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精霊幻想記(Web版) 作者:北山結莉

第五章 思い描いた未来の先で

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第96話 同郷人達の再会と話し合い

「立ち話もなんですから、ひとまず中に入りましょう」


 その場にいたアイシアとセリアの紹介を簡単に済ませると、リオは席を改めることを提案した。

 ちなみにセリアに関しては説明も面倒であったので、念のために偽名のセシリアとして紹介している。

 岩の家については、あらかじめ王都の宿屋から美春達を連れ出した時に、この場に設置しておいたのだ。


「家って? こんな森の中に?」


 それらしき建築物が見当たらず、沙月がきょろきょろと周囲を見渡す。

 美春や亜紀は沙月の反応を微笑ましげに見ていたが、雅人だけは少し得意げな表情を浮かべていた。


「こちらです。沙月さん」


 そう告げて、リオを先頭にその場にいた者達が歩き出す。


「い、岩?」


 暗闇の中に巨大な岩が鎮座しているのを発見すると、沙月は戸惑いの声を漏らした。


「はい。この中が家になっていまして、ここが玄関です」


 リオは木製の扉を開いて、岩の中へと入った。

 扉を開けると、室内から外へと明るい光が漏れる。


「へぇ、本当に家になってるんだ。面白いわね」


 興味深そうに玄関周りを観察しながら、沙月が家の中へと入る。

 だが、彼女が余裕を保っていられたのはそこまでだった。


「は……?」


 玄関の扉をくぐると、沙月が呆気にとられた表情を浮かべる。

 そこには想像以上に快適そうな生活空間があった。

 まず視界に映ったのが実に広々としたリビングルーム。

 靴を脱ぐスペースとして土間はあっても、リビングとの間に仕切りはない。

 伝統的な和風建築とは異なっているが、室内の雰囲気をあえて表現するのならモダンな空間といった感じか。

 沙月が暮らしているお城の部屋のように、格式や高級感に溢れているわけではなかった。

 だが、ドワーフが技術を振るって建築し、設計にはリオも関わっているため、日本人が暮らしてもさして違和感を覚えないであろう内装になっている。

 清潔で居心地の良さそうな室内には、品質の良い家具がゆとりを持って設置されていた。


「靴は脱いでもらってもいいですか? そちらが靴箱になっているので」

「あ、……はい」


 リオに言われるがまま、沙月はおずおずと靴を脱いだ。

 そうして靴箱に靴を収納したところで、あらためて室内を見渡す。


「お城の部屋より快適そうなんだけど。どこの最高級ホテルのスイートルームよ、ここ……」


 顔を引きつらせて、沙月はぼそりと呟いた。

 そんな呟きが聞こえていたのか、


「だよなぁ。六人で暮らしているのにまだ部屋が余ってるもん」


 うんうんと頷きながら、傍にいた雅人がしみじみと語った。

 そんな雅人に美春と亜紀も同意するように頷いて、


「あはは。ここに住み慣れちゃうと王都で泊まっている宿屋の部屋が狭く思えちゃうかもね」

「うん。ご飯もここで食べた方が美味しいし」


 などと、語り始めた。


「一応、王都で有数の高級ホテルなんだけどね、私達が泊まっている場所って。言っておくけど、あのホテルの部屋は貴族が暮らす家のそれと大差ないくらいには快適よ」


 と、後ろからセリアが苦笑しながら補足した。

 この家の建設に大きく関与した精霊の民の里に暮らすドワーフ達が聞けば、「当然だ」とさぞかし得意げな顔をして頷くだろう。


「へ、へぇ……。そう、なんですか」


 沙月はもはや理解が追い付かず、部屋の内装を見渡しながら、上の空で相づちを打つことしかできなかった。


「いつまでも立ち話をするのもなんですから、座ってください。積もる話もあるでしょうし、地球出身の四人でゆっくりとどうぞ。今、紅茶とお菓子を用意しますから」


 立ち尽くした沙月へリオが言う。


「セシリアとアイシアは別件で話したいことがありますから、俺の部屋で待っていてくれますか?」

「はーい。行きましょ、アイシア」

「うん」


 セリアがアイシアと一緒にリオの部屋へと向かう。

 だが、セリアは扉の手前で何かを思い出したように足を止めると、


「あ、ハルト! 紅茶は例のアレがいいな。わかってると思うけど熱々でね!」


 と、ご機嫌な笑みを浮かべて、去り際にリクエストした。


「わかりました」


 リオは快く頷き、キッチンへと歩き出す。


「あ、ハルトさん、私も手伝います」


 すると、タイミングをうかがっていたように、美春が手伝いを申し出た。


