仏ポルノ業界の#MeToo 性暴力に声を上げ始めた女性たち
【10月16日 AFP】フランスの検察当局が有名なポルノサイトを対象にレイプの実態調査を実施し、動画に出演した女性たちに虐待経験を明かすよう呼び掛けている。これを機に、性暴力について声を上げることが長らくタブー視されてきたポルノ業界が過去の清算を迫られるのではないかとみられている。
検察当局は、フェミニスト団体がポルノに出演した複数の女性から証言を集めたことを受け、「素人」ポルノ動画の総本山とうたうウェブサイト「ジャッキー&ミシェル(Jacquie and Michel)」をはじめとするポルノサイトについて7月から調査を進めていることを9月に明らかにした。
レイプ調査が始まってから弁護士に連絡を取った数十人の女性の一人、エステルさん(仮名)は、フランスの大手ポルノビデオメーカー「ドーセル(Dorcel)」の「スター」になろうと思ったのは22歳のときだったと話す。だがブレークせず、小規模メーカーの作品に出演するようになった。大半がジャッキー&ミシェルで配信される作品だった。
その経験は悪夢に変わる。
嫌だと断ったにもかかわらず、監督からあるシーンの撮影を強要され、数日間、激痛に苦しんだ。
「監督には『泣いているのは慣れてないから。泣くな、動画が売れなくなる。笑うんだ!』と言われた」とエステルさんは振り返る。出演料は250ユーロ(約3万1000円)だったという。
避妊具なしで男性との絡みも強要された。相手役の男性は性感染症の検査で陰性だったとうそをついており、実際は性器ヘルペスに感染していた。
「やりますとは一度も言ってないシーンを演じても、出演料もそんなにもらえない」とエステルさんは言う。
AFPの取材に応じた他の女性たちは、事前に知らされていない追加の性行為シーンを突然要求する監督もいると語った。