洗脳され悪に堕ちた王女
| 投稿者: 月華守屋
甲竜伝説ヴィルガストよりリタ姫の洗脳悪堕ち物を書いてみました。
邪神復活を狙う集団がベスパ国に押し入り、防戦を続けていたリタ姫を捉えて悪の戦士・ルシーズへと洗脳していく。
ヴィルガスト界。
そこは女神ウィンディーネが見守る世界。
人間と獣人が暮らしていたが、その世界を恐怖で包み込もうとした邪神が復活した。
荒ぶるモンスターの父である邪神は、その力を持ってモンスター達を生み出し、人々を襲わせることで世界を破滅させようとした。
ヴィルガスト界の危機にウィンディーネは異世界から戦士を召喚。ヴィルガスト界の中で選ばれた戦士達と召喚された戦士は共に戦い、激戦の末に邪神を封じ込めて平和を守ったのだった。
それから時が過ぎ、邪神を復活させようとする一派が暗躍することで再び世界は危機に瀕していたのだった。
ベスパ国の姫・リタは体中から込み上げてくる痛みに失っていた意識を覚醒させた。
すぐに瞼を開くことは出来ず、何度も痙攣した末に鉄の扉を開くかのようにゆっくりと開く。エメラルドグリーンの瞳が映した部屋は松明しか光源がないため薄暗く、夜の闇とほとんど変わらない。目覚めたばかりで視界もぼやけているリタにとっては気絶している時と同じだった。
「こ、こあ……」
国の中が乾き、うまく発音もできない。舌を動かして唾液を分泌させてから口内を濡らしていくと少しだけ潤いが戻る。瞼を何度も開閉することで乾いた瞳も涙腺が緩み、涙が出てきて視界を綺麗にしていった。最後に頭を数回振って思考にかかっていた霧も吹き飛ばす。
リタはため息を一つ吐くと、改めて自分の状況を確認した。
皮の手甲に包まれた手首の上に繋がれた鉄の輪から鎖が伸びて、天井の穴を通っている。視線でゆっくりと追っていくと、鎖は壁を伝っていき、最後にリタの足首へと繋がっていた。皮のレッグアーマーも同様に足首の上を鉄の輪が付けられていて、輪には鎖が結びついている。同じ側の手足が鎖で一つに繋がれている状態。もう少し自分の体を確認すると、ところどころに痛みの原因を見ることができた。
気を失う前に身に着けていたであろう防具の内、ヘッドギアと肩アーマー、ウエストアーマーがなくなっている。頭部を見ることはできないが、黒いショートのストレートボブに橙色のカチューシャを付けているのは感覚的に理解できた。肩口と腰部分は攻撃に傷ついた痕があり、攻撃が防具を貫通したという結果を示している。
胸元を覆っていた鎧も完全に消えており、橙色をした袖なしシャツのみ。
十四歳という年齢にしては大きさを主張している乳房が服の上からも確認できる。
橙色の袖なしシャツに黒いショートパンツという身軽な恰好の上に皮の装備をつけて、彼女は闘っていたのだ。
そして今のリタは、大の字に立たせられて鎖に繋がれている。
「そうか……私……」
「目覚めたようだな、リタ姫」
突如、薄暗い部屋の中に声が響く。ほんの一瞬前まで部屋には他の人間の気配は感じなかった。しかし、声の主はリタの困惑を余所に顔が見える場所まで歩いてくる。邪悪な気配を発散する鎧をまとい、兜を被って口元をマスクで覆っている男の素性を知ることはできないが、邪悪な存在であることだけは理解できる。それだけで、リタにとっては敵なのだと判断した。
特徴的なのは上半身を覆う鎧。胸元には巨大な目を象った意匠が施されていた。だが、目は意匠ではなく、生きてギョロギョロと目玉を動かしていた。
「ひっ……あ、あなたは……誰! 私をどうするつもりですか!」
不気味な鎧にたじろいだものの、リタは気丈に言い放つ。父を殺されてからベスパ国を実質的に統治していた幼い少女は、意志の強い光を瞳に宿して相手に告げる。
リタに危害を加えようとする男は彼女の傍まで近づくと、腕を伸ばして顎を掴む。
「俺の名前はベグス。邪神復活を望む者。リタ姫。お前には我々の手助けをしてもらおう」
「手助け、ですって? 誰がそのようなことをするものですか!」
リタな顎を勢いよく動かしてベグスと名乗った男の手を外す。囚われているという状況だけは分かったものの、リタは詳しい経緯を覚えていなかった。しかし、目の前に分かりやすい敵が現れたことでリタの中で戦いの火ぶたが切って落とされる。
悪しき者達と闘い続けている戦姫、リタとして魔の者には屈しないという力強さが体中から滲み出ていた。
だが、ベグスは目元を緩めると中空に投げ出された手をゆっくりとリタに近づける。
「ち、近寄らないで!」
「さすがはベスパ国を統治しているだけはある。胆力は年齢のそれではないな」
「――っ!?」
冷静な言葉を紡いでいたベグスの掌が、リタの服の上から右乳房を掴んでいた。指が食い込む感触が不快でリタは顔を歪めたが悲鳴は上げなかった。弱々しい女としての悲鳴を上げてしまえば、ベグスの思うつぼと咄嵯に判断したためだ。
ベグスはそれすらも理解していると言わんばかりに、乳房から手を離して高笑いしてから告げた。
「ふふふ……ははははは! さすがだな。ベスパ国を襲い、お前を拉致したかいがあったぞ」
「拉致……? そういえば……」
リタ姫はベグスの言葉によって失われていた記憶を呼び起こしていた。
ヴィルガスト界を混沌に陥れていた邪神が異世界からやってきた戦士によって封印されてしばし時が流れた後に、邪神復活を願う者達からベスパ国は襲撃を受けた。
リタは陣頭指揮を執って敵を撃退していたが、激しい魔法攻撃の直撃を受けて気を失ってしまったのだ。ボロボロの防具や傷の理由は苛烈な攻撃を受けたことによるものだと理解していた。
「あの、魔法は……」
「そうだ。俺の魔法によりお前を気絶させ、ここまで運ばせてもらったんだ。ベスパ国は今でも戦っているぞ。リタ姫。お前を救うために、な」
「……私を、どうするつもりですか?」
リタは改めて最初の質問をする。ベグスは自分のことを語り、拉致したことも告げた。敵方に拉致された場合は何らかの交換条件として引き渡されるか、あるいは捕虜として何らかの辱めを受けるか、殺されるかしかリタには思いつかない。これから苦しみを味あわせられるくらいなら、いっそ自ら死を選ばうと口を開こうとする。ベグスは手伝いを告げていたが、リタはそれに応じるつもりは全くない。ベグスは一度、振り払われても変わらずに右手を伸ばし、リタの頬を何度も撫でながら言った。
「言っただろう? お前にも協力してもらうと」
「協力など、絶対に……しないわ」
リタは強い口調で変わらぬ思いを告げたが、ベグスは肩を震わせて笑うことを止めず、手を離して距離を取った。不気味な気配が強さを増して、ベグスの周囲に魔力が漂い始める。
(何をする気、なの……まさか、私に言うことをきかせるために、ベスパの人々を人質に?)
