「中国資本」の大手に対抗する「独立書店」がいま若者に人気の理由

香港デモの中で果たした役割
石井 大智 プロフィール

――聯合出版グループ傘下の出版社が中国資本であるというのはどういう意味ですか?

大久保さん「聯合出版グループは新文化事業発展という広東省の企業を通してほぼ全ての資本を中国政府の香港での出先機関である中連弁(中央政府駐香港連絡弁公室)が有しています。ちなみに新文化事業発展は中央政府寄りの報道でも知られる大公報や文匯報という新聞社も有しています」

 

なぜ独立書店に注目するのか

――香港の独立書店に注目するようになったのはどうしてですか?

和泉さん「香港の独立書店について最初に知ったのは、香港の独立書店についての書籍『書店日常』『書店現場』(周家盈著)を知人に紹介してもらった時です。1990年代後半には、日本で香港ブームが巻き起こったことで、香港の文化について多くの書籍が出されました。しかし、最近では(日本では)そういう本が少なく、本屋さんだけを扱った本ということで強い関心を持ちました。台湾の独立書店の本は日本語でも出ているのですが」

大久保さん「日本でもファンの多い香港を舞台にした推理小説『13・67』(陳浩基著)の著者を招いての日本語による読書会が香港であったのですが、私はそこで広東語と日本語の通訳をしていました。和泉さんとはそのイベントに参加していたことから知り合い、その後和泉さんに誘われて、東方書店のウェブサイトに連載コラムを書くことになりました」

――『13・67』は香港人作家による推理小説なのにも関わらず、香港ではなく台湾の出版社から出された本で、独立書店でもよく見かけますね。