Jason Klaczynski Pokémon TCG – Retro Pokémon TCG Discussion and Strategy
https://jklaczpokemon.wordpress.com/
旧裏振り返り翻訳記事もようやく折り返し地点。
第5回の今回は、「第1弾-ジムシリーズ環境」について取り上げられています。
前回の時点でかなり歪な環境に陥っていましたが、今回はさらに輪をかけて……!?
前回の記事はこちらから↓
【ポケモンカード旧裏】世界王者Jason氏が語る旧裏環境の歴史④「第1弾~ロケット団環境」
http://blog.livedoor.jp/aqwsderft/archives/48830634.html
最初の記事はこちらから↓
【ポケモンカード旧裏】世界王者Jason氏が語る旧裏環境の歴史①「第1弾~ジャングル環境」
http://blog.livedoor.jp/aqwsderft/archives/48758247.html
まだまだ続くよ2000年:
史上最悪の黒歴史環境、「第1弾-ジム」を見る
Continuing into 2000: A Look at Base–Gym, the Game’s Most Degenerate Format
by Jason Klaczynski
https://jklaczpokemon.wordpress.com/2000-base-to-gym/
前回の記事、"The Year of Rocket’s Sneak Attack: Playing the 2000 Base–Team Rocket Format"(ロケット団のおねーさんの年:2000年の「第1弾-ロケット団環境」で遊ぶ)では、たった1枚のカードがどのように2000年のポケモンカードというゲームを変えてしまったかをお話しした。
プレイヤーがお互いに駆け引きのある戦略的なバトルを作り上げようと努力していた環境が、「ロケット団のおねーさん」1枚のせいで、トップドローで良いカードが引けるかどうかで決まってしまう"2,3ターン大会"へと様変わりしてしまったのだ。
こんなにも駆け引きの要素が少なく、最初のコイントス(※訳注:先攻・後攻を決めるためのもの)に重きが置かれる環境なのだが、信じ難いことに、これがさらに酷くなる。
だが信じてくれ。これは2000年にGym HeroesとGym Challenge※の拡張パックが発売された当時、本当に起こったことなんだ。
(※訳注:どちらもジム拡張シリーズのパック名。日本語版とは収録カードの順序がかなり異なるのですが、便宜上、以降それぞれジム1、ジム2と表記します)
これらふたつの拡張パックを紹介しながら、いったい何が間違っていったのかを見ていく前に、まず我々が今ポケモンカードの時系列のどの辺にいるのか軽く確認しておこう。
下に示したのは、ポケモンカード最初の6セットだ(再録セットは除く。発売日はそれぞれアメリカでのもの)。
1.Base Set(第1弾)(1999年1月)
2.Jungle(ジャングル)(1999年6月)
3.Fossil(化石の秘密)(1999年10月)
4.Team Rocket(ロケット団)(2000年4月)
5.Gym Heroes(ジム1)(2000年8月)
6.Gym Challenge(ジム2)(2000年10月)
ご覧の通り、ジム2の拡張パックの発売は、ジム1のわずか2か月後だ。つまり、"第1弾-ジム1"の環境は短命だったということになる。
加えて、ジム1で台頭した新しいデッキはすべて"第1弾-ジム2"の環境にも持ち越された。
従って便宜上、このふたつの環境をまとめて"第1弾-ジム"環境と呼ぶことにする。
よし、この話はこれくらいにして、この記事で最初に触れた、「ロケット団のおねーさん」がどのようにこのゲームを変えたかという話に戻ろう。「ロケット団のおねーさん」はプレイヤーの一番大事なトレーナーカードを奪い去る。それもプレイヤーが最初のターンを迎える前にやられることさえある。手札にはポケモンとエネルギーしか残らない。キーとなるトレーナーカードがなくては、プレイヤーが持てる選択肢は普通はあまりに少ない。
しかし最低限の選択肢はあるにはある。本当に最低限だが、「パソコン通信」が引ける程度の幸運があれば、トラッシュするための2枚のカードくらいは手札に残っているからだ。
ただそれも、ジム1が出るまでの話なのだが……。
ロケット団のワナ
なぜだ、ポケモンカードよ、なぜ?! 良いカードを少しばかり手札に残しておくことすら許してくれないというのか?
