特撮
2016年02月29日
特撮 - 「ウインカー」発売記念ツアー(大阪) 【ライブレポート・感想】
umedaAKASOへ特撮のライブを見に行ってきました。

タイトルの通り、今回のツアーはニューアルバム『ウインカー』の発売を記念したもの。
この日のライブも、『ウインカー』の収録曲を中心に、過去曲を織り交ぜたセットリストで構成されていました。
この日は土曜日だったので、早い時間から梅田をブラブラ。
近くのディスクユニオンで時間を潰しつつ、開演15分ほど前に会場に入りました。
会場フロアのBGMはMOTORHEAD。
ぼくの記憶では、特撮でも筋肉少女帯でも、大槻ケンヂ(オーケン)の両バンドのライブ前に流れているのはいつもMOTORHEADなんですよね。
だからずっと「オーケンはMOTORHEADが好きなんだ」と思っていたんですが、ちょうど今回の『ウインカー』のインタビューで「マニアの方には悪いけど、MOTORHEADってどれを聴いても同じように聴こえるよなあ。そこがいいって面もあるんだろうね」って言っていて、アレ? と思ったことが記憶に残っています(笑)
でも、いつもMOTORHEADなんだよなぁ。なんでだろう?
以前、ぼくの友達が車の中でずっと嵐のCDを流していて、「この男は嵐が好きなのか?」と思っていたら、実は妹が入れたCDをそのまま流していただけだった、ということがあったんですけど、そういうパターンかな? うーん、そんなパターンあるのか?(笑)
開演時間が過ぎ、10分ほど経った頃、会場が暗転し、MOTORHEADがストップ(笑)
ステージの両サイドにあるライトがピカピカと点滅します。まるで「ウインカー」みたいだ。
そして、ファンキーなSEとともにバンドが登場。
1曲目は、ニューアルバムでもオープニングを飾る"荒井田メルの上昇"。
ハードコアな特撮のライブですが、今回はメロウに幕を開けました。
ズンズンと響き渡るARIMATSUのドラムと、三柴理のなめらかなピアノがすごく心地良い。
もちろん、NARASAKIのギターも、RIKIJIのベースも最高。素晴らしいバンド演奏。その中で、オーケンの歌だけがそんなに上手くない(笑)
でも、やっぱりこれが特撮の味ですよね(笑)
大槻ケンヂの歌詞とヴォーカルがあってこその特撮。メロウなような、脱力感を覚えるような、不思議な心地良さに包まれます(笑)
軽くMCを挟んで、2曲目は”音の中へ”。これも『ウインカー』の流れ通り。
この曲は、特撮印のハードなナンバー。会場の空気が一気に熱くなります。
特に盛り上がるのは1番目のサビの直後。
NARASAKI氏の「せーのっ!!」という掛け声を合図に、「サーウンド!! サーウンド!!」の大合唱!
ハイハイハハイ!! ハイハイハハイ!! フーッ\(^o^)/
楽しい(笑)
続いてもニューアルバムより"愛のプリズン"。
この日の"愛のプリズン"はうわなにをするやめr
4曲目は"アリス"。ここまでは完全にアルバム通りの流れです。
アルバムの中ではやや印象が薄めな楽曲でしたが、生演奏で聴くと、スタジオ音源以上にヘヴィなサウンドですごくカッコよかったです。
途中の語りパートもカットせずに再現。やっぱりカッコいい。
ここでMCを挟んで、やはりニューアルバムより"ハンマーはトントン"が演奏されます。
この曲の冒頭は、三柴氏のピアノをバックにした合唱パート。流麗なピアノに合わせて、朗々とした歌声が響き渡ります。ライブでは、もちろん、オーディエンスが合唱する流れに。
しかし、そんなに単純な歌詞でもないので、NARASAKI氏が親切に「悪徳拝金」「暴力独裁主義」と、歌詞をリードしてくれます。単語が単語だけにシュールです(笑)
しかも、オーケンはオーケンで「母さんが、夜なべぇ~♪」とか「プリプリーズン! 愛のプリズン!」とか、歌のリズムを乱すような茶々を入れるので、完全にカオスな状況に。歌いたくても歌えないよ(笑)
しかし、そんな中でも全く乱れることなくピアノを弾き続ける三柴氏は凄いと思います。聖徳太子みたいです。8人の話を同時に聴けるってやつ(笑)
さらに、ニューアルバムより"シネマタイズ"、"7人の妖"と、特撮らしいラウドでポップなナンバーが続きます。
"7人の妖"では、サビに登場する「サイリウムの海」という歌詞にちなんで、たくさんの観客たちがサイリウムを頭上に掲げていました。それも数人レベルじゃありません。前方にいた観客は半分くらいサイリウムを振っていたんじゃないかな。
確かに、この曲でサイリウムを振る人はいるだろうと思っていましたが、まさかこんなに沢山のサイリウムが登場するとは。しかもこの曲のためだけに……みんな凄い行動力だ(笑)
ぼくは、アイドルはあまり知らないので、自分がサイリウムを持っていくという発想はなかったのですが、サビに入った瞬間サイリウムが一斉に掲げられた光景にはちょっと感動しました。
そして、そのとき大槻氏が「うわっ」という感じで嬉しそうな表情をしたのも印象的でした。
サイリウムなんてロックじゃないですけど、これはこれで素敵ですね。
ライブ中、ずっと振られ続けるのは微妙ですけどね(笑)
さらにMCを挟んで、ニューアルバムより"人間蒸発"。
ちなみに、上で触れたインタビューで読んだのですが、この曲は"MOTORHEAD"に影響を受けているみたいです(笑)
この曲もカッコいいです。特に後半ですね!
RIKIJI氏がグリグリとベースをかき鳴らして、それを合図に疾走していく部分! 滅茶苦茶カッコいい!
大槻氏のパフォーマンスも最高です。やっぱり、オーケンの語りが入る曲は最高にカッコいいです。
続いて、印象的なピアノのフレーズが弾かれ、はじまったのは"綿いっぱいの愛を!"。
アルバム『綿いっぱいの愛を!』からの選曲。この日はじめての旧曲ですね。
新曲もいいですが、過去の楽曲もやっぱり盛り上がります。
ここで再びMCに。
そして、大槻氏の口から「最近喉を痛めていて、いま治療している」というような発言があり、「だから自分は少し休憩するので、次は歌なしの"ヤンガリー"だよ」という導入でアルバム『Agitator』収録の"ヤンガリー"がスタート。
治療中のエピソードを笑い話にして会場盛り上げていたのはさすがですが、大丈夫なんでしょうか。
確かに、最近のライブではお馴染みのシャウトが減ってきていますし、大槻氏が退場して他のメンバーが1、2曲歌うコーナーが設けられたりしていましたが……体力的な事情かと思っていましたが、これが喉の不調によるものだとすると、ファンとしては心配です。
ただでさえ、大槻氏の歌い方って喉に負担がかかりそうですもんね。ぼくも以前、カラオケでオーケンの真似して歌ったら喉から血が出ましたし(笑)
喉はヴォーカルの命ですし、大槻ケンヂの音楽をこれからも長く聴いていきたいので、どうか自愛していただきたいです。
ちなみに、"ヤンガリー"はオーケン抜きでもすごくカッコよかったですよ……(´д⊂)
続いてもインストコーナー。『ウインカー』のラストを飾る"ハザード"が演奏されます。
ダークでアンビエントで、まるでドローンドゥームみたいな音楽です。
ド迫力の轟音。そして、その轟音の中で奏でられるピアノが非常に美しい。
スタジオ音源でも深淵な雰囲気が漂っていましたが、生演奏からはそれを遥かに凌駕する凄みが感じられました。圧倒的なパフォーマンス。もう1度、生で聴きたい楽曲です。
"ハザード"が終わると、大槻氏がステージ上に戻り、演奏されるのは"富津へ"。
これも『ウインカー』に収録されているバラード。すごく好きな曲です。
特撮のバラードの中でも1番好きな曲。とにかく、心に染みるいい曲です。
スタジオ音源も素晴らしいですが、生演奏も素晴らしい。
ピアノの音色も綺麗だし、ヴォーカルもメロディもすごくいい。胸にグッときますね……これも、今後の定番曲になってほしい。何度でも聴きたい名曲です。
このあとは、しっとりとした雰囲気から一変。終盤へ向けて、ライブは一気に盛り上がっていきます。
まずはアルバム『ヌイグルマー』より"ジェロニモ"。
元は、パンクバンドGASTUNKのカバー曲ですが、いまや特撮のライブには欠かせない楽曲になっています。
「モヒカン!」の掛け声や、間奏部分での合唱など、盛り上がらずにはいられないキラーチューンです!
さらに、同アルバムより"戦え! ヌイグルマー"、"バーバレラ"と、定番曲が連発されます。
"戦え! ヌイグルマー"もコーラスがすごく盛り上がりますね。「N! U! I! G! U! L! U! MAR!」っていうところとか。
そして、本編ラストは"ヨギナクサレ"で締め。
この曲も最高にカッコいい! そして燃える!!
特に「ふざけるんじゃねーよ 動物じゃねーんだ!」という歌詞から、間奏を挟んで後半に至るまでの盛り上がりは神がかり的!
爆音に包まれながら、歌に合わせて「YO!!」とか「思う!!」「思う!!」「違う!!」「絶対!!」って叫ぶと、力が湧いてきます。
抑圧されながらも日々を生きる我々社会人のアンセムですね! これは!
そしてここからはアンコール。
1曲目は、ニューアルバムより"旅の理由"。
こういうムーディな楽曲では、三柴氏のピアノが特に光ります。
しっとりとジャジーに、しかしサビではメロディアスに盛り上がる、これも素晴らしい楽曲です。
2曲目は、アルバム『5年後の世界』より"5年後の世界"。
こちらは、特撮らしいラウドでエネルギッシュなナンバー。
爆発力に満ちた楽曲と、メロディアスなサビ。「1、2、3、4、5年後世界! 1、2、3、4、5年後世界!」という部分はオーディエンスも合唱。この曲も熱いです!
そして、ついにラストソング。
最後も、アルバム『5年後の世界』より"林檎もぎれビーム!"。
元は「大槻ケンヂと絶望少女達」名義でリリースされた楽曲で、大人気テレビアニメ『【懺・】さよなら絶望先生』のオーオプニングテーマ。だから、知名度も抜群で盛り上がりも抜群。
そして、アニメ云々を抜きにしても、これは名曲。いや、神曲!
ライブでは、女性ヴォーカルパートが同期音源になることだけがたまにキズではありますが、それを差し引いても熱すぎる演奏とヴォーカル!
特撮屈指の、そしてアニメソング屈指の名曲が、ライブの最後を熱く熱く締めくくりました。
今回も素晴らしいライブでした。
同じ大槻ケンヂのバンドでも、やはり特撮には筋肉少女帯とはまた違ったカッコ良さがありますね。
筋肉少女帯は1年に2、3回くらい大阪に来てくれますが、特撮は1年に1回来るかどうか。
でも、やっぱりまた観たいなあと思わせてくれるライブでした。
喉をしっかり治して、また大阪に来てほしいですね!
セットリスト
荒井田メルの上昇
音の中へ
愛のプリズン
アリス
ハンマーはトントン
シネマタイズ
7人の妖
人間蒸発
綿いっぱいの愛を!
ヤンガリー(Instrumental)
ハザード
富津へ
ジェロニモ
戦え! ヌイグルマー
バーバレラ
ヨギナクサレ
encore
旅の理由
5年後の世界
林檎もぎれビーム!

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タイトルの通り、今回のツアーはニューアルバム『ウインカー』の発売を記念したもの。
この日のライブも、『ウインカー』の収録曲を中心に、過去曲を織り交ぜたセットリストで構成されていました。
この日は土曜日だったので、早い時間から梅田をブラブラ。
近くのディスクユニオンで時間を潰しつつ、開演15分ほど前に会場に入りました。
会場フロアのBGMはMOTORHEAD。
ぼくの記憶では、特撮でも筋肉少女帯でも、大槻ケンヂ(オーケン)の両バンドのライブ前に流れているのはいつもMOTORHEADなんですよね。
だからずっと「オーケンはMOTORHEADが好きなんだ」と思っていたんですが、ちょうど今回の『ウインカー』のインタビューで「マニアの方には悪いけど、MOTORHEADってどれを聴いても同じように聴こえるよなあ。そこがいいって面もあるんだろうね」って言っていて、アレ? と思ったことが記憶に残っています(笑)
でも、いつもMOTORHEADなんだよなぁ。なんでだろう?
