大手企業でも中小企業でも、ベンチャー企業においても「営業生産性を向上する」という課題はいつの時代も変わらず存在します。特に近年では、顧客の購買行動やニーズが多様化したこともあり、より効率の良い営業で大量の成約を勝ち取ることがビジネス社会を生きるための前提です。
では営業生産性を向上するためには具体的にどうすればよいのか?今回はその秘訣をご紹介します。
そもそも生産性(労働生産性)とは?
まずは曖昧に理解されがちな「生産性」という言葉について明確に定義します。生産性とは投入した資源に対してどれくらいの付加価値が生まれているかを示す指標です。たとえばその資源を労働時間とするならば、営業活動1時間あたりの売上を計算することで生産性を算出できます。付加価値のことをアウトプット、投入資源のことをインプットとも言います。
付加価値(売上や新規顧客数)÷投入資源(労働時間や給与)=生産性(労働生産性)
生産性といえば、近頃世界と比べての日本の生産性の低さが問題になっていますね。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、昨年の日本の「時間当たりの労働生産性」は46ドル(約5,000円)です。つまり日本人は平均して1時間あたり5,000円の付加価値を生み出しているということになります。では海外の生産性はというと、最も高いアイルランドが95.8ドル(約1万5,000円)、アメリカが69.6ドル(約7,600円)といずれも日本より圧倒的に高い数値です。日本は主要先進7ヵ国中最下位、OECD加盟35ヵ国中20位です。実は、日本は20年以上も同じ水準にあり、生産性の低い国家なのです。
引用:公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017 年版~日本の時間当たり労働生産性は 46.0 ドル(4,694 円)、OECD 加盟 35 ヵ国中 20 位~」
そうした中で営業生産性向上が課題になるのは当然と言えるでしょう。
営業活動における7つの無駄
営業生産性向上の方法をご紹介する前に、営業活動における「無駄」について考えてみます。この無駄を把握することで営業生産性向上にとって何が大切なのかが見えてくるでしょう。
無駄①移動時間を有効活用できていない
営業活動をしていると自然と移動することが多くなります。1日に2件も3件も営業先を回るような会社なら、1日のうちほとんどが移動時間ということも少なくないはずです。この移動時間を有効活用できていないセールスマンが多いように感じます。移動時間は休憩時間ではなく、営業先の資料を再確認したり実のある商談をするための事前準備を行うための時間です。特に都市部では公共交通機関での移動が多いので、移動中も活動は可能でしょう。次の営業に向けた事前準備を怠ってはいけません。
無駄②そもそも移動時間が長い
営業先が遠方にあり1件の移動時間だけでほとんどの時間を使っているというケースもあります。時と場合によっては直接足を運ばないといけないこともありますが、臨機応変に移動せずとも顧客とコミュニケーションを取れる方法を検討しましょう。
無駄③取得した名刺がデスクの中に散らばっている
セミナーやイベント、あるいは上司や同僚の紹介で交換した名刺がデスクの中で散らばっていないでしょうか?名刺交換は日本ビジネスにおいて営業機会が生まれるチャンスです。すぐに案件化できる名刺は少ないかもしれませんが、将来の契約が生まれる可能性は大いにあります。ですので、名刺を適切に管理するためのプロセスを用意しておくことも大切です。
無駄④定例会議の効率が悪い
営業報告会と称して定例会議を開催している会社は多いでしょう。しかし、会議進行の効率が悪すぎて毎回実のある会議にならないという話をよく聞きます。この原因としては「数値の事前共有が無い」「会議の目的が明確に定まっていない」ということが挙げられます。営業報告に使用する数値は少なくとも前日までに参加者全員で共有しておきます。会議が始まってから数値報告しているようでは到底実のある会議にはなりません。さらに、会議の目的が不透明というのもよくある原因です。ただの報告会にするのではなく、レポートを確認しつつ次のアクションを提示するような会議を行ってこそ意味があります。
無駄⑤適当なアポイント取りをしている
目の前にあるリストに片っ端からコンタクトを取れば100件に1件はアポイントになり、1,000件に1件は契約に至る可能性があります。しかし、それは営業生産性があまりに低いため独自にリストをブラッシュアップすることが大切です。既存顧客の分析から始めて自社の優良顧客である可能性が高いリストをピックアップし、アポイントを取っていきます。そうすることで効率良くアポイントが取れ、契約への道のりも短くなるというものです。
無駄⑥日報に時間をかけすぎている
日本の営業生産性問題としてよく挙げられるのが無駄な日報作成です。日報に必要以上に時間をかけていたり、せっかく作成した日報も上長からのコメントは「確認しました」のみ。これでは、営業活動の改善につながることは永遠にないでしょう。営業日報自体が悪いのではなく、何に重点を置いて作成するのかや、その目的を明確にしてルールを設けることが大切です。
無駄⑦営業部内のコミュニケーションが円滑に進まない
営業部内のセールスマン同士のコミュニケーションというのは部全体が効率良く営業活動を進めるためにとても大切です。従って、コミュニケーションが円滑に進まないことで営業生産性も下がっていきます。
以上7つの営業の無駄から導き出せる営業生産性向上の方法とは何でしょうか?
営業生産性を向上する方法とは
まず重要なことで営業支援を中心としてコミュニケーション基盤を整えることです。営業支援とは営業活動を効率良く進めるためのソリューションで、SFAというと分かりやすいかと思います。ただSFAを導入すればよいのではなく、自社の営業スタイルに合ったものを導入することが大切です。
SFAがあることで移動時間を営業先資料の確認にあてたり、商談後すぐに案件情報をシステムに記録したりと社内外を問わない営業活動ができるため生産性が大幅にアップします。日報作成に関してもテンプレートが用意されており、上長からのコメントも貰いやすいので効果的な日報活用ができるでしょう。
コミュニケーションが円滑に進むというのも大きな効果です。営業部内および他部署や取引先とのコミュニケーションをチャットツールやWeb会議で行えば、情報のやり取りが非常にスムーズに進みます。遠方の営業先に関してもWeb会議を使用すれば顧客とセールスマン双方にとって高い生産性が生まれます。
SFAを導入するのならば特にクラウドタイプのものをおすすめします。インターネット経由でシステムを利用できるため、社内にいても営業先にいても同じ機能を使用でき、ワークスタイルは劇的に変化するでしょう。
現在、営業生産性に課題を感じている皆さんはこの機会にSFAの導入をぜひご検討ください。さらに、組織としての顧客管理の質を上げたり、効率を上げてゆくためのCRMの導入も効果的です。営業売上は顧客との時間である営業コアタイムの多さに比例します。営業コアタイムを増やすためにも営業生産性向上は絶対の条件と言えるでしょう。
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