「美春さんは沙月さんと一緒にゆっくりとくつろいでいてください」


 リオがかぶりを振って提案を断る。

 だが、美春は既に動き始めていて、


「そんなわけにはいきませんよ。それに二人で作った方が早いですから。手伝わせてください」


 そう言って、キッチンまでやって来てしまった。

 キッチンの前でリオと美春が向かい合う。


「えっと、じゃあお願いしてもいいですか?」


 ちょっとだけ照れたような表情を覗かせると、リオが言った。


「はい」


 嬉しそうに美春が頷く。

 そうして二人はキッチンに入って、お茶の準備を始めた。

 その連携は随分と様になっている。

 結局、リビングに残されたのは沙月、亜紀、雅人の三人だけだった。


「沙月姉ちゃん、座ろうぜ」


 そう言って、雅人がフロアコーナーのソファに座る。

 亜紀も一緒に腰を下ろした。


(何か思った以上にみんな順応してるわね。私、これでも少しは身構えてやって来たのに) 


 先ほどまで存分に夜間飛行を楽しんでおいて今更だが、何だか空回りしたような気がして釈然としない。

 色々と聞きたいことはあったが、何だか素直に尋ねるのもしゃくな気がして、沙月は肩を落としながらソファに座ったのだった。


「あ、すごい。ふわふわしてる」


 ☆★☆★☆★


 リオと美春がキッチンから戻ってきた。

 白陶器製の茶器一式を使って、テーブルの上に人数分の紅茶を用意していく。


「沙月さん、夜明け前には城に戻ります。危なくなったらお伝えしますので、とりあえず時間は気にしないでゆっくり語らってください」

「あ、うん。えっと、ありがとう……」


 少し緊張しているのか、沙月がおずおずと礼を言う。

 美春達と話していればそのうち普段通りになるだろう。

 リオはそう判断して、微笑を浮かべて応じた。


「いえ、それじゃあ俺はこれで」


 そう言って、リオが自らの部屋へと戻っていく。

 やがてリビングに残ったのが地球出身の四人だけになったところで、


「えっと、亜紀ちゃんと雅人君にはもう言ったけど、あらためてお久しぶり。美春ちゃん。元気そうで何よりよ」


 と、沙月が美春達に話しかけた。


「はい。沙月さんもお元気そうで良かったです」


 美春が柔らかな表情を浮かべて答える。


「うん。元気よ。まぁ、特にすることもなく、ずっとお城の中にいたしね。それにこうして美春ちゃん達とも会えたし」


 沙月が微笑みかけると、美春達は照れ臭そうにはにかんだ。


「それでね。楽しくお話ししたいことは色々あるんだけど、先に必要なことを話さない? 時間は限られているし」


 と、時間を有効活用するべく、沙月が提案する。


「はい。えっと、じゃあ何から喋りましょうか?」


 美春が小首をかしげて尋ねた。


「うーん、そうね。とりあえず貴方達がこの世界に来た時の状況と、これまで何があったのかを教えてくれないかな?」

「……はい」


 頷くと、美春はそっと目をまばたいた。


「えっと、私達も突然のことでよくわからなかったのですが――」


 当時のことを思い出し、小さく息を吐くと、美春は語った。

 気がついたら平原にいたこと、道なき道を進むと奴隷商人の傭兵に遭遇したこと、そのまま拉致されて奴隷にされかけたこと、偶然リオが通りかかって助けてくれたこと、それからリオが美春達を保護してくれたこと、そうして今日に至るまでにあったことを――。

 沙月は話の腰を折ることはしないで、黙って美春の話に耳を傾けていた。

 疑問は浮かび尋ねたいことも色々とあったが、まずは何があったのかを通して知りたかったのだ。

 そうしてすべての話を聞き終えると、沙月は沈痛な面持ちを浮かべる。


「ごめんなさい。美春ちゃん達がこの世界にやって来たのって、勇者として召喚された私に巻き込まれたから……よね。まさか奴隷にされかけていたなんて……」


 言って、沙月は頭を下げた。

 どうやら美春達に降りかかった不幸な出来事の責任が自分にあると考えているようである。

 美春達は一瞬だけきょとんとした表情を浮かべると、


「そんなことないですよ!」


 声を揃えて否定した。

 沙月の身体がびくりと震える。


「でも……」


 沙月の口から消え入りそうな声がこぼれ出た。


「沙月さんだって巻き込まれただけじゃないですか。謝られる理由なんてありませんよ」


 美春が語った。


「そうだぜ。沙月姉ちゃんが負い目を感じる必要なんかねーよ」

「二人の言うとおりです」


 雅人と亜紀も美春に続いて語る。


「でも私が一緒に居なければ貴方達が巻き込まれることはなかったかもしれないのよ? 私達がこの世界にやって来たのは聖石ブレイブストーンが勇者を呼び出したからだもの……」