以前、ぼくの友達が車の中でずっと嵐のCDを流していて、「この男は嵐が好きなのか?」と思っていたら、実は妹が入れたCDをそのまま流していただけだった、ということがあったんですけど、そういうパターンかな? うーん、そんなパターンあるのか?(笑)
開演時間が過ぎ、10分ほど経った頃、会場が暗転し、MOTORHEADがストップ(笑)
ステージの両サイドにあるライトがピカピカと点滅します。まるで「ウインカー」みたいだ。
そして、ファンキーなSEとともにバンドが登場。
1曲目は、ニューアルバムでもオープニングを飾る"荒井田メルの上昇"。
ハードコアな特撮のライブですが、今回はメロウに幕を開けました。
ズンズンと響き渡るARIMATSUのドラムと、三柴理のなめらかなピアノがすごく心地良い。
もちろん、NARASAKIのギターも、RIKIJIのベースも最高。素晴らしいバンド演奏。その中で、オーケンの歌だけがそんなに上手くない(笑)
でも、やっぱりこれが特撮の味ですよね(笑)
大槻ケンヂの歌詞とヴォーカルがあってこその特撮。メロウなような、脱力感を覚えるような、不思議な心地良さに包まれます(笑)
軽くMCを挟んで、2曲目は”音の中へ”。これも『ウインカー』の流れ通り。
この曲は、特撮印のハードなナンバー。会場の空気が一気に熱くなります。
特に盛り上がるのは1番目のサビの直後。
NARASAKI氏の「せーのっ!!」という掛け声を合図に、「サーウンド!! サーウンド!!」の大合唱!
ハイハイハハイ!! ハイハイハハイ!! フーッ\(^o^)/
楽しい(笑)
続いてもニューアルバムより"愛のプリズン"。
この日の"愛のプリズン"はうわなにをするやめr
4曲目は"アリス"。ここまでは完全にアルバム通りの流れです。
アルバムの中ではやや印象が薄めな楽曲でしたが、生演奏で聴くと、スタジオ音源以上にヘヴィなサウンドですごくカッコよかったです。
途中の語りパートもカットせずに再現。やっぱりカッコいい。
ここでMCを挟んで、やはりニューアルバムより"ハンマーはトントン"が演奏されます。
この曲の冒頭は、三柴氏のピアノをバックにした合唱パート。流麗なピアノに合わせて、朗々とした歌声が響き渡ります。ライブでは、もちろん、オーディエンスが合唱する流れに。
しかし、そんなに単純な歌詞でもないので、NARASAKI氏が親切に「悪徳拝金」「暴力独裁主義」と、歌詞をリードしてくれます。単語が単語だけにシュールです(笑)
しかも、オーケンはオーケンで「母さんが、夜なべぇ~♪」とか「プリプリーズン! 愛のプリズン!」とか、歌のリズムを乱すような茶々を入れるので、完全にカオスな状況に。歌いたくても歌えないよ(笑)
しかし、そんな中でも全く乱れることなくピアノを弾き続ける三柴氏は凄いと思います。聖徳太子みたいです。8人の話を同時に聴けるってやつ(笑)
さらに、ニューアルバムより"シネマタイズ"、"7人の妖"と、特撮らしいラウドでポップなナンバーが続きます。
"7人の妖"では、サビに登場する「サイリウムの海」という歌詞にちなんで、たくさんの観客たちがサイリウムを頭上に掲げていました。それも数人レベルじゃありません。前方にいた観客は半分くらいサイリウムを振っていたんじゃないかな。
確かに、この曲でサイリウムを振る人はいるだろうと思っていましたが、まさかこんなに沢山のサイリウムが登場するとは。しかもこの曲のためだけに……みんな凄い行動力だ(笑)
ぼくは、アイドルはあまり知らないので、自分がサイリウムを持っていくという発想はなかったのですが、サビに入った瞬間サイリウムが一斉に掲げられた光景にはちょっと感動しました。
そして、そのとき大槻氏が「うわっ」という感じで嬉しそうな表情をしたのも印象的でした。
サイリウムなんてロックじゃないですけど、これはこれで素敵ですね。
ライブ中、ずっと振られ続けるのは微妙ですけどね(笑)
さらにMCを挟んで、ニューアルバムより"人間蒸発"。
ちなみに、上で触れたインタビューで読んだのですが、この曲は"MOTORHEAD"に影響を受けているみたいです(笑)
この曲もカッコいいです。特に後半ですね!
RIKIJI氏がグリグリとベースをかき鳴らして、それを合図に疾走していく部分! 滅茶苦茶カッコいい!
大槻氏のパフォーマンスも最高です。やっぱり、オーケンの語りが入る曲は最高にカッコいいです。
続いて、印象的なピアノのフレーズが弾かれ、はじまったのは"綿いっぱいの愛を!"。
アルバム『綿いっぱいの愛を!』からの選曲。この日はじめての旧曲ですね。
新曲もいいですが、過去の楽曲もやっぱり盛り上がります。
ここで再びMCに。
そして、大槻氏の口から「最近喉を痛めていて、いま治療している」というような発言があり、「だから自分は少し休憩するので、次は歌なしの"ヤンガリー"だよ」という導入でアルバム『Agitator』収録の"ヤンガリー"がスタート。
治療中のエピソードを笑い話にして会場盛り上げていたのはさすがですが、大丈夫なんでしょうか。
確かに、最近のライブではお馴染みのシャウトが減ってきていますし、大槻氏が退場して他のメンバーが1、2曲歌うコーナーが設けられたりしていましたが……体力的な事情かと思っていましたが、これが喉の不調によるものだとすると、ファンとしては心配です。
ただでさえ、大槻氏の歌い方って喉に負担がかかりそうですもんね。ぼくも以前、カラオケでオーケンの真似して歌ったら喉から血が出ましたし(笑)
喉はヴォーカルの命ですし、大槻ケンヂの音楽をこれからも長く聴いていきたいので、どうか自愛していただきたいです。
ちなみに、"ヤンガリー"はオーケン抜きでもすごくカッコよかったですよ……(´д⊂)
続いてもインストコーナー。『ウインカー』のラストを飾る"ハザード"が演奏されます。
ダークでアンビエントで、まるでドローンドゥームみたいな音楽です。
ド迫力の轟音。そして、その轟音の中で奏でられるピアノが非常に美しい。
スタジオ音源でも深淵な雰囲気が漂っていましたが、生演奏からはそれを遥かに凌駕する凄みが感じられました。圧倒的なパフォーマンス。もう1度、生で聴きたい楽曲です。
"ハザード"が終わると、大槻氏がステージ上に戻り、演奏されるのは"富津へ"。
これも『ウインカー』に収録されているバラード。すごく好きな曲です。
特撮のバラードの中でも1番好きな曲。とにかく、心に染みるいい曲です。
スタジオ音源も素晴らしいですが、生演奏も素晴らしい。
ピアノの音色も綺麗だし、ヴォーカルもメロディもすごくいい。胸にグッときますね……これも、今後の定番曲になってほしい。何度でも聴きたい名曲です。
このあとは、しっとりとした雰囲気から一変。終盤へ向けて、ライブは一気に盛り上がっていきます。
まずはアルバム『ヌイグルマー』より"ジェロニモ"。
元は、パンクバンドGASTUNKのカバー曲ですが、いまや特撮のライブには欠かせない楽曲になっています。
「モヒカン!」の掛け声や、間奏部分での合唱など、盛り上がらずにはいられないキラーチューンです!
さらに、同アルバムより"戦え! ヌイグルマー"、"バーバレラ"と、定番曲が連発されます。
"戦え! ヌイグルマー"もコーラスがすごく盛り上がりますね。「N! U! I! G! U! L! U! MAR!」っていうところとか。
そして、本編ラストは"ヨギナクサレ"で締め。
この曲も最高にカッコいい! そして燃える!!
特に「ふざけるんじゃねーよ 動物じゃねーんだ!」という歌詞から、間奏を挟んで後半に至るまでの盛り上がりは神がかり的!
爆音に包まれながら、歌に合わせて「YO!!」とか「思う!!」「思う!!」「違う!!」「絶対!!」って叫ぶと、力が湧いてきます。
抑圧されながらも日々を生きる我々社会人のアンセムですね! これは!
そしてここからはアンコール。
1曲目は、ニューアルバムより"旅の理由"。
こういうムーディな楽曲では、三柴氏のピアノが特に光ります。
しっとりとジャジーに、しかしサビではメロディアスに盛り上がる、これも素晴らしい楽曲です。
2曲目は、アルバム『5年後の世界』より"5年後の世界"。
こちらは、特撮らしいラウドでエネルギッシュなナンバー。
爆発力に満ちた楽曲と、メロディアスなサビ。「1、2、3、4、5年後世界! 1、2、3、4、5年後世界!」という部分はオーディエンスも合唱。この曲も熱いです!
そして、ついにラストソング。
最後も、アルバム『5年後の世界』より"林檎もぎれビーム!"。
元は「大槻ケンヂと絶望少女達」名義でリリースされた楽曲で、大人気テレビアニメ『【懺・】さよなら絶望先生』のオーオプニングテーマ。だから、知名度も抜群で盛り上がりも抜群。
そして、アニメ云々を抜きにしても、これは名曲。いや、神曲!
ライブでは、女性ヴォーカルパートが同期音源になることだけがたまにキズではありますが、それを差し引いても熱すぎる演奏とヴォーカル!
特撮屈指の、そしてアニメソング屈指の名曲が、ライブの最後を熱く熱く締めくくりました。
今回も素晴らしいライブでした。
同じ大槻ケンヂのバンドでも、やはり特撮には筋肉少女帯とはまた違ったカッコ良さがありますね。
筋肉少女帯は1年に2、3回くらい大阪に来てくれますが、特撮は1年に1回来るかどうか。
でも、やっぱりまた観たいなあと思わせてくれるライブでした。
喉をしっかり治して、また大阪に来てほしいですね!
セットリスト
荒井田メルの上昇
音の中へ
愛のプリズン
アリス
ハンマーはトントン
シネマタイズ
7人の妖
人間蒸発
綿いっぱいの愛を!
ヤンガリー(Instrumental)
ハザード
富津へ
ジェロニモ
戦え! ヌイグルマー
バーバレラ
ヨギナクサレ
encore
旅の理由
5年後の世界
林檎もぎれビーム!
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2016年02月05日
特撮 - ウインカー 【感想・レビュー】
日本のハードコア・パンクバンド、特撮の8枚目のアルバム。2016年発売。
前作『パナギアの恩恵』から3年数ヶ月ぶりにリリースされたニューアルバムである『ウインカー』。
『ウインカー』というタイトルが示すように、今回のテーマは「車」であり、アルバムジャケットも闇に浮かび上がる外車。その中央に女性の手がかざされていて、なんともアダルトでセクシーなジャケットであります。
ちょっとクレイジーケンバンドみたいですな(笑)
で、そんなジャケットの雰囲気が示すように、本作にはこれまでのアルバムと比べてアダルトな雰囲気の楽曲が目立ちます。あと、ダークでもありますね。
もちろん、特撮ならではのラウドなナンバーもたくさんありますが、本作の最大の聴きどころは、そういったアダルティな楽曲だと思います!
そういった印象を決定づけているのが、アルバムのオープニングを飾る楽曲"荒井田メルの上昇"。
「どこがアダルティやねん」と言いたくなるようなタイトルですが。『涼宮ハルヒの憂鬱』みたい(笑)
いやでも、だからこそ、ぼくもこの1曲目には意表を突かれたのです。
てっきり、今回も1曲目には特撮印のラウドでハードコアなナンバーをカマしてくるかと思っていたのに、まさか、こんなにメロウな楽曲が登場するとは。
R&BというかAORというか、すごくムーディな曲調です。確かに、特撮はとても引き出しの多いバンドですけど、こういった楽曲はとても新鮮に聞こえます。
そしてこの曲調のためか、大槻ケンヂの歌詞で描かれる世界観も、普段以上に鮮やかに映し出されているように感じます。
ちなみに、この「荒井田メル」という登場人物が、本作の物語のキーパーソン。
4曲目の"アリス"や9曲目の"人間蒸発"でもその名が登場します。
本作の歌詞は、1つ1つが独立しながらもいくつかのキーワードで繋がりをみせていて、まるでオムニバス小説を思わせるような構成です(1stアルバム『爆誕』もそうでしたね)。
アルバム1枚通して聴くと、1冊の小説を読んだような気持ちになります。好きだなぁ~。
2曲目は、ずっしりとヘヴィな"音の中へ"。
ヘヴィではありますが、角のとれたマイルドなサウンドです。
そして、大槻氏のヴォーカルも、やや抑え目のテンション。
"人として軸がぶれている"から入ってきたアニメファン層を考慮してか、近年の特撮のラウドナンバーは、比較的マイルドな音作りがなされていますね。
個人的には、初期のバキバキハードコアサウンドが懐かしくもあります。
ただ、その分メロディがポップで親しみやすくなっているのも事実。すごくキャッチーで、ライブ栄えしそうです。
生演奏では迫力も倍増して、大合唱&大盛り上りすること間違いなしでしょう!