統治すべき国民の命を握られては、リタも従わざるを得ない。焦燥感が募り、額から汗が流れ落ちていく。リタはベグスの一挙一足から目を離さないようにしていたが、ベグスは天井へと手を掲げて魔力を解き放った。
「きゃっ!?」
光が空間に迸り、リタの目がわずかな時間だけ見えなくなる。すぐに光は消えて元々あった松明の明かりだけとなったが、ベグスのまとっていた邪悪な気配が真上に移動していることにリタは気づく。唐突に危機感を覚えて上を向こうとした矢先に、頭部に何かか被さってきた。
「な、何……こ……れ……」
リタは急に頭の中に霞がかかっていくような心地になった。
頭部をすっぱりと包み込むのは兜。
邪悪なる魔力をまとった兜は、その魔力をリタの頭皮から脳へと浸透させていく。
「やっ……い、いやああ! 頭が……ああ……」
リタは頭を振って兜を飛ばそうとする。頭部を前後に勢いよく振って反動によって兜を飛ばそうとしたが、締めつけられているわけでも、顎に兜を固定する革ベルトを通しているわけでもないのに、兜は頭から離れない。その間も邪悪な魔力はリタの脳へと染み込んでいき、意識を奪っていく。
(頭が……ぼうっと……していく……何も、考えられなく、な……る……だめ……屈しちゃ、だめ……!)
歯を食いしばって頭部を前後に振るうことを続けていたリタだったが、一向に兜が頭から外れることはない。抵抗する様子にベグスは笑みを含んだ言葉を投げつける。
「無駄だ。その忘却の兜は過去の自分をすべて忘れる。そして、空っぽになったお前は、邪神の使いとして新たな生を過ごすことになる」
染み込んでくる魔力によって体は小刻みに震えだす。
リタは唇をわななかせながらベグスに向けて言葉を紡ぐ。
「忘却の……兜、ですって……」
「そうだ。お前の名前を言ってみろ」
「私の、名前……?」
ベグスの質問に対してリタは咄嵯に答えられなかった。
質問の内容が理解できなかったわけではない。力が抜けて思考力が低下していてもなお、自分の名前を言えという問いかけに対して反射的に口を開く。
だが、脳裏に自分の名前が浮かぶのには時間がかかった。
「わ、私は……リタ、よ。ベスパ国の……王女……十四歳……」
「そこまでは質問をしていないぞ? どうしたのだ? 忘れてきたか?」
ベグスはリタに起こった変化を理解しているのにもかかわらず、言葉で心を責めてくる。リタは唇に歯を食い込ませ、痛みをよりどころにして脳を侵略してくる忘却の兜の力に対抗しようとした。
(私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳私はリタ……)
口には出さず、頭の中で呪文のように言葉を紡ぐ。脳内で何度も唱えることに意識を集中したことで、兜を外そうとする頭の動きをいつしか止めてしまった。そうでもしなければ記憶が奪われていくことに対抗できなかった。
自分が全てを忘れ、ベスパの国民に牙を剥くようなことになったとしたら、死んだ父親にも申し訳が立たない。父や国民への愛によって少女は健気に抵抗する。
その意思の力には、ベグスも苛立ちを隠せなかった。
「まだ兜の力に抗うか……魔力への抵抗力があるのか? ただの小娘ではないようだ」
ベグスは俯きつつ、震えているリタの全身を眺めると次の行動を開始した。ベグスは震えるだけで動かなくなったリタの体に手を伸ばし、橙色のシャツを掴むと力任せに引き千切る。
「きゃっ……ゃ……あ……」
人間を超えた力によって簡単に裂かれた服の内側には、十四という年齢にしては大きめの乳房があった。兜の力に抵抗して体が震えているために、乳房も小刻みにたゆんでいる。ベグスは丁寧にシャツの切れ端をリタの体から剥がしていくが、リタは全く動けずに最後までシャツが剥ぎ取られるまで、されるがままだった。
上半身は皮の手甲のみとなり、ベグスは肢体に向けて手をかざす。
すると、忘却の兜と同じ気配を持つ武具が中空に出現して、リタの剥き出しの乳房と腰に装着された。
「う……ああああああああああああああああああああああああああああ!?」
新たに装着された防具から噴き出した魔力が、リタの全身を覆い尽くす。兜の魔力と合体すると強さが増して、リタの脳を侵食する気は痛みを伴って彼女を弄ぶ。
「今、お前が装着したのは捕らわれの胸アーマーと腰アーマーだ。お前の心を邪神様の物とするための防具だ」
「うはあっ! あ! んはああ! あうああああ! ひいい! いやあああああ!」
膨大な魔力がリタを覆いつくす。リタからすれば全身が鉛のように重くなり、指先まで電流が走ったかのように激痛と痺れが襲いくる。
「あああっ! こ、こないでええええ!」
リタは瞳を涙で濁らせながら絶叫していた。ベグスは目の前に手を掲げて軽く振ったが、リタは全く見ていない。目を開いていても光景は別の物を映している。他の五感も同様で、今のリタは現実ではない物に捕らわれていた。
「んぅああああああああ!」
捕らわれの胸アーマーと腰アーマーからの魔力によってリタの視界に映し出されたのは、邪神の姿だった。暗黒に包まれた邪神の体内から黒い触手が伸びてリタの全身を掴み、這い回る。乳房と股間を触手が強く擦っていくと、甘美な感覚がリタの脳を貫き、思考を麻痺させる。麻痺した思考を粉々にするように忘却の兜の魔力が染み込んでいく。
(気持ちいい……こんな……気持ちいいことがあるなんて……ダメ……流されては……だめ、なのに……)
リタは胸と股間の奥に送られた魔力によって体が疼いていく。