「それは語っても仕方がないことです。自分が勇者としてこんな世界に召喚されるなんて知りようがないんですから」


 美春はゆっくりとかぶりを振って答えた。


「美春ちゃん……」


 沙月がやるせない表情できゅっと唇を噛む。


「美春姉ちゃんの言う通りだって。それにハルト兄ちゃんの話だと俺達が離れ離れになったのは事故みたいなもんだって言ってたし、事故なら防ぎようがねーよ」


 雅人も励ますようにそんなことを言った。

 すると沙月が訝しげな表情を浮かべる。


「えっと……それってどういうこと?」


 その疑問を解消するべく、沙月は雅人に質問を投げかけた。


「え? あー、えっと……。なんだっけ。難しい話でよく覚えてねぇや。亜紀姉ちゃん、パス!」


 バツが悪そうに笑うと、雅人は亜紀に説明を頼んだ。

 どうやら細かい話は覚えていないようである。


「え、わ、私? えーっと……」


 突然に水を向けられた亜紀も咄嗟のことで慌ててしまう。

 そんな二人の反応を横から見て、美春は優しく微笑んだ。


「詳しい原理はよくわからないんですけど、どうもこの世界に来るにあたって沙月さんと貴久君の二人を召喚する魔術が同時に発動したことが離れ離れになった原因らしいです」


 そして美春が説明を引き継ぐ。


「私と貴久君を召喚する魔術?」

「空間に干渉して離れた場所に移動する魔術があるみたいです。私達が呼び出されたのはその一種だとか」

「へぇ、初めて聞いたけど、やっぱりそういう魔術があるんだ」


 沙月は興味深そうに頷いた。


「はい。それで私達ってこの世界に来る直前まで一緒にいたじゃないですか。発動した魔術は二つで、沙月さんと貴久君を別々に呼び出すものです。

 二人はそれぞれ呼び出された先に移動することができたみたいですが、傍にいた私達三人は二つの魔術に巻き込まれることになってしまった。

 それらが相互に干渉しあって近くにいた私達が転移する座標がズレてしまったとか……」


 と、美春が以前にリオから聞いた説明を自分なりに噛み砕いて伝える。


「それはつまり私とは別に貴久君も勇者として召喚された可能性があるってこと……よね?」

「はい。そうなんじゃないかって、ハルトさんは言っていました。もっとも二人に発動した魔術を目撃したのが私しかいなかったので、私の見たことが正しければという話ですが……。沙月さんは召喚される直前にどんな風に感じましたか?」

「私は周囲の景色がぐにゃりって歪んで見えたわね。まるで空間が渦を巻くみたいに」

「それが魔術が発動した証らしいです。同じ現象が沙月さんとは別に貴久君を中心にして起こっているのを見たんです」

「なるほど、そういうことだったのね」


 沙月は何かが腑に落ちたというような表情を浮かべた。


「ありがとう。すごく興味深いことが聞けた」

「いえ、私はハルトさんの受け売りにすぎませんから」

「ふーん、そうなんだ。……彼が何者なのかはちょっと気になるんだけど、これ以上話が脱線するのは好ましくないか」


 そう言って、沙月が苦笑する。

 続けて、少し真面目な顔つきを浮かべると、


「ごめんなさい。ありがとう。どっちの言葉を言えばいいのか、ちょっとわからないんだけど、貴方達に会えて本当に良かった。

 私はこの世界に一人でやって来たからさ。最初は私だけがこんな世界にやって来たんじゃないかって思って絶望したの。

 でも、他に召喚された勇者の一人が日本人だってことを知って、もしかしたら美春ちゃん達もこの世界にいるんじゃないかってずっと思っていた。

 不安だったわ。だから、彼――ハルト君が貴方達の名前を出して保護していると言った時はすごく驚いた。そして同時にすごく嬉しかった。無事でいてくれて本当にありがとう」


 沙月は心の底から安堵したように語った。


「はい。私達もすごく嬉しいです。ハルトさんが沙月さんの居場所がお城だって教えてくれた時はどうやって会えばいいのかと思いましたけど、沙月さんと渡りをつけてくるって言ってくれて……」


 美春が少し照れくさそうに言った。


「そっか、彼にはずいぶんと助けられちゃったわね」

「はい、本当にハルトさんには随分と良くしてもらっています。何もかも任せきりで……」


 言って、美春が申し訳なさそうに微笑む。


「ちゃんとお礼をしないとね」

「はい」


 美春は力強く頷いた。


「それにしてもこれまで辛かったでしょう。よく亜紀ちゃんと雅人君を支えてあげたわね。偉いわよ、美春ちゃん」


 沙月が隣に座る美春の手をぎゅっと握る。

 美春は慌てて首を左右に振った。


「いえ、私なんか何もできなくて……」

「そんなことないと思うわよ。まったく見知らぬ土地で傍に自分の知っている人がいるっていうのは、それだけで安心できるものなんだから。ましてやそれが自分よりも年長者なら。ね、二人とも?」