3曲目は、"愛のプリズン(特撮ver.)"は、TVアニメ『監獄学園』のオープニングテーマです。
作曲はNARASAKI、作詞はもちろん大槻ケンヂですが、原曲でヴォーカルを執っているのは、アニメに出演する男性声優たち。特撮の2人が『監獄学園』に提供した楽曲を、今回、セルフカバーしたものが本作のテイク。
原曲と比較して大きなアレンジは施されていませんが、幾分かヘヴィになりました。そして、原曲よりも楽器隊が前面に出てきています。
それでリフがよく聴こえるようになっていますが、ハードロックテイストで疾走感があって、すごくカッコいい!
大槻氏の熱いヴォーカルもカッコいい! ぼくは特撮ファンだから、やっぱり特撮バージョンの方が断然好きですね(笑)
ただ、原曲は原曲で違った良さがあって、キャッチーなのは断然原曲ですし、アニメソングとしてのインパクトも、やっぱり原曲の方が大きいですね。あと、原曲はもっとパンキッシュな雰囲気がありますね。
上でも触れましたが、特撮バージョンではむしろハードロックテイストが感じられます。そして、そのせいで雰囲気がちょっと古臭い(笑)
だからこそ、ぼくは特撮バージョンが好きなんですけど(笑)
ちなみに、この曲では終盤に曲調が変化するパートがあるのですが、ここのリフが滅茶苦茶カッコいい!
できれば、このリフで1曲作ってほしいくらい滅茶苦茶カッコいい!
大槻氏によるラップ(?)も熱くて素晴らしい! 最高です!
4曲目の"アリス"はダークなヘヴィロック。
ズルズルとしたリフがシリアスなムードを演出しますが、サビでは少し視界が開けたようにメロディアスになります。
歌詞カードには記載されていませんが、大槻氏による語りもあります。この語りは9曲目の"人間蒸発"に繋がっていますね。
5曲目の"シネマタイズ(映画化)"は、2014年にシングルとしてリリースされた楽曲。
シングル曲だけあって、メロディアスでキャッチーな楽曲です。
メロディアスな曲調に、三柴理のピアノ演奏が映えます。また、終盤にはNARASAKIのギターソロもあり。メロディアスですごくいいです。
そして、6曲目の"富津へ"。これがまた、本当に素晴らしい名曲!
歌のメロディとピアノの音色が美しい、しっとりと聴かせるバラードです。
この曲には、元オフコースの松尾一彦がハーモニカ奏者として参加しています。
オフコースの人が、なぜ特撮のレコーディングに参加することになったのかが不思議ですが(笑)、このハーモニカの音色が、ピアノとともに優しい空気を作り上げています。
また、この曲でコーラスとして参加しているのが声優の後藤沙緒里。彼女のコーラスが、楽曲の雰囲気をさらに素晴らしいものにしています。少女を思わせる可憐さがありながら、色気も感じさせる。すごく好きな声です。
しかも、大槻氏の歌声との相性がすごくいいですね。楽曲終盤、2人の歌声が重なり合うところは、ブルッと身震いしてしまうくらい素敵です。
優しくゆったりとリズムを刻むドラムもいい。総てがいい!
このアルバムで1番好きな曲です。本当にいい曲!
なお、富津という場所は、大槻氏のお兄さんが亡くなった場所でもあるようです。
それを踏まえて歌詞を読むと、さらに考えさせられるものがありますね。
7曲目の"中古車ディーラー"は、雰囲気を一転。曲、詞ともにダークな作品。
ベースの歪んだ音色がいいですね。
ちなみに、曲調に加えて「中古車ディーラー」っていうタイトルがなんとなく不気味な感じ……と思いきや、実は「ディーラーさん」はただ巻き込まれただけの人だったという(´;ω;`)
8曲目の"ハンマーはトントン"は、シングル『シネマタイズ(映画化)』のカップリング曲として既に発表されていた楽曲。
個人的に、表題曲以上にお気に入りの曲だったので、こうしてまた日の目を浴びることになって嬉しいです(笑)
楽曲冒頭は、三柴氏のピアノ演奏に乗せた合唱。
「セミナー宗教ボランティア やすらぎの場」と、香ばしい響きの単語が朗々とコーラスされるのが、なんだか笑えますw
そして、合唱が終わると、ラウドなバンド演奏がはじまります。
この曲は三柴氏の作曲なのですが、クラシック音楽を核とする三柴氏の楽曲には、ロックミュージシャンが作る楽曲とは全く違う雰囲気がありますよね。
過去の"ヤンガリー"や"エレファント"を聴いたときも思ったのですが、とにかく鬼気迫る迫力といいますか。すごく力強く、スリリングです。
そして、その迫力がNARASAKIやARIMATSUのラウドなサウンドにすごく合う!
特撮を支えるメインコンポーザーはNARASAKIですが、多くのアルバムで1~2曲収録されている三柴氏の楽曲がいつも異質な存在感を放っていて、それが非常に強烈なアクセントになっています。
また、この曲は歌詞もインパクトが絶大。
シュールで、幻想的で、哲学的でもあり……なんだかよくわからないんですが、とりあえず「ハンマー♪ でトントン♪ ハンマー♪ でトントン♪」というフレーズだけはやたらと耳に残るという(笑)
大槻氏の作品の中でも、こういうタイプの歌詞は特撮ならではという感じがします。
三柴氏の魅力が爆発しているという点でも、これぞ特撮! といえるような楽曲ですね!
9曲目の"人間蒸発"では、地を這うようなベースラインに乗せて、大槻氏が語りかけるように歌います。
音は違いますが、大槻氏のパフォーマンスと、作中の登場人物について語りかけるという詞の構成が、筋肉少女帯の"高円寺心中"を想起させるところがありますね。
「え!? なんだってアンタ 荒井田メルを御存知で?」という台詞は、なんだかすごく懐かしい感じがします(笑)
また、大槻氏の「語り」と並ぶ、この曲の聴きどころは後半の疾走パート。
ベースがゴロゴロと鳴らされ、大槻氏の言葉を合図に一気に加速するこの展開! それ自体もカッコよければ、ここで弾かれるキーボードもすごくカッコいい!
ちょっとレトロなトーンがすごく好きです。
ヴォーカルのテンションもグッと上昇。最後の語りもすごくカッコいいです!
10曲目の"7人の妖"は、近年の特撮ではお馴染みの、ラウドでポップなナンバー。
歌詞に「サイリウムの海」というフレーズが出てきますが、ここでいう「妖」というのはアイドルのことなのかな?
もしかしたら声優かもしれないですけどねw でもラブライブにはちょっと足りない(笑)
これもサビがキャッチーで、ライブ栄えしそうな楽曲ですね。
ライブの終盤で聴けるとすごく良さそう。
11曲目の"旅の理由"は、三柴氏のピアノを思いっきり堪能できる楽曲です。
楽曲の前半と終盤は、すごくジャジー。このオシャレでアダルトな雰囲気がたまらん(;´Д`)
一方、中盤には、少しミニマルな響きが感じられる部分もあって、一筋縄ではいかないおもしろさがありますね。
アルバムラスト12曲目の"ハザード"は、エピローグ的楽曲。
アンビエントなサウンドの中、ピアノや英語のナレーションが響き渡ります。
深淵な雰囲気で、アルバムの最後を締めくくります。
すごく好きなアルバムです!
楽曲がいいのはもちろん、アルバム全体に漂う雰囲気がとても好きです。
従来の特撮らしい楽曲もたくさんありますが、これまでとは一味違うタイプの楽曲も目立ちます。
そしてそのバランスが素晴らしく、アルバムを最初から最後まで、何度も繰り返し楽しむことができます。
個人的には、近年の特撮で最大のヒット作!
初期の作品に比べるとハードコアやラウドな要素は減退していますが、それだけではない特撮の魅力を存分に堪能できるアルバムですね。
特撮 - ウインカー

1.荒井田メルの上昇
2.音の中へ
3.愛のプリズン(特撮ver.)
4.アリス
5.シネマタイズ(映画化)
6.富津へ
7.中古車ディーラー
8.ハンマーはトントン
9.人間蒸発
10.7人の妖
11.旅の理由
12.ハザード
※赤文字は特にお気に入りの曲です。
評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点)

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前作『パナギアの恩恵』から3年数ヶ月ぶりにリリースされたニューアルバムである『ウインカー』。
『ウインカー』というタイトルが示すように、今回のテーマは「車」であり、アルバムジャケットも闇に浮かび上がる外車。その中央に女性の手がかざされていて、なんともアダルトでセクシーなジャケットであります。
ちょっとクレイジーケンバンドみたいですな(笑)
で、そんなジャケットの雰囲気が示すように、本作にはこれまでのアルバムと比べてアダルトな雰囲気の楽曲が目立ちます。あと、ダークでもありますね。
もちろん、特撮ならではのラウドなナンバーもたくさんありますが、本作の最大の聴きどころは、そういったアダルティな楽曲だと思います!
そういった印象を決定づけているのが、アルバムのオープニングを飾る楽曲"荒井田メルの上昇"。
「どこがアダルティやねん」と言いたくなるようなタイトルですが。『涼宮ハルヒの憂鬱』みたい(笑)
いやでも、だからこそ、ぼくもこの1曲目には意表を突かれたのです。
てっきり、今回も1曲目には特撮印のラウドでハードコアなナンバーをカマしてくるかと思っていたのに、まさか、こんなにメロウな楽曲が登場するとは。
R&BというかAORというか、すごくムーディな曲調です。確かに、特撮はとても引き出しの多いバンドですけど、こういった楽曲はとても新鮮に聞こえます。
そしてこの曲調のためか、大槻ケンヂの歌詞で描かれる世界観も、普段以上に鮮やかに映し出されているように感じます。
ちなみに、この「荒井田メル」という登場人物が、本作の物語のキーパーソン。
4曲目の"アリス"や9曲目の"人間蒸発"でもその名が登場します。
本作の歌詞は、1つ1つが独立しながらもいくつかのキーワードで繋がりをみせていて、まるでオムニバス小説を思わせるような構成です(1stアルバム『爆誕』もそうでしたね)。
アルバム1枚通して聴くと、1冊の小説を読んだような気持ちになります。好きだなぁ~。
2曲目は、ずっしりとヘヴィな"音の中へ"。
ヘヴィではありますが、角のとれたマイルドなサウンドです。
そして、大槻氏のヴォーカルも、やや抑え目のテンション。
"人として軸がぶれている"から入ってきたアニメファン層を考慮してか、近年の特撮のラウドナンバーは、比較的マイルドな音作りがなされていますね。
個人的には、初期のバキバキハードコアサウンドが懐かしくもあります。
ただ、その分メロディがポップで親しみやすくなっているのも事実。すごくキャッチーで、ライブ栄えしそうです。
生演奏では迫力も倍増して、大合唱&大盛り上りすること間違いなしでしょう!
3曲目は、"愛のプリズン(特撮ver.)"は、TVアニメ『監獄学園』のオープニングテーマです。
作曲はNARASAKI、作詞はもちろん大槻ケンヂですが、原曲でヴォーカルを執っているのは、アニメに出演する男性声優たち。特撮の2人が『監獄学園』に提供した楽曲を、今回、セルフカバーしたものが本作のテイク。
原曲と比較して大きなアレンジは施されていませんが、幾分かヘヴィになりました。そして、原曲よりも楽器隊が前面に出てきています。
それでリフがよく聴こえるようになっていますが、ハードロックテイストで疾走感があって、すごくカッコいい!
大槻氏の熱いヴォーカルもカッコいい! ぼくは特撮ファンだから、やっぱり特撮バージョンの方が断然好きですね(笑)
ただ、原曲は原曲で違った良さがあって、キャッチーなのは断然原曲ですし、アニメソングとしてのインパクトも、やっぱり原曲の方が大きいですね。あと、原曲はもっとパンキッシュな雰囲気がありますね。
上でも触れましたが、特撮バージョンではむしろハードロックテイストが感じられます。そして、そのせいで雰囲気がちょっと古臭い(笑)
だからこそ、ぼくは特撮バージョンが好きなんですけど(笑)
ちなみに、この曲では終盤に曲調が変化するパートがあるのですが、ここのリフが滅茶苦茶カッコいい!
できれば、このリフで1曲作ってほしいくらい滅茶苦茶カッコいい!
大槻氏によるラップ(?)も熱くて素晴らしい! 最高です!
