かなり日が高く上った
時間になって、慌てて
アタシは目を覚ました。
しばらくぼんやりしてたら
素肌にシーツが触れる
慣れへん感覚に昨夜——否.....
早朝までのことを思い出して
勢いよく起き上がった。
それから背中や腰、
内腿の鈍い痛みに嘆いて
ベッドへ逆戻りする。
「うう……腰痛い」
それもそのはず。
結構、衝撃的やった1回目で
終わることなく、
” 貪る” という言葉がこれはど
しっくりくるくらいに
美味しく戴かれてしまった。
最後の方なんか、もう自分で
なに言うてんのか分からんように
なっていて半分泣いてたんと
ちゃうかなって気もする。
深すぎる快感は半ば拷問。
出来たら知りたくなかったことを
この歳で体感してしまった。
……いや、逆に知られて
良かったんかも。
あんな経験、
なかなか出来へんし!
腰や背中の筋肉を
揉んで張りを少し和らげ、
改めてゆっくりと身を起こす。
見慣れた一人暮らしの
この部屋はいつも通り静かで、
自分の気配しかなくて。
きっと目覚めた時
彼はいないと分かってたのに
一抹の寂しさが過った。
「お風呂入ろう……」
だけど、男日照りの方は
スッキリして解消した。
むしろ満腹........
しばらく一人で静かに
暮らしたいって思った。
シャワーを浴びて
気分を入れ替え、
寝具も洗濯して
昨夜の余韻を拭い去る。
ソファに座って熱い
コーヒーを飲みつつ
洗濯の終わりを待ってた。
窓から差し込む光を受けて、
何かがキラリと反射する。
「えっ。指輪……?」
カーペットの上に
落ちてたんは男物のリング。
持ち主はタカヒロや!
「そういうたら......
外してたっけ」
そう言えば途中から、
指輪をしてへんかった
ような気もして来た。
一瞬、取りに来るフラグ
ちゃうかなぁって
淡い期待がよぎるやんか!
が、思い返してみれば
タカヒロはまるっきし天然。
高校時代はガラス戸に気付かず
何度も衝突し、今でも時々
ぶつかりかけてるって
ナオさんが言うてたしな!
きっとこれも、本当に
うっかりや思う。
期待したらあかん。
指輪は、今度の金曜にでも
『BAR Stax 』に行って返そう――。
そう思ったアタシは空っぽ
やったらアクセサリートレーに
指輪をそっと置いた。