 と、沙月が亜紀と雅人を見やって尋ねた。


「はい!」

「うん!」


 亜紀と雅人が声をそろえて頷く。


「美春姉ちゃんが別の馬車に乗せられてどっかに行った時はもう駄目かと思ったぜ。亜紀姉ちゃんなんか泣いていたしな」


 すると雅人がそんなことを語り始めた。


「なっ! そ、そんなことないわよ!」


 隣に座っていた亜紀が過敏に反応する。


「嘘だぁ。取り乱して泣きそうな感じで騒ぎまくってたじゃん」

「そんなことないってば! だいたい――」


 雅人がぺらぺらと亜紀の話を始めて、亜紀が慌ててそれを制止しようとする。

 そうしていつものように軽い兄弟喧嘩に発展しかけたのだが――。


「ふ、ふふ……、あはは」


 何だか可笑しそうに、沙月がくすくすと笑い始めてしまった。

 呆気にとられて、亜紀と雅人が口論を中断する。


「えっと、沙月さん?」


 隣に座っていた美春が沙月に尋ねた。


「ふふ……。あー、可笑しい。笑ってごめんなさい」


 ひとしきり笑い終えると、沙月が笑ったことに対して謝罪する。


「いや、いいけど。何が可笑しかったんだ?」


 と、雅人が尋ねる。


「だって日本にいた頃はこうして二人が喧嘩する姿を見かけたなと思って。久々に見たら嬉しくて、何だか可笑しくなっちゃった」


 沙月は急に笑い始めた理由を説明した。


「あー、なるほどなぁ」

「あはは」


 雅人と亜紀がバツが悪そうに苦笑いする。


「確かにそうですね。いつもならヒートアップしすぎたところでお兄ちゃんか美春お姉ちゃんが止めてくれましたけど」


 亜紀が少し寂しそうな表情をのぞかせる。


「最近はハルト兄ちゃんと美春姉ちゃんの役目だなぁ」


 雅人はしみじみと語った。


「そう……。貴久君の居場所はまだわからないのよね?」


 亜紀の表情の変化を察し、沙月が尋ねた。


「はい。ハルトさんが探してみてくれているようなんですけど……。沙月さんの方は……?」


 頷き、美春が尋ね返す。


「わからないわ」


 沙月は申し訳なさそうにかぶりを振った。


「そうですか……」


 美春が少し落胆した様子で返事をする。

 雅人も残念そうに溜息を吐いており、亜紀はしょんぼりとした様子でうつむいていた。

 沙月はそんな三人の反応を確認すると、


「けどね。さっきの話を聞いて、一つだけ有力な可能性があるかもしれないって思ったわ」


 と、そんなことを言った。


「ほ、本当ですか?」


 亜紀が勢いよく腰を持ち上げる。


「落ち着いてちょうだい。可能性はあると思っているけど、確証はない話なの」

「そ、それでもいいです! 教えてください! お兄ちゃんはどこに?」


 亜紀はわらにもすがる気持ちで尋ねた。


「セントステラ王国よ。ここガルアーク王国の南にある国。知っているかしら?」

「はい。ハルトさんに教えてもらいました」


 亜紀が即答する。


「そう言えばハルト兄ちゃんが言ってたな。そこの国にも勇者がいるかもしれないとか」


 リオの言葉を思い出すように雅人が言った。


「あら、知っているんだ。なかなか情報通ね。今ガルアーク王国の王城で私が主賓となっている夜会が開催されているのは知っているのよね? 実はその夜会にセントステラ王国の勇者も招待したみたいなの。まぁ、まだ来ていないんだけどね」


 と、沙月が苦笑しながら語る。

 もしかしてその勇者が貴久なのではないかと期待を抱いたが、亜紀は「まだ来ていない」という発言でがっくりとうなだれた。

 だが、沙月はそのまま話を続けることにする。


「セントステラって国は随分と閉鎖的な国らしいのよ。一応、使者は送ったらしいんだけど、返事は保留されたままなの。いつもなら返事を保留なんてしないで断るらしいんだけどね。

 で、使者の持っている親書には私の存在が記載されているわ。もし貴久君がセントステラ王国の勇者ならその親書を読んでいるはずよ。ならやって来てくれると思わない?」


 尋ねて、沙月はにやりと笑みを浮かべた。


「は、はい!」


 顔を持ち上げて、こくこくと亜紀が頷く。


「夜会は三日にわたって開催されるから、まだ可能性はあると思うの。例外はあるらしいけど、連日して夜会が開催される場合って、他国は初日から招待されても遠慮して二日目以降に出席することもよくあるみたいだし」


