歓迎会

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「あれ!行けたら行く!

って、大阪では

行かへんって言葉やん!........

ライブって、

好きなアーティスト

でもおるん?」




元いた人がお手洗いに

でも行ったのか、

いつの間にか空いていた

向かい側に座るのは、

横山さんやった。



「ちょっと、主役が

こんな隅っこに居てええん?」


「いーの。いーの!

また後であちこち行って

色んな人と話すねんから。

で、なんの話?」


「ゴールデンぼんくらーずの

ライブ行こーって話でーす」


アタシの代わりに答えたんは

言うまでもなく花園さん。


横山さんは「へぇ」と興味を

そそられたような表情になる。




「花園さんって彼らが

好きなんや!結構渋いね」


「……そうなの?」



ドラマの主題歌を任されてるから

割と万人受けするタイプの

バンドなんやと思ってたんやけど

案外そうでもないんやろうか?



不思議に思って2人を見ると、

花園さんは不思議な顔で

首をかしげてるし

横山さんは頷いてみせた。



……2人には見解の

相違がありそうやった。



「まぁ、けっこーパフォーマーな

バンドですけど。

でも女性ファンも割といますよ」


「確かに、女性人気も凄いし

ビジュアルもいいね」


横山さんの言葉を聞いた途端、

ドン!とグラスを

テーブルに置いた花園さん。




「バンドは顔じゃなくて

音っす。わかりますぅ? 

横山サン.........」


「ごめんごめん、別に

花園さんがミーハーって

言うてるんとちゃうねん」


「古〜ぃ!その言葉。

横山さん.......」




……この間、『雅也かっこいい』

とうっとりしてたやん!

あれは顔というより存在に

対して言うとったんやろか?



そんな無粋なツッコミは

胸の中に仕舞っておいた。



「アーティストの最終的で

一番の魅力は作品やしなぁ。

4人ともかなりの実力持ってて

俺も好きやねんで!」


「そーなんですよぉ、

わぁってるじゃ

ないっすかぁ〜! 

かんぱぁーい!」



「あいたっ」



横山さんのこめかみあたりに

ゴツンとグラスをぶつけ、

残りのカクテルを

一気にあおる彼女。


酔ってんなぁ!

いい飲みっぷりに思わず

拍手してしまうけれど、

そんなことしてええ事ない。


「ちょっと! 

もうお酒ストップ、

お水飲んで」


「はーい!」


大人しく水を受け取った

花園さんは、それも

ゴクリゴクリと飲み干した。


かと思えば眠そうに

ふらふらと頭を揺らすんで

グラスを彼女の手から遠ざけ、

角の柱に寄りかからせた。



「まさやぁ……」

ブツブツ言いつつ、

彼女の瞼が下りていく。








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