4曲目の"アリス"はダークなヘヴィロック。
ズルズルとしたリフがシリアスなムードを演出しますが、サビでは少し視界が開けたようにメロディアスになります。
歌詞カードには記載されていませんが、大槻氏による語りもあります。この語りは9曲目の"人間蒸発"に繋がっていますね。
5曲目の"シネマタイズ(映画化)"は、2014年にシングルとしてリリースされた楽曲。
シングル曲だけあって、メロディアスでキャッチーな楽曲です。
メロディアスな曲調に、三柴理のピアノ演奏が映えます。また、終盤にはNARASAKIのギターソロもあり。メロディアスですごくいいです。
そして、6曲目の"富津へ"。これがまた、本当に素晴らしい名曲!
歌のメロディとピアノの音色が美しい、しっとりと聴かせるバラードです。
この曲には、元オフコースの松尾一彦がハーモニカ奏者として参加しています。
オフコースの人が、なぜ特撮のレコーディングに参加することになったのかが不思議ですが(笑)、このハーモニカの音色が、ピアノとともに優しい空気を作り上げています。
また、この曲でコーラスとして参加しているのが声優の後藤沙緒里。彼女のコーラスが、楽曲の雰囲気をさらに素晴らしいものにしています。少女を思わせる可憐さがありながら、色気も感じさせる。すごく好きな声です。
しかも、大槻氏の歌声との相性がすごくいいですね。楽曲終盤、2人の歌声が重なり合うところは、ブルッと身震いしてしまうくらい素敵です。
優しくゆったりとリズムを刻むドラムもいい。総てがいい!
このアルバムで1番好きな曲です。本当にいい曲!
なお、富津という場所は、大槻氏のお兄さんが亡くなった場所でもあるようです。
それを踏まえて歌詞を読むと、さらに考えさせられるものがありますね。
7曲目の"中古車ディーラー"は、雰囲気を一転。曲、詞ともにダークな作品。
ベースの歪んだ音色がいいですね。
ちなみに、曲調に加えて「中古車ディーラー」っていうタイトルがなんとなく不気味な感じ……と思いきや、実は「ディーラーさん」はただ巻き込まれただけの人だったという(´;ω;`)
8曲目の"ハンマーはトントン"は、シングル『シネマタイズ(映画化)』のカップリング曲として既に発表されていた楽曲。
個人的に、表題曲以上にお気に入りの曲だったので、こうしてまた日の目を浴びることになって嬉しいです(笑)
楽曲冒頭は、三柴氏のピアノ演奏に乗せた合唱。
「セミナー宗教ボランティア やすらぎの場」と、香ばしい響きの単語が朗々とコーラスされるのが、なんだか笑えますw
そして、合唱が終わると、ラウドなバンド演奏がはじまります。
この曲は三柴氏の作曲なのですが、クラシック音楽を核とする三柴氏の楽曲には、ロックミュージシャンが作る楽曲とは全く違う雰囲気がありますよね。
過去の"ヤンガリー"や"エレファント"を聴いたときも思ったのですが、とにかく鬼気迫る迫力といいますか。すごく力強く、スリリングです。
そして、その迫力がNARASAKIやARIMATSUのラウドなサウンドにすごく合う!
特撮を支えるメインコンポーザーはNARASAKIですが、多くのアルバムで1~2曲収録されている三柴氏の楽曲がいつも異質な存在感を放っていて、それが非常に強烈なアクセントになっています。
また、この曲は歌詞もインパクトが絶大。
シュールで、幻想的で、哲学的でもあり……なんだかよくわからないんですが、とりあえず「ハンマー♪ でトントン♪ ハンマー♪ でトントン♪」というフレーズだけはやたらと耳に残るという(笑)
大槻氏の作品の中でも、こういうタイプの歌詞は特撮ならではという感じがします。
三柴氏の魅力が爆発しているという点でも、これぞ特撮! といえるような楽曲ですね!
9曲目の"人間蒸発"では、地を這うようなベースラインに乗せて、大槻氏が語りかけるように歌います。
音は違いますが、大槻氏のパフォーマンスと、作中の登場人物について語りかけるという詞の構成が、筋肉少女帯の"高円寺心中"を想起させるところがありますね。
「え!? なんだってアンタ 荒井田メルを御存知で?」という台詞は、なんだかすごく懐かしい感じがします(笑)
また、大槻氏の「語り」と並ぶ、この曲の聴きどころは後半の疾走パート。
ベースがゴロゴロと鳴らされ、大槻氏の言葉を合図に一気に加速するこの展開! それ自体もカッコよければ、ここで弾かれるキーボードもすごくカッコいい!
ちょっとレトロなトーンがすごく好きです。
ヴォーカルのテンションもグッと上昇。最後の語りもすごくカッコいいです!
10曲目の"7人の妖"は、近年の特撮ではお馴染みの、ラウドでポップなナンバー。
歌詞に「サイリウムの海」というフレーズが出てきますが、ここでいう「妖」というのはアイドルのことなのかな?
もしかしたら声優かもしれないですけどねw でもラブライブにはちょっと足りない(笑)
これもサビがキャッチーで、ライブ栄えしそうな楽曲ですね。
ライブの終盤で聴けるとすごく良さそう。
11曲目の"旅の理由"は、三柴氏のピアノを思いっきり堪能できる楽曲です。
楽曲の前半と終盤は、すごくジャジー。このオシャレでアダルトな雰囲気がたまらん(;´Д`)
一方、中盤には、少しミニマルな響きが感じられる部分もあって、一筋縄ではいかないおもしろさがありますね。
アルバムラスト12曲目の"ハザード"は、エピローグ的楽曲。
アンビエントなサウンドの中、ピアノや英語のナレーションが響き渡ります。
深淵な雰囲気で、アルバムの最後を締めくくります。
すごく好きなアルバムです!
楽曲がいいのはもちろん、アルバム全体に漂う雰囲気がとても好きです。
従来の特撮らしい楽曲もたくさんありますが、これまでとは一味違うタイプの楽曲も目立ちます。
そしてそのバランスが素晴らしく、アルバムを最初から最後まで、何度も繰り返し楽しむことができます。
個人的には、近年の特撮で最大のヒット作!
初期の作品に比べるとハードコアやラウドな要素は減退していますが、それだけではない特撮の魅力を存分に堪能できるアルバムですね。
特撮 - ウインカー
1.荒井田メルの上昇
2.音の中へ
3.愛のプリズン(特撮ver.)
4.アリス
5.シネマタイズ(映画化)
6.富津へ
7.中古車ディーラー
8.ハンマーはトントン
9.人間蒸発
10.7人の妖
11.旅の理由
12.ハザード
※赤文字は特にお気に入りの曲です。
評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点)
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2015年03月30日
特撮 - Agitator 【感想・レビュー】
日本のハードコア・パンクバンド、特撮の3枚目のアルバム。2001年発売。
特撮は、筋肉少女帯のヴォーカルだった大槻ケンヂによって結成されたバンドです。
絶対的なインパクトを持つ大槻ケンヂの歌詞と、ギタリストのNARASAKIによる超攻撃的なハードコアサウンド、クラシック音楽を基調とした三柴理のピアノ演奏が混ざり合ったその音楽は、唯一無二の存在感を誇っています。
そんな特撮は、2015年3月現在、7枚のオリジナルアルバムを発表していますが、彼らのアルバムの中でも最もダークでヘヴィな作品がこの『Agitator』です。
前2作は、ジャキジャキとハードに鳴らされるギターを中心としたソリッドなサウンドが特徴的でしたが、本作はゴリゴリとすり潰すようなサウンド。
「切れ」ではなく「重み」で勝負するような音ですね。
一方、歌詞については、抑圧された現実からの解放を唱えるものが多いです。
この「抑圧された現実からの解放」というのは、大槻氏が筋肉少女帯の頃から何度も扱ってきたテーマですが、本作においては「人外のもの(ケモノ)への憧憬」というかたちで表現されています。
このテーマ。筋肉少女帯においては、近代文学を想起させるような詩的な表現を用いることで、幻想的あるい猟奇的な世界観に包まれた形で歌われてきました。
一方、特撮においては、バンドが持つハードコア・パンクという音楽性と結びつくことで、筋肉少女帯の頃以上に熱量を増し、より直接的な形で強烈に歌われています。
そもそも「抑圧された現実からの解放」というテーマは非常にパンク的ですしね。
特撮では、大槻氏の歌詞のテーマと音楽性が非常にマッチしています。
逆に、筋肉少女帯では、歌詞のテーマと音楽性にミスマッチな部分が多々ありますよね。筋少においては、むしろそのミスマッチ感が強い魅力を生み出しているんですけどね。
さて、アルバム1曲目は、先行シングルとしても発売された"ヨギナクサレ"。
ゴリゴリと鳴るギターが特徴のラウドな楽曲です。
しかし、この曲の最大の特徴は、その歌詞とヴォーカル。
抑圧された弱者に対して決起を促すようなメッセージ。歌詞中には「シュプレヒコール」「アジテーション」「ゲバルト」と言った、左翼学生運動を想起させるような単語が頻出し、非常に扇動的です。
タイトルの『Agitator』とは日本語で「扇動者」という意味ですから、この曲はまさにアルバムを象徴する1曲であると言えるのではないでしょうか。
そして、そんなメッセージが、ヘヴィなサウンドに乗せてラップ調で歌われます。
まぁ、大槻ケンヂの「がなる」ようなヴォーカルにはラップの滑らかさがないので、あくまで「ラップ調」なんですけど(笑)
でも、むしろそれが熱くてカッコいい!
特に、中盤の間奏のあと、「まぁしゃーないな人生こんなもんだね~」に続く、畳み掛けるような台詞パートは鳥肌ものです!
ぼくのような、社会的地位も権力もない下っ端の若者の心を奮い立たせるような歌詞。心が震えます(笑)
ちなみに、この曲自体はハードコア・パンクというよりラウドロックかなぁと思いますが、その反権威主義的な歌詞は非常にパンク的。
ただ、この曲に政治的なメッセージが込められているかというと微妙なところです。逆に、日常生活の中に存在する漠然とした抑圧や閉塞に対する拒絶感を表現したくて、そのための道具として、政治的な臭いのする言葉を使っている……つまり、この曲における半権威主義的なメッセージは、パンクカルチャーに対する大槻氏なりのオマージュなんじゃないかなぁと、ぼくは解釈しています。
あ、それと補足事項として、最近(?)人気のアイドルグループ、ももいろクローバーZの楽曲"労働讃歌"の歌詞は、この曲をイメージして作られたものだそうですよ(笑)
2曲目は、大槻氏の不条理でサイケデリックな世界観が爆発した迷曲"超越人間オーケボーマン"。特に楽曲終盤の台詞パートがシュールすぎて笑えますww
で、その台詞パートによると、「オーケボーマン」とはアートマンとブラフマンの狭間に存在するそうです。うーん、「オーケボーマン」とは、梵我一如を知ることで悟りの境地に至った状態なのか?