 そう、国が連日して夜会を開催する際、他国の人間を招待する場合には、相手国との関係や国の格に応じて、招待する日程をずらすことがしばしば行われている。

 初日から招待する国、二日目以降から招待する国という風にだ。

 今回は自国の貴族に優先して沙月と関係を持たせるため、初日から招待される国は厳選されており、ベルトラム王国の特別政府とセントステラ王国だけであった。

 ちなみに明日以降は近隣の小国からも多くの人間が出席する予定になっている。


「ほ、本当ですか!」

「うん。まぁ絶対に参加するかはわからないんだけどね。でも、王族の人に聞いた話だと、セントステラ王国って閉鎖的だけど敵対もしていないらしいから、出席してくれる可能性はあると思うわ」

「もしかしたらお兄ちゃんとも……」


 亜紀は希望に満ちた表情を浮かべた。

 沙月は数秒ほどそんな彼女の顔を見つめると、


「……それでね。ちょっと貴方達に聞きたいことがあるの」


 そう切り出して、美春達に真剣な眼差しを送った。


「はい。なんでしょう?」


 美春がやや身構えて答える。


「もし貴久君が見つかった場合、貴方達はそれからどうしたいと思っているのかしら?」


 と、今後の美春達の行方について、沙月は核心を突く質問を投げかけた。


「どうしたいって、もちろんお兄ちゃんと一緒にいたいです!」


 亜紀が誰よりも早く自らの意志を表明する。


「まぁ、そうだよなぁ」


 雅人も亜紀に続いた。

 その一方で、美春は何か言いたそうな表情を浮かべていたが、亜紀と雅人の話を眺めているだけで、口をつぐんでいた。

 沙月はそんな三人の様子を見渡すと、


「そう……。それは彼――ハルト君と別れるってことかしら?」


 そう尋ねたのだった。


「え……」


 沙月に投げかけられた質問に、亜紀と雅人が硬直する。

 ただ、二人とは対照的に、美春だけは物憂げな表情を浮かべていた。


「な、なんでハルト兄ちゃんと離れることになるんだよ!? よくわかんねぇ。いったいどうしてそうなるんだ?」


 慌てて立ち上がり、雅人が尋ねる。


「聞き方が悪かったかもしれないわね。貴方達は近い将来に貴久君と会えるかもしれない。そうなった時にハルト君と貴久君、どちらに保護してもらうつもりなのかしら?」


 と、沙月はあくまでも冷静に質問を投げかけた。


「だ、だから、それとハルト兄ちゃんと離れることになる意味が……」


 沙月の雰囲気に気おされて、雅人の声が尻すぼみになっていく。


「だって、仮に、貴久君が勇者だったら、私と同じように国に所属している可能性が高いわ。そうなれば今頃、貴久君はどこかの国の中枢に位置する人間になっているはずよ。今のところ一番可能性がありそうなのがセントステラ王国ね」


 と、沙月がそんなことを語った。

 雅人が不安そうに沙月を見つめる。

 沙月は雅人の返答を待たずに、先を続けることにした。


「つまり、貴久君に保護してもらうことは、彼が所属する国に保護してもらうことと同義になる。そうなった時、ハルト君が貴方達と行動を共にする理由はある?」


 沙月は落ち着いた口調で質問を投げかけた。


「あ、あるよ! ハルト兄ちゃんは俺の剣の師匠なんだ!」


 雅人が声を張り上げて答えた。


「そう、剣術を教えてもらっているのね。身を守る術は身につけておいた方がいいわ。けど、ハルト君が雅人君の師匠であることと、ハルト君が貴方達と一緒に貴久君のいる国に所属するかどうかは別問題よ」


 言って、沙月が雅人をじっと見据える。


「な、なんで?」

「日本の義務教育じゃないの。ハルト君には彼の人生がある。彼の立ち位置がある。それに、もしかしたら何かやらなければいけないことがあるかもしれない。いつまでもみんなで仲良く同じ場所を進みましょうというわけにはいかないのよ。わかるでしょう?」


