2度目の朝食 | ココ

ココ

筆文字アート作家として
歩み始めました。

感性を育みながら
言葉を必要とする方と
寄り添っていきたい。


テーマ:


「どう!ワイン開けよか?」


ローストビーフの盛り付けが終わって

赤ワインをあけて乾杯する。


飲みやすいミディアムボディのワインは、

ローストビーフともマッチして最高。


「はー、美味しい。幸せ」


しみじみ呟くと、つん、と頬を

指先でつつかれる。


「なに?」


「美味いもん好きやなぁ」


「それ嫌いな人って居てんの?」


「居てないよな!」


一緒に笑い出してたら

近づいてくる彼の顔。


軽く触れるだけのキスをして、

ゆっくり目を開ける。


「……どうしたん?」


なんのキスやろね。


タイミングが謎やから気になって

尋ねてみたらタカヒロは微笑んだ。


「可愛かったから」


「また、すぐそういうこと言う……」


クールな性格やねんけど

意外とド直球な言葉を発するから

心臓に悪くって仕方ない。


なんや少し赤っぽくなって来た

気がするんで紅頬はアルコールの

せいって事にして視線を逸して赤ワイン

を大きく一口飲んだ。


たぶん誤魔化しも見破れてるなぁ。

ふっと笑う声が聞こえてくる。


「ユミコのそういうとこ、好き」


「……何が」


どこに可愛い要素があったのか

.........わからんなぁ。


頬が緩めへんように半ば仏頂面で

いてたら頬杖をついたタカヒロは

アタシの頬に手を伸ばし、強制的に

視線を自分の方へと戻した。


「……意外と照れ屋」


「…………」


「美味しそうに飲み食いするとことか」


「…………」


これってクーデレの特徴やろ。


アタシは皮肉を込めて

「……タラシ」


悪口みたいなことを言うたら

それすらも微笑みで受け止められて、

再びキスが落とされた。


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翌朝


昨日と同じく、後ろから緩くハグ状態で、

アタシは目を覚ました。


目をこすってたら背中側から

「起きた?」と声が掛けられる。


今日はタカヒロの方が先に

起きてたみたいやな。


「うん、起きた。おはよう」


「おはよう」


クルッと反転させられて目を合わせた。


相変わらず鋭く整った顔立ちの彼と

対面することになり........


寝起きで頭が鈍ってたのか

自然とその頬へ手を伸ばしていた。


「なに?」


柔らかな声音で尋ねながらタカヒロも

同じように、この頬へ手をのばす。


「なんでもない」


「触りたかっただけなん?」


「そんなところ」


頬を撫でていた手が後頭部にまわり、

ぐっと胸元へ抱き寄せられる。


アタシとは違って固くて細マッチョ。


薄手のシャツ越しに胸へ耳をつけると、

ドクドクって緩やかな心音が

聞こえて来てなんや知らん、ほっとする。


「毎日こうしてたい」


耳をくっつけてたんで、直に響くような

タカヒロの低い声。


発せられた音たちを言葉として

認識した途端、鼓動が少し発動。


動揺には気づかへんふりをして

彼の胸元に軽く額をぶつける。


「なに、人と寝るの好きなん?」


「その言い方やったら語弊があるけど

な……温かくて、なんや幸せな感じでいい」


アタシも「うん」と小さく頷いて、

広い背中に手を回した。


「……今日は仕事、何すんの?」


「雑誌の取材。由美子は予定

何もなかったん?」


「いや、友達と苺のアフタヌーンティー」


「へぇ、ええやん。場所はどこなん」


「ホテル日航大阪」


「……時間あったらいそこまで

送って行こか?何時から?」


「2時から、やけど……」


「なら丁度ええわ」


さらっと言われ、思わず胸から顔を

離してタカヒロをじっと見てしまう。


「ええの?」


「それくらい大丈夫」


「……ありがとう」


しばらく会われへんかもやし

ここは素直に甘えることにして、

再び彼の胸元へと頬を寄せた。


起きても、しばらくベッドの中で

ごろごろしてたけどタカヒロの

お腹が鳴ったんをキッカケに

起き上がることになった。


「恥ず……」


お腹をさすり、地味に気にしてる

彼がちょっと可愛い。


「朝からお腹減って健康やんか!」


「……まぁ、健康には割と自信ある」


アタシの些細なフォローで

タカヒロは冷蔵庫から食材を

見回しながら取り出した。


「昨日とほぼ同じんでいい?」


「もちろん。いつもの朝食より

めちゃ豪華やし、全然文句なし」


「ならよかった。……いつもは朝、

何食べてんの?」


「えっ.........炭酸水......」


「食べてへんやんか」


咄嗟の答えで生活力の低さを

露呈してしまって、今度は

アタシが恥ずかしがる番だった。


「……休みの日はちゃんと食べてる」


言い訳っぽく言うたけど塊ベーコンを

薄くスライスしながら

「で、平日は炭酸水」と

タカヒロが続ける。


「……寒い時期はミルクティー」


「結局飲み物だけやんか」


吹き出すように笑われても、

反論のしようがない。


別に家庭的な女やとか

デキる女やってアピールするつもりは

あれへんかったけど生活力低い

アピールなんかもっとないのに……

朝は頭の動きが鈍くて駄目や。


「俺といる時くらいはちゃんと飯食え」


「……はい、タカヒロママ」


「誰がママやねん(笑)」


照れ隠し気味に茶化すように言うと、

肘で軽く小突かれて、2人でくすくす笑う。


アタシはサラダとトーストの準備。


タカヒロはベーコンを焼いて

スクランブルエッグを作って、

あっという間に朝食完成。


「いっただきまーす!」


ふわふわの玉子を頬張りながら

こんな朝をまた過ごしたいなって

密かに願っていた。







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