「ロケット団のワナ」はプレイヤーの手札すべてをデッキに戻してしまう。しかもただそれが可能だというだけでなく、簡単に、なのだ。
例えば相手がポケモン2体で試合を始めたとしよう。この場合手札には5枚のカードが残っている。君がコイントスに勝ち、先攻を取る。「ロケット団のおねーさん」を2枚使うだけで相手の手札は3枚に減る。続けてたった1回「ロケット団のワナ」を成功させれば、相手の手札は1枚も残らない。これがすべて最初のターンに行われるのだ。
簡単そうに思えるだろう? そう簡単だ。そしてそれが問題なのだ。
「ロケット団のワナ」の登場によって、最初の数ターンで決まる試合がさらに激増した。
以前は対「ロケット団のおねーさん」として有用だったトップドロー戦略(「パソコン通信」など)ももはや危機回避手段としては充分ではないかもしれない。トラッシュできるカードが1枚もないことも有り得るからだ。
酷い環境だと思うかい? だが2番目のジム拡張、Gym Challengeはさらなるカオスをもたらしてくれた。――とんでもない洒落だな。
(※訳注:下記の「錯乱ジム」は英語で"Chaos Gym=カオスジム")
錯乱ジム
ジムシリーズからはスタジアムカードがゲームに導入された。だが今日に至るまで、その悪名高さで伝説の「錯乱ジム」に優るスタジアムは存在しない。
「錯乱ジム」は「エネルギー・リムーブ」&「超エネルギーリムーブ」への防御手段となるし、「ダウジングマシーン」のようなカードを防ぐのにも効果的だ。「ダウジングマシーン」自体を使うときだけでなく、それで回収したスタジアム以外のトレーナーを使うのにもコインが要るからだ。
しかし「錯乱ジム」に関して最悪なのは、それがゲームの最初のターンに、「ロケット団のおねーさん」や「ロケット団のワナ」で相手の自由を奪った後に出せるということだ。
これらの手札破壊を受けたプレイヤーは、「オーキドはかせ」(や他のドローカード)を引いて速やかに立て直すだけでなく、コインで表も出さないといけなくなるのだ!
さて、これがこのゲームの最悪のケースだ。先攻を取ったほうが相手の手札をすべて破壊し尽くす。そしてトップドローの「オーキドはかせ」でさえ救いにはならないかもしれない……。
これ以上悪くなりようがないだろう? だがどういうわけか、なっちゃうんだな、これが。
(欄外コラム)Super Trainer Showdownの優勝者・Matt Mossは、「錯乱ジム」が出ている状態で、相手に危険を承知で「No.1トレーナー」(あなたが2005年世界大会でこのカードを勝ち取ったなら、2006年の大会にも出られる、という効果)を使われ、何と裏を出されてしまったことで、2006年ワールドチャンピオンシップスの資格を得たという。
(※訳注:ホンマかいな!? ググってもそれらしい情報は出てこず……都市伝説か?)