乳首がアーマーの内側でぷくりと膨らみ、股間からは熱い液体がとろりと流れ落ちる。ショーツやショートパンツを濡らしてしまうと考える程度の理性はどうにか残り、内股になることで堪えようとしていた。その甲斐なく、膣から溢れ出す粘ついた液体はショーツを濡らし、太ももの内側をゆっくりと伝い落ちていく。
「ふああああああ……ひっ……い……ぁああ……ああああああああーっ!」
リタは疼きから広がる快感を堪えられず、頭の中に大きな火花を散らせた。
少女として初めての絶頂。父親の代わりに国を治め、必死になって国の為に働いてきたため女の子としての幸せも知識も学ぶ余裕がなかったリタには、邪神の魔力によって絶頂に達せられたことについて理解ができなかった。
涙と涎。更に鼻水までも流して身悶えする。
腰からも力が抜けたのか、膝を曲げて中途半端にしゃがむ体勢になる。だが、それぞれの腕と足が鎖に繋がれているため完全に崩れ落ちるのは避けられた。
「ふぅっ……あはあっ! んはっ! はひっ! ひっ! ひぎぃいいいいい!」
とても王女とは思えない乱れぶりで涎をまき散らす。先ほどまでは兜を取るために頭を揺らしていたが、今は快楽に支配されてじっとしていられないために体を揺さぶっている。結果は同じく兜も鎧も外れることはなかった。
たっぷりと股間の下に愛液の水たまりが作られたところでリタは頷き、動きを止めた。
絶頂の余韻に浸り、記憶も心も奪われていく中で痙攣したままのリタにべグスは再び質問する。
「さあ、お前の名前を言ってみろ」
質問はリタの頭の中へと響く。リタはわずかに口を開いて、言葉にした。
それまで絶叫していたことで喉は枯れていたが、ベグスの耳にはっきりと届く。
「わ、私は……リタ、よ……ベスパ国の……王女……」
「ほう。では、年齢は?」
「…………?」
ベグスの更なる質問に、リタは眉を顰めるだけで答えることができなかった。気力が失われかけているということもあるが、女の体を襲ってくる苦痛と快感によって記憶が壊れかけている。ベグスはほくそ笑むと続いて両手を掲げてリタに魔力を与えた。
「さあ、更に防具を装備させてやろう。お前の全てを奪うために」
ベグスの魔力は黒い霧に形を変えて、リタの鎖に繋がれた手足へと集まる。圧縮された霧はただの皮手甲とレッグアーマーの形を変化させて、黒く禍々しい気を持った防具にする。
「裏切りの小手。嘆きの足アーマー。これが、忘却の武具だ」
「う……ぁああああああああ……いやあ……や……ああああああ……」
装備が一通りそろったことで邪神の魔力は数倍にアップする。
涙を絶えず流す瞳は光を映さず濁っていく。エメラルドグリーンの美しかった瞳の色は一気にくすんでいった。
「私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! リタリタリタリタリタリタァアアアアア!!!?」
自分の名前を繰り返すリタの瞳には、やはりベグスではない存在が映っていた。
胸と腰にアーマーを装着された時と同様に、小手と足アーマーからもイメージが流れ込んでいく。いずれも脳内を好き勝手に蹂躙するために送り込まれたもので、実際に目の前に見えているわけではない。
あくまでも、侵略される脳が見せる幻。
「アァアアアアアア! 逃げ……やめて……やめてぇえええええええ!」
リタは自分の手足が勝手に動き、ベスパ国の住民を殺していく光景を見せつけられていた。
右手に持っていた剣を使って斬り殺し、左手は相手の顔面を殴りつけて陥没させる。両足を駆使した足技で住民の首の骨は折れ、体を踏みにじりながらリタは進んでいく。
「おねが……にげ……はぁあぅあうあああ!」
リタは掠れた言葉を発するものの、足元から上ってくる気配に驚いて絶叫する。嘆きの足アーマーには血がべっとりと付着しており、自分を蹴り殺し、屍を踏みにじってきた人間への呪詛の言葉が鳴り響く。
鎧の放つ声に自分のものはかき消され、言い訳もできないまま動きを止めるしかなかった。
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……』
嘆き、苦しむ人々の魂の叫びがリタの全身を打ちのめす。
映し出されている手と足は、邪神の配下となって人間の血にまみれる未来の姿を映し出す。
記憶を破壊していく兜。
正常な嗜好をさせないために快楽で押し流そうとする胸と腰アーマー。
そして、仲間を裏切ることと殺された者の嘆きを幻として見せて、かつ増幅させる小手と足アーマー。
いずれもリタの心と体を壊すには十分な代物だった。
「いやあ……もう、いやあ……やめて……これ、いじょ……あ……ぁ……あっ! あんっ!? ふああああああああっっ!?」
唐突にリタの全身に力が入り、背骨が折れそうになるほど仰け反る。快感が強まって体内を蹂躙し、再度絶頂に達することで脳に乳白色の霧がかかり、思考がさらに小さくばらついていく。
その後、すぐに視界に映し出されたのは城の兵士や重鎮達を殺していく光景。王亡き後も自分を支えてくれた人達を自らの手足が殺していく感触が、手足に宿る。
『どうして殺したのですかぁあああああ』
『恩を仇で返すのかぁあああ!!』
『この裏切者め!』
『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』
絶え間なく耳に入る自分への恨みと憎しみの言葉。
守るべき人々を殺し、恨まれる幻影に襲われ。
苦痛とは正反対の巨大な快楽の津波に意識を押し流され。
残った思考の欠片は忘却の兜により最後の一片まで砕かれる。
