

「グーなんか?....…」と呟いて

そっと目を閉じた。


キス待ちならぬ、殴られ待ち顔。

いや、殴る気あれへんけど。



「殴るより、どういうことなんか

詳しく聞きたい」


拳を解いて先を促すと、

彼は目を開けて頷いた。


「話聞いたあとで殴る?」


「遠慮しとく」


あいにくやけど人を殴る趣味はない。


「……完全に言い訳になるねんけど

一応説明させてくれへん?」


「うん」


「俺、小2から中1まで海外にいて。

海外全部とは言わんけど俺がいた国は、

“付き合ってください”って

告白する文化があんまりなかった」


「……え、じゃあどうやって

付き合い始めるん!」


「デートしたり、軽く好意を伝えて、

まずはお試しで付き合う。

そのあとお互い真剣に付き合いたいと

思ったら、家族とか友達に

“彼女だ”って紹介したり、

あとは、“本気になってもいいか?”

とか聞いたり、色々」


「へぇ……」


大人同士やったら明確な告白が

ないまま交際になることも

あるけど一般的には「付き合おうか」

と一言あるんが普通なんちゃう?


でも、国が変わればそのあたりの

文化もまるっきり違うみたいだ。


「ってことは……タカヒロが

言うてたんは、二人のそのお試しの

付き合い中だって意味の“付き合ってる”?」


「え……?」


タカヒロが驚いた顔になり、

アタシも連鎖して驚き顔になる。


そこで驚くということは、

本気の方の付き合いやったん……?


「だって、誰にも紹介されてないし

本気やでって言われた記憶もない!」


「いや。俺、それは言っただろ。

由美子のこと本気で好きやって」


「……え」


どうしよう、まったく身に覚えがない。


タカヒロからそんなことを

言われとったら

まず間違いなく舞い上がるし、

忘れるはずがないねんけど。


それに、本気で好きだと聞けば、

流石に、ちゃんと付き合う気が

あるんやってと認識していたはず。



「それって、いつ? まさか

最初に会った日とか……?」


真っ先に思い浮かんだのはそれ〜!


タカヒロに初めて会った夜。

結構酔っていたこと、これまで

味わったことのない快楽に

揺さぶられたこともあって、

最後の方は記憶が怪しく飛んでた。


しかし、彼は首を横に振った。


「マジで覚えてへんの?」


「ごめん……殴る……?」


「遠慮しとく」


これでもしお互い殴り合ったら

『走れメロス』やんか。

そんなしょうもないことを

考えて現実逃避。


必死に記憶を辿るけれど、

本当にまったく思い出せない。


「金曜……由美子が泊まりに来たとき。

寝る前に、“由美子のことマジで好き”

って言ったら、“私も”って答えた」


「えっ!」








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