エリカのプリン
ポケモンカードの歴史も20年になるが、このカード以上に多くのプレイヤーの1日を台無しにしてきたカードなど存在しなかったと信じている。
エリカのプリンによって、後攻になったプレイヤーは自分の最初のターンが来たらラッキーだと思え、という環境が創られてしまった。
無色2個エネルギー1枚で40ダメージが飛ぶわけで、エリカのプリンに「プラスパワー」を装填すればHP80以下のたねポケモンは初手で倒されてしまう。
僕は2000年当時、友達とよく通っていた田舎の本屋で開かれた大会のことを思い出す。ジム2の発売後、これらのイヴェントの雰囲気は全体的に変わった。もっとピリピリするようになったんだ。
各試合の最初、たねポケモンを1体しか置けなかったプレイヤーが、最初のターンが回ってくるだろうかと不安になっているのが感じられた。
「ロケット団のおねーさん」と「ロケット団のワナ」のせいで、これを喰らったプレイヤーは限られたターン(多分1ターンしかないが)で役に立つカードを引くしかなかったし、「錯乱ジム」があるので、コイン運も必要になる。まあそれでも最低限のチャンスはある。
しかしエリカのプリンはゲームを始めることすら許してくれなかったのだ。
ここまでで、第1弾-ジム環境を、互いのプレイヤーが最初のターンに殴り合うだけの環境みたいに思わせてしまったかもしれない。しかし、第1弾-ジムのデッキが全部「ロケット団のワナ」やエリカのプリンを軸にしていたわけではないし、全部がそんな無敵に近い戦術を使っていたわけでもない。
デッキが手札破壊(または1ターンキル狙い)により積極的になればなるほど、それはコイントスで先攻が取れるかに依存することになる。
というのも、頭の良い相手なら、これらのデッキに対抗すべく、先攻が取れたらその利を活かしてベンチを埋め、手札がない状態から立て直せるターンを確実に稼げるほどの充分なポケモンを並べてくるからである。
攻撃的なデッキは、手札破壊のトレーナーカードのスペースを空ける必要があるため、エネルギーやその他有用なカードを切り詰めている。つまり長期戦に持ち込めばこれらのデッキは崩壊させられるのだ。
(近年のポケモンカードの大会に出ていた人なら、ダーテング軸のデッキ(2015年のダーテング禁止前に一時期存在していた)が良い比較になる)
速攻負けを防いでくれるカードもたくさんある。ガルーラ(ジャングル)がそのひとつだし、ラッキー(第1弾)などもある。
エリカのプリンや「ロケット団のおねーさん」&「ワナ」の後先考えない攻撃に"必ず"耐えられるデッキを作るのは不可能だが、これらのカードをこの環境のすべてだと思わないでほしい。
第1弾-ジムのデッキには、これらのカードに頼らないデッキもたくさんあるし、この環境の試合は楽しく、戦略的な戦いになることも多い。
ジムシリーズの、他にインパクトのあるカードを見ていくことにしよう。ここに挙げるのは、きちんとゲームを始めさせてくれるカードたちだ。
R団のサンダー
R団のサンダーがどれくらい凄いか語る前に、まずこのかっこいいイラストを鑑賞する時間を取ろう!(よく見ると、暗い背景に雨が降っているのが見えるだろう)
R団のサンダーは闘に対し、(ほとんどの雷ポケモンのように)弱点ではなく、抵抗力を持っている。しかも、弱点がないのだ。
「プラズマ」は「オーキドはかせ」と合わせて美しく機能する。トラッシュした雷エネルギーカードを回収できるし、「エネルギー・リムーブ」&「超エネルギーリムーブ」への素晴らしい防御にもなる。
「エレクトロバーン」は、「ディフェンダー」と組み合わせれば反動ダメージを減らせるし、次の相手の番もR団のサンダーを守ってくれる。
エリカのミニリュウ
