はじめに

2019年4月より働き方改革関連法が施行され、総務省をはじめ国をあげてテレワークが推進されてきた経緯があります。しかし、法施行から1年以上が経っても次のような企業が多いのが現実です。

 

「取引先などはテレワークを導入しているが、うちの会社はまだ導入できていない・・・」

「環境整備ができていないが、本当は一日も早くテレワークを導入したい・・・」

 

ここにきて新型コロナウイルスの影響もあり、急速にテレワークの導入が進みつつあるイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

今回は、最新のモニター調査結果によって浮彫りになった、多くの企業ではまだテレワークの導入が進んでいない実情を知って、もっと手軽に導入できるモバイルテレワークについて考えてみましょう。

 

■緊急事態宣言の解除後はテレワーク実施率がダウン!?

パーソル総合研究所が2020年6月に発表した全国の就労者を対象とした、モニター調査によると7割近くが「テレワークを導入できていない」と回答しています。(出典※1)

これは、2020年3月初旬ごろには8割強の結果だったことと比較すれば、大幅に導入が進んでいます。しかし、4月7日に発令された緊急事態宣言の直後と解除後を比較した場合は、2%ほど導入していない就労者が増えています。同時にテレワークの実施率は、緊急事態宣言の解除とともに2.2%ほど減少しています。

緊急事態宣言によって急ピッチでテレワークを導入したものの、解除後には、すっかり以前のオフィスワーク環境に戻ってしまった企業も多いのではないでしょうか。

 

 

■調査結果から推測する企業の実情

それでは、なぜテレワークの導入は急速に進まないのでしょうか?このことを同調査より推測するには、緊急事態宣言を境に「テレワークで行える業務ではない」と回答した就労者が大幅に増えていることに着目すべきでしょう。

この回答には、業務の性質上の理由からテレワークでは行えないという就労者と、「やってみたもののうちの業務内容では適用できない」といった就労者が混在していることが推測されます。

さらに、この回答結果からは企業の実情も推測できるのではないでしょうか。たとえば、セキュリティ環境の不備やコンプライアンス上のリスクなどといった、テレワークの導入における弊害をクリアしている企業でも出社勤務が急速に復活してきていることが考えられます。

一方では、「制度が整備されていない」「ICT設備が整備されてない」といった回答結果が目減りしてきております。このことから、新たにテレワークの導入が進んでいる企業が増えていたり、助成金などの活用が進んでいたりすることも推測されます。

 

(出典※2)

 

■もっと手軽にできる「モバイルテレワーク」の選択を!

 

テレワークに対して、これまでの業務のすべてをオンラインに切り替えるようなイメージが浸透しているのではないでしょうか。

しかし、多くの企業がテレワークに移行しても元の出社勤務に戻ってしまったことを考えると、これからは一部の業務からテレワークに移行する無理のないスタイルを検討することをおすすめします。そのスタイルこそが、お手持ちのスマホによって実現できる「モバイルテレワーク」です。

 

まずは、一日の業務の中で「スマホでもできそうなことはないか?」を思い浮かべてみましょう。あなたの会社で引き継がれてきたPC業務は、本当にPCでなければできない業務でしょうか?次の4つのモバイルテレワークであれば、 PCを主体としたテレワークよりも簡単に実現することができるはずです。

 

・モバイルテレワーク1:スマホでメールチェック

クラウドサービスやリモートアクセスの環境を整えることによって、これまでPCからチェックしていたメールをスマホから簡単にチェックできるようになります。また、メールから、ChatworkやLINE WORKS、Slackなどのチャットツールに切り替えることによって、スマホで事足りるコミュニケーションも増えるでしょう。

これらチャットツールでは、コミュニケーションとともに画像やファイルを添付できるほか、インターネット回線を通して音声通話やビデオ通話を行うこともできます。特に世代を超えた幅広いユーザーが慣れ親しんでいるLINEをベースにしたLINE WORKSは導入のハードルが低く、おすすめです。

 

・モバイルテレワーク2:スマホでWEB会議

ZoomやSkype、GoogleMeet(旧Googleハングアウト)などのWEB会議ツールは、専用アプリをインストールすることによってスマホからでも利用できます。このWEB会議はPCですと見た目も気になりますので自室などの所定のスペースを必要としますが、スマホではマナーを守り会話できるスペースさえ確保できれば見た目も気にせず実施できます。

仮に社員全員は難しかったとしても、一部の社員にモバイルテレワークを実施すれば、会議室での「密」を避けたり、出社回数を低減できたりすることが期待できます。

また、ZoomやGoogleMeetに搭載された画面共有を使えば会議の参加者と各種資料を共有しながら会議することができますが、この機能はもちろんスマホでも使うことができます。

 

・モバイルテレワーク3:スマホで会社の電話に対応

「会社の電話がとれない」という理由もテレワークを導入する際のハードルになっていましたが、最近ではスマホで会社の内外線ができるクラウドPBX(Private Branch Exchange)が普及しています。この仕組によって、どこにいてもスマホで会社の電話を受けることができるようになります。

 

・モバイルテレワーク4:クラウドサービスの利用

クラウド上に共有されたファイルにもスマホからアクセスができます。さらに共有相手と同じ資料を閲覧しながら、WEB会議を行うなども可能です。ただし、スマホの場合はエクセルやパワーポイントなどでの資料作成や編集には向きませんので、閲覧がメインになるでしょう。また、社内の手続きに必要な業務用システムでもクラウドに対応していれば、大半はスマホからでもアクセスができます。人事システムや、経理システム、決裁システム、SFAやCRMといった業務用システムはクラウドに対応しているサービスを導入することをおすすめします。

■まとめ

 モバイルテレワークを導入し、コミュニケーションのデジタル化やクラウドサービスの利用促進を実現することで、将来的にはPCも含めた本格的なテレワーク導入の基盤を固めることにつながります。

 

ひいては、社員の働き方改革を実現し、従業員満足度を高めることで離職率の低下や採用へのプラス効果も狙えるでしょう。テレワークはそう難しいものではありませんので、ぜひスマホでできる導入しやすい、モバイルテレワークから検討されてみてはいかがでしょうか。

 

コネクシオでは、すぐにテレワークを導入したくてもPCの持ち出しができない企業様や、まずは必要最低限からテレワークを実現したい企業様に「手軽にテレワークを実現するレシピ」をご提供しています。特にスマホによるテレワークは、ハードルも低く多くの企業様がテレワークの足掛かりとされています。様々なソリューションをご用意しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 (出典※1※2ともに:パーソル総合研究所「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」より)