ディノプレスおよび恐竜学最前線の編集長であった井上正昭氏逝去関係に
 ついては、このページにまとめていきます。

井上編集長へ弔辞の動き 6.12.02
  DinosaurMLのメンバーの中では、井上編集長の顕彰が検討されだしています。
 MLの共同オーナーであるミッキー・ロウは、以下のように提案しています。
 私は、(以前)Betty Cunningham にしたように、井上氏に弔辞をささげたいと考え
 ている。それへの助走として私は、ケン・カーペンターによる、井上氏と彼が恐竜
 学のためにしたことについてのコメントを回すのが適切であると思った。

 ルイス・レイは、以下のように述べています。
 井上正昭氏の逝去後、私は、世界中の古生物ファンが例をとって、学び、彼の思
 い出を顕彰するために何かをするべき時であると思う。経済的な危機にもかかわ
 らず、井上氏は一連の高品質の、そして、非常に興味深くて有益な雑誌を組織化
 して、押し進めるほど熱心であった。その上、彼は新しい図版や記事に支払ったり
 依頼することが何とかできた。依頼のための彼の唯一の評価基準は品質と、誰で
 も何か言う興味深いものを持つ事実だった。
 
 スーパースターがない、えこひいきがない、彼のバランス感覚は著しかった。
 これは実際には無視されてしまう。あまりにも頻繁に私はここやヨーロッパの残りか
 アメリカで定期刊行物や本に参加しようとした、そして、'名声'に従って仕事を評価し
 た編集者連中を見出した。ごく少数の編集者は作品をただでほしがりさえしたが、
 古生物学について何も知らず、彼らがしようとした唯一つの事は、彼ら自身とポピュ
 ラーな読者を喜ばせる(そして彼らの無知でなだめる)ことだった。一般読者を喜ばせ
 ることはまったく悪いことではない...しかし、ただ"売る”ために神話と偏見を永続させ
 ないために、知らせ、教えるのは、編集者、古生物学者およびアーティストの義務で
 ある。

 私が特に編集のレベルで評価する1つのことは、共同制作者、作者およびアーティ
 ストがするどんな仕事にも対する敬意と注意である。そして、私は井上氏からその
 多くを得た。井上正昭は、上質の恐竜誌をどう制作するかという彼のアプローチで
 私が知っている最も独断的でない人々の一人であった。それに彼は唯一人ではな
 かった。彼の夢への寄稿者すべてが、その制作物の品質だけでなく彼の正直さと
 開放性のため、ディノプレスへの献身を感じた。

 ディノプレスプロジェクトは、彼への捧げものとして、また世界中の古生物学の宣伝
 の舞台として現役に戻されるべきである。多分、我々はジョン・ランゼンドルフのよう
 な関心がある古生物アートのプロモーターを得ることさえできたかもしれない。もし、
 かれがSVPのためにジョン・ランゼンドルフ恐竜アート賞基金を創設したのなら、古
 生物研究、古生物アートおよびポピュラーレベルの古生物寄稿の普及のための真
 の舞台を供給する、ディノプレスのような高品質な定期刊行誌をサポートする、金銭
 的支援も大いに役立つことであると考える。
 
 プロジェクトが厳格か、興味深いか、よく研究されているか、または単によく行われ
 ている限り、言うことがある者は皆プロジェクトの位置を占める。多分、手がかりは
 そのような出版をする正しい場所を世界の中から見つけている。そして日本は正し
 い場所なのだろう。

 恐竜アートと古生物学の知識はアカデミックな運動の一部としてともに進むべきだ。
 しかし、その運動は一般読者に届くべきだ。そして、このために、私たちは普及のた
 めに実行可能な表現手段を必要とする。専門的、学術的論文を持つ事はすばらし
 い、しかし、私たちの多くにとっては、一般読者に理解できるよう、またその興味を
 ひくようにすることは、より重要なことだ。

 井上正昭は、このことを理解して独立を宣言した。たぶん、ディノプレスのような出
 版物をつくるには、イギリスやヨーロッパやアメリカにいる私たちは、金や組織的手
 腕、情熱、正直および注意を欠くということなのだろう。十分シニカルな人は誰でも
 言うように、“市場がないか、それをする資金がない”単にディノプレスの存在が経
 済危機の中でその反証になっている。

 ディノプレス毎号を受け取り、中を探索するのは、いつも喜びだった。しかし、私は
 ディノプレスが長続きするだろうと期待したことはないのを言わなければならない...
 一番の問題は(高価なことは別として)、主に日本語で書かれていて、世界の他の
 地域で同じくらい多くの一般読者をまったく得ることができなかったことだ。

 しかし、すべてを直すことができる。また、(正昭を筆頭として)信頼できる日本の編
 集者たちは、彼らが本当に組織的手腕、情熱および興味を持っていることを立証し
 てきた。

 ディノプレスは灰の中から甦ることができるだろうか?私は、それはできるだろうと
 思うし、それが井上正昭の人生に対する最も価値ある捧げものだろう。

 
井上編集長の逝去を悼む海外の声 6.08.02
  本当に悲しい役ですが、井上編集長の逝去をDinosaurMLに流しました。
 逝去を悼むメールが数件MLに流れています。

 ジョーダン・マロン 
 (ディノプレス第7号では「フランスの恐竜博物館を訪ねて」のイラスト担当)
 これは本当にひどいニュースだ。私はディノプレス最終号の記事とイラストに
 関して彼とメールを通じての文通でしか彼を知らないが、たとえそうだとしても
 彼はとても親切な方のようにみえた。また、彼の恐竜に対する創造的な関心は
 決して気づかれなくなることはないだろう。本当に悲しいことだ。