ちなみに、曲中では「どうすりゃオーケボーマンになれるんだ!?」「インドに行って水パイプを吸うのよ!」とか言っていて、なんだか怪しい雰囲気しか感じられません(笑)
とにかくシュールな楽曲ですが、「超越人間」という言葉から、とりあえず人間世界からの解放を強く願っているらしいことは伝わってきます。そして、演奏に勢いがあるため妙にエネルギッシュで、「その狭間にオーケボーマンは存在する!」とか言われたら「お、おう、せやな!」なんて答えてしまいそうな、そんな不思議な力を持った楽曲です(笑)
3曲目は、ヘヴィでトリッキーな"人狼天使"。
この曲でも"超越人間オーケボーマン"に続いて、サイケデリックな世界観が展開されます。
楽曲中、怒涛のごとく叩き込まれるドラム。そのドラミングが、もの凄い熱量を生み出します。
そしてその「熱」の中、お経のようなメロディのヴォーカルに乗せて羅列される単語の数々。「天空画」「ベゴニア」「虫媒花」といった単語によって浮かび上がる色彩豊かな情景。そこに「阿闍梨」という宗教用語や「メスカリン」というドラッグまで登場することで、目の前の色彩がぐちゃぐちゃに混ざり合うような感覚に陥ります。
そして、曲名にもなっている「人狼天使」という単語。これがまた、人間世界からの超越(解脱?)を思わせるモチーフです。
楽曲は、テンポチェンジしまくり。炸裂する変拍子。
中盤の「天使!天使! 通らば天使!」という歌詞に続くパートが激しくてカッコいいです。
さらに、再びお経パートを挟み、最後は妙にメロディアスになって終わるという、特撮の楽曲の中でも際立って異色でトリッキーな楽曲です。
このトリッキーな曲構成は、どことなくあぶらだこの楽曲を想起させるものがありますね。
さすがに、あぶらだこと比べると5倍くらいは聴きやすいですけど……(笑)
4曲目は、ロックバンド、休みの国のカバー曲"悪魔巣取金愚"。「アクマストッキング」と読みます。凄い当て字ですな(笑)
これは反戦歌ですね。1曲目の"ヨギナクサレ"とこの"悪魔巣取金愚"によって、本作は少し社会派な雰囲気を漂わせています。
ただ、調べてみると、この曲はカルト映画『特攻任侠自衛隊』の主題歌であるとのことで、大槻氏の趣味嗜好を考えると、むしろ「カルト映画の主題歌」という部分が採用されたポイントであるような気もします(笑)
原曲はフォークソングですが、特撮によるカバーバージョンは、アフリカンな雰囲気のビートが特徴的なダンサブルなナンバーとなっています。
中盤以降は三柴氏によるピアノ演奏も加わって、少しジャジーな趣も感じられます。
原曲も素晴らしいですが、この特撮バージョンは非常にハイクオリティでカッコいいアレンジです。原曲の良さを最大限に活かした素晴らしいカバーだと思います。
そして5曲目が"人間以外の俺になれ"。
この曲名にこそ、本作に込められたメッセージが最も端的に表れていると思います(笑)
波の音のSEからトロピカルな演奏が始まります。
しかし「ああ僕は決めた 人間をやめよう」という言葉を皮切りに突如としてはじまるヘヴィな演奏(笑)
そして、人間以外の何者かへの変化を説くメッセージ。これがまた扇動的で『Agitator』というアルバムタイトルに相応しい内容です。
それにしても「鳥になりたい」とか「○○になりたい」じゃなくて「人間以外になりたい」「早く人間を辞めたい!」という表現の仕方がすごくネガティブで、これぞ大槻ケンヂの真骨頂という感じがします(笑)
"人間以外の俺になれ"って、とにかく変化を欲してはいるものの、変化したあとのヴィジョンがすごく漠然で何も見えてこないんですよね。そういった点からも「とにかく今が嫌なんだ」という思い、閉塞感や厭世観の強さと余裕のなさが嫌というほど感じられます。
凄い表現ですよね。"人間以外の俺になれ"って。最高ですね(笑)
個人的には、非常に強いメッセージを発している、ここまでのアルバム前半が特に好きです。
とは言え、後半にも素晴らしい楽曲が揃っています。
9曲目の"ヤンガリー"は、三柴理と塩野道玄によるユニット、ザ蟹によって作曲されたナンバー。
そして『怪獣大決戦ヤンガリー』という韓国のうさんくさい映画の主題歌らしい。ホンマなん?(笑)
ただ、映画はB級臭くとも、楽曲は超Aクラス。
この曲における三柴氏のピアノ演奏はまさに壮絶。よく「ピアノとは打楽器である」みたいな言い方をされますが、その言葉はこの曲のためにあると言ってもいいくらい迫力ある演奏を聴くことができます。
なお、この曲に関しては、三柴氏のピアノ演奏を堪能するという意味では、シングル『ヨギナクサレ』のカップリングとして収録されたテイクの方がよりオススメです。
11曲目の"揉み鞠"は、歌詞もメロディも切ない楽曲。
温泉宿の改装によって、本日限りでお役御免となり捨てられるマッサージチェアの視点で語られる物語。例えば携帯電話を変える度に、大切なペットと別れるかのような気持ちになって少しウルウルしてしまうぼくにとって、この曲は涙腺を刺激しまくりです・゜・(ノД`)・゜・
演奏も温かみがあって、すごくいいんです・゜・(ノД`)・゜・
アルバムラスト12曲目は"殺陣"。
「たて」ではなく「さつじん」と読みます。その読み方から想像できるとおり、殺人者をテーマにした楽曲。
そして、そんなテーマに相応しく、楽曲は超重量級で非常にダーク。特撮の楽曲の中でも、一番ヘヴィなんじゃないでしょうか。
個人的には、楽曲中盤で、ノイジーな演奏に乗せて大槻氏が叫ぶパートがカッコ良くて好きです。
この部分、耳で聞いただけではなんと言っているか全然わかりませんが、『大槻ケンヂ20年間わりと全作品』によると「Marvin Killed Marvin Gaye」と歌っているそうですよ。
この曲は、テーマがテーマだけに非常にヘヴィで凶々しい内容ですが、そのサビはとても美しいです。
それは、サビの部分で奏でられるピアノの音色と、歌詞における表現。
ぼくの中で、この曲のイメージは「黒」なんですが、「真っ白な毛糸の」「薄れゆく青に」「赤色を探していた」といったフレーズから、漆黒の闇の中に、鮮やかな色彩が浮かび上がる映像が想像されます。
殺人者をテーマにした曲を「美しい」というと不謹慎な感じがしますが、ただダークでヘヴィなだけではない魅力のある楽曲ですね。
というわけで、思い入れ満点の感想文でした(笑)
まぁ長々と語り倒しましたが、端的に言ってすごくカッコいいアルバムなので、超オススメです(笑)
少し手に入れにくい時期もありましたが、ちょうどHQCDで再発されたので、今が「買い」だと思います。
そして、ぼくが持っているのは旧盤なので、HQCDの再発盤が、どれくらいの音質なのかが気になるところです。
音質次第では、再発盤を買い直したいと思うくらいには気に入っております(笑)
とは言え、旧盤でも音に対する不満は全然ないんですけどね。
特撮 - Agitator

1.ヨギナクサレ
2.超越人間オーケボーマン
3.人狼天使
4.悪魔巣取金愚
5.人間以外の俺になれ
6.Night Light
7.ゴスロリちゃん綱渡りから落下す
8.日本の米 2001(作曲20周年記念)
9.ヤンガリー(1.テーマ 2.スカイヤンガリー)
10.うさぎ
11.揉み鞠
12.殺陣(Album Mix)
※赤文字が特にお気に入りの曲です。
評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点)

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特撮は、筋肉少女帯のヴォーカルだった大槻ケンヂによって結成されたバンドです。
絶対的なインパクトを持つ大槻ケンヂの歌詞と、ギタリストのNARASAKIによる超攻撃的なハードコアサウンド、クラシック音楽を基調とした三柴理のピアノ演奏が混ざり合ったその音楽は、唯一無二の存在感を誇っています。
そんな特撮は、2015年3月現在、7枚のオリジナルアルバムを発表していますが、彼らのアルバムの中でも最もダークでヘヴィな作品がこの『Agitator』です。
前2作は、ジャキジャキとハードに鳴らされるギターを中心としたソリッドなサウンドが特徴的でしたが、本作はゴリゴリとすり潰すようなサウンド。
「切れ」ではなく「重み」で勝負するような音ですね。
一方、歌詞については、抑圧された現実からの解放を唱えるものが多いです。
この「抑圧された現実からの解放」というのは、大槻氏が筋肉少女帯の頃から何度も扱ってきたテーマですが、本作においては「人外のもの(ケモノ)への憧憬」というかたちで表現されています。
このテーマ。筋肉少女帯においては、近代文学を想起させるような詩的な表現を用いることで、幻想的あるい猟奇的な世界観に包まれた形で歌われてきました。
一方、特撮においては、バンドが持つハードコア・パンクという音楽性と結びつくことで、筋肉少女帯の頃以上に熱量を増し、より直接的な形で強烈に歌われています。
そもそも「抑圧された現実からの解放」というテーマは非常にパンク的ですしね。
特撮では、大槻氏の歌詞のテーマと音楽性が非常にマッチしています。
逆に、筋肉少女帯では、歌詞のテーマと音楽性にミスマッチな部分が多々ありますよね。筋少においては、むしろそのミスマッチ感が強い魅力を生み出しているんですけどね。
さて、アルバム1曲目は、先行シングルとしても発売された"ヨギナクサレ"。
ゴリゴリと鳴るギターが特徴のラウドな楽曲です。
しかし、この曲の最大の特徴は、その歌詞とヴォーカル。
抑圧された弱者に対して決起を促すようなメッセージ。歌詞中には「シュプレヒコール」「アジテーション」「ゲバルト」と言った、左翼学生運動を想起させるような単語が頻出し、非常に扇動的です。
タイトルの『Agitator』とは日本語で「扇動者」という意味ですから、この曲はまさにアルバムを象徴する1曲であると言えるのではないでしょうか。
そして、そんなメッセージが、ヘヴィなサウンドに乗せてラップ調で歌われます。
まぁ、大槻ケンヂの「がなる」ようなヴォーカルにはラップの滑らかさがないので、あくまで「ラップ調」なんですけど(笑)
でも、むしろそれが熱くてカッコいい!
特に、中盤の間奏のあと、「まぁしゃーないな人生こんなもんだね~」に続く、畳み掛けるような台詞パートは鳥肌ものです!
ぼくのような、社会的地位も権力もない下っ端の若者の心を奮い立たせるような歌詞。心が震えます(笑)
ちなみに、この曲自体はハードコア・パンクというよりラウドロックかなぁと思いますが、その反権威主義的な歌詞は非常にパンク的。
ただ、この曲に政治的なメッセージが込められているかというと微妙なところです。逆に、日常生活の中に存在する漠然とした抑圧や閉塞に対する拒絶感を表現したくて、そのための道具として、政治的な臭いのする言葉を使っている……つまり、この曲における半権威主義的なメッセージは、パンクカルチャーに対する大槻氏なりのオマージュなんじゃないかなぁと、ぼくは解釈しています。
あ、それと補足事項として、最近(?)人気のアイドルグループ、ももいろクローバーZの楽曲"労働讃歌"の歌詞は、この曲をイメージして作られたものだそうですよ(笑)
2曲目は、大槻氏の不条理でサイケデリックな世界観が爆発した迷曲"超越人間オーケボーマン"。特に楽曲終盤の台詞パートがシュールすぎて笑えますww
で、その台詞パートによると、「オーケボーマン」とはアートマンとブラフマンの狭間に存在するそうです。うーん、「オーケボーマン」とは、梵我一如を知ることで悟りの境地に至った状態なのか?
