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(裕一)い… 慰問ですか?(山崎)はい。
軍から 先生に是非ということです。
いずれ出発のご連絡をさせて頂きますのでお待ち下さい。
僕も 自分にできることを精いっぱい やらなくちゃ…。
♪~
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(鉄男)報国音楽協会 行ってきたんだべ?うん。
もしかして 戦地での慰問の依頼か?
話って そのこと?
もし行くつもりなら… やめとけ。
うん? 何で?
日本は今 負け続けてる。前線は思ってる以上に危ねえ。
いや… 戦況が悪いならより一層 慰問が必要だよ。
音楽で戦況は変えらんねえだろ。
そんなことない。歌で 戦う人たちを鼓舞できる。
大将が書いてくれた「暁に祈る」だって兵士たちの心に響いたからヒットしたんだ。
歌は力になる!
俺は…歌が戦うための道具になんのは嫌だ。
んっ! みんな 命懸けで戦ってるんだ!
僕にできることがあるなら何でも協力したい。
℡
(音)はい 古山でございます。
℡報国音楽協会の山崎と申します。古山裕一先生は ご在宅でしょうか?
はい。
行ってくる。
行ってらっしゃい。
5日後 出発です。 緊急の場合もあるので東京を離れないよう お願いします。
はい。
小山田先生より ご伝言を預かっています。
「この非常時に 音楽家として国に忠誠を尽くし命を懸けて戦う将兵にこちらも命をもって応えるのが国民の務めである。前線での貴殿の活躍に期待する」。
♪~
ただいま。お帰りなさい。
どうしたんです? その荷物。
少し いい?
慰問に行けと 命令が下った。
どこへ?分からない。
機密事項だから 僕も知らされてない。
ええ…。ただ 外地であることは間違いない。
いつから?5日後。
そんな急な…。
期間は?いや…。
戦況… よくないんでしょ?
みんな 頑張ってる。
僕だけ逃げるわけにはいかない。
逃げてません。 曲を作ってるじゃない。
いっぱい作ってるじゃない!
音。
・古山さん 電報で~す。
お世話さまです。
♪~
浩二からの電報はまさが倒れた知らせでした。
お待たせしました。
軍の返答は ご母堂様はそれほどのご重体でないので予定どおり出発してほしいとのことです。
・(戸が開く音)
お帰りなさい。
母さん そこまで悪くないみたい。
はあ… よかった。
だから… 予定どおりに出発になる。
♪~(ラジオ)
(保)はい どうぞ。
お休みの日に 本当にすみません。
僕だって たまにはコーヒーいれたいんだよ。
大豆だけどね。
うん! いや 大豆でも保さんがいれると おいしいです。
ありがとう。
♪~(ラジオ)
(ラジオ)「大本営 陸軍部発表…」。
歴史は繰り返す。うん?
人類は生まれてから ず~っと戦ってる。
変な話 ギリシャ神話では神々だって戦ってるんだから。
どうしてだろうね?いや… う~ん…生きるための本能ですかね?
さあ? 僕には分からないけど早く戦争が終わっておいしいコーヒーがいれたい。
それだけが僕の望み。
似合わない?
フフフ…。フフッ。
少し待ってて。 今 お芋 ふかしてるから。
うん?お昼ごはん 持っていって。
そろそろかな?
じゃあ… 行ってくる。
(華)お父さん 帰ってくるよね?
うん! 鉄砲も撃てないお父さんたちが呼ばれた場所だから危険はないよ。 安心して。 ねっ 華。
うん。
音… すまん。 行ってくる。
あなたの音楽で兵隊さんたちを勇気づけてきて下さい。
ありがとう。
では… 行ってまいります。
「音へ音楽の夢を2人でたどるはずだったのにどうしてこんなことになってしまったのかな」。
「音が 僕の才能を信じてくれたから僕は音楽の道を諦めずに済みました」。
「音が 自分の夢を僕に預けてくれたから華と出会うことができました」。
「2人で夢を交換しながら生きていきたい。その思いは今も変わっていません。戦争が始まり 僕の曲は急に売れるようになりました。歌謡曲では邪魔した西洋音楽への未練が戦時歌謡では吉と出ました」。
どうしたの?
「戦意高揚に 敵国の音楽の知識が役に立つとは皮肉です」。
わあ…。「福島行進曲」。
「音と同じように 僕も 戦争が一日も早く終わることを願っています。けれど 多くの人が家族を置いて戦地で戦っている今僕にできることはお国のために命を懸けて戦う人を音楽の力で応援することだと思います。君との歌も 応援団の歌も 予科練の歌も僕の曲作りは 人との触れ合いの中で生まれてきました」。
ケーキ!そう。 うちで採れたかぼちゃ…。
「だから 一度は戦場をこの目で見たい。命を懸ける尊い人たちを現地で応援したいのです」。
よかったね 華!うん。 よかった よかった。
幸せそうな顔して…。
「必ず生きて帰ります。戦争が終わったらもう一度 夢の続きを始めましょう。裕一」。
あなたを信じる。