映画プロモのミュウツー(※訳注:日本語版ではコロコロプロモ)や新しく出たR団のサンダーなどのたねポケモンは、第1弾-ジム環境でも強かった。それはつまり、エリカのミニリュウの「ふしぎなバリアー」が極めて役に立つということを意味する。
この特殊能力のおまけと言えるのは、「ロケット団のおねーさん」を喰らっても、立て直すまでに重要となるターンを相当程度稼げるという点だ。
カスミのいかり
「カスミのいかり」は、5枚のトラッシュという法外なマイナスを伴う。有用なカードを捨てすぎると、決まって最後に自分の首を絞める結果になる。山札切れだ。
だから、「カスミのいかり」は、相手をできるだけ早く倒そうとする超攻撃的なデッキで使うのが一番いい。
この記事で最初に述べたカード(エリカのプリン、「ロケット団のワナ」、「錯乱ジム」)はすべて、「カスミのいかり」とよく組まれていた。
リムーブ禁止ジム
特定の2枚のカードを指定して、手札から2枚トラッシュしない限り使えなくするという変わったカードだ。この「リムーブ禁止ジム」によって、ワザのコストが重いデッキも「エネルギー・リムーブ」&「超エネルギーリムーブ」から生き残るチャンスが生まれた。
ただ不幸なことに、当時のプレイヤーたちは進化ポケモンがもっと使える環境を切望していたのだが、「リムーブ禁止ジム」は彼らの期待にはあまり沿えなかった。
なぜなら、進化ポケモンを育てようとするデッキは、初手が弱くなりやすい傾向にあったからだ。つまり、「ロケット団のおねーさん」、「ロケット団のワナ」、エリカのプリンの犠牲になるという意味なのだが……。
加えて、良い試合運びができても、「リムーブ禁止ジム」は対策されたり、カードを2枚トラッシュするくらいではぶっ壊れカードの「超エネルギーリムーブ」は止まらないということもあった。
それでも本当にリムーブカードで試合を台無しにされたくないと思うなら、ジム2は解決策をひとつ与えてくれる。
タケシのキュウコン
タケシのキュウコンの強さは、「タケシの保護」を装備することで、化けたポケモンがリムーブカードの影響を受けなくなるという点に起因する。
タケシのキュウコンは、より強い進化ポケモンが登場することで力を得て、今後の環境でも活躍し続けることになる。
くすぐりマシーン
今まで印刷された中でも最も奇妙なカードのひとつである「くすぐりマシーン」は、かつて使えなかったカード「にせオーキドはかせ」を復活させてくれた。
この組み合わせで、相手の山札を7枚削り取ることができ、山札切れを加速させられる。コインでちょっと表を出せば、相手の山札を14枚(さらには21枚も)飛ばし、自分の番のうちに相手を山札切れに追い込むこともできる。
エリカ
一見すると「マサキ」の劣化に思えるかもしれないが、「エリカ」にはいくつか巧みなコンボがある。
ひとつは、耐久デッキに入れて相手のカードを切らすという方法だ(相手は追加でドローしたところで大して利益にならない場合が多い)。
もうひとつが「にせオーキドの逆襲」との組み合わせ。「エリカ」による相手の追加ドローをチャラにできる。
ジム拡張シリーズではたくさんの新しいデッキが環境に加わった。――恐らく以下に記したもの以外にもたくさんある。
第1弾-ジム環境は、僕が隅から隅までプレイした環境ではないことを認めよう。だから僕が何か素晴らしいデッキのアイディアを見落としている可能性も大いにある。
以下に、僕が2000年当時の第1弾-ジム環境で活躍していたと記憶しているデッキと、そして2016年に改めてこの環境を振り返って思い付いた新しいアイディアのデッキを記述する。
ポケモン:13枚
3 プリン(ジャングル)
3 プクリン(ジャングル)
3 マンキー(ジャングル)
2 ストライク(ジャングル)