(ああああああ……あああああああ……わ、た、し……ワタシ……ハ……)
頭も体もぐちゃぐちゃにかき乱されて、リタは股間から勢いよく愛液を垂れ流し続ける。開いたままの口からも涎が出続けて、涙と鼻水がまじりあい、独特の臭いが発せられる。
ベグスはリタの顎を掴んで自分の顔を無理やり見るように固定してから、告げた。
「お前の名前を言ってみろ」
「……ワタシノ……名……前……な、まえ……な……まえ……なまえ……なまえ……なまえ……」
ベグスの問いかけに対して、リタは質問を繰り返すだけで何も言えなくなっていた。頭がおかしくなったように同じ言葉を無機質に繰り返す少女の瞳に、捕われた当初にあった光は、もうない。
濁った瞳に映りこむ自分の姿に向けてベグスは言葉を口にした。
「お前はルシーズだ。邪神様の忠実な部下であり、私の下僕だ」
「私は……ルシーズ」
その瞬間、リタの頭の中にルシーズという名前が刻み込まれる。かつて同じように邪神に洗脳された少女が賜った名前。ベグスは同様の名前を付けて、邪神の配下であることを強調する。
「お前はルシーズだ。そして」
「……邪神様の、忠実な、部下。あなたの、下僕」
「そうだ。俺の言うがままに動く下僕だ」
ベグスはリタの顎を持ち上げて自らの顔を近づける。マスクを外して露わになった口元がリタのそれに近づくと、躊躇せずに口づけていた。
「んっ……んっんっんっんっんっんっ……おふぅん……」
リタの口内でベグスの舌が踊る。彼女の舌を絡めとり、歯茎を舐めながら蠢く舌からは唾液が送り込まれ、リタの白い喉が動く。たっぷりと数分かけて口内を犯したベグスが指を一つ鳴らすと、手足を拘束していた鎖が消え去って、リタの体が崩れ落ちた。
床に内股で座り込んだリタに向けて、ベグスは自らの股間から伸びる物を見せつけた。
人間と変わりない形をした生殖器を見ても、リタは動揺することはない。
「これを口で舐め、奉仕するんだ」
「……は、い……」
リタは無機質な言葉を紡ぐと両手で生殖器を持ち、口を開いて咥えこんだ。ベグスのものは大きく、半分ほど入ったところで喉の奥まで先が到達する。軽く咳込んだリタは、そこから前後に顔を動かし始めた。
舌で裏筋を舐め、自らの口で分泌した唾液を塗り付けていく。生殖器を舐められているベグスには変化が生じ、体の表面に揺らめていた暗黒の魔力が生殖器を通ってリタへと注ぎ込まれていく。
「おぶっ……んぶっ……んっ……んっ……んっ……んっ……んっ……」
自ら頭を動かして生殖器を味わうリタ。咥える物がこの世で最も美味しいと感じるかのように、結合部から涎が迸っていく。前後の抽送だけではなく、口内を隅々までなぞるように別の動きまで取り入れる。
口を伝って体内の臓器にまで染み込む魔力により、リタの肌が変色していた。白く美しい肌がわずかに褐色となっていく。
腹部から指先。髪の毛に覆われた頭頂部までも色合いが変化したところで、リタは生殖器から口を離して立ち上がった。
「お前の名前を言ってみろ」
「……私はルシーズ。邪神様の忠実な部下。あなたの下僕です」
生殖器をしまってからベグスは質問し、リタはよどみなく答えた。
忘却の兜の下には黒のショートヘア。
整った顔には光を映さない濁った瞳を持ち、耳にはリタ姫としての証であるピアスがついている。
しかし、彼女の記憶からは完全にリタ姫だったことは消え去った。
「さあルシーズ。これからお前に任務を与える」
「なんなりと」
リタの言葉にベグスは中空に腕を一振りすると、剣と盾が現れる。
片刃で特徴的な曲線を描いている剣『シャムシール』とリタの身長のほとんどをカバーする大きな盾『イビルシールド』をそれぞれ両手で取る。
瞬間、邪神の気が膨れ上がってリタの体から大きく放出された。
「素晴らしい。ルシーズ。お前なら、ベスパ国を統治できるだろう。我々に刃向かう人間達を倒し、ベスパ国を支配下に置くのだ」
「分かりました。行ってまいります」
リタは頷くと全身に漲る邪神の気によって体を浮かせ、そのまま天井へと突進していた。大きな激突音と共に瓦礫が崩れ落ちたが、数秒後には止まる。ベグスが開いた穴を見ると、太陽光が部屋の中へと入ってきていた。
「くくく……潜在能力は前のルシーズと同等か……素晴らしいぞ。くはははははははは!」
ベグスは自分の呪術の成功と邪神復活に一歩近づいたことに歓喜する。
自分の統治していた国を蹂躙するために向かうリタのことを考え、暗い喜びに支配されながらベグスは笑い続けた。
邪神復活を狙う集団がベスパ国に押し入り、防戦を続けていたリタ姫を捉えて悪の戦士・ルシーズへと洗脳していく。
ヴィルガスト界。
そこは女神ウィンディーネが見守る世界。
人間と獣人が暮らしていたが、その世界を恐怖で包み込もうとした邪神が復活した。
荒ぶるモンスターの父である邪神は、その力を持ってモンスター達を生み出し、人々を襲わせることで世界を破滅させようとした。
ヴィルガスト界の危機にウィンディーネは異世界から戦士を召喚。ヴィルガスト界の中で選ばれた戦士達と召喚された戦士は共に戦い、激戦の末に邪神を封じ込めて平和を守ったのだった。
それから時が過ぎ、邪神を復活させようとする一派が暗躍することで再び世界は危機に瀕していたのだった。
ベスパ国の姫・リタは体中から込み上げてくる痛みに失っていた意識を覚醒させた。
すぐに瞼を開くことは出来ず、何度も痙攣した末に鉄の扉を開くかのようにゆっくりと開く。エメラルドグリーンの瞳が映した部屋は松明しか光源がないため薄暗く、夜の闇とほとんど変わらない。目覚めたばかりで視界もぼやけているリタにとっては気絶している時と同じだった。