ちなみに、曲中では「どうすりゃオーケボーマンになれるんだ!?」「インドに行って水パイプを吸うのよ!」とか言っていて、なんだか怪しい雰囲気しか感じられません(笑)
とにかくシュールな楽曲ですが、「超越人間」という言葉から、とりあえず人間世界からの解放を強く願っているらしいことは伝わってきます。そして、演奏に勢いがあるため妙にエネルギッシュで、「その狭間にオーケボーマンは存在する!」とか言われたら「お、おう、せやな!」なんて答えてしまいそうな、そんな不思議な力を持った楽曲です(笑)
3曲目は、ヘヴィでトリッキーな"人狼天使"。
この曲でも"超越人間オーケボーマン"に続いて、サイケデリックな世界観が展開されます。
楽曲中、怒涛のごとく叩き込まれるドラム。そのドラミングが、もの凄い熱量を生み出します。
そしてその「熱」の中、お経のようなメロディのヴォーカルに乗せて羅列される単語の数々。「天空画」「ベゴニア」「虫媒花」といった単語によって浮かび上がる色彩豊かな情景。そこに「阿闍梨」という宗教用語や「メスカリン」というドラッグまで登場することで、目の前の色彩がぐちゃぐちゃに混ざり合うような感覚に陥ります。
そして、曲名にもなっている「人狼天使」という単語。これがまた、人間世界からの超越(解脱?)を思わせるモチーフです。
楽曲は、テンポチェンジしまくり。炸裂する変拍子。
中盤の「天使!天使! 通らば天使!」という歌詞に続くパートが激しくてカッコいいです。
さらに、再びお経パートを挟み、最後は妙にメロディアスになって終わるという、特撮の楽曲の中でも際立って異色でトリッキーな楽曲です。
このトリッキーな曲構成は、どことなくあぶらだこの楽曲を想起させるものがありますね。
さすがに、あぶらだこと比べると5倍くらいは聴きやすいですけど……(笑)
4曲目は、ロックバンド、休みの国のカバー曲"悪魔巣取金愚"。「アクマストッキング」と読みます。凄い当て字ですな(笑)
これは反戦歌ですね。1曲目の"ヨギナクサレ"とこの"悪魔巣取金愚"によって、本作は少し社会派な雰囲気を漂わせています。
ただ、調べてみると、この曲はカルト映画『特攻任侠自衛隊』の主題歌であるとのことで、大槻氏の趣味嗜好を考えると、むしろ「カルト映画の主題歌」という部分が採用されたポイントであるような気もします(笑)
原曲はフォークソングですが、特撮によるカバーバージョンは、アフリカンな雰囲気のビートが特徴的なダンサブルなナンバーとなっています。
中盤以降は三柴氏によるピアノ演奏も加わって、少しジャジーな趣も感じられます。
原曲も素晴らしいですが、この特撮バージョンは非常にハイクオリティでカッコいいアレンジです。原曲の良さを最大限に活かした素晴らしいカバーだと思います。
そして5曲目が"人間以外の俺になれ"。
この曲名にこそ、本作に込められたメッセージが最も端的に表れていると思います(笑)
波の音のSEからトロピカルな演奏が始まります。
しかし「ああ僕は決めた 人間をやめよう」という言葉を皮切りに突如としてはじまるヘヴィな演奏(笑)
そして、人間以外の何者かへの変化を説くメッセージ。これがまた扇動的で『Agitator』というアルバムタイトルに相応しい内容です。
それにしても「鳥になりたい」とか「○○になりたい」じゃなくて「人間以外になりたい」「早く人間を辞めたい!」という表現の仕方がすごくネガティブで、これぞ大槻ケンヂの真骨頂という感じがします(笑)
"人間以外の俺になれ"って、とにかく変化を欲してはいるものの、変化したあとのヴィジョンがすごく漠然で何も見えてこないんですよね。そういった点からも「とにかく今が嫌なんだ」という思い、閉塞感や厭世観の強さと余裕のなさが嫌というほど感じられます。
凄い表現ですよね。"人間以外の俺になれ"って。最高ですね(笑)
個人的には、非常に強いメッセージを発している、ここまでのアルバム前半が特に好きです。
とは言え、後半にも素晴らしい楽曲が揃っています。
9曲目の"ヤンガリー"は、三柴理と塩野道玄によるユニット、ザ蟹によって作曲されたナンバー。
そして『怪獣大決戦ヤンガリー』という韓国のうさんくさい映画の主題歌らしい。ホンマなん?(笑)
ただ、映画はB級臭くとも、楽曲は超Aクラス。
この曲における三柴氏のピアノ演奏はまさに壮絶。よく「ピアノとは打楽器である」みたいな言い方をされますが、その言葉はこの曲のためにあると言ってもいいくらい迫力ある演奏を聴くことができます。
なお、この曲に関しては、三柴氏のピアノ演奏を堪能するという意味では、シングル『ヨギナクサレ』のカップリングとして収録されたテイクの方がよりオススメです。
11曲目の"揉み鞠"は、歌詞もメロディも切ない楽曲。
温泉宿の改装によって、本日限りでお役御免となり捨てられるマッサージチェアの視点で語られる物語。例えば携帯電話を変える度に、大切なペットと別れるかのような気持ちになって少しウルウルしてしまうぼくにとって、この曲は涙腺を刺激しまくりです・゜・(ノД`)・゜・
演奏も温かみがあって、すごくいいんです・゜・(ノД`)・゜・
アルバムラスト12曲目は"殺陣"。
「たて」ではなく「さつじん」と読みます。その読み方から想像できるとおり、殺人者をテーマにした楽曲。
そして、そんなテーマに相応しく、楽曲は超重量級で非常にダーク。特撮の楽曲の中でも、一番ヘヴィなんじゃないでしょうか。
個人的には、楽曲中盤で、ノイジーな演奏に乗せて大槻氏が叫ぶパートがカッコ良くて好きです。
この部分、耳で聞いただけではなんと言っているか全然わかりませんが、『大槻ケンヂ20年間わりと全作品』によると「Marvin Killed Marvin Gaye」と歌っているそうですよ。
この曲は、テーマがテーマだけに非常にヘヴィで凶々しい内容ですが、そのサビはとても美しいです。
それは、サビの部分で奏でられるピアノの音色と、歌詞における表現。
ぼくの中で、この曲のイメージは「黒」なんですが、「真っ白な毛糸の」「薄れゆく青に」「赤色を探していた」といったフレーズから、漆黒の闇の中に、鮮やかな色彩が浮かび上がる映像が想像されます。
殺人者をテーマにした曲を「美しい」というと不謹慎な感じがしますが、ただダークでヘヴィなだけではない魅力のある楽曲ですね。
というわけで、思い入れ満点の感想文でした(笑)
まぁ長々と語り倒しましたが、端的に言ってすごくカッコいいアルバムなので、超オススメです(笑)
少し手に入れにくい時期もありましたが、ちょうどHQCDで再発されたので、今が「買い」だと思います。
そして、ぼくが持っているのは旧盤なので、HQCDの再発盤が、どれくらいの音質なのかが気になるところです。
音質次第では、再発盤を買い直したいと思うくらいには気に入っております(笑)
とは言え、旧盤でも音に対する不満は全然ないんですけどね。
特撮 - Agitator
1.ヨギナクサレ
2.超越人間オーケボーマン
3.人狼天使
4.悪魔巣取金愚
5.人間以外の俺になれ
6.Night Light
7.ゴスロリちゃん綱渡りから落下す
8.日本の米 2001(作曲20周年記念)
9.ヤンガリー(1.テーマ 2.スカイヤンガリー)
10.うさぎ
11.揉み鞠
12.殺陣(Album Mix)
※赤文字が特にお気に入りの曲です。
評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点)
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2015年03月26日
特撮 - 特撮デビュー15周年!初期4タイトルHQCD化再発記念ライブ(大阪) 【ライブレポート・感想】
umedaAKASOへ特撮のライブを見に行ってきました。

ちなみに、ツアータイトルにある「初期4タイトル」というのは、1stアルバム『爆誕』、2ndアルバム『ヌイグルマー』、3rdアルバム『Agitator』、ベストアルバム『初めての特撮 BEST Vol.1』の4枚のこと。
そして、これら4枚のアルバムが「HQCD」という規格で再発されるということです。
それを記念して行われる今回のライブ。セットリストは、総て「初期4タイトル」から選曲されました。
ところで、この「HQCD」とは「Hi Quality CD」の略称。「ハイ・クオリティ」というだけあって、普通のCDより音質がいいらしいです。ホンマかいな。
これら特撮の「初期4タイトル」。もちろん所持していますし、何年も前から何度も何度も聴き込んできた、思い入れ満点の作品です。ぼくにとってはどれも名盤。いや神盤。
それだけに、もし「HQCD」という規格によって、その音質が格段に向上しているのならぜひとも手に入れたい!
いや、格段とまではいかなくとも「カッコ良さ20%増量」くらいのレベルに達しているのならぜひとも買いたい!
「HQCD」になって生まれ変わった『爆誕』を聴いてみたい!
しかし、その音質の違いとは、ぼくの5万円程度のコンポでもわかるようなものなのでしょうか?
数年前に話題になった「SHM-CD」も、一般家庭にあるようなコンポでは、従来のCDとの音質の差を判別することができないという話を聞きます。
ぼくの中では「SHM-CD」も「HQCD」も似たようなものだろうという意識があるのですが、果たして如何に……
ぼくは特撮の大ファンですが、いくらなんでも、収録曲も同じで音質にもそれほど差がないアルバム4枚を、改めて新品で購入できるほどお金に余裕はありません(笑)
しかし、もしもその音質が大きく向上しているのであれば、多少生活費を削ってでもアルバム4枚揃え直したい!!
まぁ、購入するかどうかは、今後ネット上の評判などをうかがいながら決めようかなぁと思っています。
さて、いつものように、風俗街を通り抜けてumedaAKASOへ到着。
開演まで物販コーナーを眺めていると、特撮のヴォーカルである大槻ケンヂ(オーケン)の新しい本が出ていたので購入。
大槻ケンヂ・山口敏太郎 共著 『人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた』

中には大槻ケンヂのサインが!

ィやったあぁぁぁぁぁぁっ!!(*≧∀≦*)
……まぁ、会場でCDとか本とか買えば、大体いつもサインが付いてくるんですけどね(笑)
だから、我が家にはオーケンのサインが全部で10点くらいあるよ……(笑)
物販購入後、会場真ん中あたりのポジションをキープ。
SEで流れるMOTORHEADの素晴らしさを噛み締めながら開演を待ちます(笑)
やがて会場が暗転し、大音量のSEが流れ始めます。
ステージ上にあらわれるメンバーたち。そして、ノイジーなギターが鳴り響きます。
アルバム『ヌイグルマー』より"ジェロニモ"です!
この曲はハードコア・パンクバンドGASTUNKのカバー曲ですが、NARASAKIのラウドなギターによって、完全に特撮サウンドへと変貌しています。
会場全体で叫ぶ「モヒカン!」のコール。そして中盤の「ウォ~ウォウォ~♪ ウォウォ~ウォ~ウォ~♪」のコーラス。
その総てが最高で、これを聴いて盛り上がらないはずがありません!
特に、コーラスパートで生み出される一体感は凄い。まだ1曲目なのに、ここで早くもカタルシスを感じます(笑)
そこから雪崩込むように始まったのが"アベルカイン"! 名盤『爆誕』のリーダートラックです!
オープニングから代表曲2連発! 今回は冒頭から飛ばしまくっています!
"ジェロニモ"も会場みんなで叫べる曲ですが、"アベルカイン"も会場参加型の楽曲。
「猫猫猫猫!」「犬犬犬犬!」
「犬犬犬犬!」「猫猫猫猫!」
の掛け合いは、何度やっても最高に楽しい!
そしてこの曲もまた、楽器隊による演奏が最高にカッコいい!
特に、NARASAKIの轟音ギターと三柴理の流麗なピアノが絡み合う間奏部分のカッコ良さは、もう失神レベル!
スタジオ音源でも滅茶苦茶カッコいいのに、生演奏のカッコ良さは筆舌に尽くしがたく、そのあまりの凄み迫力に、震えながら叫びまくっていました。
今日の特撮はなんだかいつも以上に凄いぞ!