1 マンキー(R)
1 エリカのプリン(ジム拡張1)
トレーナー:41枚
1 リムーブ禁止ジム
1 錯乱ジム
4 パソコン通信
4 オーキドはかせ
4 マサキ
4 カスミのいかり
4 プラスパワー
4 ロケット団のおねーさん
4 ロケット団のワナ
4 ダウジングマシーン
2 メンテナンス
2 エネルギー・リムーブ
1 夜の廃品回収
1 にせオーキドの逆襲
1 リサイクル
エネルギー:6枚
4 無色2個エネルギー
1 草エネルギー
1 なんでもなおし配合エネルギー
第1弾-ジム環境をプレイしようと思っている人は、まず絶対にこのデッキを試そう。
第1弾-ジム環境で起こりうる狂気が浮き彫りになるだけでなく、遊んでいてめちゃくちゃ楽しいのだ。41枚という大量のトレーナーによって、この超攻撃的なデッキは初手から簡単に60枚のほとんどを引き切り、相手の手札を全消去するのに必要なぶんの「ロケット団のおねーさん」と「ロケット団のワナ」にアクセスできる。
「カスミのいかり」4枚によって、相手がたね1体の場合、エリカのプリンと勝利に必要なぶんの「プラスパワー」にアクセスできることが事実上保証される。
ただし、相手が何とか2体以上のポケモンを出してきた場合は、普通に手札破壊戦略を押し付け、2ターン目のプクリンの「ともだちのわ」を準備しよう。
相手の手札を破壊したあとは、マンキー(ジャングル)の「スパイ」を使って、相手のトップデッキに目を光らせよう。役に立つカードを見つけたら邪魔するのだ。
ヒント:相手の手札に役に立たないカードがあることがわかっているなら、「ロケット団のおねーさん」や「ロケット団のワナ」で戻さなくてはと考える必要はない。手札に残したままにするのだ。
そうすれば、マンキーの「スパイ」で相手の山札の一番上に良いカードを見つけたら、「おねーさん」や「ワナ」を使って相手のデッキをシャッフルできるからだ(もし相手の手札がゼロなら、相手のデッキをシャッフルする唯一の手段は、マンキー(R)の「いたずら」だ)。
ヒント:このデッキは「エリカ」を入れることで改良できる。よりたくさんカードが引けて、なおかつ捨てるカードが少なくなる。
「エリカ」を入れると、「にせオーキドの逆襲」の枚数ももっと必要になるが、相手の手札に対して同じ役割が持てるので、「ロケット団のおねーさん」と「ロケット団のワナ」の枚数を少なくできる。
ポケモン:12枚
4 ガルーラ(ジャングル)
4 ラッキー(第1弾)
2 ファイヤー(化石)
2 ベロリンガ(ジャングル)
トレーナー:36枚
4 パソコン大暴走!
4 エリカ
4 エネルギー・リムーブ
4 超エネルギーリムーブ
4 ダウジングマシーン
4 くすぐりマシーン
4 にせオーキドはかせ
3 ポケモン回収
2 パソコン通信
2 夜の廃品回収
1 オーキドはかせ
エネルギー:12枚
4 無色2個エネルギー
8 炎エネルギー
第1弾&ジャングル環境で作られた古典的なベロリンガ耐久デッキの改良版だと考えてほしい。
ベロリンガの「まきつくベロ」を中心とした耐久攻撃の代わりに、このデッキは「くすぐりマシーン」と「にせオーキドはかせ」のコンボで相手の山札を素早くゼロにすることに頼っている。
「パソコン大暴走!」と「エリカ」によって、この死のコンボのペアをより多く引けるし、相手にカードをもっとドローするという選択肢を取るべきかどうか勘ぐらせることもできる。
相手の山札をのこり数枚にまで減らせたなら、最後に数回、ファイヤーの勝利の「やまやき」でお掃除だ。
上に挙げたプクリン・ワナデッキのように、このデッキも使っていてとても楽しい。