「こ、こあ……」
国の中が乾き、うまく発音もできない。舌を動かして唾液を分泌させてから口内を濡らしていくと少しだけ潤いが戻る。瞼を何度も開閉することで乾いた瞳も涙腺が緩み、涙が出てきて視界を綺麗にしていった。最後に頭を数回振って思考にかかっていた霧も吹き飛ばす。
リタはため息を一つ吐くと、改めて自分の状況を確認した。
皮の手甲に包まれた手首の上に繋がれた鉄の輪から鎖が伸びて、天井の穴を通っている。視線でゆっくりと追っていくと、鎖は壁を伝っていき、最後にリタの足首へと繋がっていた。皮のレッグアーマーも同様に足首の上を鉄の輪が付けられていて、輪には鎖が結びついている。同じ側の手足が鎖で一つに繋がれている状態。もう少し自分の体を確認すると、ところどころに痛みの原因を見ることができた。
気を失う前に身に着けていたであろう防具の内、ヘッドギアと肩アーマー、ウエストアーマーがなくなっている。頭部を見ることはできないが、黒いショートのストレートボブに橙色のカチューシャを付けているのは感覚的に理解できた。肩口と腰部分は攻撃に傷ついた痕があり、攻撃が防具を貫通したという結果を示している。
胸元を覆っていた鎧も完全に消えており、橙色をした袖なしシャツのみ。
十四歳という年齢にしては大きさを主張している乳房が服の上からも確認できる。
橙色の袖なしシャツに黒いショートパンツという身軽な恰好の上に皮の装備をつけて、彼女は闘っていたのだ。
そして今のリタは、大の字に立たせられて鎖に繋がれている。
「そうか……私……」
「目覚めたようだな、リタ姫」
突如、薄暗い部屋の中に声が響く。ほんの一瞬前まで部屋には他の人間の気配は感じなかった。しかし、声の主はリタの困惑を余所に顔が見える場所まで歩いてくる。邪悪な気配を発散する鎧をまとい、兜を被って口元をマスクで覆っている男の素性を知ることはできないが、邪悪な存在であることだけは理解できる。それだけで、リタにとっては敵なのだと判断した。
特徴的なのは上半身を覆う鎧。胸元には巨大な目を象った意匠が施されていた。だが、目は意匠ではなく、生きてギョロギョロと目玉を動かしていた。
「ひっ……あ、あなたは……誰! 私をどうするつもりですか!」
不気味な鎧にたじろいだものの、リタは気丈に言い放つ。父を殺されてからベスパ国を実質的に統治していた幼い少女は、意志の強い光を瞳に宿して相手に告げる。
リタに危害を加えようとする男は彼女の傍まで近づくと、腕を伸ばして顎を掴む。
「俺の名前はベグス。邪神復活を望む者。リタ姫。お前には我々の手助けをしてもらおう」
「手助け、ですって? 誰がそのようなことをするものですか!」
リタな顎を勢いよく動かしてベグスと名乗った男の手を外す。囚われているという状況だけは分かったものの、リタは詳しい経緯を覚えていなかった。しかし、目の前に分かりやすい敵が現れたことでリタの中で戦いの火ぶたが切って落とされる。
悪しき者達と闘い続けている戦姫、リタとして魔の者には屈しないという力強さが体中から滲み出ていた。
だが、ベグスは目元を緩めると中空に投げ出された手をゆっくりとリタに近づける。
「ち、近寄らないで!」
「さすがはベスパ国を統治しているだけはある。胆力は年齢のそれではないな」
「――っ!?」
冷静な言葉を紡いでいたベグスの掌が、リタの服の上から右乳房を掴んでいた。指が食い込む感触が不快でリタは顔を歪めたが悲鳴は上げなかった。弱々しい女としての悲鳴を上げてしまえば、ベグスの思うつぼと咄嵯に判断したためだ。
ベグスはそれすらも理解していると言わんばかりに、乳房から手を離して高笑いしてから告げた。
「ふふふ……ははははは! さすがだな。ベスパ国を襲い、お前を拉致したかいがあったぞ」
「拉致……? そういえば……」
リタ姫はベグスの言葉によって失われていた記憶を呼び起こしていた。
ヴィルガスト界を混沌に陥れていた邪神が異世界からやってきた戦士によって封印されてしばし時が流れた後に、邪神復活を願う者達からベスパ国は襲撃を受けた。
リタは陣頭指揮を執って敵を撃退していたが、激しい魔法攻撃の直撃を受けて気を失ってしまったのだ。ボロボロの防具や傷の理由は苛烈な攻撃を受けたことによるものだと理解していた。
「あの、魔法は……」
「そうだ。俺の魔法によりお前を気絶させ、ここまで運ばせてもらったんだ。ベスパ国は今でも戦っているぞ。リタ姫。お前を救うために、な」
「……私を、どうするつもりですか?」
リタは改めて最初の質問をする。ベグスは自分のことを語り、拉致したことも告げた。敵方に拉致された場合は何らかの交換条件として引き渡されるか、あるいは捕虜として何らかの辱めを受けるか、殺されるかしかリタには思いつかない。これから苦しみを味あわせられるくらいなら、いっそ自ら死を選ばうと口を開こうとする。ベグスは手伝いを告げていたが、リタはそれに応じるつもりは全くない。ベグスは一度、振り払われても変わらずに右手を伸ばし、リタの頬を何度も撫でながら言った。
「言っただろう? お前にも協力してもらうと」
「協力など、絶対に……しないわ」
リタは強い口調で変わらぬ思いを告げたが、ベグスは肩を震わせて笑うことを止めず、手を離して距離を取った。不気味な気配が強さを増して、ベグスの周囲に魔力が漂い始める。
(何をする気、なの……まさか、私に言うことをきかせるために、ベスパの人々を人質に?)