 沙月は子供を諭すように優しく語りかけた。


「っ……」


 感情はともかく理屈では理解できたのか、雅人が言葉に詰まる。


「あ、あの。なら貴久お兄ちゃんが私達のところに来てもらうとか……」


 そこで隣に座る亜紀がおずおずと呟いた。


「そこは国との取り決め次第だけど、一度、勇者として国に所属した以上、アルバイト感覚で気安く辞められると思う?」

「です、よね……」


 最初からわかっていたのか、亜紀がしょんぼりとうな垂れるように頷く。


「いきなり変なことを言ってしまってごめんなさい。でもね。こうして私と出会えたように貴久君とも近いうちに会えるかもしれないの」

「お兄ちゃんと近いうちに……」


 亜紀は言葉の意味を噛みしめるように呟いた。


「二人は貴久君の妹と弟でしょ。なら、いつか再会できた時に一緒に居たいと思うことはとても自然な選択肢だと思うわ。

 けどね、安易にその選択肢を選ばないでほしいの。その理由は貴方達の身の安全にも関わってくることだから」

「……私達の身の安全ですか?」


 尋ねて、亜紀は首をかしげた。


「ええ、さっき言ったでしょう。国に保護してもらうことと同義だって。勇者っていうのはすごく面倒な立場なの。

 実質的な権能はないけど、国政には大きな影響を及ぼしうる。だから多くの人間が勇者を利用しようとしてくるわ。

 その勇者の周りに人質としてちょうど良さそうな人間が転がりこんできたら、どうなるかは漠然と予想できない?」

「……どう、なるんでしょうか?」

「それはその国によるとしか言えないけど……、何もない限りは優しくしてくれるはずよ。けど、いざという時になったら手のひらは返してくるかもしれない」


 沙月の脳裏には色々と嫌な予想が思い浮かんだが、あえて具体的な想像を語ることは避けた。

 二人くらいの年齢の子に聞かせるには刺激が強すぎる。


「いずれにせよ、この世界は日本ほど優しい場所じゃないわ。今はハルト君に守ってもらっているけど、お城に行ったら人間の汚い面を色々とみることになるかもしれない。危険が待ち構えているかもしれない。それでも貴方達は貴久君の下に行きたい?」

「…………」


 亜紀と雅人は即座に答えることができなかった。

 それぞれ何を考えているのかはわからないが、少し思いつめたような表情をのぞかせている。


「聞いておいてなんだけど、別に今すぐに答えを出さなきゃいけない問題じゃないわ。すぐに答えが出る問題だとは思っていないもの」


 亜紀と雅人は意表を突かれたように、「え?」という表情を浮かべた。


「本当はね。貴久君が現れなくとも、私はガルアーク王国に頼んで貴方達のことを保護しても構わないと思っているの。ううん、むしろ一緒に居たいと思っている。もちろん貴方達が望むのならば、という話だけれどね」

「そっか、そういう選択肢もあるのか……」


 と、雅人が得心したように呟いた。


「うん。けど、さっき教えた危険は私のところにやって来ても生じるわ。すごく自分勝手だとは思うけど、私は地球に帰ることを前提に勇者をやるって契約を国と結んでいる。言うならば勇者は腰掛けね」


 語って、沙月が小さく自嘲じちょうをたたえる。


「でも、それでもガルアーク王国は私に勇者をやってもらいたかった。私もこの世界で生きて地球に帰るためにはガルアーク王国の勇者になることが必要だった。そういう微妙な思惑を相互に抱いた状態で今の関係が成立しているの。この意味がわかる?」


 沙月が美春達に問いかける。


「えっと、……沙月さんは地球に帰りたい。ガルアーク王国は沙月さんに勇者をやってもらいたい。だから、本当はガルアーク王国は沙月さんには地球に帰らないでいてもらいたい」


 美春が思案顔を浮かべて答えた。


「その通りよ。だから、貴方達がガルアーク王国に来てくれるのならば、私の人質として利用される危険性を孕んでいると思ってちょうだい」


 そう言って、沙月は美春達に困ったように微笑みかけた。


「ハルト君、貴久君、私、それぞれ別の立ち位置で生きているわ。みんなで一緒にいましょうっていうのは少し難しいかもしれない。悩ましい問題だとは思うけど、そのことを頭の片隅に置いといてほしいの。

 もうその問題に直面はしているし、少なくとも答えを出すまではハルト君に甘えっぱなしになっちゃうけど、もう少し考える時間は必要でしょう?」


 と、沙月は亜紀と雅人に優しく尋ねかけた。

 二人がこくりと深く頷く。


「貴方達のことを必要としている人がいる。貴方達と一緒に居たいと思っている人がいる。

 そういった人達の言葉に耳を傾けることは大切よ。困った時はサポートだってしてあげる。それはハルト君や貴久君も同じだと思う。

 でも、貴方達の人生なんだから、貴方達自身でよく考えて、自分の気持ちに悔いがないように答えを出してほしい……かな」


 そっとはにかんで、沙月が言った。

 それから少し照れ臭そうに視線をさまよわせると、


「と、まぁ、美春ちゃんは私が言ったお節介の意味を理解していたような気がするんだけど、どうかな?」


 美春に視線を定めて、沙月が尋ねた。


「あ、いえ。私は……その、漠然とですけど、こうして沙月さんとも会えたし、これから貴久君も見つかったらどうなるんだろうって……」

「そう、答えは見つかっているの?」

「えっと……」


 ちらりと亜紀と雅人を見やると、美春は困ったような笑みを浮かべた。


「一応、見つけてはいるのかな」


 沙月が微笑を浮かべて答える。


「そっか……、じゃあこの話は止め! せっかく再会できたのに、何か変な空気にしちゃってごめんね! 別々にいる限り、私はそう頻繁に貴方達と会えそうにないからさ。悔いのないように思いついたことは伝えておこうと思ったの」