強さに関しても、わるいラフレシアデッキ以外に対しては、信じられないくらい強い。事実上、最初の数ターンを生き延びれば、あとは無敵である。まれに使われる「ギャンブラー」だけは、相手に「くすぐりマシーン」+「にせオーキドはかせ」のコンボを凌ぐチャンスを与えてしまうが……。
わるいラフレシアを倒そうと思うなら、ベトベトンラインを3-2か2-2で入れるのも一考の余地アリ。
ヒント:相手の手札がたくさん貯まっているなら、相手のリムーブカードが飛んでくるので、ファイヤーのエネルギーを維持するのに苦労しそうだ。
ワザを使って番を終わるという選択肢があるなら、1枚だけエネルギーを付けて「やまやき」を使おう。ファイヤーに「エネルギー・リムーブ」を使われる隙を与えないで済む。
ポケモン:18枚
4 ガルーラ(ジャングル)
4 フシギダネ(第1弾)
3 フシギソウ(第1弾)
3 フシギバナ(第1弾)
3 ミュウツー(コロコロ/ファンブックプロモ)
1 メタモン(化石)
トレーナー:28枚
2 せまいジム
3 パソコン通信
3 オーキドはかせ
3 マサキ
2 プラスパワー
2 ダウジングマシーン
2 超エネルギーリムーブ
2 ポケモンセンター
2 突風
2 ポケモンいれかえ
2 ポケモン交換おじさん
1 ポケモン育て屋さん
1 ミニスカート
1 夜の廃品回収
エネルギー:14枚
8 草エネルギー
4 レインボーエネルギー
2 無色2個エネルギー
一度フシギバナを出してしまえば、特殊能力「エナジートランス」によって「ポケモンセンター」はこのカードゲーム史上最も強力な回復カードとなる。エネルギーカードを捨てることなくポケモンのダメージをすべて回復できるのだ。
レインボーエネルギーをミュウツーに付ければ、トラッシュから草とレインボーエネルギーを回収できて、「超エネルギーリムーブ」対策にもなるし、それを「エナジートランス」で付け替えることもできる。
ガルーラは1ターン目の手札破壊への最高の防御になるし、フシギバナを出せるチャンスも生まれる。
ヒント:バトル場のメタモンに付いている間は、無色2個エネルギーは草も含め、すべての色のエネルギーになる。つまりフシギバナの「エナジートランス」でメタモンから無色2個エネルギーを移動させられるのだ(ただし一度メタモンから離すと無色エネルギーに戻るので、付け返せなくなることは覚えておこう)。
ヒント:10ダメージが載っても問題ないポケモンにレインボーエネルギーを付けよう。それから、フシギバナで好きなポケモンにエネルギーを付け替えればいい。
ポケモン:18枚
4 タケシのロコン(ジム拡張1)
3 タケシのキュウコン(ジム拡張1)
3 カスミのギャラドス(ジム拡張1)
1 わるいカメックス(R)
1 ニョロボン(第1弾)
4 ラッキー(第1弾)
2 エリカのミニリュウ(ジム拡張1)
トレーナー:28枚
1 せまいジム
4 オーキドはかせ
3 パソコン通信
3 エネルギー・リムーブ
2 超エネルギーリムーブ
3 ダウジングマシーン
3 タケシの保護
2 きずぐすり
2 突風
2 夜の廃品回収
1 ミニスカート
1 タケシの育て方
1 プラスパワー
エネルギー:14枚
12 水エネルギー
2 無色2個エネルギー
リムーブカードがある環境では、1体のポケモンに水エネルギーを4枚も付けるなんて、何か秘策でもない限り起こらないことだ。
恐らくその最高の秘策とは、タケシのキュウコンに「タケシの保護」を付けることだ。そして特殊能力「ばける」を使ってカスミのギャラドスに化ければ、リムーブカードは効かなくなる。
カスミのギャラドスに化けることの最もいいところは、化けたポケモンの特殊能力までは引き継げないという普通なら欠点になる部分がプラスになるというところだ。「はんこう」はほとんど役に立たない特殊能力だからな!