統治すべき国民の命を握られては、リタも従わざるを得ない。焦燥感が募り、額から汗が流れ落ちていく。リタはベグスの一挙一足から目を離さないようにしていたが、ベグスは天井へと手を掲げて魔力を解き放った。
「きゃっ!?」
光が空間に迸り、リタの目がわずかな時間だけ見えなくなる。すぐに光は消えて元々あった松明の明かりだけとなったが、ベグスのまとっていた邪悪な気配が真上に移動していることにリタは気づく。唐突に危機感を覚えて上を向こうとした矢先に、頭部に何かか被さってきた。
「な、何……こ……れ……」
リタは急に頭の中に霞がかかっていくような心地になった。
頭部をすっぱりと包み込むのは兜。
邪悪なる魔力をまとった兜は、その魔力をリタの頭皮から脳へと浸透させていく。
「やっ……い、いやああ! 頭が……ああ……」
リタは頭を振って兜を飛ばそうとする。頭部を前後に勢いよく振って反動によって兜を飛ばそうとしたが、締めつけられているわけでも、顎に兜を固定する革ベルトを通しているわけでもないのに、兜は頭から離れない。その間も邪悪な魔力はリタの脳へと染み込んでいき、意識を奪っていく。
(頭が……ぼうっと……していく……何も、考えられなく、な……る……だめ……屈しちゃ、だめ……!)
歯を食いしばって頭部を前後に振るうことを続けていたリタだったが、一向に兜が頭から外れることはない。抵抗する様子にベグスは笑みを含んだ言葉を投げつける。
「無駄だ。その忘却の兜は過去の自分をすべて忘れる。そして、空っぽになったお前は、邪神の使いとして新たな生を過ごすことになる」
染み込んでくる魔力によって体は小刻みに震えだす。
リタは唇をわななかせながらベグスに向けて言葉を紡ぐ。
「忘却の……兜、ですって……」
「そうだ。お前の名前を言ってみろ」
「私の、名前……?」
ベグスの質問に対してリタは咄嵯に答えられなかった。
質問の内容が理解できなかったわけではない。力が抜けて思考力が低下していてもなお、自分の名前を言えという問いかけに対して反射的に口を開く。
だが、脳裏に自分の名前が浮かぶのには時間がかかった。
「わ、私は……リタ、よ。ベスパ国の……王女……十四歳……」
「そこまでは質問をしていないぞ? どうしたのだ? 忘れてきたか?」
ベグスはリタに起こった変化を理解しているのにもかかわらず、言葉で心を責めてくる。リタは唇に歯を食い込ませ、痛みをよりどころにして脳を侵略してくる忘却の兜の力に対抗しようとした。
(私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳。私はリタ。ベスパ国の王女。十四歳私はリタ……)
口には出さず、頭の中で呪文のように言葉を紡ぐ。脳内で何度も唱えることに意識を集中したことで、兜を外そうとする頭の動きをいつしか止めてしまった。そうでもしなければ記憶が奪われていくことに対抗できなかった。
自分が全てを忘れ、ベスパの国民に牙を剥くようなことになったとしたら、死んだ父親にも申し訳が立たない。父や国民への愛によって少女は健気に抵抗する。
その意思の力には、ベグスも苛立ちを隠せなかった。
「まだ兜の力に抗うか……魔力への抵抗力があるのか? ただの小娘ではないようだ」
ベグスは俯きつつ、震えているリタの全身を眺めると次の行動を開始した。ベグスは震えるだけで動かなくなったリタの体に手を伸ばし、橙色のシャツを掴むと力任せに引き千切る。
「きゃっ……ゃ……あ……」
人間を超えた力によって簡単に裂かれた服の内側には、十四という年齢にしては大きめの乳房があった。兜の力に抵抗して体が震えているために、乳房も小刻みにたゆんでいる。ベグスは丁寧にシャツの切れ端をリタの体から剥がしていくが、リタは全く動けずに最後までシャツが剥ぎ取られるまで、されるがままだった。
上半身は皮の手甲のみとなり、ベグスは肢体に向けて手をかざす。
すると、忘却の兜と同じ気配を持つ武具が中空に出現して、リタの剥き出しの乳房と腰に装着された。
「う……ああああああああああああああああああああああああああああ!?」
新たに装着された防具から噴き出した魔力が、リタの全身を覆い尽くす。兜の魔力と合体すると強さが増して、リタの脳を侵食する気は痛みを伴って彼女を弄ぶ。
「今、お前が装着したのは捕らわれの胸アーマーと腰アーマーだ。お前の心を邪神様の物とするための防具だ」
「うはあっ! あ! んはああ! あうああああ! ひいい! いやあああああ!」
膨大な魔力がリタを覆いつくす。リタからすれば全身が鉛のように重くなり、指先まで電流が走ったかのように激痛と痺れが襲いくる。
「あああっ! こ、こないでええええ!」
リタは瞳を涙で濁らせながら絶叫していた。ベグスは目の前に手を掲げて軽く振ったが、リタは全く見ていない。目を開いていても光景は別の物を映している。他の五感も同様で、今のリタは現実ではない物に捕らわれていた。
「んぅああああああああ!」
捕らわれの胸アーマーと腰アーマーからの魔力によってリタの視界に映し出されたのは、邪神の姿だった。暗黒に包まれた邪神の体内から黒い触手が伸びてリタの全身を掴み、這い回る。乳房と股間を触手が強く擦っていくと、甘美な感覚がリタの脳を貫き、思考を麻痺させる。麻痺した思考を粉々にするように忘却の兜の魔力が染み込んでいく。
