新型コロナウイルス感染者や医療関係者への差別や偏見を防ごうと訴える「シトラスリボン運動」が、県内でも広がろうとしている。運動は松山市の市民グループが提唱し、シンボルとなるリボンの普及で意識改善を目指す。県内で運動を後押しする高根沢町光陽台2丁目、自営業片岡千晴(かたおかちはる)さん(61)は「明日はわが身と考えることも、先入観防止に役立つかもしれません」と話す。
運動は、賛同者がかんきつ色のリボンやひもを三つの輪に結ぶ「シトラスリボン」を作って、身に着けたり玄関などに掲示したりする。三つの輪は「地域」「家庭」「職場(学校)」を意味する。
復帰した感染者や医療関係者に普通に声を掛けられるような当たり前の日常を願い、松山大の甲斐朋香(かいともか)准教授らがつくるグループが4月に提唱した。会員制交流サイト(SNS)などで情報発信し、愛媛県を中心に同県外にも広がっている。
片岡さんが運動を知ったきっかけは、東日本大震災のボランティア時に知り合った宮城県内の遺族会代表とのつながり。代表が5月、フェイスブックで取り上げたのを確認し、早速シェアした。
医療関係者への誹謗(ひぼう)中傷や感染者への差別をニュースで知った片岡さんは、県内でも抑止の動きが広まればと甲斐准教授と連絡。宇都宮市星が丘2丁目、自営業小池和典(こいけかずのり)さん(52)と共に、今月から「シトラスリボンINとちぎ」の名前で運動を後押しすることにした。
SNSを中心とした情報発信のほか、ポスター制作などで普及に努める。これまでに矢板市や壬生町の団体や高根沢町の学校から賛同があった。
片岡さんらに対し甲斐准教授は「地域地域で有志の皆さんが集まっていただき、活動の理念を広めて下さることは、とてもありがたい」とメッセージを寄せている。