このデッキで化けられるのはカスミのギャラドスだけじゃない。相手のエネルギーが少ないときは、ニョロボンの「うずしお」攻撃を使うことも考えてみよう。
または、わるいカメックスの「ロケットタックル」で殴るという手もある。次の番、攻撃を防ぐことができるのだ。
ヒント:わるいラフレシア対策にもなる、用途の多いタケシのマンキー(タケシ)をデッキに入れる余地もある(「からかう」でわるいラフレシアをバトル場に引っ張り出して倒すことができる)。
(※訳注:日本語版と違い、英語版のタケシのキュウコンは発売当初から"「ばける」で載せたポケモンの特殊能力は使えない"という注釈が書き加えられています。そのため、日本で当時猛威を振るった『タケキュウロック』は英語圏では存在しませんでした)
ポケモン:15枚
4 ミュウツー(コロコロ/ファンブックプロモ)
3 プリン(ジャングル)
3 プクリン(ジャングル)
2 ベトベター(化石)
2 ベトベトン(化石)
1 エリカのプリン(ジム拡張1)
トレーナー:31枚
2 リムーブ禁止ジム
4 パソコン通信
4 オーキドはかせ
4 マサキ
4 プラスパワー
4 ロケット団のおねーさん
3 ダウジングマシーン
2 超エネルギーリムーブ
2 ポケモンいれかえ
2 夜の廃品回収
エネルギー:14枚
8 超エネルギー
4 無色2個エネルギー
2 なんでもなおし配合エネルギー
プクリン・ミュウツーデッキは第1弾-ジム環境でも依然強い。「リムーブ禁止ジム」が「ロケット団のおねーさん」と合わさって、相手にリムーブカードを使いにくくさせているからだ。これによってプクリンは繰り返し「ともだちのわ」が撃てるようになる。
そしてもちろん、無色2個エネルギーと「プラスパワー」が両方フル投入されているデッキにエリカのプリンを入れないのは愚かというものだろう。
ヒント:ミュウツーの「エネルギーきゅうしゅう」でトラッシュから付けた無色2個エネルギーを回収する方法として、「エネルギーサーキュレート」を1枚足してみよう。
(※訳注:英語版の「エネルギーサーキュレート」は、日本語版と違い、特殊エネルギーも戻すことができます)
ポケモン:11枚
4 R団のサンダー(ジム拡張2)
2 エリカのミニリュウ(ジム拡張1)
2 ラッキー(第1弾)
1 エレブー(第1弾)
1 エリカのプリン(ジム拡張1)
1 ストライク(ジャングル)
トレーナー:35枚
1 せまいジム
4 オーキドはかせ
4 ロケット団のおねーさん
4 プラスパワー
3 パソコン通信
3 マサキ
3 エネルギー・リムーブ
3 超エネルギーリムーブ
3 ダウジングマシーン
2 ディフェンダー
2 突風
1 夜の廃品回収
1 まきちらせ!ベトベトガス
1 ポケモン回収
エネルギー:14枚
10 雷エネルギー
4 無色2個エネルギー
最新の、そして最後のHaymakerの亜種となるデッキと考えてほしい。時代の中で、エビワラーがミュウツーに入れ替わり、そして最後にミュウツーがR団のサンダーに入れ替わり、進化を遂げた。
「プラズマ」は「超エネルギーリムーブ」を使っても使われても、素晴らしく機能するし、強力なワザ「エレクトロバーン」への準備にもなる。
エリカのミニリュウとラッキーで速攻の手札破壊に耐え切ることもできるし、エリカのプリンはきっと1ターンキルの勝利をもたらしてくれる。
ヒント:R団のサンダーの「エレクトロバーン」に使う4枚目のエネルギーには無色2個エネルギーを使おう。反動ダメージを減らせる。
ポケモン:24枚
4 コダック(化石)
2 わるいゴルダック(R)
4 ナゾノクサ(R)
3 わるいクサイハナ(R)
3 わるいラフレシア(R)
2 カビゴン(ジャングル)
2 ガルーラ(ジャングル)
2 ミュウツー(コロコロ/ファンブックプロモ)
2 バリヤード(ジャングル)
トレーナー:18枚
4 パソコン通信
3 マサキ
3 オーキドはかせ
2 カスミのいかり
2 ポケモン育て屋さん
2 ポケモンいれかえ
1 突風
1 ボスのやりかた
エネルギー:18枚
9 超エネルギー
4 無色2個エネルギー
3 きずぐすり配合エネルギー
2 なんでもなおし配合エネルギー
第1弾-ロケット団環境では最高のデッキだったわるいラフレシアは、第1弾-ジム環境でもやはり強い。
不幸なことに、HP50のナゾノクサとコダックが入っているため、時々エリカのプリンの「やさしいパンチ」(やR団のサンダーの「プラズマ」にさえも)に1ターンキルを許してしまう。