(気持ちいい……こんな……気持ちいいことがあるなんて……ダメ……流されては……だめ、なのに……)
リタは胸と股間の奥に送られた魔力によって体が疼いていく。
乳首がアーマーの内側でぷくりと膨らみ、股間からは熱い液体がとろりと流れ落ちる。ショーツやショートパンツを濡らしてしまうと考える程度の理性はどうにか残り、内股になることで堪えようとしていた。その甲斐なく、膣から溢れ出す粘ついた液体はショーツを濡らし、太ももの内側をゆっくりと伝い落ちていく。
「ふああああああ……ひっ……い……ぁああ……ああああああああーっ!」
リタは疼きから広がる快感を堪えられず、頭の中に大きな火花を散らせた。
少女として初めての絶頂。父親の代わりに国を治め、必死になって国の為に働いてきたため女の子としての幸せも知識も学ぶ余裕がなかったリタには、邪神の魔力によって絶頂に達せられたことについて理解ができなかった。
涙と涎。更に鼻水までも流して身悶えする。
腰からも力が抜けたのか、膝を曲げて中途半端にしゃがむ体勢になる。だが、それぞれの腕と足が鎖に繋がれているため完全に崩れ落ちるのは避けられた。
「ふぅっ……あはあっ! んはっ! はひっ! ひっ! ひぎぃいいいいい!」
とても王女とは思えない乱れぶりで涎をまき散らす。先ほどまでは兜を取るために頭を揺らしていたが、今は快楽に支配されてじっとしていられないために体を揺さぶっている。結果は同じく兜も鎧も外れることはなかった。
たっぷりと股間の下に愛液の水たまりが作られたところでリタは頷き、動きを止めた。
絶頂の余韻に浸り、記憶も心も奪われていく中で痙攣したままのリタにべグスは再び質問する。
「さあ、お前の名前を言ってみろ」
質問はリタの頭の中へと響く。リタはわずかに口を開いて、言葉にした。
それまで絶叫していたことで喉は枯れていたが、ベグスの耳にはっきりと届く。
「わ、私は……リタ、よ……ベスパ国の……王女……」
「ほう。では、年齢は?」
「…………?」
ベグスの更なる質問に、リタは眉を顰めるだけで答えることができなかった。気力が失われかけているということもあるが、女の体を襲ってくる苦痛と快感によって記憶が壊れかけている。ベグスはほくそ笑むと続いて両手を掲げてリタに魔力を与えた。
「さあ、更に防具を装備させてやろう。お前の全てを奪うために」
ベグスの魔力は黒い霧に形を変えて、リタの鎖に繋がれた手足へと集まる。圧縮された霧はただの皮手甲とレッグアーマーの形を変化させて、黒く禍々しい気を持った防具にする。
「裏切りの小手。嘆きの足アーマー。これが、忘却の武具だ」
「う……ぁああああああああ……いやあ……や……ああああああ……」
装備が一通りそろったことで邪神の魔力は数倍にアップする。
涙を絶えず流す瞳は光を映さず濁っていく。エメラルドグリーンの美しかった瞳の色は一気にくすんでいった。
「私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! 私はリタ! リタリタリタリタリタリタァアアアアア!!!?」
自分の名前を繰り返すリタの瞳には、やはりベグスではない存在が映っていた。
胸と腰にアーマーを装着された時と同様に、小手と足アーマーからもイメージが流れ込んでいく。いずれも脳内を好き勝手に蹂躙するために送り込まれたもので、実際に目の前に見えているわけではない。
あくまでも、侵略される脳が見せる幻。
「アァアアアアアア! 逃げ……やめて……やめてぇえええええええ!」
リタは自分の手足が勝手に動き、ベスパ国の住民を殺していく光景を見せつけられていた。
右手に持っていた剣を使って斬り殺し、左手は相手の顔面を殴りつけて陥没させる。両足を駆使した足技で住民の首の骨は折れ、体を踏みにじりながらリタは進んでいく。
「おねが……にげ……はぁあぅあうあああ!」
リタは掠れた言葉を発するものの、足元から上ってくる気配に驚いて絶叫する。嘆きの足アーマーには血がべっとりと付着しており、自分を蹴り殺し、屍を踏みにじってきた人間への呪詛の言葉が鳴り響く。
鎧の放つ声に自分のものはかき消され、言い訳もできないまま動きを止めるしかなかった。
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……』
嘆き、苦しむ人々の魂の叫びがリタの全身を打ちのめす。
映し出されている手と足は、邪神の配下となって人間の血にまみれる未来の姿を映し出す。
記憶を破壊していく兜。
正常な嗜好をさせないために快楽で押し流そうとする胸と腰アーマー。
そして、仲間を裏切ることと殺された者の嘆きを幻として見せて、かつ増幅させる小手と足アーマー。
いずれもリタの心と体を壊すには十分な代物だった。
「いやあ……もう、いやあ……やめて……これ、いじょ……あ……ぁ……あっ! あんっ!? ふああああああああっっ!?」
唐突にリタの全身に力が入り、背骨が折れそうになるほど仰け反る。快感が強まって体内を蹂躙し、再度絶頂に達することで脳に乳白色の霧がかかり、思考がさらに小さくばらついていく。
