――これまでの独立書店への取材で印象に残ったことはありますか?
和泉さん「独立書店がしばしば雑居ビルの上の方にあって見つけにくいこと。そもそも書店自体収益が多いわけではないので、香港の家賃を考えると先ほど大久保さんが言ったように路面にお店を出すのは現実的ではないでしょう。とある独立書店は12階にあって、一方で地下にある書店もある。ふらっと散歩してこれらの書店を見つけることはまず無理だと思います」
――つまりオンライン上で書店をあらかじめ知った上で人々が訪れるということですか?
大久保さん「独立書店はFacebookなどSNS上での宣伝に力を入れています。紙媒体の広告も看板も出しておらず、ビルの入り口にさえも書店の存在がわかる看板を出していないお店もあります。でもお客さんは来ています」
和泉さん「SNSでの宣伝がメインなので、来店客は結果的にSNSが使える20〜40代が中心です。書店に行くと、特に20代の子を見かけることが多いですね」
――大久保さんが印象に残っている書店は?
大久保さん「カフェが書店に併設されているというか、書店がカフェに併設されているような書店です。私がイメージする本屋のようではなかったので、最初は取材にあんまり乗り気ではありませんでした(笑)。でも、よく調べると(書店を経営する)彼女たちなりのコンセプトがあるようでした。忙しく狭い香港で、ゆったり読書をするスペースを提供したいという意図でカフェスペースを広く取っていて、香港において読書の文化を広めていきたいと考えているのですね」
和泉さん「カフェが併設されている書店だけではなく、バーやギャラリーを併設している書店もあります。こちらはホテルの地下を利用している書店です。作家との交流や読書会などイベント開催に注力している書店もありますね。客層が若い人たちと先ほど言いましたが、年配の人たちにとっては、独立書店は彼らの知る「書店」のイメージからはかけ離れていて、あんまり興味の対象にならないようですね」