はじめに
今年の3月頃に、偶然にアクセスした「Yahooブログ―鍛冶屋―木工具の今と昔」で、国立国会図書館の公開ネットからキーワード検索で発見したと言う鉋鍛冶「義廣」についての明治時代の史料、有磯逸郎著「怪物傳」を大工道具の歴史を辿る一級の史料として紹介しているのを知りました。このブログには、義廣の本名・出身地・修業先・住所・弟子は取らなかったこと・長男や孫が後を継いだことなどが、箇条書で簡単に要約されて載せられていました。 |
これは貴重な資料だと思ってプリントアウトしましたが、その後他にいろいろ調べて書き上げ、ホームページに載せなければならないものが幾つもあって、そのままにして来ました。11月に「千代鶴是秀/刀匠
加藤家の系譜」を書き終えて、やっと余裕ができました。 |
そこで、当店の所蔵品の一つにアゲハチョウ印の田圃義廣と刻した四寸鉋がありますので、次はその写真とともに義廣について書いたものを、当店のホームページ「道具の歴史」欄に載せようと思い、それにはまず「怪物傳」の原文を読まなければならないと、国立国会図書館にパソコンでアクセスして原文をプリントアウトしました。 |
原文を読んで驚きました。義廣についての今までの通説を覆す内容が詳しく書かれていたからです。すぐに内容の信憑性を確認するために著者を調べたところ、信用のできる人物であることがわかりました。さらに、上記のブログを書いた紹介者が見落としてしまったと思われる鋸鍛冶の中屋久作や鑿鍛冶の柏木久弘(梅吉)についても、別の章のところに書かれていました。「怪物傳」の中に書かれているこれらの大工道具鍛冶については、同時代に生きた著者が直接本人などに取材して書いたもので、わたしが長年捜し続けている、まさに第一級の歴史的文献資料と言えましょう。 |
しかし、このブログは2007年8月に書かれたものであるにもかかわらず、まったく注目されなかったようで、現在わたしが調べた限りでは、「怪物傳」についてどのホームページにも、どのブログにも取り上げられていません。そこで、書かれている内容について詳しく紹介するとともに、新見解を加えて、今までの通説を再検討する資料にしたいと思います。 |
「怪物傳」の著書の経歴については、フリー百科事典「ウィキペデア」や他のホームページを参考にさせて戴きました。 |
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