さて、2曲が終わってMCに。楽曲はいつも以上にカッコいいですが、MCはいつも通りゆるいです(笑)
49歳になった大槻氏は、最近尿酸値が高くなってきたため、医者から「毎日1万歩歩きなさい」と言われたそうです(笑)
で、先日の新宿ReNYのライブに万歩計をつけて臨んだところ、意外にも5000歩台に終わってしまったとのこと。
最近の万歩計って、結構しっかりしてますからね。ちゃんと歩かなきゃダメで、飛んだり揺らしたり振動を与えるだけじゃ、案外歩数が伸びないんですよね~
で、そこから
歩数イコール盛り上がり⇒「大阪のオーディエンスは新宿を超えられるのかい!?(歩数的にw)」⇒「新宿を超越しろ!!」⇒「超越人間! オーケボーマン!」
という流れで"超越人間オーケボーマン"の演奏に突入(笑)
アルバム『Agitator』に収録されている、大槻氏のシュールな世界観が爆発している楽曲です。
ちなみに、最後の台詞パートはメンバー紹介にアレンジされていました。
さらに続いて、同アルバムより"人狼天使"を演奏。
複雑な構成かつ変則的なリズムの曲なので、オーケンはちゃんと歌えるのだろうかと勝手に心配していたのですが、思いのほか(失礼w)しっかりと歌えていました(笑)
もちろん、楽器隊の演奏は文句なしに素晴らしい。
特に、ARIMATSUのドラミングは圧倒的! 変則的なリズムをもの凄い迫力で叩き切ります。
さらに、これまた『Agitator』より"殺陣"を演奏。
連続殺人鬼をテーマにした歌詞と、それに相応しい超ヘヴィな演奏。
中盤の、ノイジーな演奏に合わせて大槻氏が「Marvin Killed Marvin Gaye!!」と叫ぶところがすごく迫力があってカッコいい。
今回のライブは、大槻氏の調子がいつになく良い気がします。そのヴォーカルに、轟音ギターに負けないくらいの迫力があります。
3曲終わってMCを挟んでからの"ピアノ・デス・ピアノ"。アルバム『爆誕』からのナンバーです。
この時のMCで語られたエピソードによると、特撮初期の頃、この曲のイントロ部分で大槻氏が約15分もの間、観客を煽り続けたそうな。で、15分間もイントロのドラムを叩き続けさせられたARIMATSUが怒って、その後、この曲をやりたがらなくなったという……(笑)
そう言えば、1990年代の筋肉少女帯のライブでも同じようなことがありましたよね。
"詩人オウムの世界"の曲中で、大槻氏がアドリブで延々と語り続け、その間、メンバーの内田雄一郎がすごく苦しそうな表情で同じベースラインをひたすら弾き続けている……という映像が、ライブDVD『筋肉少女帯at武道館』に収録されていたはず(笑)
楽器隊泣かせのヴォーカルやな(笑)
続いて、アルバム『Agitator』より"うさぎ"を演奏。
生演奏は、スタジオ音源に比べて疾走感があったように思います。
ちなみに、この曲のスタジオ音源は不意にスッと終わるのが印象的ですが、ライブでも同じような終わり方でした。
さらに、アルバム『ヌイグルマー』より"ゼルダ・フィッツジェラルド"を演奏。
この曲もスタジオ音源と比べて、ドラマティックな部分はよりドラマティックに、幻想的な部分はより幻想的に、パワーアップしていました。
どんなバンドでも、スタジオ音源ではカッコ良くてもライブ演奏ではちょっと微妙、という曲があったりします。しかし、この日の特撮のライブでは、見事なまでに、どの曲も生演奏がスタジオ音源を凌駕していました。
ホント、演奏に凄みがあって、過去に見てきた特撮のライブの中でも今回のライブが一番素晴らしいんじゃないだろうかと思うほど迫力ある演奏が続きます。
演奏終了後、再びMCへ。そして、ピアノの三柴理以外のメンバーがステージ裏へとはけていきます。
ステージに1人残った三柴氏が演奏するのは、アルバム『Agitator』収録の"Night Light"。ピアノだけで奏でられるインストナンバーです。
アルバムでは1分44秒の小曲ですが、ライブではロングバージョンにアレンジされていました。
顔はコワモテ。大きな身体を揺らしながら、繊細で美しい音色を奏でる三柴氏。今更ながら「この人キャラ濃いよなぁ」としみじみ思いながら演奏を聴いていました。ホント、ルックスに似合わず美しい音色です(笑)
やがて、大槻氏以外のメンバーがステージ上に戻り、演奏されたのはアルバム『ヌイグルマー』より"アザナエル"。
アルバムでは、ギタリストのNARASAKIがヴォーカルを執るこの曲。最近のライブでは大槻氏が歌うことが多かったように思いますが、この日はNARASAKIヴォーカルバージョンでした。
ところで、この日のNARASAKI氏は、モコモコした服装に黒いキャップ。少しクセのかかったロングヘアに薄い色のサングラスという出で立ち。なんか、冬服を着込んだアキバ系男子のようなルックスです(笑)
この人、『ヌイグルマー』の頃の写真を見ると「ジャニーズ系」と言ってもいいようなイケメンだったのに、どうしてこうなってしまったのだろうか(笑)
一方、『ヌイグルマー』の頃は垢抜けないあんちゃんだったARIMATSUは、今ではすっかり垢抜けて、とてもカッコいいお兄さんになっています。また、サポートベーシストのRIKIJIもARIMATSU同様に垢抜けたファッション。
そんなカッコいいリズム隊をバックに、アキバ系っぽいNARASAKIが歌を歌い、端の方ではコワモテのおじさんがやたらと美しいピアノを奏でている。なんだか凄い異次元空間(笑)
もちろん、曲は素晴らしいです(笑)
やがて、大槻氏がステージ上に戻り、ベストアルバム『初めての特撮 BEST Vol.1』より"パティー・サワディー"を演奏。
コミカルな表現もありつつ、切なくて心に染みる楽曲ですね。
ここでまたMCを挟んで、アルバム『爆誕』より"文豪ボースカ"を演奏。
ちなみに、この曲が演奏される前には、大槻氏が快獣ブースカのぬいぐるみ(通称ボースカ)を持って一人芝居をするのがお約束。
しかし、今回登場したのはタオルで作られた「てるてる坊主」のような人形(「タオル野郎」という名前らしい……)。
「ボースカは実は大阪の出身で、大阪で事業に失敗して上京したので大阪には帰れない。たかじんさんごめーん(泣)」みたいな内容の小芝居でしたが……ブースカのぬいぐるみ、持ってくるの忘れたんですよね?(笑)
それにしても、この曲も名曲ですね。ライブでは毎回とても盛り上がります。
曲中のレゲエパートにおいて、RIKIJIの弾くベースがブリブリいってて、とてもカッコ良かったです。
続いて同アルバムより"身代わりマリー"を演奏。
さらに『Agitator』より"ヤンガリー"を演奏。
この"ヤンガリー"がまた凄かった!
軍隊の行進で叩かれるようなリズムのドラムから、叩きつけるようなピアノ演奏。さらにラウドなギターが合わさる展開は鳥肌もの。さらに、この日のライブでは、ラウドな演奏に合わせて、大槻氏が怪獣の咆哮のような叫び声をあげていたのですが、これが凄い迫力でとてもカッコ良かった!
やはり、この日の大槻氏はすごく調子が良かったんじゃないかと思います。
最近の筋肉少女帯や特撮のライブでは、流すように歌うところがやや目立つように思っていたのですが、この日は最初から最後までフルスロットル。迫力満点で最高でした!
さらに、アルバム『ヌイグルマー』より、定番曲の"バーバレラ"を演奏。
そしてついに本編ラスト。同じく『ヌイグルマー』より"ケテルビー"が演奏されます。
この曲も、かき鳴らされるラウドなギターが滅茶苦茶カッコいいです。
この"ケテルビー"、あるいは"アベルカイン"、"文豪ボースカ"、"ヤンガリー"などを聴いて思うのは、初期特撮の楽曲は圧倒的なアグレッションを持っているということ。
これらの楽曲で聴けるラウドなギター。ドラムとベースによって生み出される強大なうねり。そこに絡み合う流麗なピアノ。そしてオーケンのパワフルなヴォーカル。それらが合わさって生み出されるエネルギーは、筋肉少女帯でも、中期以降の特撮でも味わうことのできない、初期特撮ならではのもの。
それら初期特撮の楽曲のみで構成された今回のライブは、本当に凄い迫力でした。
そんなライブの締めくくりが(このあとまだアンコールがあるけれど)"ケテルビー"というのがまたいいですよね。
後半の台詞パートは、特撮を応援してきたファンに対する感謝と今後の活動に対する抱負にアレンジされていました。個人的には、原曲の台詞はきっちりと言ってほしい派なんですが、本編ラストということもあって、この演出はとても良かったなぁと思いました。
あと、ラストのコーラスパートも良かったです。観客が手を振りながらコーラスする中、「もうすぐ春が来るぞぉぉぉぉっ!!」と叫ぶオーケンの姿がドラマティックな感じで、見ていてグッときてしまいました。
いい曲ですね、"ケテルビー"。
しかし、ここからはアンコール。嬉しいことに、ライブはまだ続きます。
アンコール1曲目は、アルバム『爆誕』収録のパワーバラード"テレパシー"。
この曲もとてもドラマティック。特にライブでは、楽曲後半、最後のサビに繋がる「途切れないわ!」「テレパシー!」の部分が、NARASAKIのスクリーモ的なコーラスによってスタジオ音源以上にドラマティックに変貌。
ライブで"テレパシー"を聴くと、いつも感動で鳥肌が立ちます。
続いて、雰囲気を一変。アルバム『Agitator』より"悪魔巣取金愚"が演奏されます。
これは休みの国のカバー曲。ドラムが生み出す民族的でダンサブルなリズムが特徴。また、スタジオ音源よりもピアノの音色が前面に出ており、どことなくジャジーな雰囲気も生み出されていました。
さらに、アルバム『ヌイグルマー』より"戦え! ヌイグルマー"が演奏され、会場のテンションはより一層高まります。
そして、いよいよアンコールもラスト。
最後の楽曲は、アルバム『Agitator』のリーダートラックである"ヨギナクサレ"。
ヘヴィロックをバックに、ラップ調のヴォーカルが乗るこの曲も、ライブでは最高に盛り上がります。
「ヨギナクサレ!」「ヨギナクサレ!」の大合唱。中盤のラウドな間奏パート。そして後半の畳み掛けるような台詞パート。どれもこれもとにかく熱くて最高に燃えます!
最高の楽曲で、最高のラストを迎えた今回のライブ。
上でも述べましたが、初期特撮の楽曲のみで構成された今回のライブは、本当に熱くてドラマティックで素晴らしい内容でした。
ホント、ここ数年のオーケン関係のライブでも一番良かったんじゃないかと思えるくらい。
楽器隊の演奏はもちろん、オーケンのヴォーカルが絶好調で、"殺陣"や"ヤンガリー"でみせたシャウトなんか滅茶苦茶カッコ良かったです。
このライブがDVD化されないのは惜しいとすら思います。本当に、素晴らしいライブでした。
あと、MC中に素晴らしい告知が。
今年、特撮はニューアルバムのレコーディングに入るそうです!
今年中に聴けるか来年になるかはわかりませんが、また特撮の新しい楽曲が聴けます。いや~楽しみ♪
どの時代の特撮も大好きですが、今回のライブを見てしまうと、ニューアルバムには初期特撮のようなハードコアなアグレッションに満ち満ちた楽曲を期待してしまいますね~
セットリスト
ジェロニモ
アベルカイン
超越人間オーケボーマン
人狼天使
殺陣
ピアノ・デス・ピアノ
うさぎ
ゼルダ・フィッツジェラルド
Night Light
アザナエル
パティー・サワディー
文豪ボースカ
身代わりマリー
ヤンガリー
バーバレラ
ケテルビー
encore
テレパシー
悪魔巣取金愚
戦え! ヌイグルマー
ヨギナクサレ

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ちなみに、ツアータイトルにある「初期4タイトル」というのは、1stアルバム『爆誕』、2ndアルバム『ヌイグルマー』、3rdアルバム『Agitator』、ベストアルバム『初めての特撮 BEST Vol.1』の4枚のこと。
そして、これら4枚のアルバムが「HQCD」という規格で再発されるということです。
それを記念して行われる今回のライブ。セットリストは、総て「初期4タイトル」から選曲されました。
ところで、この「HQCD」とは「Hi Quality CD」の略称。「ハイ・クオリティ」というだけあって、普通のCDより音質がいいらしいです。ホンマかいな。
これら特撮の「初期4タイトル」。もちろん所持していますし、何年も前から何度も何度も聴き込んできた、思い入れ満点の作品です。ぼくにとってはどれも名盤。いや神盤。
それだけに、もし「HQCD」という規格によって、その音質が格段に向上しているのならぜひとも手に入れたい!
いや、格段とまではいかなくとも「カッコ良さ20%増量」くらいのレベルに達しているのならぜひとも買いたい!
「HQCD」になって生まれ変わった『爆誕』を聴いてみたい!
しかし、その音質の違いとは、ぼくの5万円程度のコンポでもわかるようなものなのでしょうか?
数年前に話題になった「SHM-CD」も、一般家庭にあるようなコンポでは、従来のCDとの音質の差を判別することができないという話を聞きます。
ぼくの中では「SHM-CD」も「HQCD」も似たようなものだろうという意識があるのですが、果たして如何に……
ぼくは特撮の大ファンですが、いくらなんでも、収録曲も同じで音質にもそれほど差がないアルバム4枚を、改めて新品で購入できるほどお金に余裕はありません(笑)
しかし、もしもその音質が大きく向上しているのであれば、多少生活費を削ってでもアルバム4枚揃え直したい!!
まぁ、購入するかどうかは、今後ネット上の評判などをうかがいながら決めようかなぁと思っています。
さて、いつものように、風俗街を通り抜けてumedaAKASOへ到着。
開演まで物販コーナーを眺めていると、特撮のヴォーカルである大槻ケンヂ(オーケン)の新しい本が出ていたので購入。
大槻ケンヂ・山口敏太郎 共著 『人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた』
中には大槻ケンヂのサインが!
ィやったあぁぁぁぁぁぁっ!!(*≧∀≦*)
……まぁ、会場でCDとか本とか買えば、大体いつもサインが付いてくるんですけどね(笑)
だから、我が家にはオーケンのサインが全部で10点くらいあるよ……(笑)
物販購入後、会場真ん中あたりのポジションをキープ。
SEで流れるMOTORHEADの素晴らしさを噛み締めながら開演を待ちます(笑)
やがて会場が暗転し、大音量のSEが流れ始めます。
ステージ上にあらわれるメンバーたち。そして、ノイジーなギターが鳴り響きます。
アルバム『ヌイグルマー』より"ジェロニモ"です!
この曲はハードコア・パンクバンドGASTUNKのカバー曲ですが、NARASAKIのラウドなギターによって、完全に特撮サウンドへと変貌しています。
会場全体で叫ぶ「モヒカン!」のコール。そして中盤の「ウォ~ウォウォ~♪ ウォウォ~ウォ~ウォ~♪」のコーラス。
その総てが最高で、これを聴いて盛り上がらないはずがありません!
特に、コーラスパートで生み出される一体感は凄い。まだ1曲目なのに、ここで早くもカタルシスを感じます(笑)
そこから雪崩込むように始まったのが"アベルカイン"! 名盤『爆誕』のリーダートラックです!
オープニングから代表曲2連発! 今回は冒頭から飛ばしまくっています!
