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はじめに |
かつて明治から昭和にかけて、東京に手づくりの高級墨壷を彫る職人の人達がいました。壷福・壷仙・壷清・壷豊・正清・壷為などの名前で知られる人達です。その人達は墨壷屋といい、名刺には墨壷彫刻と書き込んでいました。しかし昭和40年代後半に、最後まで残っていた三代目「壷豊」が彫るのをやめてから墨壷彫り職はまったくいなくなり、また関係者の多くも他界するなどして、東京墨壷の記憶は時代の流れの中にまさに消え去ろうとしている現在です。 |
そこで、(有)スズキ金物店がホームページを作成した機会に、わたしがいまから40数年前の20代の頃に集めた資料や、また前場幸治著「大工今昔」(1997年)や毎日新聞社発行「道具曼陀羅」(1976年)、沖中
弘「墨縄と墨壷」(竹中大工道具館研究紀要第14号)を参考にしながら、日本における墨壷の歴史を述べるなかで、東京墨壷彫り職の人達がどのような繋がりで結び付いていたのか、これは同時に東京墨壷の歴史を述べることにもなりますが記録として残しておきたいと思います。 |
勿論、これからわたしが述べる内容は完璧なものではなく、今後修正・追加すべき箇所もあると思います。ともあれ、大工道具に興味のある多くの人達に、日本における墨壷の歴史やかつて東京に手作りの高級墨壷を彫る人達がいたと知っていただけたなら本望とするところです。 |
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