 マイケル・スプレクニク (ディノプレス第1号表紙をはじめ、多くの作品がある)
  井上正昭の死を知ることは本当に悲しい。彼は捧げられるかなりの量のエ
 ネルギーを恐竜と古生物学に関して報告するのに費やした、非常に親切で、
 寛大で優しい人であった。彼は2つのシリーズの日本の出版物、ディノプレス
 と、以前の恐竜学最前線の責任者だった。彼との最後のコミュニケーションの
 一つでは、彼は、ディノプレスの休刊によって、もう一度再編成するつもりであ
 り、恐竜出版物とイベントに将来積極的に関わるより多くのプランがあると表
 明していた。私は数年前カナダの私の家に彼が訪問する喜びを味わった。が、
 彼を再び訪ねる機会がないことを残念に思う。彼と出会い、話す幸運にめぐり
 合ったすべての人から寂しく思われるだろう。

 スティーブン・ブルサット
 (ディノプレス第7号「フランスの恐竜博物館を訪ねて」文・写真担当)
 マイケル・スプレクニクに全く同感だ。数か月前、私の最初のディノプレスへの
 記事を完成する喜びを味わったばかりだった。そして、井上氏はともに働きや
 すいだけでなく、本当に親切な方であることがわかった。彼の生み出した美し
 い出版物に表れているように、彼の恐竜と古生物学への情熱は驚くべきもの
 であった。井上氏は私にその将来の出版計画を説明してくれたが、それをもは
 や実現できなくなったことを深く悲しむ。それにもかかわらず、かれは非常に多
 くのことを達成し、私は彼とともに仕事をする機会をもったことを光栄に思う。

 ルイス・レイ
 (ディノプレス第2号から第7号までの表紙イラストを担当)
 私は完全なショック状態だ。私は井上正昭のために働いて、数度最高にすば
 らしい時を過ごした。それは完全に異なった時代を表現した。ライターやアー
 ティストに一様に対する彼の熱意、親切さおよび敬意は、恐竜関連出版物の
 踏み石だった。正昭は本当にかけがえのない方だった。このことで私は本当
 に不意打ちをくらった。このニュースをDinosaurMLで最初に受け取ったとき、
 ぜんぜん信じられなかった。
 
 マーク・ハレット
 (恐竜学最前線第8号「マーク・ハレットの世界」絵・解説)
 Kayという方あてに-親愛なるケイ
 私はたった今、DinosaurMLから井上氏の死を知ってショックを受け悲しませら
 れた。私はこのニュースでの喪失の悲しみと心からの哀悼の気持ちをあなた
 とオーロラ・オーバルの残されたスタッフに差し出したい。井上氏は素晴しい
 ひたむきな方で、私の家にむかえたことをとても光栄に思う、そして今大いに
 悲しんでいる。素晴しいシリーズ、恐竜学最前線を刊行している間、彼は世界
 の古生物共同体に、多くの古生物学者と古生物アーティストの投稿の陳列を
 はじめとして、恐竜と他の多くの対象に関する発見を共有するユニークなフォー
 ラムをもたらした。恐竜学最前線を受け取った誰にとっても、科学に遅れまいと
 ついていく我々の試みへのユニークな寄与であった。井上氏がしばしば財政
 的な苦労の下でそれほど一所懸命働いて刊行したこれらの号を、私たちは秘
 蔵するつもりである。私はこの喪失をあなたと我々すべてに対しまったく残念
 に思う。

 ファビオ・M・ダラ・ヴェッキア
 (ディノプレス第7号 国際シンポジウム「翼竜の200年」文・写真担当)
 古生物学会合から戻り、井上正昭氏逝去というショッキングなニュースを知った。
 私はここにこの喪失に関する深い悲しみの気持ちを表明したい。井上氏は私に
 自分が健康ではないと話していた。そして彼から受け取った最後のメッセージは、
 アシスタントの杉本みどりさんから送られたものだったが、私は彼の病気がそん
 なに深刻なものだったとは思えなかった。井上正昭氏は私の人生で出会った最
 も正直で親切で頼もしい人々の一人であり、出版分野で稀な例だった。

 ケネス・カーペンター
 (デンバー自然史博物館。恐竜学最前線第10号 「のどに鎧?ステゴサウルス
 新事実」文・写真)
 (DinosaulMLのコ・オーナー、ミッキー・ロウにあてて)
 やあ、ミッキー これをDinosaulMLに投稿してください。
 ディノプレスと恐竜学最前線の編集者である井上正昭氏はのどの癌で(注:実際
 には食道癌)7月7日午後逝去された。両誌とも最新の古生物学上の発見の最新
 のものを普及する重要な源であったために、それほどよく売れなかったのは不運
 なことだ。井上氏は2誌では非常に情熱的で、それらに彼の精神を打ち込んでき
 た。
 
井上編集長 逝去 6.07.02
  金子隆一氏および恐竜倶楽部事務局長の中川さんからの情報です。
 ディノプレスの井上正昭編集長(享年53歳)は、本日逝去されました。
 新宿のミネラルフェアの直後、検査入院され、これから本格的な治療計画が
 立てられると聞きましたが、急転、思いがけないことになりました。
 内々にはディノプレス復刊の可能性も聞こえていただけに、残念などという言
 葉では言い表せません。

 ディノプレス第7号に続き、幕張でこの夏開催される大恐竜展の図録が井上
 編集長の最後の仕事になるそうです。その命の最後を賭けて作った作品です。
 皆さん、ディノプレスと図録を買ってください。