 僅かに顔を紅潮させて、沙月が手振りで話の中断を促す。

 話を終えて、落ち着いたことで、気恥ずかしくなってしまったようである。

 美春達はそんな沙月の様子をくすくすと笑って見つめていた。

 良い感じに場の雰囲気が和んだようだ。


「はい、じゃあ小難しい話はここらへんにしておいて、何か楽しい話でもしましょう。私の話をしてもいいんだけど、お城に引きこもってばかりだったから大した話もないしなぁ……。部屋は立派なんだけど、何だか息苦しくて窮屈なのよねぇ。それに比べてここはいいわ。なんだかすごく落ち着く」


 と、お城での生活を思い出し、沙月はげんなりと溜息を吐いた。


「確かにもうここが我が家って感じになってるかもなぁ。久々に帰ってきたって気がするもん。あー、せっかく戻ってきたんだから風呂にでも入るかぁ」


 雅人がのびのびと腕を伸ばして言った。


「いいわね。お風呂! 手と足を伸ばしてゆっくりとお湯に浸かりたいなぁ。日本の湯船が懐かしい」


 と、寂しそうな表情で沙月が同意する。


「あ、お風呂、ありますよ。檜風呂と岩風呂が。みんなで入りませんか」


 妙案だと言わんばかりに亜紀が告げる。


「あー、いいわねぇ。檜風呂と岩風呂なんて最高の組み合わせじゃない」


 沙月が色良い声で答えた。


「ま、マジで! みんなで入るの?」


 と、雅人がドギマギした様子で尋ねる。


「ハルトさんならまだしも、アンタはカウント外に決まってるでしょ!」


 亜紀は即座に雅人の頭を小突いた。


「痛ぇーなぁ。冗談だよ」

「嘘、鼻の下が伸びて、目がいやらしかったわよ。そんな目で私達を見ないでくれる」


 頭を押さえる雅人を、亜紀がシラッとした視線で睨む。


「いやぁ、美春姉ちゃんと沙月姉ちゃんはともかく、亜紀姉ちゃんの裸なんて……。あ、いや、嘘です! 殴らないで!」


 途中まで言いかけると、雅人が顔を青ざめさせて勢いよく顔を左右に振った。

 亜紀が細い腕を持ち上げて、ぷるぷると震えながら雅人に振りかぶっている。


「あはは。じゃあ、ハルトさんにお願いして入りますか?」


 と、美春が提案した。


「うん。できるのなら……って、ちょっと待って!」


 沙月がハッとした表情を浮かべて言った。


「えっと、はい……」


 美春が疑問符を浮かべて沙月の顔を見る。


「……本当にあるの? お風呂が?」


 尋ねて、沙月はごくりと唾を呑みこんだ。


「は、はい。ちょっとした温泉みたいな浴場がありますよ」


 妙な迫力を感じ取って、美春がこくこくと頷く。


「お、温泉ですって?」


 その時、ぎらりと、沙月の目が光った。


 ☆★☆★☆★


 美春達が風呂に入るかどうかで盛り上がる少し前、リオは自室でアイシアとセリアの二人から近況を聞いていた。

 ベッドには二人が座っており、リオが向かい合うようにして椅子に座っている。

 三人のすぐ傍には小さな机が置かれていた。

 その上にある三つのカップがゆらゆらと湯気を放っている。


「王都の宿屋に滞在している間、何か変わったことはありませんでしたか?」


 紅茶に口をつけて小さく息を吐くと、リオが尋ねた。


「別に何も」


 と、まずはアイシアが結論だけを簡潔に述べる。

 不愛想にしか見えない無表情ではあるが、それが普段通りのアイシアだ。

 それが何だか可笑しくて、リオはくすりと笑った。


「最初は緊張していたみたいだけど、良い感じに都市の生活に慣れたみたいよ。私達も付き添って安全な区域を散歩したりしたし。あ、もちろんフードは被ったわよ」


 アイシアとは対照的に、セリアが具体的な情報も混ぜて答える。

 その表情や仕草に不安やストレスといったものは見当たらない。


「そうですか。ありがとうございます。二人とも」


 いつもと変わらない二人の様子に、リオが嬉しそうに礼を告げる。

 何だかこうして話をしているだけで、久しぶりにホッとすることができた気がした。


「リオこそ大丈夫だった? 何か嫌なこととかなかった?」


 尋ねて、セリアはじっとリオの顔を覗き込んだ。


「はい。問題はありませんでしたよ。けど、やっぱりみんながいる家が一番落ち着きますね」


 リオが微笑みながら頷く。


「えっと、そう? ミハル達もそう思っていると思うわよ」