"ジェロニモ"も会場みんなで叫べる曲ですが、"アベルカイン"も会場参加型の楽曲。
「猫猫猫猫!」「犬犬犬犬!」
「犬犬犬犬!」「猫猫猫猫!」
の掛け合いは、何度やっても最高に楽しい!
そしてこの曲もまた、楽器隊による演奏が最高にカッコいい!
特に、NARASAKIの轟音ギターと三柴理の流麗なピアノが絡み合う間奏部分のカッコ良さは、もう失神レベル!
スタジオ音源でも滅茶苦茶カッコいいのに、生演奏のカッコ良さは筆舌に尽くしがたく、そのあまりの凄み迫力に、震えながら叫びまくっていました。
今日の特撮はなんだかいつも以上に凄いぞ!
さて、2曲が終わってMCに。楽曲はいつも以上にカッコいいですが、MCはいつも通りゆるいです(笑)
49歳になった大槻氏は、最近尿酸値が高くなってきたため、医者から「毎日1万歩歩きなさい」と言われたそうです(笑)
で、先日の新宿ReNYのライブに万歩計をつけて臨んだところ、意外にも5000歩台に終わってしまったとのこと。
最近の万歩計って、結構しっかりしてますからね。ちゃんと歩かなきゃダメで、飛んだり揺らしたり振動を与えるだけじゃ、案外歩数が伸びないんですよね~
で、そこから
歩数イコール盛り上がり⇒「大阪のオーディエンスは新宿を超えられるのかい!?(歩数的にw)」⇒「新宿を超越しろ!!」⇒「超越人間! オーケボーマン!」
という流れで"超越人間オーケボーマン"の演奏に突入(笑)
アルバム『Agitator』に収録されている、大槻氏のシュールな世界観が爆発している楽曲です。
ちなみに、最後の台詞パートはメンバー紹介にアレンジされていました。
さらに続いて、同アルバムより"人狼天使"を演奏。
複雑な構成かつ変則的なリズムの曲なので、オーケンはちゃんと歌えるのだろうかと勝手に心配していたのですが、思いのほか(失礼w)しっかりと歌えていました(笑)
もちろん、楽器隊の演奏は文句なしに素晴らしい。
特に、ARIMATSUのドラミングは圧倒的! 変則的なリズムをもの凄い迫力で叩き切ります。
さらに、これまた『Agitator』より"殺陣"を演奏。
連続殺人鬼をテーマにした歌詞と、それに相応しい超ヘヴィな演奏。
中盤の、ノイジーな演奏に合わせて大槻氏が「Marvin Killed Marvin Gaye!!」と叫ぶところがすごく迫力があってカッコいい。
今回のライブは、大槻氏の調子がいつになく良い気がします。そのヴォーカルに、轟音ギターに負けないくらいの迫力があります。
3曲終わってMCを挟んでからの"ピアノ・デス・ピアノ"。アルバム『爆誕』からのナンバーです。
この時のMCで語られたエピソードによると、特撮初期の頃、この曲のイントロ部分で大槻氏が約15分もの間、観客を煽り続けたそうな。で、15分間もイントロのドラムを叩き続けさせられたARIMATSUが怒って、その後、この曲をやりたがらなくなったという……(笑)
そう言えば、1990年代の筋肉少女帯のライブでも同じようなことがありましたよね。
"詩人オウムの世界"の曲中で、大槻氏がアドリブで延々と語り続け、その間、メンバーの内田雄一郎がすごく苦しそうな表情で同じベースラインをひたすら弾き続けている……という映像が、ライブDVD『筋肉少女帯at武道館』に収録されていたはず(笑)
楽器隊泣かせのヴォーカルやな(笑)
続いて、アルバム『Agitator』より"うさぎ"を演奏。
生演奏は、スタジオ音源に比べて疾走感があったように思います。
ちなみに、この曲のスタジオ音源は不意にスッと終わるのが印象的ですが、ライブでも同じような終わり方でした。
さらに、アルバム『ヌイグルマー』より"ゼルダ・フィッツジェラルド"を演奏。
この曲もスタジオ音源と比べて、ドラマティックな部分はよりドラマティックに、幻想的な部分はより幻想的に、パワーアップしていました。
どんなバンドでも、スタジオ音源ではカッコ良くてもライブ演奏ではちょっと微妙、という曲があったりします。しかし、この日の特撮のライブでは、見事なまでに、どの曲も生演奏がスタジオ音源を凌駕していました。
ホント、演奏に凄みがあって、過去に見てきた特撮のライブの中でも今回のライブが一番素晴らしいんじゃないだろうかと思うほど迫力ある演奏が続きます。
演奏終了後、再びMCへ。そして、ピアノの三柴理以外のメンバーがステージ裏へとはけていきます。
ステージに1人残った三柴氏が演奏するのは、アルバム『Agitator』収録の"Night Light"。ピアノだけで奏でられるインストナンバーです。
アルバムでは1分44秒の小曲ですが、ライブではロングバージョンにアレンジされていました。
顔はコワモテ。大きな身体を揺らしながら、繊細で美しい音色を奏でる三柴氏。今更ながら「この人キャラ濃いよなぁ」としみじみ思いながら演奏を聴いていました。ホント、ルックスに似合わず美しい音色です(笑)
やがて、大槻氏以外のメンバーがステージ上に戻り、演奏されたのはアルバム『ヌイグルマー』より"アザナエル"。
アルバムでは、ギタリストのNARASAKIがヴォーカルを執るこの曲。最近のライブでは大槻氏が歌うことが多かったように思いますが、この日はNARASAKIヴォーカルバージョンでした。
ところで、この日のNARASAKI氏は、モコモコした服装に黒いキャップ。少しクセのかかったロングヘアに薄い色のサングラスという出で立ち。なんか、冬服を着込んだアキバ系男子のようなルックスです(笑)
この人、『ヌイグルマー』の頃の写真を見ると「ジャニーズ系」と言ってもいいようなイケメンだったのに、どうしてこうなってしまったのだろうか(笑)
一方、『ヌイグルマー』の頃は垢抜けないあんちゃんだったARIMATSUは、今ではすっかり垢抜けて、とてもカッコいいお兄さんになっています。また、サポートベーシストのRIKIJIもARIMATSU同様に垢抜けたファッション。
そんなカッコいいリズム隊をバックに、アキバ系っぽいNARASAKIが歌を歌い、端の方ではコワモテのおじさんがやたらと美しいピアノを奏でている。なんだか凄い異次元空間(笑)
もちろん、曲は素晴らしいです(笑)
やがて、大槻氏がステージ上に戻り、ベストアルバム『初めての特撮 BEST Vol.1』より"パティー・サワディー"を演奏。
コミカルな表現もありつつ、切なくて心に染みる楽曲ですね。
ここでまたMCを挟んで、アルバム『爆誕』より"文豪ボースカ"を演奏。
ちなみに、この曲が演奏される前には、大槻氏が快獣ブースカのぬいぐるみ(通称ボースカ)を持って一人芝居をするのがお約束。
しかし、今回登場したのはタオルで作られた「てるてる坊主」のような人形(「タオル野郎」という名前らしい……)。
「ボースカは実は大阪の出身で、大阪で事業に失敗して上京したので大阪には帰れない。たかじんさんごめーん(泣)」みたいな内容の小芝居でしたが……ブースカのぬいぐるみ、持ってくるの忘れたんですよね?(笑)
それにしても、この曲も名曲ですね。ライブでは毎回とても盛り上がります。
曲中のレゲエパートにおいて、RIKIJIの弾くベースがブリブリいってて、とてもカッコ良かったです。
続いて同アルバムより"身代わりマリー"を演奏。
さらに『Agitator』より"ヤンガリー"を演奏。
この"ヤンガリー"がまた凄かった!
軍隊の行進で叩かれるようなリズムのドラムから、叩きつけるようなピアノ演奏。さらにラウドなギターが合わさる展開は鳥肌もの。さらに、この日のライブでは、ラウドな演奏に合わせて、大槻氏が怪獣の咆哮のような叫び声をあげていたのですが、これが凄い迫力でとてもカッコ良かった!
やはり、この日の大槻氏はすごく調子が良かったんじゃないかと思います。
最近の筋肉少女帯や特撮のライブでは、流すように歌うところがやや目立つように思っていたのですが、この日は最初から最後までフルスロットル。迫力満点で最高でした!
さらに、アルバム『ヌイグルマー』より、定番曲の"バーバレラ"を演奏。
そしてついに本編ラスト。同じく『ヌイグルマー』より"ケテルビー"が演奏されます。
この曲も、かき鳴らされるラウドなギターが滅茶苦茶カッコいいです。
この"ケテルビー"、あるいは"アベルカイン"、"文豪ボースカ"、"ヤンガリー"などを聴いて思うのは、初期特撮の楽曲は圧倒的なアグレッションを持っているということ。
これらの楽曲で聴けるラウドなギター。ドラムとベースによって生み出される強大なうねり。そこに絡み合う流麗なピアノ。そしてオーケンのパワフルなヴォーカル。それらが合わさって生み出されるエネルギーは、筋肉少女帯でも、中期以降の特撮でも味わうことのできない、初期特撮ならではのもの。
それら初期特撮の楽曲のみで構成された今回のライブは、本当に凄い迫力でした。
そんなライブの締めくくりが(このあとまだアンコールがあるけれど)"ケテルビー"というのがまたいいですよね。
後半の台詞パートは、特撮を応援してきたファンに対する感謝と今後の活動に対する抱負にアレンジされていました。個人的には、原曲の台詞はきっちりと言ってほしい派なんですが、本編ラストということもあって、この演出はとても良かったなぁと思いました。
あと、ラストのコーラスパートも良かったです。観客が手を振りながらコーラスする中、「もうすぐ春が来るぞぉぉぉぉっ!!」と叫ぶオーケンの姿がドラマティックな感じで、見ていてグッときてしまいました。
いい曲ですね、"ケテルビー"。
しかし、ここからはアンコール。嬉しいことに、ライブはまだ続きます。
アンコール1曲目は、アルバム『爆誕』収録のパワーバラード"テレパシー"。
この曲もとてもドラマティック。特にライブでは、楽曲後半、最後のサビに繋がる「途切れないわ!」「テレパシー!」の部分が、NARASAKIのスクリーモ的なコーラスによってスタジオ音源以上にドラマティックに変貌。
ライブで"テレパシー"を聴くと、いつも感動で鳥肌が立ちます。
続いて、雰囲気を一変。アルバム『Agitator』より"悪魔巣取金愚"が演奏されます。
これは休みの国のカバー曲。ドラムが生み出す民族的でダンサブルなリズムが特徴。また、スタジオ音源よりもピアノの音色が前面に出ており、どことなくジャジーな雰囲気も生み出されていました。
さらに、アルバム『ヌイグルマー』より"戦え! ヌイグルマー"が演奏され、会場のテンションはより一層高まります。
そして、いよいよアンコールもラスト。
最後の楽曲は、アルバム『Agitator』のリーダートラックである"ヨギナクサレ"。
ヘヴィロックをバックに、ラップ調のヴォーカルが乗るこの曲も、ライブでは最高に盛り上がります。
「ヨギナクサレ!」「ヨギナクサレ!」の大合唱。中盤のラウドな間奏パート。そして後半の畳み掛けるような台詞パート。どれもこれもとにかく熱くて最高に燃えます!
最高の楽曲で、最高のラストを迎えた今回のライブ。
上でも述べましたが、初期特撮の楽曲のみで構成された今回のライブは、本当に熱くてドラマティックで素晴らしい内容でした。
ホント、ここ数年のオーケン関係のライブでも一番良かったんじゃないかと思えるくらい。
楽器隊の演奏はもちろん、オーケンのヴォーカルが絶好調で、"殺陣"や"ヤンガリー"でみせたシャウトなんか滅茶苦茶カッコ良かったです。
このライブがDVD化されないのは惜しいとすら思います。本当に、素晴らしいライブでした。
あと、MC中に素晴らしい告知が。
今年、特撮はニューアルバムのレコーディングに入るそうです!
今年中に聴けるか来年になるかはわかりませんが、また特撮の新しい楽曲が聴けます。いや~楽しみ♪
どの時代の特撮も大好きですが、今回のライブを見てしまうと、ニューアルバムには初期特撮のようなハードコアなアグレッションに満ち満ちた楽曲を期待してしまいますね~
セットリスト
ジェロニモ
アベルカイン
超越人間オーケボーマン
人狼天使
殺陣
ピアノ・デス・ピアノ
うさぎ
ゼルダ・フィッツジェラルド
Night Light
アザナエル
パティー・サワディー
文豪ボースカ
身代わりマリー
ヤンガリー
バーバレラ
ケテルビー
encore
テレパシー
悪魔巣取金愚
戦え! ヌイグルマー
ヨギナクサレ
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