1990年代後半からゲーム事業より事実上の撤退をしていた「データウエスト」が、2020年1月28日、Twitter上でゲーム事業の再開を告知した。データウエストは1980年代から1990年代にかけて、アドベンチャーゲーム、シューティングゲームを開発した会社だ。特に富士通が1989年に発表したパーソナルコンピュータ「FM TOWNS」では、存在感を示したことで知られている。
今回のゲーム事業を再開するにあたりデータウエストがまず始めたのが「D-Again」という通販サイトだ。『第4のユニット』シリーズの5作目になぞらえたサイト名で、「データウエスト・再び」のダブルミーニングの意味があるのかもしれない。
「D-Again」には、『Invitation』、『Memories』、『AYA』などの「サイキック・ディテクティブ」シリーズが含まれている。サイコアナリストの探偵・降矢木和哉が他人の心にダイブして、心象風景から手がかりを得るという探偵ミステリーモノだ。サイコな雰囲気とグロテスクな表現で独自の地位を獲得したカルト作的なアドベンチャーゲームとして知られている。
また「サイキック・ディテクティブ」シリーズには、DAPS(Datawest Active Picture System)と呼ばれるシステムが搭載されている。ゲーム内でアニメーションを再生するデータウエスト独自のプログラムで、ゲーム業界では先駆的にアニメーションを大々的に取り入れた。このアニメ制作には京都アニメーションも携わったことがある。
ほかにも実写表現を取り入れたアドベンチャーゲーム『Ms.DETECTIVE ファイル#1 石見銀山殺人事件』などの「ミス・ディテクティブ」シリーズ、シューティング・ゲームでは精細なグラフィックとBGM、そして極めて難易度が高いことで知られる『ライザンバー』シリーズがあるが、これらは通販ラインアップには含まれていない。
ゲーム事業再開といっても過去作を再販するだけななのか。それとも新作を開発する予定はあるのかなどは、詳細は不明でさまざまな憶測を呼んだ。そこで電ファミ編集部では、データウエストにメールで直撃し、ゲーム事業再開の真意を簡潔に聞いてみた。
――急なゲーム事業の再開について多くのユーザーが驚いたと思うのですが、まずはそれに至った経緯を教えてください。
データウエスト担当者:
未完結作品を完結させたいという社員の声が増えて来たというのが、一番の理由になります。
――それはつまり、社員の方には、自社のゲーム作品を忘れていなかったファンの人がいた、ということでしょうか…?
データウエスト担当者:
そうですね。あと色々とタイミングが合わなかったということがあります。
――長期的には新作、または過去作の続編、たとえば未完の『第4のユニット』シリーズなどを開発する考えはありますでしょうか。今後、どのようなゲーム事業の展開、方向性をお考えなのでしょうか。
データウエスト担当者:
実は現在、『第4のユニット』の続編について考えています。ただ『第4のユニット』は、かなり昔のゲームということで、ユーザーの方にも思い入れ等があると思います。それらを汚すのもどうかと思い、そこでユーザーにも企画等に参加してもらい、共に作り上げていきたいプロジェクトを構想しています。
今回のゲーム事業の復活も、心残りから一つの作品として最後まで完結させたいという気持ちからです。ほかにも新作やリメイクと、いろいろと考えています。詳しい情報については、公開できるようになりましたらお知らせしたいと思います。
――ユーザーの方に『第4のユニット』の続編の企画等に参加というのは、たとえばクラウドファンディングでしょうか?
データウエスト担当者:
クラウドファンディングというのは考えていませんが、どのような仕組みで行うか、検討をしているところです。ある程度の方針・方法は決まっているのですが、正式に決まり次第、公表したいと思います。
――わかりました。ほかにも過去作の各種プラットフォームでダウンロード販売など検討はされていますか。
データウエスト担当者:
Windowsのみになりますが、ダウンロード販売も考えています。
――たとえば、今回の通販のラインナップに含まれていない『Misty』シリーズ、『ミス・ディテクティヴ』シリーズ、『ライザンバー』シリーズを取り扱う予定はありますでしょうか。
データウエスト担当者:
今のところは予定にないのですが、声が多ければ考えていいきたいと思います。ただ、ダウンロード販売のみの形になると思います。
――今回のゲーム事業の告知について、多数のユーザーから反響があります。その感想をいただけないでしょうか。
データウエスト担当者:
正直、ユーザーがどのくらいか全然把握していない状態でしたので多数の反響が有り、逆にびっくりしている状態です。こんなにもユーザーがいたのかという感慨です。そのような状況なので、近いうちに新しい情報を出せればと考えています。