皆様、ご無沙汰しております。
今回の内容も掲題どおりエラー対応記事です。(不具合多いなw)
さてエラー対応する機器はこちらのプリンター【EPSON EP-707A】です。 (EP-708Aも同型なので手順は同じです)
エラー症状は
『廃インク吸収パッドの限界エラー』
(通称エプソンタイマー)
修繕前に簡単に調べて見ましたが、EP-707A/708Aは日本のみの生産モデルで、
販売開始年数も短いことから、修繕記事も僅かしかありませんでした。
◆「万事、塞翁が馬」様ならびに「空と花の色」様の掲載記事を参考にさせていただきました。
先駆者の行動力と情報提供に尊敬と感謝を捧げます。
そもそも「廃インク吸収パッドとは何?」という方のために説明しますが、
一言で言えばインク吸収材を詰めた廃液タンクです。
廃インクが出る理由はヘッドクリーニングやフチなし印刷など、インクが印刷紙から外れて零れるためで、
それを専用トレイが受け止め、チューブを伝って吸収パッドに廃インクが送られる仕組みになっています。
このとき廃インク吸収率が100%を超えた(あるいは近似値)の状態だと、
プリンターから警告が発せられ、本件と同じ内部調整エラーになります。
これが「廃インク吸収パッドの限界エラー」になります。
問題なのはこのエラー警告が出ると、
《プリンター本体の操作が一切出来なくなる》
ということです。
こうなるとメーカー修理が必要になってしまい、しかも有料サポートです。
機器の劣化度によっては新品プリンターを購入したほうが安くすむ場合もあります。
とにかく原因が判れば対処もできます。
簡単に言えば”ゴミ箱が一杯で捨てられない、だから新しく印刷できない”ということ。
ですので今回の不具合解消は以下の2点に絞られます。
【1】:廃インク吸収パッド自体には液漏れ警告等の機能はない。 ⇒ 吸収パッドとタンクの清掃
【2】:内部プログラムが廃インクの量を常時カウントしている。 ⇒ 廃インク量カウントをリセット
ただしこの自己修繕はメーカーサポート対象外になってしまいますので、本手順による修繕はお勧めはしませんし、
すべての作業は自己責任になっていることをご了承ください。
=====以降は修繕作業の内容になります=====
※ 全ての作業は必ずプリンターから電源など全ケーブルを抜き、筐体のみ状態で行ってください。
※ 廃インクタンクの位置はプリンター前面右側の底部にあります。
<1>:廃インクタンクを取り出すため、プリンター筐体を一部分解します。
① インクカートリッジ交換時と同じように、中蓋を開けます。
(左図はプリンター上部からの撮影画像です)
② 左図に示された箇所のネジを+ドライバーで外す。
③ プリンター前面上部の操作パネル部が取り外せます。
(内部配線は抜かない)
④ プリンター前面右側のカバーを外します。
(左図の指定箇所のネジを外す)
⑤ カバーが外れた状態です。
左図の矢印方向にチューブ内を廃インクが流れる仕組みです。
※ 「万事、塞翁が馬」様の改造は、このチューブをプリンターの
外に出して、別途用意したタンクに廃インクを流す仕組みでした。
<2>:廃インクタンクをプリンター本体から取り外します。
⑥ 青線で囲んだ部分が廃インクタンクになります。
(左図はプリンターの斜め下から撮影した画像です)
⑦ タンク取り外しのため、左図の指定箇所のネジを外します。
橙色の2箇所を押し込みながら、タンクを真下に動かすと外せます。
⑧ プリンターから外した廃インクタンクと吸収パッドです。
パッドは6枚で、中4枚は廃インク一次受け用の溝があります。
⑨ プリンター筐体側の廃インクタンクのスペース。
廃インクが排水されるノズルが見えます。
<3>:廃インクタンクと吸収パッドを洗浄します。
⑩ 吸収パッドを取り出し、タンクと一緒に水道水で洗う。 (作業はビニール手袋orゴム手袋の着用が必須)
⑪ 洗ったタンクと吸収パッドはよく乾かし、天日干しする。
<4>:外したタンクと吸収パッドを戻し、プリンターに再設置します。
⑫ 吸収パッドが潰れたり破損していた場合は、吸水できる綿やキッチンペーパー等で代用できます。
⑬ 前述の①~⑦の作業を逆手順で行い、プリンターを組み直します。
■ ここまでタンクとパッドの洗浄になります。
<5>:プリンターをパソコンと繋ぎ、内部プログラムをリセットします。
⑭ プリンターに電源ケーブルを繋ぎ電源ONにし、必ずUSBケーブルでパソコンと繋ぎます。
(ファームウェアの書き換え作業なので、USBによる有線接続が必要なためです)
⑮ 廃インク量カウントのリセット用ソフトウェアを準備します。
※以前は海外エプソン提供の「Epson Ink Pads Reset Utility」がありましたが、配布停止になりました。(2016年時点)
・インターネット上から「WIC Reset Utility」という海外ソフトをダウンロードします。
・Windows版 / Mac OS 10.6以降版 / Linux版の3種が準備されています。
・今回は無料で1回のみの試供品を使います。(無料版は10%のみリセットする仕様です)
・無料のトライアルキーは「trial」と入力。
・別型番で海外でも販売されているプリンターならば、別途でリセットソフトが配布されている場合があります。
⑯ ダウンロードした「WIC Reset Utility」を解凍実行し、パソコンへインストールする。
⑰ 「WIC Reset Utility」を実行し、「廃インクカウンターを読む」をクリックする。
⑱ リセットが必要です、と表示されたら「廃インクカウンターをリセットする」をクリックする。
⑲ リセット実行用のキーを入力し、実行する。
・今回はトライアルキーを入力する。(trial)
・100%リセットは有償版の「リセットキーの購入」が必要になります。(価格:1key/$10)
・決済方法は「Paypal」が良いです。購入したリセットキーはメールで送られてきます。
⑳ 少しすると「プリンターを再起動してください」とメッセージが表示されますので、再起動します。
再起動後、プリンターの液晶画面に通常のメニュー画面が表示されれば、リセット完了です。
=====ここまでが修繕手順になります=====
作業が完了すればテスト印刷ができます。
各色のインクカートリッジ量が1/3以上の状態で、A4普通紙にフチありフルカラー印刷で試し刷りしてください。
問題なければ普通に印刷できます。(印刷がおかしい場合は1回だけヘッドクリーニングしてください。)
プリンターヘッドの頑固な目詰まりには「洗浄液カートリッジ」が効果的です。
各メーカーのカートリッジ型番によって異なりますが、洗浄液が充填されたカートリッジが通販で販売されています。
掠れや変色印刷が続く場合には非常に効果が高いクリーニング方法です。
以上が当方で実行した廃インク吸収パッドエラーの対処方法です。
純正インクだろうが互換性インクだろうが、メーカー問わずいつか必ず起こるエラーですので、
予備知識として知っておくだけでも良いかと思い、本記事を掲載しました。
壊れるまではプリンターと長く良いお付き合いをしていきましょう。
今日の詞情
「この情報が似た者ユーザーに役立てますように……」
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最終更新日: 2016年08月15日