概要
事の発端はアンチチートプログラムやグリップボードの自動取得について疑惑の目が向けられたこと。
原神のWindows版をインストールするとアンチチートプログラムもインストールされるが、これがクライアントを停止しても常駐し、しかもアンインストールしても削除できないという仕様が発覚。後者の自動取得はiOS14にアップデートされたことで発覚した問題であり、スパイウェアではないかと疑惑が取り沙汰された。
これまで中国発のサービスによる不正疑惑が他でも多数起きていたり、2020年10月現在世界的に中国に対する不信感や反発が根強いことも相まって、余計に炎上が拡大してしまった。
それに伴い、デマも含めた様々な話題が飛び交い、良くも悪くも大きな話題を呼ぶことになっえいる。
誰が呼んだか個人情報オープンワールド、遊べるスパイウェアである。
現在は、変更要請が難しい規約等を除いて、諸問題は概ね解決されている。しかし先の不信感から、対応された後も内外の人間から疑念の声が沸き続けている。
スパイウェア疑惑
概要の通り、アンチチートプログラム等がスパイウェアではないかと疑われた事案で、本件最大の炎上となっている。
運営はこの問題について、発見から数時間以内に声明を出し、「プレイヤーに不信感を与えるものだった」として謝罪し、即座にアップデートで対応を行った。
現在は起動終了後には停止し、アンインストール後は削除されるようになった。問題自体は表向き解決済みとはなった。
ただしこれが意図的にかつ「ゲームの運用上は不必要なのに仕込まれたものではないか?」という疑惑の声は残ったのは否めない。
一応、これには事情がある。中国のゲームプレイヤーにはチーターが非常に多く、あの手この手で適応させようとする。それに対抗するためのシステムが、本件でも槍玉にあがった強烈なアンチチートプログラムである。よって決して対応策としては、別段不思議なものではない。
そもそも普通のプログラムでも一部のデータが完全削除されないのは普通のこと(本件を問わずアンインストール時に出る注意書きがそれに当たる)であることは留意すべきである。が、そうして百歩譲ってもアンインストール後もそれだけ大きなプログラムがパソコンに残り続けることには大きな問題があったと言わざるを得ない。
クリップボード取得
iOS版で判明した事案で、上述のスパイウェア疑惑の釈明に追われていた時に問題となった。2020年9月に正式公開されたiOS14より「アプリがクリップボードを読み取る動作を検知すると警告文を通知する機能」が実装され、原神がクリップボード読み取る動作を行っていたという報告が相次ぎ炎上した。Androidではそういった機能は実装されていないため報告は出ていないが、iOS版と同じようにクリップボードを取得していたのではないかという疑惑は残された。
模倣(パクリ)疑惑
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのグラフィックやアクション、オブジェクト、敵NPC等、ゲームを構成する要素の多くが同作に酷似しており、パクリではないかと言われていた。
これについては開発者自身が触発されたと言及しており、少なくとも包み隠しているわけではない。つまりオマージュの範疇ということであるし、ゲームリリース当時はそれ以外にも同作を意識したゲームは多く登場している。
ただし、崩壊3rdの頃からベヨネッタ等のアクションゲームのモーションを模倣している疑惑が持たれている。さらにゼルダに目がいきがちだが、本作はNieR:Automataからの模倣も疑われており、きな臭い部分は完全に払拭されてはない。
規約の問題
最大のツッコミを受けたのが「プライバシー情報の完璧な保護は約束できない」という規約である。これは要約すると「情報が盗まれるリスクを覚悟でプレイしてくださいね」ということで、日本の認識ではありえない内容(責任逃れとも取れるため)につき、スパイウェアと合わせて炎上した。
というか先のスパイウェア疑惑が大きく騒がれたのは、この規約が油を注いだためと言えるだろう。
ただこの胡散臭い規約が明記されているのには理由がある。日本の感覚では理解しづらいが、中国のオンゲーではほぼどの規約にも記載されている内容で、つまり向こうでは常識ということである。さらに言えばEA等米国のメーカーの規約にも同じことが書かれている。
よって本作に限らず、中国産のゲームをやる際は原神に限らずこの意識の差を理解し、リスクを覚悟でプレイすることが必要である。プライバシーに関する意識の差がでてしまった事案とも言えるだろう。
規約についての詳細
そもそもこの一文は、「サービスに不利益をもたらしたユーザーがいた場合、悪意の度合いによっては刑事訴訟に出る」という規約が後続する部分も強く、ゲーム上でチート行為を含む何かしらの営業妨害を行えば、個人情報を警察に提出する旨を指していると考えられる。
第一にインターネットを利用する以上、完全なプライバシーの保護は困難であるというのは当然のことである。ただそれを文言化して、責任は取らないとも読めてしまう内容を、そのまま日本でも適応してしまったのは失策だった。
2017年に制定した中華人民共和国国家情報法によって「中国共産党から個人情報の開示を求められた場合は拒否できない」可能性があることも炎上の一助となっている。
とはいえ結局のところ結論を出すことは難しく、国籍を問わずその開発元を信用できるか否かで考えることが大切であろう。
この一件は、SNSや大手のゲームレビュー系Youtuberなどが、別ゲームの問題規約の画像を持ち出して炎上をさせようとした事例も見られる。特に後者のように本人にその気はなくとも第三者から見れば炎上を煽っていると言われてもおかしくない輩がいることは考慮に入れるべきだろう。