課題もある。その最たるものは高圧線近くの捜索だ。警察庁の関係者は「電圧が高い施設の周辺ではセンサーの誤作動が発生する恐れがあり、そうなるとドローンが方向を失いグルグルと回ってしまう」と語る。さらに操縦ミスによるドローンの墜落も問題だ。上記の警察庁関係者によると、操縦が未熟でドローンが墜落した場合、個人として不名誉なことになってしまうという。
現在、警察はドローンを使用する状況を(1)行方不明児童の捜索(2)自殺が疑われる人の発生(3)重大な災害(4)テロ発生-の四つに限定している。単なる犯罪者の追跡やイノシシなどを探す目的だとドローンは使用できないということだ。警察庁ハイテク装備係のパク・ヒョンウ警長は「ドローンを飛ばして撮影していると、一般市民の顔や車両の番号などが収集され、個人情報が保護できなくなる懸念がある」「私生活保護を定めた韓国の憲法第17条に違反する恐れがあることから、用途を限定している」と説明した。
しかしその一方で「日々進化するさまざまな犯罪を防ぐには、ドローンをもっと多く活用すべきだ」との意見もある。先月には釜山のある高層マンション周辺でドローンを飛ばし、窓から住民の性行為の様子を撮影した40代二人が摘発された。警察出身で保守系野党・国民の力の金用判(キム・ヨンパン)議員は「ドローンを使ったさまざまな犯罪が発生している今の状況を考えると、警察としても市民の私生活を侵害しない範囲でドローンを最大限活用すべきだろう」とコメントした。