その後、すぐに視界に映し出されたのは城の兵士や重鎮達を殺していく光景。王亡き後も自分を支えてくれた人達を自らの手足が殺していく感触が、手足に宿る。
『どうして殺したのですかぁあああああ』
『恩を仇で返すのかぁあああ!!』
『この裏切者め!』
『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』
絶え間なく耳に入る自分への恨みと憎しみの言葉。
守るべき人々を殺し、恨まれる幻影に襲われ。
苦痛とは正反対の巨大な快楽の津波に意識を押し流され。
残った思考の欠片は忘却の兜により最後の一片まで砕かれる。
(ああああああ……あああああああ……わ、た、し……ワタシ……ハ……)
頭も体もぐちゃぐちゃにかき乱されて、リタは股間から勢いよく愛液を垂れ流し続ける。開いたままの口からも涎が出続けて、涙と鼻水がまじりあい、独特の臭いが発せられる。
ベグスはリタの顎を掴んで自分の顔を無理やり見るように固定してから、告げた。
「お前の名前を言ってみろ」
「……ワタシノ……名……前……な、まえ……な……まえ……なまえ……なまえ……なまえ……」
ベグスの問いかけに対して、リタは質問を繰り返すだけで何も言えなくなっていた。頭がおかしくなったように同じ言葉を無機質に繰り返す少女の瞳に、捕われた当初にあった光は、もうない。
濁った瞳に映りこむ自分の姿に向けてベグスは言葉を口にした。
「お前はルシーズだ。邪神様の忠実な部下であり、私の下僕だ」
「私は……ルシーズ」
その瞬間、リタの頭の中にルシーズという名前が刻み込まれる。かつて同じように邪神に洗脳された少女が賜った名前。ベグスは同様の名前を付けて、邪神の配下であることを強調する。
「お前はルシーズだ。そして」
「……邪神様の、忠実な、部下。あなたの、下僕」
「そうだ。俺の言うがままに動く下僕だ」
ベグスはリタの顎を持ち上げて自らの顔を近づける。マスクを外して露わになった口元がリタのそれに近づくと、躊躇せずに口づけていた。
「んっ……んっんっんっんっんっんっ……おふぅん……」
リタの口内でベグスの舌が踊る。彼女の舌を絡めとり、歯茎を舐めながら蠢く舌からは唾液が送り込まれ、リタの白い喉が動く。たっぷりと数分かけて口内を犯したベグスが指を一つ鳴らすと、手足を拘束していた鎖が消え去って、リタの体が崩れ落ちた。
床に内股で座り込んだリタに向けて、ベグスは自らの股間から伸びる物を見せつけた。
人間と変わりない形をした生殖器を見ても、リタは動揺することはない。
「これを口で舐め、奉仕するんだ」
「……は、い……」
リタは無機質な言葉を紡ぐと両手で生殖器を持ち、口を開いて咥えこんだ。ベグスのものは大きく、半分ほど入ったところで喉の奥まで先が到達する。軽く咳込んだリタは、そこから前後に顔を動かし始めた。
舌で裏筋を舐め、自らの口で分泌した唾液を塗り付けていく。生殖器を舐められているベグスには変化が生じ、体の表面に揺らめていた暗黒の魔力が生殖器を通ってリタへと注ぎ込まれていく。
「おぶっ……んぶっ……んっ……んっ……んっ……んっ……んっ……」
自ら頭を動かして生殖器を味わうリタ。咥える物がこの世で最も美味しいと感じるかのように、結合部から涎が迸っていく。前後の抽送だけではなく、口内を隅々までなぞるように別の動きまで取り入れる。
口を伝って体内の臓器にまで染み込む魔力により、リタの肌が変色していた。白く美しい肌がわずかに褐色となっていく。
腹部から指先。髪の毛に覆われた頭頂部までも色合いが変化したところで、リタは生殖器から口を離して立ち上がった。
「お前の名前を言ってみろ」
「……私はルシーズ。邪神様の忠実な部下。あなたの下僕です」
生殖器をしまってからベグスは質問し、リタはよどみなく答えた。
忘却の兜の下には黒のショートヘア。
整った顔には光を映さない濁った瞳を持ち、耳にはリタ姫としての証であるピアスがついている。
しかし、彼女の記憶からは完全にリタ姫だったことは消え去った。
「さあルシーズ。これからお前に任務を与える」
「なんなりと」
リタの言葉にベグスは中空に腕を一振りすると、剣と盾が現れる。
片刃で特徴的な曲線を描いている剣『シャムシール』とリタの身長のほとんどをカバーする大きな盾『イビルシールド』をそれぞれ両手で取る。
瞬間、邪神の気が膨れ上がってリタの体から大きく放出された。
「素晴らしい。ルシーズ。お前なら、ベスパ国を統治できるだろう。我々に刃向かう人間達を倒し、ベスパ国を支配下に置くのだ」
「分かりました。行ってまいります」
リタは頷くと全身に漲る邪神の気によって体を浮かせ、そのまま天井へと突進していた。大きな激突音と共に瓦礫が崩れ落ちたが、数秒後には止まる。ベグスが開いた穴を見ると、太陽光が部屋の中へと入ってきていた。
「くくく……潜在能力は前のルシーズと同等か……素晴らしいぞ。くはははははははは!」
ベグスは自分の呪術の成功と邪神復活に一歩近づいたことに歓喜する。
自分の統治していた国を蹂躙するために向かうリタのことを考え、暗い喜びに支配されながらベグスは笑い続けた。
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