@chablis777
シャブリ

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(天野)バカ野郎。お前 もっと細く切れねえのかよ。
智彦が ラーメン屋で働き始めてから2か月が過ぎていました。
もういいや。 おい 鶏ガラ砕いてろ。
(智彦)はい。
(ノックとドアが開く音)
(音)どうしたんです?
(裕一)池田さんがね この本 題材にした映画の主題歌を作らないかって。
「長崎の鐘」。
原爆の現実を克明に描いてる…鬼気迫る内容だ。
この人に会ってみたい。
大丈夫?
戦争の恐怖が ぶり返すんじゃないかって。
うん… だからこそ やってみたい。
もう一歩 前に進むためには必要なことだと思うから。
頑張って下さい。うん。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を」
♪「知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(池田)もちろんだ! 会いに行けよ。 手配する。
本当ですか? ありがとうございます!ただ あの 収録…。
任せとけよ もう! 早く書く。とりためればな 長崎に行く時間作れる。
ありがとうございます。(重森)やった!あっ だって…いつも原稿出すの遅いから。
すまん。
2週間後裕一は 作者の永田医師に会うため長崎へと向かいました。
♪「かごめ かごめ かごの中のとりは」
(子どもたちの遊ぶ声)
じゃんけん ぽい! あいこでしょ!
あいこでしょ! あいこでしょ!
(ユリカ)おはよう。(子どもたち)おはよう!
(ユリカ)あっ… 古山さんですか?
ようこそ いらっしゃいました。私 永田の妹のユリカです。
あっ どうも お世話になります。
本の題名になった長崎の鐘です。
大人も子どもも 兄も私もみんな 一緒になって掘り起こしたとです。
おじさんが 歌ば作りよる人?
こんにちは。 古山です。
おじさんの歌 歌えるばい。うん?
♪「勝って来るぞと 勇ましく」
下手か!何ね!
あの子たちは みんな戦争で親を亡くしました。
私は 今 その施設で働いてるとです。
兄は こちらで寝泊まりしながら執筆活動をしとります。
「如己堂」?
汝に近きものを 己のごとく愛すべし。
兄が付けました。
古山さん いらっしゃいました。
私は仕事に戻りますけん。これ あの 土産です。
あっ すいません。 ありがとうございます。ありがとうございました。
この度は 訪問をお許し頂きありがとうございます。
(永田)白血病で… 寝たきりになってしもうてこんな姿で失礼。
どうぞ。
失礼します。
それで… 私に聞きたかこととは?
先生の体験です。 どのようなお気持ちで治療に当たられたのか。
歌詞は… 見られたとですか?
はい。
すばらしか歌詞だ…。
その上で 私ん気持ちなど いりますか?
それに… 私ん気持ちは本につづりました。
だ… 題材が大きすぎてどこから着想していいのか…。
何か きっかけが欲しいんです。
あなたは… 「露営の歌」や「暁に祈る」を作ったとでしょう?
私も 戦争に 二度行きました。
よ~く歌いましたよ。
すいません…。
なぜ… 謝るとですか?
僕の歌が きっかけで…たくさんの若者が亡くなりました。
彼らのためにも この歌を作りたいんです。
贖罪ですか?
はい。
私は… 「長崎の鐘」を…あなたご自身のために作ってほしくは… なか。
(永田)原爆は… 兵隊だけでなく普通に暮らす何万もの命を…たったの一発で奪いました。焦土と化した長崎 広島を見てある若者が 神は本当にいるのですかと私に問うたとです。
私は… こう 答えました。
落ちろ… 落ちろ… どん底まで落ちろ。
その意味… あなたに分かりますか?
いえ…。
分かりません… 教えて下さい。
自分で見つけることがきっかけになるはずです。
ああ… はあ…。
(吟)裕一さんは? まだ長崎?
大丈夫。 きっと あの人は やる!
音は やっぱり しっかりしとるね。それに比べて 私は…。
智彦さんの仕事 まだ見つからんの?
ううん。 仕事はしとるの。ただ 何をしとるのか言ってくれんの。
夜も遅いし… 変なにおいするし。
お姉ちゃん…。うん?
行動する時よ!
行ってらっしゃい。
♪~
えっ? ラーメン屋?
私が お金 せびったからだわ~。
そうとは限らんよ。ラーメン屋さんの仕事 好きなのかも。
好きなら言うわよ。
お金のために無理しとる。
(ため息)
また来たのか。 邪魔すんな。
(ケン)うまくならねえな~。 貸してみろ。
(ため息)
うまいな。
父ちゃんは戦争行っちまったし母ちゃんは病気だったからいつも 弟と妹のために作ってたんだ。
まあ… 食べ物探しに行ってる間にみんな 空襲で焼けちまった。
そうか… つらいな。
つらくねえよ!
弟や妹に 申し訳ないだけだ。
お前… いいやつだな。
うるせえ。
はあ…。ネギの切り方 教えてくれないか?
合格だ。
ありがとうございます!
よし… 次はチャーシューだ。
はい!
兄さん 厳しかこと言ったんでしょう。
古山さん3日間 ず~っと籠もりっ放しです。
あん人は… 真面目すぎる。
フッ… にじみ出ています。 フフッ。
自分を見つめても 見つからんのだがな…。


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