千葉県船橋市は金沢大学と共同で、下水に含まれる新型コロナウイルスの量から市内の感染状況を把握するための調査に乗り出した。市内の感染拡大の兆候を早期に予測し、速やかに対策を打ち出せるようにする。
市内の高瀬・西浦下水処理場の水を週2回、金沢大に提供する。2カ所を合わせた下水処理の対象は約37万人で、市の人口の6割程度にあたる。両下水道は他自治体からの流入がほぼないため、市内の感染状況を確認しやすいという。
金沢大は提供された下水を濃縮し、遺伝子抽出やPCR検査を実施。含まれる新型コロナのウイルス量を測定する。結果を市内の日々の感染者数と照らし合わせ、感染状況との関連を確認する。
調査は金沢大も参加する日本水環境学会(東京・江東)の研究組織が取り組んでいる。欧米では下水中のウイルス量の調査を流域の流行状況の推測に生かす動きが広がっており、同学会も日本国内での新型コロナ対策に活用しようと、多くの自治体に参加を呼びかけている。県内では船橋市が初めて協力する。
同市は同調査に早期から着目しており、6月25日時点から下水を凍結保存していたという。金沢大への協力を通じて、過去の感染状況も検証したい考えだ。
期間は2021年3月31日まで。市の担当者は「調査が確立すれば無症状者も含めた市内の感染状況がいち早く確認できる」と期待する。