だが1ターン目の「ずつう」の強さを考えれば、まだこの強力なデッキに執着したくなるかもしれない。
ヒント:強い手札(と複数のエネルギーカード)が貯まるまで、わるいラフレシアに進化させるのは待とう。わるいラフレシアの「アレルギーかふん」が出ても大丈夫なように、相手よりもしっかり準備ができたと保証できるときが進化のタイミングだ。
ポケモン:14枚
4 エレブー(第1弾)
4 コイキング(第1弾)
3 ギャラドス(第1弾)
3 ラッキー(第1弾)
トレーナー:32枚
2 リムーブ禁止ジム
4 パソコン通信
4 オーキドはかせ
4 マサキ
3 思い出させる
3 ロケット団のおねーさん
3 ダウジングマシーン
2 エネルギー・リムーブ
2 超エネルギーリムーブ
2 突風
1 ポケモン回収
1 夜の廃品回収
1 プラスパワー
エネルギー:14枚
6 水エネルギー
3 雷エネルギー
4 レインボーエネルギー
1 無色2個エネルギー
このデッキは苦しむことになる問題も少しあるが(1ターンキルされやすいなど)、ポケモンカードにおいて、「思い出させる」でギャラドスがコイキングの「じたばた」を使って相手を一撃で倒すこと以上に満足できることはほとんどない。
ヒント:「いかり」のダメージを増やすために、ギャラドスにレインボーエネルギーを付けよう。
第1弾-ジム環境では使えるカードが500枚以上にもなった。だがこの広いカードプールは、大量手札破壊(わるいラフレシアもだが……)の環境のせいで駆け引きの要素が欠けており、どうにも影が薄い。
楽しく戦略的なゲームができないというわけではないし、この徹底的な手札破壊デッキが遊んでいて楽しくないというわけでもない。
ただ、第1弾-ジム環境の試合は、かなりの割合で最初期の環境のような戦略的なバトルにまで進まないため(特に両者が「ロケット団のおねーさん」やエリカのプリンなどを使った場合)、ストレスが溜まる環境なのだということに尽きる。
このような一方的なゲームにも関わらず、ポケモンカードの歴史を楽しんでいるひとであれば、これは経験が得られる環境になる。
ジム拡張で登場したトレーナーカードによる、コントロール不能の可能性は、きっと君や君の友達から笑顔や楽しみを奪ってしまう。
とはいえ、大会の決勝戦などでなく、和気藹々としたゲームでなら、「やさしいパンチ」で1ターンキルされても、痛みはまだマシだということか……。
ジムシリーズが終わり、このカードゲーム最強の拡張パック"Neo Genesis"(neo1)が発売したことで、ようやく新鮮な空気が吸えるようになった。
この革命的な112枚のカードによるセットは、競技的にも有用なカードがたくさんあり、様々な新しいデッキや戦略が生まれたのだ。それに2000年を支配していた手札破壊戦略も大幅に弱体化した。
これは僕のポケモンカード人生の中でもお気に入りの時期であり、お伝えするのが楽しみだ。
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翻訳ここまで。
日本とは違い、タケシのキュウコンに最初からエラッタがかかった状態でしたが、それでもやはり凶悪過ぎる環境になってしまっていますね。ホントこの時期の開発陣は何を考えていたのか……
そういえば、最近の公式大会で『カスミウィニー』が大流行したのが記憶に新しいですが、この記事では一切取り上げられていないのがちょっと不思議でした。エリカのプリンで充分ということなのでしょうか?
さて、次回はいよいよ旧裏の全カードが揃う「第1弾-Neoシリーズ環境」の記事となります。
Neo1~4まですべて扱っているため、非常に長い記事となっており、デッキもなんと21個も紹介されています(そのせいで記事が環境解説編、デッキ紹介編に分割されているという……!)。
そのぶん翻訳も大変でしたが、しかしとても面白い環境で、今まで見たこともないようなデッキも取り上げられていたりするので、存分にお楽しみいただけるかと思います。
こちらとしてもこれは少しでも早くお届けしたい!ということで、次回は明日、前編・後編まとめて更新予定です。お楽しみに!
次:【ポケモンカード旧裏】世界王者Jason氏が語る旧裏環境の歴史⑥「第1弾~Neo環境概説」
http://blog.livedoor.jp/aqwsderft/archives/48854801.html