 セリアが少し照れた様子で告げた。


「そうですか。良かったです」


 答えて、リオは紅茶の入ったカップをそっと見下ろした。

 そうして口元に安らかな笑みを薄っすらとのぞかせる。


「そう言えば、返答が遅くなってしまいすみませんでした。セリア先生がご実家に帰られる話をしたいのですが、よろしいですか?」


 数秒ほどカップを見つめていたかと思うと、リオは顔を上げてセリアを見やった。


「あ、うん」


 不意打ち気味に視線が重なり、セリアが少し上ずった声で返事をする。

 どきりと心臓が高鳴り、何だか顔が少し熱くなったのを感じた。


「やはりご自宅へのご挨拶には俺も同行させてください。お急ぎとは思いますが、もう少し時間を頂戴してもよろしいでしょうか?」


 その言葉でセリアは落ち着きを取り戻した。

 そう言えば、結局、セリアがベルトラム王国の実家に一度戻るという話は保留にされたままであった。

 リオに迷惑をかけないためにも単身で実家に戻ろうと考えていたセリアであったが、いったん別行動したい旨を申し出たのがガルアーク王国の王都にやって来る直前のことである。

 リオはセリアに同行したいと告げたのだが、ベルトラム王国の実家に戻ってどの程度の時間を要するのかが予測がつかなかったため、あらかじめスケジュールが決まっていた夜会への出席を優先させてもらっていたのだ。


「えっと、急いでいるってわけじゃないけど……いいの?」


 と、セリアがおずおずと尋ねる。


「いいのも何も、先生をこの家に連れてきたのは俺ですよ。俺もご一緒させていただくのが筋というものです」

「で、でもあの城から抜け出そうと決めたのは私よ。それにひょっとしなくとも一緒に行けばリオに迷惑をかけちゃうと思うし……、これって私の我儘みたいなものだし……」


 尻すぼみにセリアが語る。


「前にも言いましたが、何も迷惑ではありません。セリア先生をベルトラム王国から連れ出したのは、俺が考えて、俺が決めた行動なんですよ? なら、その責任は俺も負うべきです。大切なご息女を拉致してしまったんですから」

「ら、拉致じゃないわよ! 私が同意したんだから」


 拉致という言葉に反応して、思わずセリアが叫ぶ。

 リオは困ったように微笑むと、


「けど、ご実家にはそのように見えているかもしれません。事情を説明するために手紙を送ったとはいえ、検閲を警戒してほとんど何も説明に必要な経緯は書けなかったのでしょう?」


 と、そう答えた。

 セリアが送った手紙は家族だけがセリアとわかるように書かれた文章が記載されている。

 だが、不必要なことを書いて検閲されれば差出人がセリアであると特定される恐れもあると考え、大した情報を書くことはできずにいたのだ。


「う、うん」

「ならセリア先生が拉致されたと考えていても何もおかしくはありませんよ。そうでなくたってセリア先生が何をしているのか、きっと心配しているはずです。だからこそセリア先生も一度ご実家に帰ろうと考えたのでしょう?」

「うん……」


 セリアは力弱く頷いた。


「なら俺も一緒に行かせてください。セリア先生のご実家にご心配をおかけしたことの謝罪はいつかしなければいけないと考えていましたから」


 リオが落ち着いた声で語りかける。


「やっぱり迷惑をかけちゃうなぁ……」


 苦笑を浮かべて、セリアは誰にも聞こえない声でぼそりと呟いた。

 心情としてはこれ以上リオに迷惑をかけるのはかなり不本意なのだが、感情的になって助けを断っても益になることは何もない。

 実際、リオが来てくれれば非常に心強いと思う自分もいる。

 セリアには返す言葉もなかった。


「セリア先生?」


 何を呟いたのかと、リオが小首をかしげる。


「……もう。これじゃどっちが先生かわからないわね。そう言ったの」


 セリアは少し嬉しそうに微笑むと、そう言った。


「一応、精神年齢は俺の方が上なんですよ」


 僅かに目を丸くすると、リオが冗談めかして言う。

 セリアはこくりと頷き、姿勢を正すと、


「リオ、ありがとう。よろしくお願いします」


 そう言って、リオに深く頭を下げたのだった。

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