日々描いたマンガやスケッチ、似顔絵などを貯めていく貯金箱のようなブログ。
スケッチ貯金箱
うたのイラスト(北條暁「生きてゐるのに」)
この歌は、有名ではないかもしれない。
しかし、作詞はあの川端康成である。
作曲は北條暁。北條氏本人が歌っている。
エマノンズというグループも歌ったらしいが、私は聴いたことがない。
家に兄の買ったレコードがあり、「いい歌だなあ」と思って聴いていた。
北條暁という人については、ほとんど何も知らない。
ただ川端氏が、北條氏の依頼で作詞したというようなことを聞いたか読んだかした記憶がある。親しかったのだろうか。
何も定かではない。ただ、レコード音源の曲そのものだけが、手許にある。
だがそれでよい。とにかく詩(詞というよりも)が素晴らしい。
一番の歌詞は静かな竹林の情景。「二人語れど 声は聞こえない」という歌詞が不思議な静寂感を醸し出す。
二番では夕陽と黒くそそり立つ山、三番では月光と沖の空を貫く稲妻を描く。そして最後に「生きてゐるのに」という言葉で終わる。
実はこの詩は新潮社刊の「川端康成全集」35巻の447〜448頁に収録されている。
しかし、ここに収められた原詩は、歌詞になったものと若干違うのである。歌になるまでの間にどのような経緯があったのだろうか。興味深いものがある。
歌はYouTubeにアップはされていないようである。私はデジタル音痴だからできないが、中古レコードは出回っているようなので、そのうちアップしてくれる人が現れるだろう(追記:その後、この曲はアップされました。YouTube検索で「北條暁」のキーワードで探すと、「北條暁」のタイトルで現れます)。曲もアレンジも歌声も、この詩の清潔な孤独感にふさわしい見事な出来栄えである。森山直太朗さんあたりがカヴァーしてくれないかな、などと夢想している。
コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
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私の祖父は北條誠という作家で、川端先生の弟子であった関係から父に作詞をお願いしたようです。
父も妹の叔母も川端先生が名づけ親なのです。
丁度4日前に父は他界したので、父について検索していた所でした。どうもありがとうございました。
お父様が亡くなられたばかりとのこと、心よりお悔やみ申し上げます。
この曲が作られた経緯が思いがけず明らかになり、感慨深いものがあります。
こんな良い曲が忘れられているのは勿体無いですね。誰か取り上げてくれないものでしょうか。
わざわざコメントを寄せていただいて有難うございます。これから、改めてこの曲を聴き直してみようと思います。
この件について私のfacebookに投稿しましたので、どなたか取り上げてくれないかなと期待しています。
父が亡くなってとても寂しいですがこのようなご縁も出来て嬉しいです。
私の方も母の一周忌等ありまして、コメントをお返しすることもできず失礼いたしました。
プレイヤーについては、通販などで、レコードからCDなどへの録音ができる機器を販売していますので、新聞等の広告で探されてはいかがでしょうか。もう手に入れられたのでしたらその必要はないでしょうが。
お父様の歌声をレコードでお聞きになれるのは、正直うらやましい気もいたします。
遅ればせながらのご返事、読んでいただけたら幸いです。
遅ればせながら北条暁氏のご冥福をお祈りします。
この歌、いいですよね。
世の中の人にも再認識してほしいと思います。
心に残る良い曲だと思います。残念ながらその後、聴くことが出来ませんでした。
DJが、「この曲は川端康成さんが、北条誠さんの息子暁さんが20才になったお祝いに贈った詩を、北条暁さんが曲をつけてうたってます」」と紹介されていました。
北条暁さんの声が詩にぴったりだったと思います。
懐かしい。また聴きたい。