仏ポルノ業界の#MeToo 性暴力に声を上げ始めた女性たち
■実態と懸け離れた「素人ポルノ」
多くの女性が、自分が出演した動画が無期限に視聴できるようになっているとは知らなかったと主張し、ジャッキー&ミシェルをはじめとするサイトからの出演動画の強制削除を望んでいる。
ジャッキー&ミシェルは、違法行為は一切していないとした上で、同社は配信するだけで、動画の製作方法については責任を負わないと主張。ただし、レイプなどの犯罪行為で有罪判決を受けた製作者とは関わらないことを確約した。
しかし、多くの女優と男優はこの言い分を一蹴し、同サイトは監督に対し、特定の美的基準を満たすことを事実上、要求していると指摘する。
さらに女優や男優たちはポルノサイトのユーザーに対し、「素人」ポルノは実態とは懸け離れたコンセプトで、出演者が嫌々ながら応じた可能性のある撮影がカムフラージュされていることを知っておくべきだと警告する。
「この『素人ポルノ』というコンセプトをいいかげんやめないと」。と話すのは、過去10年間、成人向け作品に出演してきた男優のトニー・カリアーノ(Tony Caliano)さんだ。
「(素人ポルノという)コンセプトは、どこにでもいる普通の女の子がいつでも性行為に応じてくれると(ユーザーに)思い込ませるためのものだ」と言う。
一方で、動画に出演している女性たちが「プロ」として長期的な経歴を築く可能性は低いとカリアーノさんは指摘する。
「この業界に入ってくる女の子は、平均して3~4か月間で15~20シーンこなすだけ(でやめてしまう)」
大多数の女性の出演料は、1シーン当たりわずか200~300ユーロ(約2万5000~3万7000円)。「プロのポルノ」に出演し、4桁の出演料をもらう看板女優らに比べてはるかに少ない額だ。